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APMoA Project, ARCH vol.4 奥村雄樹「善兵衛の目玉(宇宙編)」@愛知県美術館

名古屋に行ってきました。
主な目的はうつせみ展のカタログをアートラボあいちの皆さんにお届けすること。
皆さん元気そうでなにより。新年の挨拶もできてよかった。
ラボでは販売もしていただけることになったので、気になる方はラボにて直接お声かけください。サンプルも見せてもらえると思います。
http://www.artlabaichi.net/

そのラボでやってた日韓交流展が中々見応えがありました。
展示がすごくかっこよかった。
中でも笹岡敬さんの作品がよかったです。
カメラに照明を直接当てるとあんなことになるとは。

それと話題の「であ・しゅとぅるむ」展にも行ってきました。
インディペンデント・キュレーターの筒井宏樹氏による企画。
様々な作家がごった煮で展示されてて圧巻です。
敢えてちゃんと見れないようになってるんでしょうか。気散じ。
泉太郎さんが出展されてて、もしかしたらまだ作業してるかもと思って行ったら本当に作業中やった笑
作品は一応見られる状態になってて、どこが完成してないんですか?って聞いたらわからないって言われた!「でもほら、なんかしっくりいってないでしょ?」って笑
がんばってください!
あと、その下では「のこりもの」という様々な分野の学者が集まって作った展示があって、興味深かったけどもう少し大きな規模で見たかったと思いましたね。

今回観た中で一番印象深いのは愛知県美でやってる奥村雄樹展
奥村さんの作品は前から気になってて、ちゃんと観る機会が中々なくて、実際初めて観たのがこないだのMOTアニュアル。あれもでも変化球な感じやしね。
今回のは以前にも発表されてる「善兵衛の目玉(宇宙編)」。
日本昔ばなしに出てきた話を元に落語家の笑福亭里光とコラボして作った創作話。
話自体は、善兵衛という人物がある日物見の集団の中で目玉を取り出して持ってた傘につけて高いところからものを見てたらカラスに持ってかれて宇宙まで行って、やがてカラスがたまたま善兵衛の家の庭に落っことして、またはめたら今度は逆にはめてしまい、体の中をのぞくことになる。で、善兵衛はその技を使って医者になる決心をして、、、っていうお話。
この辺は奥村さんの「くうそうかいぼうがく」につながるテーマですね。
あとイームスの有名な映像作品も思い起こしました。(この映像改めて見るとめっちゃGoogleマップですね。。。)




その落語の様子を映像にしたもの。
わざわざ「映像にしたもの」と書いたのは、この「映像化する」という行為そのものが意識的に作品に取り入れられてるのを強く感じたからです。
この落語自体は、貝塚市にある岩崎善兵衛ランドというところで上演されました。
この岩崎善兵衛という人物は日本に望遠鏡を普及させた人物で、その当時の望遠鏡も今回の展示室の前に展示されてます。
元の日本昔ばなしの「善兵衛」と岩崎善兵衛は特に同一人物というわけでもないんですが、目玉の話と望遠鏡とが合致して、この善兵衛ランドに企画を持ち込んだそうです。
大阪でやってるんだったら観に行きたかったな、と思う反面、この作品は映像になってから見ないとやっぱり奥村さんの作品にならないと思いました。落語自体はあくまで里光さんの作品。
最初は純粋にその落語を楽しんでたんですが、最期の最期、落語が終わってからお客さんがはけていく中で、撮ってたカメラも映り込むんですが、その瞬間やられた!と思いました。
というのは、この「目玉」の話を通して、映像を見ることのレイヤーをすごく意識させられたからです。
まず落語を見るお客さんの目があり、その次にカメラという目があり、さらにその映像を見ている自分の目があるという3段階のレイヤー構造です。
また、この話自体が、デカルト以降の近代的視野、つまり一点透視図法のような固定された目玉から完全に自由なのも面白いですよね。宇宙まで行ったり体内に入ったり。
22分の映像でしたがすごく楽しめました。2月11日まで。
クリムト展のお客さんがすごい勢いで通り過ぎて行くのも楽しかったですw

名古屋滞在たった2時間半でしたが、ここまで観れるとは我ながらすごい。
本当はこの後京都も回る予定でしたが体調不良により持ち越し。。。


追記
ちょうどこの記事に出てくる泉さんと奥村さんの作品について言及してる作家の水野亮さんのツイート群がおもしろいのでリンク貼っておきます。>http://twilog.org/drawinghell/date-120318

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ジャンル : 学問・文化・芸術

「水と土の芸術祭」@ 新潟市

新潟市の水と土の芸術祭(みずつち)に行ってきました。
以前1月に行ったことがあって、その時はそこまで雪も積もってなくて、意外に冬でも大丈夫っしょ!と思ったのが運の尽きでした。もう散々な目に遭いましたよ。。。
前日ぐらい東京駅で新潟行きの電車ことごとく止まってましたからね。。。
それでもめげることなく行きました。夜行バス。

早朝に着いて、そのまま土屋公雄の作品のある巻駅へ。
そこからバスなんですが、これが中々来ない!バス停で凍死寸前でした。。。
で、いざバスに乗り目的のバス停で降りたはいいものの、どこにあるのかわからない!
徒歩10分ってなってたけどあれ完全に嘘ですね。ひどいです。
上堰潟という池みたいなところにあるんだけど、これが雪に埋もれててわからない!!
「海抜ゼロ」という作品だけに、もはや雪に埋もれて見えないんじゃ、、、。
とか思いつつ雪をかき分け歩くこと10分ほどで看板発見!なんとか探し当てました。

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テンションがあがって、そのまま先まで進んだときに悲劇発生。
じゃぼん。
足が思いっきり水につかりました。
誰もいない池のほとりで叫び声が響き渡りました。
凍傷寸前。。。もういやや。。。
その足を引きずってバス停まで行ったら行ったばかりで次のバス3時間後。。。
タクシーすら見えず、仕方なく歩いて駅まで1時間。
本当は車で移動したかったんですが雪道を走る自信がなく。
せめて土日に出てる周遊バスみたいなのを利用すべきですね。

そんなこんなで駅まで着いて、次の西野達の作品まで。
これも最寄りの矢代田駅から徒歩20分。鬼。
今度は電車の時刻もちゃんと確認。与えられた時間は1時間弱!
競歩のように早足で雪道を進み目的地到着。

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家の屋根をとっぱらって、その上に箱を載せ、観客は上から家の中をのぞくという力業。
実際に誰か住んでるみたいで、この時は誰もいませんでしたが生活感たっぷり。
余韻に浸る間もなく駅へ。逃したら1時間こないので。

新潟駅に帰ってきてバスで美術館まで。
目的は美術館でやってる草間彌生展、ではなく、その前にある公園内の近藤洋平の作品。
というか今回の目的はこの近藤君の作品でした。

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すごい立派なモニュメントでびっくり。恒久設置になればいいのに。
鏡面と木、向こう側の景色が解け合って中々面白いです。
鏡面に向かい側の草間女史の姿も映ってました笑 お見事!

そしてこれまたバスがなかったので歩いてメイン会場まで。
ここにみぞれのような雪が襲ってきて、もうびしょびしょ。。。泣きそう。
途中のNadegata Instant Partyの展示があったので逃げ込みました。受付の人引いてたと思う。

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廃園になった幼稚園を使って、そこにあった釜でみんなで焼き物を焼き、それを物語にして即効の劇を繰り広げるというもの。MOTアニュアル同様一般の人々を巻き込みながら作っていく手法。中々楽しめました。

暖まって出てきたら雪も止んでて、そのままメイン会場へ。
昔の市場を使っててすごく雰囲気がありました。
手前にあるテトラポットは冨井大裕さんの作品。

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受付もある旧水産会館では、会議室などの部屋を使って各々展示がされてて、ようやく展覧会らしい展覧会にたどり着いたといった感じでした。
面白かったのは、結構シビアな問題を扱ってる展示が多かったこと。
例えばMOTアニュアルにも出してる下道基行さんなんかは、「境界線」をテーマに写真やオブジェ等を展示していてとても興味深かったし、アイヌ問題や水俣問題に取り組んでる作品もありました。
祝祭的な行事と化した日本の芸術イベントで、こういう問題に中々触れないことが多いんですが、今回そこはすごく感心しました。ただのお祭りにせずに、自分たちが普段見ようとしない問題を突きつけるのも芸術の役割のひとつなので、そういうところにもっと目を向けられたら良いですね。

そして最後に隣の大かまぼこという会場。
手前には大友良英と飴屋法水たちのインスタレーション。これは圧巻。
大友さんの音が各所で鳴り響いてます。

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奥には原口典之のインスタレーション。これもすごい。海水の雨が降り注いでます。手前は油。

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この会場は大スペクタクルでしたね。なんか久々にやられました。フィナーレにもってこい。
海に向かって並べられた靴たちは津波を想起させられて怖かったですが。
24日の最終日にはここで大友さんのコンサート(?)があるみたい。聞きたい!


そんなこんなで大変な目をして観てきたみずつち。
印象に残る作品が多く見れたので結果オーライで!
これから観に行かれる方はくれぐれもお気をつけて。。。
あと、作品が広範囲すぎて中々一日では観きれません。
しかも冬は開館時間が短いところが多く、結構諦めました。
石川直樹や照屋勇賢、あと戸井田君の作品なんかも観たかったんだけどな。。。
それと閉館日も会場によって違うので注意。土日は全部やってるのでやっぱ土日に行くべきです。

「水と土の芸術祭」website >> http://www.mizu-tsuchi.jp/

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佐々瞬「それらの日々をへて、あの日がやってくる」@東京都現代美術館

先月に引き続きまたまた東京に行ってました。うーん、以前のペースに戻りつつある。。。
で、前回良過ぎた近美と都現美を再訪。

まずは近美。
前回「実験場1950s」をほとんど満足に見られなかったので。
今回は1幕見ずに2幕のみ。第1幕と第2幕でチケット分けてくれたらいいのに。
それはさておき、やはりしっかり観ておくべき内容ですね、これは。
河原温の「浴室」シリーズってよく見るとすごいです。これは必見。
暮らしの手帖もあなどるなかれで、壁に書かれた文章がいちいち重いです。
最初は「美しい」が付いてたんですね。「美しい暮らしの手帖」。
個人的にはこの展覧会に出されてる映像群が相当きます。
近美はフィルムセンターも銀座に持ってるので(元々こっちが最初の場所)、やはりこういった映像群のコレクションの質は高いですね。
再び戦争に向かおうとする日本政府へのデモ行進なんか今とかわらないじゃないですか。
違うのは国民の意識だけかな。大きな違いですが。
近美だからこそできる展覧会で、この美術館の底力を見た気がしました。

そして都現美へ。
向かう前に清澄白河のギャラリーコンプレックスビルへ。久々。
久々過ぎて次々と現れるホワイトキューブに目が回りました。
目的はTERRA TOKYOの増本泰斗さんの個展。
以前水戸芸で見たことがあるけれど、こういう参加型の作品は参加しないと、その跡を見ても取り残された感がどうしてもありますね。「踊る阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃ損損」ってやつです。会期中に都内数カ所でイベントがあるみたいなんで、参加できるなら参加したかったです。
あとShugoArtsでイケムラレイコ展なんかもやってたけど、個人的にいいなと思ったのはタカイシイでやってたヘレン・ミラの展覧会。初めて見たけど、ミニマルなんだけどどこか温かくて、展示の仕方とかすごくかっこよかった。
あとコンプレックスビルじゃないけど、近くにあるHARMAS GALLERYの高橋大輔展もよかった。
厚塗りなんてもんじゃないぐらい絵の具が塗り込められてて、ちょっと館勝生さんを思い出した。色味が全然違うし、載せ方も全然違うけど。
今回は過去の作品を展示してたみたいやけど、個人的にはポートフォリオに載ってた最新作が観たかったな。色がしぼられてすごくかっこよかった。
それにしてもこれ乾くまでにどれぐらいかかるんだろうか。。。

で、本題の都現美です。
たどり着くまでにいつの間にかアート系の古本屋さんがいくつか出来てて、花から花へみたいな感じで中々都現美まで辿り着けなかった。。。
それはさておき、MOTアニュアル再訪です。今回はこれだけ。
相変わらず受付の人の田中さんのアナウンスが忙しそうでした笑
エスカレーターを昇ると、森田さんの作品を探してゴミ箱を漁ってる人がいました。相変わらず変な展覧会ですね笑
今回は前回あまりちゃんと観れなかったNadegata Instant Partyと奥村さん佐々瞬さんの作品を中心に。
行ったらちょうどNadegataの上映が始まったばかりで、移っていく映像とともに観客も移動する感じが楽しかった笑
しかし今まであまり意識しなかったけど、「団塊」って言われる方にしたら嫌な名前ですね。
思いっきり一塊にされてるわけだから。「オンリーワン」なんて尊重されない感じですね。
でもこの人たちの「ナンバーワン」の意識ってやっぱ強かったんだろうな、って、映像観ながらぼーっと考えてました。そんな彼らが築いた未来が善くも悪くも今なわけですね。
そして奥村さんの作品は、相変わらず作品の範囲がどこまでなのか計りかねます。
映像観てるときは、もう個々の誰かとしてしか観れない。どんなに奥村さんの字幕を意識しても、いつの間にかその意識は外れて「作品」に持っていかれてしまう。
この意識の満ち引きみたいなのがおもしろいですね。
それから佐々瞬さん。今回メモをできるだけ丁寧に読んでました。
この日はちょうど彼のパフォーマンスがあるというので、閉館後まで居残りました。
閉館後18時半からパフォーマンスが開始。
震災で亡くした友人との記憶の更新。
高校の時にその友人に言ってしまった一言に対して、謝れなかった自分を過去に遡ってどうにか謝ってみるというもので、開始前にいくつかのシナリオが観客に配られました。
それ読みながら、こういう過去への更新欲って誰でもあるよなーと思った。
「ああ言えばよかった」とか「あんなこと言うんじゃなかった」とか。この場合は後者。
そしてパフォーマンス開始。それまでのこのパフォーマンスを実際に観たことはないけれど、過去の映像を観るとその友人の役を演じる人がいて、その人に向かって話しかけるんだけど、今回は佐々さんが独白のような形で話していた。
そして2つぐらいシナリオ通りに進んだところで様子が変わる。
何度かこのパフォーマンスを繰り返す中で、なんとなく友人が選びそうなシナリオ(もしくは佐々さんが望むシナリオ)がわかって、これ以上パフォーマンスが続けられなくなってきたよう。
途中で、これまでその友人を演じてきた人が現れて、これまでを振り返る。
そしてこのパフォーマンスをもう今回きりで終わると宣言(メモに書いて)終了。
多分この作品は良いとか悪いとか評価不能で、彼個人の喪の作業にまったくの他人がつきあってるといった感じでその拠り所のなさが異様でした。
これを観客の前でやることで彼にとっては色々得られるものがあるんだろうけど、じゃあ一体観客は何をこのパフォーマンスから得られるのだろうか?
終わった後の帰り道、なんだか雲を掴むみたいなフワフワした気持ちで帰った。
でも、今回の上京で最も印象に残る出来事だったことは間違いない。
あれは何だったんだろう?彼の経験を共有できたとは思えないし、彼のパフォーマンスを通して結局過去は更新できないと当たり前の壁にぶち当たることしかできなかったのかもしれない。
奇しくもその前日に再び東北地方を地震が襲って、あの日の感覚が鮮明に蘇ったばかりだったので、なんだか感慨深かったです。
それにしてもMOTアニュアルやっぱりおもしろいなー。図録出たら絶対買う。店員さんに聞いたら来年になってしまうとのこと。もしかしたら来月また上京するかも。恵比寿のNaDiff Galleryで今週から始まる森田さんの展示も観たいし、αMの田中さんの展示も観たい。こうしてまた東京行く回数が増えていくのか。。。


最後に横浜のBankARTの川俣正展
本当はこれがメインだったんだけど、なんか期待しすぎたかも。
もちろんよかったんやけど、何かが足りなかったな。
足りなかったというよりかは、むしろアーカイブが余計だった。
あのインスタレーションの空間の使い方はやっぱりさすがだと思ったし、もしあれだけなら結構満足して展覧会を楽しめたんだと思うんやけど、アーカイブがあるせいでちょっとした回顧展みたいになってしまってすごく勿体なかったと思います。展覧会は1月13日まで。
それにしても、カタログ付き鑑賞券が2500円ってのはお得すぎた。
カタログだけで3000円もするのに、このカタログをゲットするだけでも価値がありますね。
川俣さんって、これだけのキャリアながら、これといったカタログがなくて、以前から出てほしいなと思ってたのですごくうれしい。
あと、日本大通にあるGALERIE PARIS(パリじゃないのに)でも川俣正展がやってます。
こっちはBankの展示のドローイングを展示してるみたいなんだけど、何を血迷ったか日曜日に行ってしまってもちろん閉まってた。。。ガラス越しに観ましたとも!こっちは12月17日まで。

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<関連記事>
MOTアニュアル2012 風が吹けば桶屋が儲かる@東京都現代美術館
川俣正「通路」@東京都現代美術館

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MOTアニュアル2012 風が吹けば桶屋が儲かる@東京都現代美術館

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さて、上京記事ラストです。
今回観た中で最も、というか今年観た中で最もよかった展覧会。
現在東京都現代美術館で開催中のMOTアニュアル2012です。
副題に「風が吹けば桶屋が儲かる」とついてて、最初観た時はなんや奇を衒ったタイトルやな、ぐらいにしか思ってなかったんですが、実際観てみるとこのタイトルがものすごく沁みます。
この言葉は日本のことわざで、何の関係もないような事柄が実は結びついてるぐらいの意味ですが、今回のこの展示でも、何の関係もない作品同士が観て行くうちに折り重なっていって因果を形成していく過程がまざまざと体感されます。
この感覚ってやっぱ言葉にできないんですが、ボレロに近いのかな?
でも、そんな奇麗なハーモニーじゃなくて、むしろノイズに近い。ってこんな言葉使うとあまりよろしくないように聞こえるんですけど、前の展示室の作品のノイズがひたすら追いかぶさっていく感じ。
個々の作品で言えば、正直好きな作品もあるし好きじゃない作品もあったけど、もうそういうレベルでは語れない展覧会だと思います。
展覧会の中で一人か二人の作家だけが飛び抜けて評価される展覧会は失敗だと思ってます。
そうではなく、ひとつの総体として観られる展覧会こそ成功と言えると僕は考えます。
その点でまさしくこの展覧会は僕の中では大成功の展覧会でした。
これだけ個々に展示室が分かれておきながら、ここまで一つのものとして観れる展覧会ってそうそうないと思います。それには相当綿密な打ち合わせが事前に築き上げられたんじゃないでしょうか。
作家もキュレーターも共犯関係にあるすごく美しい展示でした。
まあ、敢えて個々の作品を挙げるなら、まずのっけから受付で「田中功起さんの作品は美術館内にはありません」とパンチを食らわせられるとこからこの展覧会は始まるんですが(笑)、展示室でいうと、まず森田浩章さんの展示。作品の場所が書かれたインストラクションがずらっと並んでて、まずそこに作品はあるとも言えるしないとも言える不思議な展示。
「いちゃついてるカップルがいる」みたいなのの下に「現在このイベントは開催しておりません」と書いてたのには笑った。
とりあえずインストラクション見ていくと館内に色々仕掛けがある(或はないかもしれない)のがわかるんだけど、その場では見れないし、体験できない不思議な距離感がおもしろかったです。
続いて下道基行さんの作品ですが、正直この展覧会の中ではかなり浮いた存在だったかも。
下道さんが唯一作品らしい作品を作ってるので。最後に彼の旅の記録をコピーできるコーナーがあって、お持ち帰りが出来ます。
最初の森田さんのもそうですが、こうやって持って帰るものが今回すごく多い。
その時点で、もう館内では収まってないんですよね。
まあ、それは田中さんに顕著なんですが、この展覧会は、展示室という空間にも縛られてないし、持ち帰ったりイベントを外でやることで会期にも縛られない。
展覧会という制度を恐ろしいぐらい破ってるラディカルな展覧会です。
さらには、展覧会自体を見切るのが困難というのも挙げられます。
それは次のNadegata Instant Partyと佐々瞬さんの作品に顕著で、もう見きれる量じゃない情報の波で、僕はほぼ諦めた、っていうか、その波を浴びてるだけで気持ちよくて敢えてささっと見ました。この二組の作品はまた今度行くと思うのでその時にちゃんと観ます。すいません。
そしてさらに作者とは、作品とはなんぞやって問うのが奥村雄樹さんと田村友一郎さんの作品。
特に奥村さんの作品はヤバかったです笑
彼は作家業と共に翻訳の仕事もしていて、なんと今回その翻訳の仕事が作品になってました!
これまでやってきた田中功起さんの作品やレム・コールハースやサイモン・フジワラのインタビュー映像が流れてて、もはや誰の作品かわからない。だけど最後に「翻訳 奥村雄樹」って出てぞくっとする。
普段ほとんど意識することなんてないけど、翻訳というのは、やはりその訳者のバイアスを通して理解してるんですね。それを考えると本人の言葉以上に強いのかもしれない。恐ろしいです。これも今度観た時ちゃんと観よう。
あと、奥村さんはミュージアムショップに「空想解剖学」と題して子供たちと一緒にやったワークショップと、ポスター(?)を展示してるのでお見逃しなく。
で、田村さんの作品は、この美術館のコレクションを使って一つのストーリーを作るというもの。なので、造形物としては田村さん自身が作ったものはありません!すごい。。。
田村さんはさらに地下の駐車場にも展示があります。当初施設の問題で会期初めは観れなかったそうですが、僕が言った時には観れました。確かによくこんなところでって場所です。
家が再現されてて中に入れるんですが、ちゃぶ台にとりあえず座って目の前で監視の人がずっといるのは居心地悪かったです笑
そして、今回最もラディカルな「展示」をやってのけたのが田中功起さん。
冒頭にも言われたように、「田中功起さんの作品は美術館内にはありません」。
入り口で桶屋展終了までの田中さんのスケジュール表が配られます。(誕生日まで記載されてるw)
このスケジュールすべてが今回の出品作というわけです。
一応館内にも2階に「展示スペース」が設けられてますが、そこには何もないんですよね。
皆必死に何かを探してるさまがおもしろかった笑
で、田中さんの出品作として、僕が行った日は、渋谷のユーロスペースで作品の上映会と、林卓行さんとのトークが開催されてたので行ってきました。
映像は「A Piano played by Five Pianists at Once」という作品で、タイトル通り、ひとつのピアノを5人のピアニストで弾くというもの。
彼らには「A Soundtrack for Collective Engagement」というお題だけが与えられてて、その手がかりだけを元にひたすら5人でひとつの曲を作り上げていこうとする。
田中さんからの指示はまったくなくて、彼らはその目標の見えなさに苛立ったり四苦八苦しながら最終的にはそれらしいものが出来上がって終わる。
僕は音楽の素養がほぼないので、最後に出来上がった曲もそれっぽく聞こえて普通に感動したんですが(笑)、この映像の目的はもちろんその曲ではなく、彼らが無茶な目標に向かう中で見せるしぐさだとか個性だとか人間模様だとかがこの映像では浮き彫りになってくるのがおもしろいんですね。
でも、やっぱ映画館で映像作品を観るって体験自体が個人的には楽しくて、その最後普通に感動してしまったのも、映画館で普通に映画を観てる感覚に陥ってたからだと思います。
まあ、それがいいか悪いかわからないけれど、僕はこの映画館で映像を見せるというのは、やはり正しい作法なんじゃないかな、と改めて思いました。美術館の展示室で映像見せられても、やっぱ100%楽しめたことなんてないって言っても過言じゃないし。集中する装置としての映画館はやはり威力抜群です。美術館もレクチャーホールとか映像見せられる環境があるなら積極的にそこも展示室として解放すべきだと思いましたね。
それはともかく、その後トークだったんですが、事前にARTiTの往復書簡を読んで予習してたんですが、なんか、そこに触れるか触れないか微妙な感じで、しかも音楽的なこととか正直あまり重要じゃないんじゃない?というようなところを結構話されたりして僕的には消化不良でした。まあ、あまり時間もなかったってのもあるんですが。
むしろ先にも触れたような映画館で見せることとかの問題にも触れてほしかったなと思いました。
で、最後に質問のコーナーもとれなかったので、なんと質問はTwitterでとのこと笑
なので僕もちゃっかり質問したら、本当に真摯に応えてくださって感動しました。
ちなみに質疑応答の内容は以下。(著作権とかあるのかな?)

森川穣 ‏@MoriMino
@kktnk 昨日上映会拝見させていただきました。質問時間がなかったのでこちらで失礼します。田中さんにとってご自身が出演される場合と他者を撮る場合とで大きな違いってありますか?昨日拝見していてやはり彼らの会話は大きな要素だったように感じました。ご自身の時は無言の場合が多いので。

田中功起 ‏@kktnk
@MoriMino ありがとうございました。遅い時間で質問時間とれなかったのが残念でした。最近のものの中ではヤシの葉ビデオではまあまあしゃべっていますが、そこでもどちらかというと訪ねてきた人の反応を引き出す、彼らの発話そのものを重要視しています。
MOTでの奥村作品内作品に顕著ですが、ぼくはとにかく遠巻きを歩き、その場のコントロール不可能な場所から見守るしかないって状況に追いやられています。その意味では自分がでるでないは大きく違いますよね。自分が出ているとどうしてもコントロールしようとしてしまうので。
ただ、昨日のトークのように、ライブで話すと、コントロールしているしていないの境目が曖昧になって、それで満足してしまって、映像作品として自分が出て会話があるものを作ろうとはしていないのかもしれませんね。でもそう指摘されるとそのうちやることもあるかもしれません。

森川穣 ‏@MoriMino
@kktnk 丁寧にお応えいただきありがとうございます。他者を撮ってる周囲に田中さんご自身も存在しているというのも重要かもしれませんね。今後の展開も期待しております。お忙しい中ありがとうございました。

田中功起 ‏@kktnk
@MoriMino 確かにそうですね、ぼくを知らないひとは気づかないけど、ぼく自身が周りをうろうろしているのは、ヘアカット、ピアノ、詩人、次回作ビデオ、すべてに共通していて、それがこの手法の必然としていまさらながら意識されつつあるって感じです。

という内容(笑) んー、いい時代になりました。
やっぱ田中さんの映像の他者性が気になるんですよね。田中さんの他者を撮った映像は、まるで宇宙人を撮影しているかのような、圧倒的他者性を感じます。あの圧倒的な距離感って何なんだろうなって。でも自身を撮った作品でもまるで自分を他人のように撮ってるところがあるんですよね。近年の作品に他者が入ってくるようになったのは、以前田中さんのポッドキャストで学芸員の保坂健二郎さんが「なぜ田中さんの作品に他者が入ってこないのか」って指摘の影響はやはり大きいのかもしれません。
こういうTwitterやポッドキャストの公開も含めて田中さんのこの公共への意識はすごいですね。
実は今回の作品もネットで観れます。こちら。普通こんなことしませんよね。
今回のMOTでの出品作は、田中さんの態度そのものが出品されてる感じですね。(ハロルド・ゼーマンの伝説的展覧会タイトルではないですが)
来年のヴェニスも本当に楽しみです。
また、今回の出品作として、この展覧会を企画したキュレーター西川美穂子さんとの往復書簡もあって、これもおもしろいです。このやり取りがどういう風に転ぶのかも楽しみですね。
いつも展覧会の挨拶文ってテキトーに流しちゃうんですが、今回はこの西川さんの文章もものすごく美しかったです。
この上映会も含め「桶」展の体験は時間が経てば経つほど際立ってくる。本当にいい展覧会を観た時ってこんな感じ。僕の中で風が吹き荒れてます。
こんな展覧会が日本で観れることに感謝です。
企画された西川さんを始め、作家さんを含む関係者の皆様に拍手です。
またカタログが出たぐらいにもう一回観に行きたいです。装丁も立花文穂さんなので楽しみです。次はもっと時間かけて観ます。
まあ、問題は見事に一般受けが難しいところでしょうか。。。僕が観てた時にちょうどデザイン専門学校の学生たちが一斉に入ってきてましたが彼らは果たして楽しめたのだろうか。。。
あと、この展覧会では普通マイナスに機能する、観きれなさとか気散じがいいように作用するんですが、そのテンションで同時に開催されてる「アートと音楽」や常設展を観るとなんのこっちゃになります。
ってことで「アートと音楽」に関しては何の感想もありません。すいません。
常設は次行った時にアニュアルより先に観ることにします笑
これから行く人はアニュアルを最後に回ることをおすすめします。
展覧会は来年2月3日まで。美術好きなら是非!こちら

森田さんのロッカーの作品本当にありました!
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「美術にぶるっ!」@東京国立近代美術館
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こっちもどんなタイトルやねんってタイトルですが(笑)、評判がよかったので行ってきました。
開館60周年を記念して開催される、館のベストセレクションを集めたコレクション展。
ベストセレクションというだけあってすごかったです。。。
これも時間かけて観るべきでした。次ですね、次。
中でも横山大観の「生々流転」にはさすがにぶるっときました。
40mもの長い墨絵で、もう画面の流れ方とか墨の濃淡とか素晴らしいです。
さっきの話じゃないけど、長過ぎて観きれないのもまたいい。
また、戦争画のコーナーはものすごいですね。
中でも藤田の「アッツ島玉砕」と「サイパン島同胞臣節を全うす」が観れたのは大きかった。
さすがにぶるっポイントが高いです。
あと、エレベーター前の田中さんの作品おもしろすぎてずっと観ちゃいました。
おかげで最後全然時間無くて、二部の「実験場1950s」はほぼ観れてませんよ。。。次。
素晴らしいな、と思ったのが、美術館をちゃんとアップデートしようとしているところ。
日本画の展示室なんかが顕著で、壁が濃紺になってて、導線とか本当に見事。
先の大観の巻物なんか、ちゃんと導線通り進めば右から左に奇麗に流れて観られる。
ノーストレスでほとんどの作品が観れちゃいました。これって普通のことのようですごいこと。
あと、「建築を思う場所」という、以前の谷口吉郎設計を思わせる場所を敢えて何も飾らずに見せてるところとか憎いなと思いました。
やはり、ここには、田中さんのヴェニス日本館コミッショナーである蔵谷美香さんや、保坂健次郎さん等の優れた学芸員がこの美術館にいるのが大きいんでしょうね。
こないだの「14の夕べ」とかも、ものすごいイベントですよね。
東京に住みたいとは思わないけど、この近美や都現美があるのはやっぱりうらやましいです。

ちなみに現在近美にスタジオムンバイのコミッションワークも展示中です。
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あと、ベーコン展のプレチラシが出来てた。早く観たいです!

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須田悦弘展@千葉市美術館

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関東で観てきた個展をいくつかレポートします。
須田悦弘展@千葉市美術館
中西夏之「韻 洗濯バサミは攪拌行動を主張する 擦れ違い/遠のく紫 近づく白斑」@川村記念美術館
さわひらき「Whirl」@神奈川県民ホールギャラリー
エルネスト・ネト「Madness is part of Life」@ Espace Louis Vuitton Tokyo

すべてネタバレ含みますので読みたい方だけどうぞ。

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内藤礼「地上はどんなところだったか」@ 空蓮房

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久々に東京に行ってきました。といっても6月以来ですが。
以前に比べてぐっと上京回数が減りましたね。
その分今回色々観ていて体力の衰えを感じました笑
以前なら平気でいくつも歩いてたのに、3つめぐらいでへろへろ。。。
実際観る展覧会数も減りました。といっても多いですが笑
ってことでレポります。

まず今回の上京で大きかった展示のひとつが空蓮房の内藤礼展ですね。
こちらは初期の内藤作品を思わす予約制。
しかも会期中水木金の10時から15時までという。。。
上京のタイミングに合わせてメールを送ったら、15時から特別にとっていただきました。
今サイトを見たら会期中の予約全部埋まってしまったみたいです。。。
で、内容ですが、そこはやはりあまり触れない方がいいと思うので控えます。
ただ、その空蓮房がどういう場所かということだけでも。
ここは、なんとお寺の中にあります。
名前だけでもなんとなくそういう雰囲気がありましたが、着いて少し焦りました笑
境内の中に、白い箱があって、そこが「空蓮房」という空間です。
写真のようなすこし低い茶室のにじり口のような入り口から一人ずつ入っていきます。
元々茶室だったのかな?と思って聞いたら違って、本当に純粋にギャラリースペースとして作ったらしい。すごい。。。
中も相当すごくて、角がRになった空間で、今回は小さな明かり取りのみの光で見せてました。
その光の入り方がものすごく美しくて、僕が行った夕方に入りかけぐらいの時間帯の方がぼんやりしていていいような気がしました。最初住職さんは15時以降だとちょっと暗いかもと心配されてたようですが。内藤さんの作品も見れば見るほどぼやけてきて不思議な感じでした。
結局20分ぐらいそこで過ごして友人と交代しました。
どうやらこの空間は2006年に建てられたようで、以前にも畠山直哉なんかも展示してます。
住職さん自身も以前写真をやっておられたそうで、作品をいかに見せるかというのは、作家側はすごく考えているのに、見せる側で考えてる人がほとんどいないというところから、この空間を作られたそうです。
そのお話はすごくわかって、ついつい話し込んでしまいました。
内藤さんは今ギャラリー小柳でも展示されていますが、やはりあそこで見た印象と、この空蓮房で見た印象ではまったく別の体験だったのはまちがいありません。
作品に出逢いに行くという態度そのものがこの空間では重要になってきます。
その為に、まず一礼して入る装置としてにじり口があるんですね。
この「作品に出逢いに行く」というのはものすごく鑑賞体験として重要だと思います。
もちろん小柳はあくまでビジネスもありますので、そこをどうこう言うつもりはありませんが、やはり内藤さんのような作品は、こういう空間で見せるのが一番だと感じました。
しかし世の中にはこういう志のある方がちゃんといらっしゃるんですね。うれしかったです。
それにしても内藤さんの人形のような作品の展開は驚きでした。
以前国立国際のトークでも紹介されてましたが、実際に対峙してみると、これだけ形が具体的でありながら、内藤さんの見せたいものは、以前にも増して抽象化しているのが実感できました。
実際眺めながらこれが一体なんなのかわからなさすぎて戸惑いますが、時間をかけるとそれを飛び越えちゃう感覚がありました。普通のギャラリーではむずかしいかもしれません。
これからどういう展開にいくのかも非常に楽しみです。
空蓮房の展示は予約埋まっちゃったので今からでは見れませんが、小柳は11月22日までやってます。

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内藤礼「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」@神奈川近美鎌倉
内藤礼「母型」@ 発電所美術館

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

土屋公雄展「夢のあとに/交差する時間」@福井県立美術館

IMG_6750.jpg

久々のレビュー記事です。
本来のモードを忘れて告知ばかりですいませんでした。
ってことでこの9月10月に観た展覧会です。
この9月10月はベテラン作家の凄みを感じることの多い月でした。
最も素晴らしかったのは先月まで福井県立美術館で開催されてた土屋公雄の展覧会。
以前から彼の作品は好きで観てましたが、今回美術館まるごと展示すると聞いて、結構無理して福井まで行ってきました。でも行った甲斐がありました!
まず入ってすぐの吹き抜けの作品からやられました。
「あの時」というタイトルの作品で、縄でくくられた4つの時計が吊るされています。
それぞれ8:15、11:02、5:46、14:46で止まっています。言うまでもない「あの時」たち。
そして、奥には磨りガラスで出来た構造体に入った灰。
この灰は家一軒分の灰だそうですが、灰になったらこんなものかと思うような量でかなりわびしい思いがしました。この家の記憶も何もかも灰になってしまうのはやっぱり悲しい。
そして、最大のインスタレーションが登場。これはマジですごかった。。。
トタン屋根がずらーーーっと会場を埋め尽くしていて、じっとみてるとジュッという音が聞こえる。
なんとこのトタン屋根熱っせられてて、上から水が落ちてきてそれが蒸発してたんですね。
このジュッという音が胸に沁みてきて中々その場を離れられませんでした。
さらに、「生きられた家」という作品は、家の形をした構造物に、花柄のカーテンのような布がかけられていて、中には椅子と蛍光灯が設置されてます。この布は蓄光が施されていて、電気が消えると緑に光って家の形が浮かび上がります。僕はでも蛍光灯のついてる時の方が好きでした。とても美しい作品。
さらに奥には家の柱がグリッドに並べられた作品とかもう見どころ満載。
この廃材はどこから集められてきたのでしょうか。。。
さらに2階の常設展も土屋さんがプロデュースしていて、割れた陶器を使って月の満ち欠けを表した自身の作品「月」と月を題材にした美術館のコレクションとコラボしてました。この「月」は東京都現美でも観たことありますが何度観てもいい。
あと、「ポートレート」と題した作品があって、色んな形の矩形が壁にずらっと並べられてるんですが、それが何なのか近づくまでわからない。実はそれらは全部鏡で、汚れてたり曇ったりで中々像を映さない。これもすごいインスタレーションでした。
さらにさらに地下には「未現像の記憶」と題した鉄の部屋があって、そこに入ると壁と天井が時計で覆われていて、それぞれ時を刻んでます。その重なった音がなぜか水中の音みたいに聞こえるんですが、どこにいるのかわからなくなってしまう感覚はすごかったです。
とまあ、ざざっと走り書きしましたけど、やっぱりあの凄みは観てみないと伝わらないですね。
一ヶ月しかやってなくて、もっと長いことやってくれたらよかったのにと思います。
この展覧会はやはり震災がひとつのテーマになっています。
これまで記憶を大きなテーマでやってこられた土屋さんだからこそ今回の震災は、相当大きなものだったと思います。
実際震災以降何度も被災地を訪れボランティアをしながら今回の展示を作っていったのだとか。
ただ、あまり震災というものに縛られてこの展覧会を観るのは違うと思いました。
カタログにもあまりにそれと作品を結びつけすぎていてちょっとがっかり。
彼の作品は、その以前も以降もやはり揺るぎないものがあります。実際観て確信しました。
こういう、芯のある作家はやっぱり信頼できるなと思いますね。
震災があったからどーこーっていうのはやっぱり違うと思う。
震災以降ソーシャルアートというのが取りざたされてるけど、僕はほとんど興味ないです。
もちろんそれがいけないとは思わないけど、でもやっぱり100年後1000年後に観ても共有できる普遍的な強さをもった作品が僕は好きです。


その文脈でいくと、愛知の小牧にあるメナード美術館でやってた舟越桂展もすごかった。
舟越さんって、メディアでも多く取り上げられたりして、ちょっとポップなイメージもあるけど、でもやはり芯の強い作家だなと思いました。
特に最新作「月の降る森」は泣きそうなぐらい美しかった。
展示方法もよかったんやけど、本当これもその場から中々離れられなかった。
「美しい」っていうと陳腐に聞こえるけど、それでもやっぱ「美しい」と言わざるを得ない。
他にも舟越さんの代表作も集まっててかなりすごい展覧会でした。
あと、メナード初めて行ったけど、所蔵品がすごかった!
アンソール代表作もあったし、シーレのドローイングめっちゃすごかった!
名古屋からは離れてますが、これは観る価値あると思います。11月25日まで。


そして、関西ですが、なんといってもYoshimi Artsでやってる館勝生展はすばらしすぎた。
多分関西じゃない方はほとんどわからないんじゃないかな。
愛知県美術館には所蔵がありますけどね。あの作品は素晴らしいです。
そしてまさにその愛知の作品を観たYoshimi Artsのオーナーさんがそれに惚れ込んで今回の展覧会が実現したんだとか。やっぱ彼の作品は強いですからね。
その館さんは残念ながらもう既にこの世の方ではありません。
2009年に44歳という若さで亡くなられました。
僕は生前から彼の作品が好きで観るたびにその場に立ち尽くしてました。
思えば2003年、学生の頃ギャラリーを回りだした本当に最初の頃にギャラリー白でやってるのを観て衝撃を受けました。「忘れられない絵」っていくつかありますが、その時みた館さんの作品もその一つです。
そして今回、入る前のガラス越しでやられました。
正面にかけられていたスクエアの大作は本当にすごい。
ちょっとベーコンを思わすような緊張感がありますね。
単純に絵の具の物質感とかよりも、もう構図が見事です。
今回何点か展示されてて、すべて晩年のものですが、正面の作品が一番よかった。
改めて惜しい人を亡くしたんだなと思わせてくれる展覧会でした。11月4日までなので是非。
国立国際にも所蔵がありますね。今展示中なんかな?


あといくつか。
まず六甲ミーツアートは今村君が出してたので、初めて観てきました。
それにしても電車で行くとめちゃくちゃ遠くてしんどかったです。。。
阪急六甲駅からバスでケーブルの駅まで行ってさらにケーブル乗ってさらにバス。。。
全部回る気はなかったので、植物園とオルゴール館だけ行きました。
ミーツアートのチケットは1800円で全部回れますが、この2つだと共通券1200円ってのがあるので僕はそれを購入。正直簡単に忍び込めそうでしたが。。。ボソっ
それはともかく予想より遥かに楽しめました。
今村君の作品もすばらしかった。キノコより控えめに生えてる街灯たち。
これがグランプリってのはやっぱりすごいなー。
あと、渡辺英二さんの蝶の作品はあそこにぴったりでしたね。
加藤泉さんの彫刻も馴染んでたし、来年SHISEIDO ART EGGに出される久門さんの作品もよかった。
クワクボさんのは国立国際で観たのとはちょっと違ってました。安定感がある。
オルゴール館も楽しい作品がいっぱいで、僕的にこの2館で大満足でしたね。11月25日まで。

あとは、BIWAKO BIENNALEも行きました。
今回は近江八幡だけでなく、東近江の五個荘にも広がってます。あとやっとビエンナーレになったw
僕は近江八幡エリアだけ回りました。目当ては大舩さんと川北さん。
大舩さんのはロープウェイを上った先のお寺の中というすごい場所。
そこにめちゃくちゃでかい円の作品と掛け軸の作品がありました。
自分的には奥の部屋の黒い長い絵が好きでしたね。
近江を一望できる絶景と共にあの澄んだ空気は大舩さんの作品に合います。
さらに友人川北さんの作品を観に天籟宮へ。
この建物経年でちょっと堀の方に傾いてるんですが、それと呼応するように、川北さんのストロークがまるで流れ落ちるような展示になってておもしろかった。こういう場所に合ったユニークな展示おもしろいなーと思って連絡したら狙ってないとのことでした笑
あと同じ天籟のサークルサイドさんのも単純な仕掛けだけどおもしろかった。
他には永井俊平さんのカネ吉別邸の天井裏の作品もおもしろかった。服が人になっていくみたい。
全体として、五個荘も増えた分近江八幡の会場は減って結構すぐ回れました。
自分が前回展示してた家はベーグル屋さんになっててびっくりでした。
でもやっぱ自分のやった「うつせみ」とは全く逆のベクトルでの空間の使い方だったんで、少々苦笑い気味でした。ちょっと勿体なかったです。こちらは11月4日まで。

あと、アンスティチュ・フランセ関西(関西日仏学館の方が言いやすかったのに)の大舩さんの個展。
作品自体は前に観たことあるけど所変われば見え方も変わりますね。
特に窓に逆光で見せてる展示は意表をつかれておもしろかった。
日中と日没後で楽しませてもらいました。
あとここのカフェはおすすめです。おしゃれやしのんびりしてるしケーキセット500円やし。
それにWifiも飛んでるのでPC作業も出来ます。近所にも欲しい。何の宣伝やねん。

それから伊丹市美術館の中原浩大展。アートクラスタ必見といったとこでしょうか。
でも僕には全然その良さがわからないっす。すいません。
日本アートの文脈的には相当重要な人なんだろうけど、いかんせん作品が。。。
地下の美術館所蔵のブロンズ像と中原さんの軽いドローイングの対比がおもしろかった。
来年同美術館でやる棚田康司さんの展示が気になります。


そんな感じで!

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ジャンル : 学問・文化・芸術

寺田就子「blue moment」@ GALLERY CAPTION

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寺田さんの個展初日にお邪魔してきました。
関西以外の展覧会観に行くのすごく久々。といっても6月以来ですが。
寺田さんといえば昨夏の同ギャラリーの個展がものすごくよかったんですが、今回もすばらしかった。
以前にも増して、周囲の環境への賛美というか、作品の境界がどんどん広がっているようで、進化を遂げていました。すごいです。
最初の部屋では、一つの電球に対して、それぞれが波及効果を及ぼすような作品群。
ちょっと説明できませんが、これは今年最初の16での個展に近い感じですね。
しかし白眉は奥の部屋。
特にアクリル板とガラス板を使った「窓を映すための窓」は本当に好きです。
このギャラリーは窓がすごく特徴的で、そこから自然光が燦々と入ってくる感じがとても好きなんですが、まさにその窓を讃えるような作品でとてもうれしかったです。
今回の展覧会タイトル「blue moment」とは朝焼け前または夕焼け後に一瞬空が真っ青になる瞬間のことらしく、このギャラリーで迎えるその瞬間がとても好きなんだそう。
だから、その瞬間をうまくとらえられたら真っ青の窓が映るかもしれませんね。見てみたい。
時間や時期によっても色々見え方違いそうでまた観に行きたいです。
10月13日まで。おすすめです。
http://homepage1.nifty.com/caption/homepage/shuko/ex12.htm

その前に名古屋にも行ってきました。
まずはケンジタキさんではこちらも村岡三郎展の初日。
過去作の展示でしたが相変わらずかっこよすぎます。。。
特にDMにもなってる酸素ボンベと絨毯の組み合わせがすごくいいです。
2階のドローイングもものすごく魅力的でした。

また、長者町のN-MARKさんではタムラサトル展の最終日。
こちらはちょうど作家さんも来られてました。
ベアリングで回るハートやNやナイキのマーク。
まんまやけど、謎の重厚感が出てておもしろかったです。

あと、アートラボあいちでは、色々やってましたが、空き地プロジェクトがおもしろかったな。
石上純也やん!ってのもあったけど。。。
名古屋活気づいてていい感じです。
それにしてもSTANDING PINEさんは僕が行く時にかぎってしまってて縁がないです。。。
あと某ギャラリーに行ったら作家がギャラリースペースで寝ててびびって逃げて帰ってきた。
最初パフォーマンスかと思ったけど違ったみたいでした笑


小牧市にて今度お世話になる常懐荘での後輩たちの展示。
京都精華大学と愛知県立芸術大学の学生がやってる「懐」展。
偶然にも僕が高校の時から知ってる矢島与萌さんも出しててビビった。
いわゆるメル友ってやつでした笑
彼女の作品、床の間をそのまま再現したような感じやったけど見事にハマってた。
現在彼女は女木島にあるMEGI HOUSEってとこでレジデンスして制作してるみたい。
他にも精華の後輩岸本さんの作品とかすんごい溶け込んでた。
薬師川さんのも空間といい感じに合ってたし、中々いい展示でした。
こちらは9月16日まで。名鉄小牧線の味岡駅から歩いて10分ぐらいです。

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川内倫子「照度 あめつち 影を見る」@東京都写真美術館

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横浜で用事ができたので、先月から写美で始まった川内倫子展へ。
川内さんの作品はずっと追いかけてるけど、考えたら美術館での個展って見るの初。
ギャラリーの個展はロンドンで見てるけど。こちら
この個展で川内さんの写真にどっぷりハマってしまいました。。。

入って最初の部屋は昨年出したILLUMINANCEシリーズのオリジナルプリント。
通路両サイドに展開していきます。
この辺はまあ、写真集で見まくってただけに正直あまり感動もなく。

問題は次の部屋。
入った瞬間「え!」って声が出そうになりました。
映像作品なんですが、もう「写真が動いてる!」って感じ。
まあ、映像は写真が動いたものってのは当たり前っちゃ当たり前なんですが、その原初的な驚きが何のためらいもなく出てしまいました。
ここまで写真と映像がリンクしてるものって見たことがないです。
川内倫子の写真がそのまま動画になってるみたいな。
こんな映像撮ってたんですね。知りませんでした。
どこかで発表してるところもその映像の中に入っていました。
いつまでも見続けてしまいます。結局1ループ分は動けなかった。

次の部屋では、これまでの作品のコンタクトシートを継ぎ接ぎされた作品が出てました。
なんだかこの展覧会は、写真ができる舞台裏を見せているように思えましたね。

そして最後の部屋は素晴らしかった。
写真美術館であそこまでのインスタレーションを見たのは初めてですね。
インスタレーションといっても、映像2点と写真数点、ライトボックスがただ置いていて、かっちりとひとつのインスタレーションってわけじゃないんですが、あの部屋が一体となってた感覚がありました。
写美のスペースってなんか全然かっこ良くないし、難しいんですよね。
石内都展も畠山直哉展もなんかそこまで入れなかったけど、川内展はそこを見事にカバーしてた。
2点の映像は鳥が延々と群れをなして水の上を飛んでるのと阿蘇山の野焼き。
前者は2010年のブライトンビエンナーレに出品した作品だそう。
川内さんが映像をやってるのすら知らなかった。。。
それにしても後者の阿蘇山の野焼き映像はすごかった。
焼き始めから焼き終わりまですっかり見入ってしまった。。。
その野焼きの写真シリーズも含め、この新作「あめつち」はまた新たな展開でしたね。
でも同じ部屋にあった、エルサレムの嘆きの壁や銀鏡神社の儀式(ライトボックス)、夜空をレーザーポインターで照らした作品たちの連関がよくわかりませんでしたね。
日常的なものから宇宙的なものへと興味が移っていってるのかな?
野焼き以外はイマイチぴんときませんでした。

素晴らしい展覧会でした。期待以上。
でも図録があまりに微妙。。。
装丁ペラペラやし(あえて?)内容も新作あめつち以外はほとんど他の写真集に収録済。
インタビューとかは興味あったけどイマイチ踏ん切りつかず購入見送りました。
あめつちシリーズはまた改めて写真集として出して欲しいですね。

ところで5月25日には内藤礼さんとの対談があったそうだけどどんな感じやってんやろ。。。
個人的に鉄板な組み合わせ。。。聞きたかった!

展覧会は7月16日までです。

テーマ : アート・デザイン
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内藤礼アーティスト・トーク@国立国際美術館

先日国立国際美術館で行われた内藤礼さんのアーティスト・トークに行ってきました。
これは国立国際の30周年を記念して全館使って開催中の「コレクションの誘惑」展の関連企画で、この展覧会の関連企画は異常に豪華。
歴代館長たちによるシンポジウムに始まり、「写真の現在」と題されたシンポジウムは2日間に渡り超豪華メンバーで繰り広げられました。特に後者は両日とも整理券は一瞬でなくなったそうですね。このシンポジウムシリーズは、「もの派再考」展時の「野生の近代」や「絵画の庭」展時の「絵画の時代」などと並ぶ、国立国際が力を入れてるもので、どれも本となって販売中です。この「写真の現在」も秋には刊行予定とか。
アーティスト・トークも充実。小沢剛さんや伊藤存さん。そしてこの内藤礼さん。
内藤さんのトークって中々ないので、これは外したくないと思っていました。
ってことで気合い入れて会館30分前に着きましたが、それでも7番目。強い。
まあ、とりあえず先着130名にはもれずに済んで一安心。
トークの14時まで近所で時間をつぶしました。
ちなみにコレクション展は見てません。もう何回も見てるし。

さて、いよいよトークです。
豊島美術館オープン時のトークをYouTubeで見ていたので、正直どうなることかと心配していたのですが、今回は国立国際学芸員の島さんとの対談形式だったので、内藤さんもリラックスして話されていたように思います。
なんでも島さんとは25年もの付き合いだそうで、途中何度かおもしろい感じになってました。
特に今回内藤さんの希望で作品のスライドを一切使わなかったので、島さんがホワイトボードに作品の形態を描こうとするんですが、その図がお粗末だったのか、しばしば内藤さんから「それは何?」と叱咤されまくってました笑 それでも果敢に図解に挑戦する島さんもすごい!

トーク全体を聞いて感じたのは、内藤礼という人間の芯の強さでした。
もう、自分がやりたいことは何が何でも貫き通すあの姿勢はすごいです。
特に90年代の頃の、観客が一人でしか入れない作品たちは、会期中作家がずっとメンテナンスの為に張り付いていないといけなくて、1995年の国立国際での「見事に晴れて訪れるを待て」でも、会期の2ヶ月間ずっと大阪のホテルに住んで、メンテナンスし続けたそう。
当時の国立国際というと、まだ万博公園内にあって、来場人数もめちゃくちゃ少ない頃だったので、特に入場制限をかけなくても済んだそうですが、ヴェニスビエンナーレの日本館で発表された「地上にひとつの場所を」の時なんかは大変な騒ぎになって相当批判にさらされたそう。それでも作品と1対1というスタイルは固持し続けました。
ヴェニスと同時に開催されたドイツのカルメル会修道院での「たくさんのものが呼び出されている」でも、日本から行くのにわざわざ予約を取らないと見れないという徹底ぶり。
この頃の内藤さんの仕事を目撃した人は相当レアですね。
なにせ、これらの作品は作家が張り付いていかないといけないので、購入は不可能。
現在どこの場所にも存在せず、美術館にも収蔵されていません。
それでも作品のパーツはすべて保管しているそう。
島さんは、地面に置かれていない、「遠さの下、光の根はたいら」なら収蔵可能かもしれないと考えたこともあったそうです。
かつて中沢新一は彼女の作品を「暴力批判としての芸術の、もっとも徹底した形態」と評しましたが、彼女自身は、これらの作品に潜む暴力に気づき始めたそうです。すなわち、監視も置かず、観客にはすべて信頼してゆだねるのに対して、学芸員たちには一切触れさせないという矛盾。そして、作者自身が作っては消えていくものたちへの寂寞に少しずつ傷を負っていくということ。
それらの暴力を少しずつ自覚していった頃に舞い込んできたのが直島の家プロジェクトの依頼。
これまで消えていくものしか作ってこなかった内藤さんに依頼されたそのプロジェクトはなんと恒久設置作品。そんなことが果たして可能なのかといぶかしがったそうですが、いざ行ってみると、そのプロジェクトの真摯さにうたれ引き受けることになりました。
さらに、ここでも作品と1対1というスタイルは健在ですが、このできあがった作品「このことを」では、家の下に隙間があって、そこを通る人の気配や生活の音などがどんどん入っていくというのはこれまでの作品にはあり得なかったことでした。
他者というのを徹底的に排除していた90年代の作品に対し、これ以降積極的に他者を引き受けていきます。
大山崎や佐久島で行われた展覧会では、ワークショップすら開催するほど。
そしてこの辺りから作品のタイトルもシンプルになっていきます。
それまでのタイトルは個人的に結構好きだったんですが、これらのソースもこのトークで披露されました。
「遠さの下、光の根はたいら」は、当時知人の紹介で知り合った詩人の佐藤みちお(漢字不明)さんの詩の中にあった言葉だそう。「地上にひとつの場所を」はゴダールの「右側に気をつけろ」の中での台詞からの引用だとか。意外ですね。
今はほとんどの作品に「母型」というタイトルをつけてますね。
これは発電所美術館で行われた展覧会から現れてきた言葉で、豊島美術館の作品も同タイトル。
彼女の作品には「地上」という言葉がよく出てきますが、僕は彼女の作品の中にいる時に、むしろ自分がどこにいるのか、今がいつなのか、といった場所性や時間性から完全に解放される感覚があります。自分が無になるというか、本当に凄まじい感覚ですね。
特に豊島美術館はそうで、あれは1日中いても全然問題ないと思う。
内藤さんは、開館と同時に入るのがおすすめと仰ってました。
10分位は何もない状態からスタートし、続々と地下から水が這い上がっていく光景が繰り広げられるとのこと。また夕方の西日がコンクリートに反射するのも美しいとのことなので、結局一日おらなあかんやん!って笑
また行きたいなぁ。色んな気候で楽しみたいですね。
あと、2009年に開催された神奈川県立近代美術館で行われた展示でも新しいことが起こっていて、それは具象的なモチーフを導入したこと。これまで内藤さんの作品には具体的にものは使っているものの、具象的なモチーフは一切省かれていました。しかし神奈川近美では、プリント柄の布や風船、顔に見立てたボタンなど、今までではありえなかったモチーフがいくつか登場していました。
内藤さんの中でこれらのことは今でも整理中で、これからどう結実していくかを見届けているところなんだとか。
僕は見てませんが、昨年末の東京の個展でも、小さな木の人形の彫り物が登場したらしく、以降NYのグループ展や今現在ベルリンで開催中の個展でもたくさん登場していて、今で300体ぐらいあるそう。めっちゃ気になる!
これからどういう方向に内藤さんが向かっていくのか非常に楽しみです。

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内藤礼「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」@神奈川近美鎌倉
直島 再々訪
内藤礼「母型」@ 発電所美術館


ところで、最近国立国際美術館元館長の館畠さんのインタビューが公開されました。
いくつか興味深い部分もあるのでおすすめです。ちょっと長いですが。

日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ 建畠晢インタヴュー1
日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ 建畠晢インタヴュー2

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ジャンル : 学問・文化・芸術

セザンヌ「パリとプロヴァンス」@国立新美術館

非常に楽しみにしていた展覧会。
これだけセザンヌの絵が一同に会する機会は中々ないと思います。
巡回がないので、今回行けて本当によかった。
セザンヌは非常に難しい画家なので、しっかり勉強もしていきました。
読書リストは以下。



特にユリイカの特集は凄まじかった。。。読んでも読んでも終わらない!笑
各方面から対談も含め21の論考が納められています。
なぜサカナクションのボーカルのインタビューが納められているのかは謎です。美術手○みたい。
ってか美術○帖はポロックやセザンヌの特集もせずになにやってるんでしょうね。
話は逸れましたがユリイカ。
中でも冒頭の林道郎さんと松浦寿夫さんの対談はすごくおもしろかった。
当時の印象主義の画家たちが自己を忘却し、自然に即して描ききる中、セザンヌは記憶の持つ作用力に対して執着した画家だという指摘はおもしろいですね。
彼は写真を使って絵を描いたことでも知られています。
自分が美大生の頃、散々写真を見て描くな、と諭されましたが、セザンヌは堂々とそれをやってのけちゃってたんですね。
また、セザンヌの描く人物にしても、女性との接触を極端に拒む彼が行ったヌードの解決が、ルーブルで模写してきた裸体像を自分の絵の中に嵌め込むという方法。かなり大胆です。
水浴図は生涯通していくつも描いていますが、やはりどれも不自然なんですよね。
さすがにヌードのコピペは中々つらいものがあります。
だからいつまでたってもセザンヌのヌードは下手さが見えちゃう。
それに対して風景や静物、身近な人たちの肖像の豊かさは素晴らしいです。
「セザンヌ論」の作者であり、1910年の「後期印象派展」でセザンヌを広くイギリスに紹介したことで知られるロジャー・フライはセザンヌの静物画をこう評しています。

「彼はドラマティックな表現を狙っているわけではないし、台所のテーブル上の果物皿や野菜籠やりんごについてドラマを云々するのも馬鹿げているけれども、それでも彼の手にかかると、これらの場面は何か厳粛な出来事という印象をわれわれに与える。セザンヌの静物画に対して、悲劇的とか脅威的、高貴あるいは叙情的といった言葉は場違いに思われるけれども、それでもやはり、それらの作品が喚起する感情は奇妙にもそうした心的状態に似ているように思われる。これらの静物画が劇的、叙情的、等々ではないのは、何も感情の欠如のせいではなく、削除と凝縮の結果である。いわばこれらの絵は、すべての劇的時事件を取り去ったドラマなのである。われわれが感嘆せざるをえないセザンヌのジャンルの傑作以上に、かくも厳粛で力強く重厚な感情を喚起した絵がこれまであったろうか。」

すごいですね。でもなんだかわかります。
また、ナビ派の画家ポール・セリジェはこう語ります。

「低俗な画家の描いたりんごを見て、人は、”食べてみたくなる”と言うだろう。しかしセザンヌのりんごの前では”美しい!!”と言うほかはない。人はそのりんごの皮を剥きたいとは思わず、模写したいと思うだろう。そこにセザンヌの精神主義の内実がある。私がそれを理想主義と呼ばないのには理由がある。理想的なりんごは粘膜を刺激するが、セザンヌのりんごは眼を通じて精神に語りかけるからである。」

そうなんですよね。セザンヌの描くりんごは決して美味しそうじゃない。
なのに異常に魅力的なのは、りんごの存在そのものを画面に埋め込んでいるから。
特に彼の塗り残しは見事です。
セザンヌはよく自分の絵を「エチュード」と呼んでいました。
「スケッチ」や「エスキース」と「タブロー」の間のことを「エチュード」と呼ぶそうなんですが、その未完成性こそセザンヌの絵画の魅力のひとつかもしれません。
それにしても、うす塗りの時があったかと思いきや、厚く絵の具を塗り込めたり、同じモチーフに対して色んな方法で立ち向かっていく彼の姿がこの展覧会でも見られますが、とことん読めない画家ですね。
初期=厚塗り、後期=うす塗りというのはほとんど通用しません。
「庭師ヴァリエ」なんて、今回厚塗りバージョンとうす塗りバージョンが出てますが、どちらも1906年ですものね。セザンヌが亡くなる年、最晩年も最晩年です。
こうして未だに彼を表する言葉が中々見つからないわけですが、その奇妙さを味わえるだけでもこの展覧会は非常に価値があると思います。
6月11日まで。http://cezanne.exhn.jp/

さらに国立新美術館では現在エルミタージュ展も同時開催!
GWだし、2つ合わせてどうなることかと思いきや、入場制限もなく予想より人少なめでよかった。
エルミタージュ展では、16世紀ぐらいから20世紀まで一気に駆け巡る展示。
一緒に見ると、セザンヌに至るまでの道筋がよく見える気がします。
特に今回ヤン・ステーンやらの17世紀オランダ絵画をいくつか見られたのがよかった。
先日アルパースの「描写の芸術」読んだとこやったし。
やっぱ勉強しながら見ると楽しいですね。
それにしてもやっぱり今回のメインでもあるマティスの「赤い部屋」は素晴らしかった。
縁が違う色になってるのとか不可解すぎるけど、あの開放感はすごい。
セザンヌ展にはマティスが生前所有していた水浴図が出ていたけれど、マティスは「セザンヌが正しければ、わたしは正しい」といって、セザンヌも自分自身も信じ続けていたそうです。
この絵の中にも、セザンヌが近代絵画の父と呼ばれる所以が見て取れる気がしました。
エルミタージュ展は7月16日まで。http://www.ntv.co.jp/hermitage2012/

国立新美術館は5周年ということもあって、次回の「具体展」(07.04-09.10)といい、「リヒテンシュタイン展」(10.03-12.23)といい攻めますねー。


さわひらき「Lineament」@ SHISEIDO GALLERY

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軽井沢から東京に戻ってきて、東京駅から直行で資生堂ギャラリーへ。
気になってたさわさんの展示。
ものすごくよかった!!
特にメインの「Lineament」は18分もあったけど全く飽きさせない。
むしろ延々とループで見ていたい位美しい映像。
どういう意味?とかもはや飛び抜けてる感じがする。これはすごい。
以前水戸で観た映像から、回転するモチーフが現れてたけど、今回の映像でもたくさん回転するモチーフが現れてた。そして珍しく人物がモチーフになってたのも特徴的。
記憶の糸を表す糸の流れ方が本当にきれいでうっとりしました。
音楽も相変わらずすばらしいです。
奥にもふたつの映像作品。さらに外壁、隣のビルと、さわひらきオンパレード。
さわさんファンにはたまらない展示でした。
もうこれ観たら他に余計なもの観なくて結構ってことで、もうひとつ行く予定をキャンセルでした。
6月17日まで。おすすめ。


ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガー「力が生まれるところ」@水戸芸術館

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もはや覚えさせる気ないやろ、っていうコンビ名。。。覚えたけど。
彼らの作品は、金沢のオープニング展で初めてみてすごく感動したのを思い出します。
海岸から打ち上げられたようなものたちを組み合わせた壮大なインスタレーション。
また新たに彼らの作品が見れるのか!と思って期待して行ってきました。
が、あの日の感動はよみがえることはありませんでした。。。
何やろ、参加型作品たちの安っぽさが鼻について全然純粋に観れなかった。
金沢同様見上げる作品も、さあ寝転んで見よ!って感じになってて興ざめ。
廊下の人を持ち上げて否応無く笑顔になってしまう写真作品と、最後の最後、ウォーターベッドの上で寝転んで、原生生物たちのプロジェクションを観る作品は非常に楽しめたのが救い。あれはよかった。いつまでも眺めていたい心地よさがありました。
うーん。なんか、最近の水戸芸は期待はずれが多いな。。。
以降の展示、「3・11とアーティスト: 進行形の記録」(10.13-12.09)とか、「高嶺 格のクール・ジャパン」(12.22-02.17)とかどうなんやろか。「坂 茂 建築展(仮)」(03.02-05.12)は期待できそう。
ショップで半額になってたタレルのカタログ購入。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

「現代美術の楽園」@ セゾン現代美術館

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軽井沢レポート第2弾。
今回のメインはセゾン現代美術館です。
噂には聞いてたけど、マジですごかった。。。
まず、入ってその敷地の広さにびっくり。
イサムノグチらの野外彫刻が点在してますが、もうランドスケープですね。川も流れてる。
美術館自体は菊竹清順氏のデザイン。
日本の伝統建築に見られる横長の建物ですね。
ぐるっと庭園一周していざ中へ。

入って即効カプーアが転がっててびっくり。。。
その横には中西夏之の絵画だし、上にはカルダーだし、デュシャンボックスあるし。。。
のっけからヤバいです。
会場に向かう通路にもデュシャンとマンレイのオンパレードでたまにジョーンズ。
ウォーホルやリキテンシュタインがあるかと思えば、隣の部屋ではキーファーの重々しいインスタレーションにアバカノヴィッチのさらに重々しいインスタレーション。。。そして次の部屋からはまたウォーホルの版画がずらっと並べられてて、シーガルの彫刻があって、フォンタナにクライン。。。。。。。すごすぎるっ!
2階へと続くスロープ途中では神々しくロスコが待ち構えていました。
あの絵の為にしつらえられたスペースって感じやったけど、あの絵はずっとあそこなんかな?
もう本当にぴったり収まってて素晴らしかった。
そしてまたジョーンズのダーツの的の絵があって、同じ部屋のポロックは近美のポロック展に貸し出されてました。
しばらく大きな絵が続きます。個人的に中村一美の絵が見れたのはよかった。
すると廊下で大きな音がして、行ってみるとティンゲリーの巨大彫刻が動き出してた。
うーん、まあいいけどあまり好きではありません。
その後ろには巨大なキーファーの絵(?)があって、その横にはクリストのポンヌフ橋のドローイング。素晴らしいです。
そんなこんなでつらつら書きましたが、20世紀美術がぎっしり詰まってました。
現代美術好きなら一度は行って損はないと思います。本当に素晴らしかった。
最後に、ところどころ壁が黒く塗られていることに気づいて、最初何かの補修跡かと思ったけど、それにしては装飾的やな、と思って聞いてみたら、以前ヴァリーニが展覧会やった時の名残らしい。
外の窓から見るとわかるというので、撮影するとこんな感じ。最後まで楽しめました!

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あと、軽井沢現代美術館にも行きました。
こちらでは「海を渡った画家たち―草間彌生を中心に―」という展覧会がやってて、確かに草間さんオンパレードでした。あとは奈良さんと村上さんとかまあスター勢揃いって感じ。
具体やもの派も一通りそろってたし、名和さんとかの若手の作品も何点か。
2階ではまた別の企画展やってたけど、そんなことより部屋になってない部分がなぜか工事途中って感じでコンクリむき出しになっててすごいかっこよかった。
奈良さんの犬のぬいぐるみが置いてるだけやったけど、あそこもう少し活かすべき。
別の部屋では村上さんと草間さんの版画が売ってたけど、美術館が売るってどういうこと?
美術館って名前やけど、大きなギャラリーって感じなんかな。
話聞くと、草間さんは昨年から値段が1.5倍ぐらいになってるから今が買いとのこと笑
それよか最後にリンゴジュースとクッキーのサービスがあってほっこり。
アットホームな美術館でこれはこれでありでした。


また、つい先日(4月27日)にオープンしたばかりの軽井沢ニューアートミュージアムへ。
これがまあ、はっきり言って最低の美術館でした。
こんな典型的な箱もの行政まだやってんのか。。。って感じ。
まず、1600円って入場料がありえへんやろ。高すぎる。
そんでもって、注意書きってのを渡されて、何か特別な作品があるのかと思いきや、館内はお静かに、とか作品には触れるな、とか当たり前のことをつらつら書いてた。そんなもんどっかに書いときゃええやろ。わざわざ念押しみたいに渡されて感じ悪い。
コレクションは確かにすごかった。でも展示がわるすぎ。
持ってるもんは一流でも、ただ陳列されてるだけって感じでキュレーションはないに等しい。
ホンマに寄せ集めって感じで、テーマも何もあったもんじゃなかった。
伊東豊雄さんの建築模型があってうれしかったけど、その隣に宮田亮平のイルカの彫刻とかわけわからへんし。
ギャラリーもお決まりのホワイトキューブで全然おもしろくない。
1600円は何に払わされたのかまったくわからんかった。
しかも繁忙期みたいな感じで、6月から値上がりの1900円。さらに7月21日 ~ 8月26日は2500円!!
中身がそんなに変わるの?意味が分からん。
もうホンマこんなことやってるからあかんねん。時代錯誤も甚だしい。
千住博美術館観た後だっただけにその差が歴然でした。
しかも泊まってたペンションの人たちもこの美術館のこと知らされてなくて、地域との連携もとれてないご様子。セゾンさんは毎回チラシと招待券を地域の関係者に配ってるらしいのに。
書きながらまた怒りが込み上げてきました。失礼しました。

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ジャンル : 学問・文化・芸術

生誕100年 ジャクソン・ポロック展@愛知県美術館

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自分の搬入2日前ですが、無理矢理行ってきました、ポロック展!
やっぱ東京まで待てません。
これで春に東京行かなくて済みます。セザンヌも見たかったが仕方ない。

僕がこの展覧会の開催を知ったのはちょうど去年の今ぐらいの時期。
その知らせを聞いた時にはもう興奮しまくりました。
2009年のロスコ2010年のニューマンと来てついに真打ち登場といった感じ。
4月の時点で予告のチラシが愛知県美で配られてたし、夏には前売りチケットのチラシまで登場。
近現代美術でここまで力の入った展覧会は日本では中々ないのではないでしょうか。

蓋を開けてみると、期待に応えるラインナップでした!
ポロックを代表するドリッピングやポーリングの手法を用いる以前の1930年代から40年代の仕事が本当に充実していて、ポロック芸術の足跡を丁寧にたどっていけます。
第1章では、精神病院に通ってた時期のドローイングが見れたのは感動。
次の第2章では、「トーテム・レッスン2」が素晴らしかった!
一度描いた絵の上からグレイの絵の具で塗りつぶして再度絵にした作品。
これはポロックの「上からヴェールをかける」という彼の美学が端的に表現された作品。
どんどん絵の具の上から重ねていくという代表作たちにも共通するテーマですね。
その後ハンス・ネイムスが撮影した有名なポロックの制作現場を追う映像。
T・J・クラークの言うように、本当に機械のように絵の具を垂らすポロックの動作が印象的。
さらに彼のアトリエの再現が登場。上の写真です。
てっきり絵の具までちゃんと再現してるのかと思ってたらプリント。そりゃそうか。
アイルランドにある美術館では、ベーコンのロンドンにあったアトリエを寸分狂わず再現していて、絵の具の飛び散りとかもちゃんと計ってやってるんですよね。
まあ、今回は仮設だしそこまでやってたら逆に引くわなw
で、いよいよこの展覧会のクライマックスである第3章。
オールオーバーや、ドリッピングといった言説が成される彼の代表作時代。
1947年ごろから本格的にあの画面が登場し、1950年までのたった4年で美術史を覆します。
そこにはイメージらしきものもなく、ただ絵の具がほとばしる画面。
特に今回1951年の読売アンデパンダンで日本で初めて紹介された2点の作品が2つとも再来日してるのに感動。
ただし、クライマックスの章なだけに、やはり本当の意味での代表作が来てないのが悲しい。
「秋のリズム」とか「ラベンダー・ミスト」とか「One」とか。
無理なのはわかっていても、やっぱ「インディアンレッドの地の壁画」では弱いなという印象。
ここに5mクラスの大作が1点でも来てたらもうこの展覧会完璧でした。
それなだけに惜しいです。まあ、仕方ないけど。
そして第5章の「凋落の始まり」とも言われた最晩年の作品たち。
今度は染み込ませるという技法に挑戦しますが、あまりうまく行ってません。
そもそもなんで黒だけにこだわったんやろ。
ドリッピングを繰り返したくないってのはわかるけど、色まで絞る必要性はどこにあるのか。
先日の日曜美術館で石井竜也が中々いいこと言ってて(えらそう)、ピカソは一人で終わらせたけど、ポロックはバトンを次につないだ作家だという話。(ちなみに石井竜也の音声ガイドは聞いてみたけど、ら行の滑舌が悪くて苦笑いでした爆)
この染み込みは、ロスコやモリスなどに受け継がれていきます。
ここから僕の完全な妄想ですが、それでも彼はやはり最後までピカソに憧れてたんやろなって、展覧会を通して思いました。
ピカソのように「一人絵画史」をやり遂げたかったんじゃないかな。
だからいつまでもドリッピングやポーリングに留まっていられなかった。
さらに、絵画をどんどん大きくしたのも「ゲルニカ」の影響があったのではとすら思えます。
でも彼はピカソのように図太くなかった。
そして最後は自殺とも案じられる交通事故。。。
会場には最後に投げ出された彼の靴まで展示されています。
ここまで包括的なポロックの展覧会が日本で開かれるのはこれが最初で最後かもしれません。
ポロックの回顧展自体世界でも1999年のMoMA以来。
この機会ぜひお見逃しなく!愛知県美の展示は1月22日まで。その後東京近美に巡回。
カタログは結局買いませんでした。。。MoMAの時のカタログが欲しいなぁ。
今は常設で水野勝規さんの映像作品も見れるので愛知がおすすめ。
光の中で見る映像は、とても美しかったです。
2000部限定のパンフレットもまだあるみたいなのでぜひ。

ポロック展オフィシャルサイト>>http://pollock100.com/

今回行きの電車で予習がてらに読んでたART TRACE PRESSが本当に役に立った!
創刊号がポロック特集で、これ読んで展覧会見ると、感動が倍増します。
実際の作品と、色んな論評を比べながら回れるのはなんとも贅沢。
日本には美術批評の本が本当にないけれど、ようやく本格的なものが発行された感じ。
90年代に発行されてた批評空間以来ではないでしょうか。
しかも論者も世代が若くとても新鮮です。
この本に論考を載せている沢山遼さん(1982年生まれ!)のポロック展の記事がartscapeで読めます。こちら
こうやって若い批評家の人がどんどん出てきてほしいですね。
こういう本はすぐに絶版になるので興味のある方はすぐ手に入れるべきです。
絶版といえば、藤枝晃雄氏の「新版ジャクソン・ポロック」もついこないだ売り切れ。
今まさに必要な本なのに!
僕はこれをART TRACEの前に読んでてさらに役に立ちました。
とにかくこの展覧会は予習をしておくと本当に楽しめます。


他に名古屋では、西園敦さん率いるandbooksの展示も観てきました。すごくよかった!
渡辺英二さんがプロデュース(?)している星画廊も素敵でした。
ガラスケースから覗く展示ですがおすすめ。12月29日まで。
星画廊>>http://stargallery-fushimi.blogspot.com/

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横浜トリエンナーレ2011@横浜美術館、BankART studio NYK & 周辺地域

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もう本日で終了ですが、ヨコハマトリエンナーレ報告です。
4回目となる今回は、今まで共同開催してきた国際交流基金が抜け横浜市単独開催です。
国際交流基金と横浜市との確執の噂は色々聞いてたのでまあ当然の結果。
それが凶と出るか吉と出るか。。。

これまでの会場と違い、メイン会場が初めて横浜美術館となりました。
横浜美術館は、第1回時は奈良美智展、第2回時は李禹煥展、とここまではよかったのですが、前回は確か源氏物語展とかやっててずっこけた記憶があります。
この辺りで横浜市との確執が目に見えてました。
昨年館長が逢坂恵理子さんに代わり、今回のトリエンナーレの総合ディレクターも務めました。
逢坂さんは、なんといっても水戸芸時代のキュレーションが素晴らしかったので、もうヨコトリはいいかな、と思った自分でも少し期待していました。
しかしまあ、結局はいつもどおりの残念な結果になってしまったようです。。。

なんといっても問題は4回もやってるにも関わらずそれまでのノウハウが継承されていない。
いつも場所を決めるのに大半の労力を使い果たし、キュレーションに四苦八苦。
作家が最終的にフィックスされたのも開催2,3ヶ月前。
その結果やはり今回も新作はなし。
何のための国際展なのか、甚だ疑問です。
それでも人は入ってるんですよね。やっぱり話題ですから。
今回も終了間際で混んでると聞いたので平日を狙いましたが美術館はやはり混んでました。
まあ、それでも休日よりはマシだったと思います。
BankARTなんかは相当ゆっくり見れました。バスも乗れたし。

作品自体は面白いのがたくさんありました。
だから普通に展覧会と見れば満足できるのかもしれません。
特に美術館ではないBankART会場には良作が集まってました。
なんといっても世界的な話題をさらったChristian Marclayの'The Clock'にはやはり感動。
あんな編集何年かかるんだろう。。。
おかげで予約していたJeppe Heinの’Smoking Bench'にも間に合いました笑
この作品はイスに座ると蒸気があがるだけの作品ですが、前に大鏡があって、自分が消えて行くのが実際体験すると色んな意味を含んでいてなるほどと思いました。
もうひとつ話題のApichatpongの作品は時間がなくてわからなかった。映像むずい。
映像ではやはり泉太郎が最高。もう腹抱えるほど笑わせてもらいました。
美術館の方は、なんかもうごった煮状態でほとんど楽しめなかった。
コレクションを配した展示も全くうまく機能していませんでしたね。
置くとこないから置いてる、みたいにすら見えました。
好評な田中功起や杉本博司の作品も何がいいのかよくわからなかった(いつもなら好きな作家なのに)
今村くんのも、ああいう見せ方ではないだろ、と思いました。
なんか全体として浮かれすぎって感じ。
アートがエンターテイメントとしてしか機能しておらず、残念な気持ちになりました。
だから今回アラーキーがああいう作品を持ってきたことに感慨があった。
あそこで一旦浮かれた気持ちが落ち着くんですよね。
今回このトリエンナーレでは、記者発表当日にあの地震があり、開催も危ぶまれる中ここまでやってきた労力はすごかったとは思うけれど、あの震災後の当事国の国際展として、これはないと思った。
新作を頼める余裕がなかったせいで、地震を扱った作家は2,3名。
扱ってればいいってもんでもないけれど、それでも少なすぎる。
次回のあいちトリエンナーレのテーマはまさにこの震災がテーマだそうだけれどどうなんでしょうね。
ヨコトリ次回もやるんでしょうか。。。もうやめた方がいいと僕は思います。

ちなみにサブ会場の新港ピアは展示は謎だけど、奥のカフェはオススメです。もう遅いか。
黄金街は力尽きて行けなかった。。。


「日常/ワケあり」@神奈川県民ホールギャラリー
BankART会場から歩いてすぐなので、ヨコトリとセットで行くといいと思います。
こちらは江口悟、田口一枝、播磨みどりのNYで活躍する若手作家3人の展覧会。
日常からすこしズレた作品を制作する人たちです。
3人の中では江口さんが一番おもしろかったかなぁ。
精巧なんだかちゃちいんだかわかんない感じがツボ。
他の二人はなんかよくある感じというか、全然ピンとこなかったです。11月19日まで。


「ゼロ年代のベルリン ―わたしたちに許された特別な場所の現在(いま)」@東京都現代美術館
世界中で最も作家が住んでるんじゃないかと言われる都市ベルリン。
なんといってもヨーロッパの首都の中でもダントツで物価が安いのが魅力。
ベルリンのケバブは最高です。
そのベルリンで近年活動を続ける作家たちを集めた展覧会。
映像が多く、中々全部観るのは大変ですが、おもしろい作品は圧倒的に映像作品。
ダントツでおもしろいのがサイモン・フジワラとその父のユニット、「フジ・リユナイテッド」。
アイデンティティの問題をここまで爽快に表現するなんて!
作品としては、まず、ずっと会って来なかった日本にいる実父と再開し、その再会の印にティーセットを二人で作る。イギリスと日本の融合の象徴としてのティーセット。お茶は両国にとって重要な儀式。両国を結ぶ人物としてバーナード・リーチを挙げ、父親とリーチを重ね合わせる。
さらにイギリスに戻り、俳優と、父親との会話の予行演習。これが最高に笑える。
彼の作品もっと見たくなりました。
あとは、フィル・コリンズの作品ですね。
こういう作品の作り方もするんだ!と驚き。すごく美しい映像でした。
ヨーン・ボックやミン・ウォンなどの作品も楽しめます。アンリ・サラは相変わらずわからない。
ショップ近くにはオラファー・エリアソン率いる空間実験研究所の展示もあり。
それにしてもベルリンで活躍する日本人作家の作品がなかったのが気になった。なぜ?


畠山直哉「Natural Stories」@東京都写真美術館
この震災で大きな被害が出た陸前高田市出身の畠山直哉の展覧会。
その故郷を撮った写真が出ていると聞き、非常に期待していた。
結果としては、ほとんど感動はなかったと言っていいほど。
まず、ひとつひとつの作品にもう少し解説があっても良かったと思う。
作品の背景がわからずに理解出来ない写真もいくつかあった。
そして前述の震災の写真はあまりに美しくて、これでいいのか?と疑問だった。
報道写真のような悲惨さはほとんど感じられず相当戸惑ってしまった。
また、これらの写真があまりにこの展覧会にとってつけたような印象だったのが残念。
これを見せるなら、もうこれだけの展覧会にしてしまったほうがいいと思う。
この作品群が、この展覧会をひどく中途半端なものにしてしまっている。
全体を見終わってとてもモヤモヤしてしまった。
一番よかったのは、1999年にとられた街と月を撮った一枚の作品。
ごちゃごちゃした街並みと、月しかない空の対比がものすごくこわかった。


成層圏vol.5風景の再起動 宮永亮@gallery αM
京都在住の宮永くんの展示。
今回は、近畿、スウェーデン、さらに震災前の東北、震災後の東北を撮影した映像をミックスした「arc」という映像をメインに構成されたインスタレーションを展開。
おもしろいのは、宮永くんの映像観がこの展示ではすごく見えてくる所。
たとえば、会場地図を見ていると、投射物からはみ出た部分の映像の光もちゃんと映像の一部として捉えていて、それもまた違う形(たとえばそこに木を置いて影を作る等)に起こしている。
あまりこういう捉え方をしている映像作家っていないんじゃないかな。
いたとしてもそれをインスタレーションとして見せてる作家は僕の知る限りいない。
さらに、メインの「arc」を作るのに使った素材群をも一緒に見せている。
映像作品はいつも結果でしかないが、その灰汁の部分もちゃんと見せてる。
そういえば昨年児玉で観た「making」もそうだった。(これはタイトルにまで現れてる)
とまあ、宮永亮という作家のおもしろさはわかるのだけれど、今回の展示が果たして成功していたのかは、正直別問題だと思う。
前回の「making」に関しては、その散漫さが功を奏していたのは間違いなかったのだけれど、今回の映像は、その内容こそもう少し観客に見せられる必要があったと思う。
インスタレーションとしての要素が強すぎて、その内容がほとんど入ってこない。
被災地の映像が入っていると言われてもどうしてそれを入れる必要があったのかも見えてこない。
宮永くんがそこを問題としていないと言えばそうなのかもしれないが、僕は納得いかなかった。
展示は11月26日まで。


八木良太「高次からの眺め」@無人島プロダクション
こちらも京都の作家さん。
いつもは音をメインに扱ってるけど、今回はなんだか視覚的な作品が多かった。
けれどそれが何を指すのかイマイチ汲み取れなかった。残念。
無人島プロダクション初めて行ったけどあんな外観だとは!素敵です。11月19日まで。


その他。
ライアン・ガンダー「墜ちるイカロス―失われた展覧会」@メゾンエルメス8階フォーラム
Christian Marclay 'Scrolls' @ GALLERY KOYANAGI
「円空 こころを刻む」@埼玉県立歴史と民俗の博物館
ガンダーとマークレイは残念な感じ。
まあ、ガンダーはあの肩透かしな感じがいいとして、マークレイ。。。
「The Clock」と同じ作家とは思えない趣味の悪さ。
円空は初めて観れて満足。木!って感じがいい。博物館の常設もおもしろかった。

以上!
今年は上京3回で済んだ。来年は2回目標で。
千葉市美の「瀧口修造とマルセル・デュシャン」とか近美の「ぬぐ絵画」とか内海聖史さんの個展とか色々見てみたいけど、最近我慢することを覚えました。成長です。
次回は建築編。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

寺田就子「曇りの日の影」@GALLERY CAPTION

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寺田さんの展覧会を観に岐阜まで。
この日は小雨が降っていて、8月とは思えない涼しさ!最高。
以前寺田さんとギャラリーのスタッフさんが90まで展覧会を観に来て頂いたこともあり、これは是非駆けつけなければと思ってた展覧会でした。

これまで寺田さんの作品は何度か拝見していますが、今回は確実に何かが違いました。
それは、入り口にあった木棚の作品から予感が始まりました。
その最初の作品は、棚の中に、鏡の破片と、寺田さんおなじみのスーパーボールが置いてあるのですが、その棚の上にも鏡が置いてあって、その反射光が花柄のように上の壁に映し出されていました。
さらに進むと、真ん中の部屋には、色つきの集光ガラスを紙の上に置いた、不思議に光る作品があったり、奥では天井から吊り下げられた2つのレンズが、それぞれ空気の動きに反応してゆっくりと廻り、まわりの環境をぐるぐる映し出される作品、またそれを通して見る新作版画作品、鏡の反射光が壁に跳ね返ってくる作品等々、今までにない魅力であふれていました。
それでも一体何が今までと違うのか判断つきかねました。
考えながら歩いてると、壁の前を通り過ぎようとした折に何かキラっと光るものがありました。
よく見るとそれは正方形の集光ガラスというガラス板で、それがただ壁に虫ピンで貼り付けられていたのですが、その側面を縁取る集光ガラス独特の紫の光と、周りの環境が映しだされた像。
それを見た時になるほどと思いました。
これまでの寺田さんの作品は、inner universeというか、作品の中に宇宙が閉じ込められているかのような、内への拡がりを感じさせる作品であったのに対し、今回の作品群は、それが外へ解放されたかのような印象でした。
スタッフさんにその話をすると、昨年超京都で、初めて野外で展示した作品があって、そこに映り込む空の変化に大変刺激を受けたそうです。なるほどーー。
一点一点は別の作品なのに、それらがひとつひとつ混じり合い、美しいグラデーションを描いているかのような展示で、まさに僕の好きな展示ドンピシャでした。
今回の展示は、言葉ではうまく表現できませんが、とにかく寺田さんのこれまでの展示の中でも最高にすばらしかったと思います。ホント岐阜まで行ってよかった。
キャプションさんは僕の好きなラインをつく作家さんを多く取り扱ってるので、少し遠いですが、また是非来たいと思います。
寺田就子展は8月13日まで。日月祝休。オススメです。
GALLERY CAPTION HP http://homepage1.nifty.com/caption/


その後京都へ行って、知人の瓜生祐子さんの展示を観にPARC芸術センターへ。
岐阜と打って変わって暑い!なんじゃこりゃ!
それでも日陰を伝ってなんとかたどり着きました。
瓜生さんの作品何度か見てるんですが、今回の紹介文で、僕完全に勘違いしてることに気づきました。。。
彩色に関してなんですが、どうやってこんな淡い色をここまで綺麗に塗ってるんやろと前から疑問やったのがすっかりその謎が解けました。最初にパネルの上に直接色を塗って、その上に薄い布をまとわせ、その上から輪郭を鉛筆でなぞってるんですね。。。
そう見ると改めて面白い作品だと思いました。
僕は、いつも絵画を見る時側面を見ちゃうんですが、側面見るとよく分かります。
さらに芸術センターではsweet memoryというグループ展に参加されてて、他にも食べ物(お菓子)を扱った作家を取り上げた企画展です。
企画としてはまとまってるし、夏休みらしくていいんだけど、なんかパンチにかける。。。
というか、ここの北と南っていう構図もマンネリ化しつつあるなぁ。。。
こちらはあまり楽しめませんでした。
PARCの瓜生祐子展は8月7日まで。芸術センターは9月11日までです。

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名和晃平「シンセシス」@東京都現代美術館

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なんかレビュー書くの久々。前回から約2ヶ月ぶりです。。。
最近あまり何かを観る気がしなくて。。。ほりっくの名が廃りますが。別にええけど。

さて、そんな中でもやっぱ観とかなあかんやろ、ってのが名和さんの遂に美術館での初個展!
2002年のまろにえでの個展から観てる自分としてはなんだか勝手に感慨を感じてます。
その1年後にstudioJとノマルで観た個展で僕は現代美術にハマりまくったのです。
つまり名和さんは僕のほりっく史の原点。
期待を胸に東京都現代美術館まで。
その前日渋谷駅でも名和さんのポスター発見。期待は高まります。
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名和さんの作品制作の特徴は、カテゴリー別に発展させてるところでしょうか。
このカテゴリーが非常に今回の個展では活きていて、かなり見やすい展示。
まずは解説もなくご自由に御覧くださいとのことでしたが、早速映像の部屋から行こうとして係の人に止められちゃいました。。。自由じゃなかったのか?
それはさておき、まずはグルードローイングがででんとお目見え。
続いてプリズム、ビーズと続き、名和さんの言わば「定番」からスタート。
ただすごいのが、出品作すべてがここ2年以内に作った作品。
これほど大きな箱だと、ちょっとした回顧展にもなりそうだけど、そこはさすが名和さんで、ほとんど新作展の様相。工房は大変なことだったでしょうが。。。
ビーズの作品は、昨年観た2体が合体した合成シリーズがメインで、毛皮なんかの新作もあり。
小鹿の合成がめちゃくちゃかわいかった。
ビーズのシリーズは広い展示室で観るのがかなりいい感じやった。
続いては、ゆずとのコラボでも見せた、3D立体シリーズ。
なんだか実験室みたいな雰囲気で恐い。
今回ライティングも相当こだわってるのが随所にうかがえます。
部屋によってガラっと変わる照明が作品の存在感を際立たせてます。
発泡ウレタンを使った柔毛シリーズも、バングラディッシュで制作したのまで展示されてる。
どうやって運んだのだろうか。。。
Scumシリーズの展示は、名和さんの彫刻家の顔が一番出ている気がする。
カプーアのような展示で、かなりかっこよかった。
吹き抜けに大きなScumとか展示して欲しかった。
今回の吹き抜けの展示はよくわからなかった。
最後は映像とリキッドの展示だけれど、このリキッドのシリーズは観るたびに美しいな、と思う。
お手伝いしてた頃の思い出と、新しい進化を見届けるような気持ちで見れました。
ただ、なんかやっぱり彫刻の展示って少し苦手。
展覧会を線ではなく、点で一回一回区切られる感じがどうしても気になってしまう。
ただの個人的な好みですが、やはり今僕が目指してるものではないかな、という感じ。
見応えはもちろん有り余ってますが、空間を流れる気持よさはあまり感じられませんでした。
それでも名和さん初の作品集は予約しました。1万円。。。楽しみです。
ちなみに出口に置かれた解説は4パターンあります。

名和晃平ーシンセシス
東京都現代美術館
2011年6月11日-8月28日 10:00-18:00
月休(7月18日、8月15日、8月22日開館/7月19日休館)


<関連記事>
名和晃平「synthesis」@SCAI THE BATHHOUSE
名和晃平「Transcode」@Gallery Nomart
名和晃平「L_B_S」@エルメス銀座
名和晃平講演会「名和晃平の"アート"」@京都精華大学
名和晃平「TORSO」@nomart project space
名和晃平「AIR」@nomart
名和晃平「GUSH」@SCAI THE BATHHOUSE


それにしても現美の常設の充実の仕方が半端ない。
これで入場料1100円は安い!
1階の石田尚志特集もすごかった。ってか個展やん!
最後だけピピロッティ・リストやったけど、あそこも石田さんにすればよかったのに。
しかし最初のペインティングの様子怖かったな…。
この人の作品は、映像としてすごく強いと思う。
映像はどうしても時間がかかるので、如何にそこに立ち止まらせるかが勝負。
ピピロッティのように好きなときに出てってーっていう緩いスタンスもありだけど。
石田さんの作品にはその強さがあると思う。
ただ、ドローイングとして観ると正直魅力がない。
そこを捨てて、映像として見せる方にいった潔さはすごいです。
3階の展示も超豪華。
小泉さんも、泉さんも相変わらずいい。
加藤泉さんのペインティングとかもちゃっかり展示されちゃってるし、これだけで、れっきとした企画展。コレクションだけでこんな展示ができるなんてやっぱすごい。
関西にもこんな現代美術館できたらいいのになぁ。。。


なんと、東京で観た展覧会これだけです。自分でもびっくり。
まあ、今回は震災後初関東ということで、人に会うのがメインだったのもありますが。
森美も少し気になったけど、そこまで惹かれなかったのでキャンセル。
代わりに、上野の黒田記念館に行ってきました。
東博の裏にこっそりと佇む美術館です。
最近近代が気になっていて、特に日本の近代の創世記に。
先日村上隆が黒田清輝の「智・感・情」をテーマにした作品を発表してたし本物が観たくて。
この美術館、開館が木曜と土曜だけで、しかも今月末から節電の為とか言って10月12日まで閉まっちゃうそう。なんて強気なんだ!なので絶好の機会だったわけです。
あの有名な「湖畔」も見れましたが、やっぱり「智・感・情」はすごい!
そこまで期待してませんでしたが、かなりシビれました。
展示がちょっと悪くて残念だったけど。
これ以降の日本近代絵画って、ちょっと気持ち悪いんだけど、黒田清輝の絵はとても気持よかった。
ちょうどいい機会に巡りあえてよかったです。
今月は6月23日と25日しか開館ないので、是非機会があれば行ってみましょう。
黒田記念館HP>>http://www.tobunken.go.jp/kuroda/

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キュウホイッシキ@常懐荘

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愛知県小牧市にある常懐荘へ行ってきました。
ここは、この冬一緒に展覧会させて頂く映像作家の林ケイタさんのお祖父様が住まわれていた邸宅で、本当に豪華絢爛ですごい!
今は誰も住んでいなくて、昨年のあいちトリエンナーレと連動した企画「STAY」を機に展覧会会場として使用し始めている。>>http://stay-visit.com/
そして先週土曜日から第2回目となる展覧会が始まったので早速行ってきたわけです。
行ったらまだ準備できてなくて、皆様慌ただしいご様子笑
それを横目に、作品だけはちゃんとインストールできてたので鑑賞。

まずは、その林ケイタ氏の作品から。
林さんは今回5点展示していて、そのどれもが、この建物の外の風景を写した映像。
それらが、建物を通して繰り広げられていて、まるで新たな窓を開けていくような作品たち。
僕が特に好きだったのは裏の勝手口にあった下の写真の映像。
現実の窓越しの風景と映像とがリンクしていて、とても美しかった。
トイレにあった映像も一瞬本当に窓かと思うような展示でした。
和室の機械がむき出しになってるのもかっこよかった。
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続いて、仏間の作品。
ここは、そもそもの空間がすごい。なんだこの窓の形は!
空間が強いので中々展示は難しいだろうが、山口良臣さんの作品はうまく調和していた。
窓から入る光が水面に反射して、その水の手前に座り、機械に指を置くと、鼓動とリンクして波紋が拡がり景色が揺らめくというもの。
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奥の洋室では、そこにあったピアノとセッションする沖啓介さんの映像がありました。
テレビにピアノ線(?)が張り巡らされてて、なんか鬼気迫る映像と合まってちょっと恐い。
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廊下には仙石彬人さんの水滴のついたような透明なレコードがあり。
階段を上った先にも水の入ったコップたちが並んでます。
彼の作品は以前CASOで観たことがあって、その時は、水に絵の具を垂らして変化する様をライブパフォーマンスしていたのを思い出しました。
なので、後述する原田昌明さんの作品とごっちゃになりました。
彼は水に興味があるんでしょうか。とてもきれいな作品です。
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さらに階段を昇って2階へ行くと、三嶽伊紗さんの作品。
ベランダにある鳥かごをそっくりコピーする作品。
奥のソファの上にもこの鳥かごをテーマにした映像がありました。
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隣の和室では原田昌明さんの映像作品が。
まるで黄昏の夕日が差し込んでくるような美しい光景。
その部屋を歩くと、上から色とりどりの絵の具が舞い降りるインタラクティブな映像。
残念なのはあまりにプロジェクターがむき出しなところ。
これ障子の後ろから照らしてたらよかったのになぁ。
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その向かいの書庫と寝室ではcircle sideさんたちによるインスタレーション。
書庫に置かれた映像と寝室で響くサウンドが連動しています。
窓際に近づくと映像が鮮明になり、映像に近づくとぼやけます。
前述の原田さんにしてもそうですが、インタラクティブな作品って、楽しいといえば楽しいけれど、今やありふれた仕組みになってしまった感がありますね。なんかちょっとやそっとのことでは驚かないし、なんかやらされてる感すら感じるようになってしまいました。汚れちまったぜ。
むしろここはサウンドだけでやってくれた方がインパクトあったなぁと思いました。
最初映像の仕組みに気づかなくて、サウンドとこの部屋の関係の美しさに惚れ惚れしていたのです。
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さて、最後はお庭にある中山和也さんの作品。
なんとカレー!!!まず気づかないと思います笑
椿とのコラボレーション。美しいです!
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以上8組による展覧会。
タイトルのキュウホイッシキとは、この地域の久保一色という地名から来ていて、本来はクボイッシキと読みますが、あえてこう読むことで、少し捻れた風景が立ち現れるのではないかという趣旨みたいです。
最初聞いたとき、僕はてっきりもっとこの土地の調査的な、なにかアカデミックな展示が行われるのかと勘違いしていましたが、この久保一色に建つ常懐荘と美しく調和する作品ばかりでとても楽しめました。
場に抗うことなく、新しい風景を見せていただいたようなとても満足のいく展覧会。
小牧線の味岡駅から徒歩10分ほど。名古屋から40分程度で着きます。
GWあたり愛知に寄ることがあれば是非お立ち寄りください。オススメ!

「キュウホイッシキ」@常懐荘
2011年4月16日(土)-5月8日(日) 土・日・祝日のみ
http://www.kyuhoisshiki.be/



帰りに名古屋行っていくつか見てきましたー。
末永史尚「imitate」@See Saw gallery
手塚愛子「透明な果実」@KENJI TAKI GALLERY
小柳裕「温室育ち」@同

大西康明「体積の裏側」@愛知県美術館展示室6
See Sawはmemeさんのブログで知ったので行ってみた。
とても美しい建物で、異常に人懐っこいネコに癒された。
末永さんの作品は初めて観たけど、今回のやつは、ロスコやニューマン、マレーヴィッチなどの抽象絵画をカタログのように1枚のキャンバスに何枚も並んでるような絵だった。彼らの作品は図録とかで観てもカラーチャートにしか見えずに何の意味もないのだけど、その辺を捉えているように思えました。
手塚さんの展示は、やはり大山崎のが良すぎたのであまり響かなかった。
小柳さんの作品はすごくよかった。荒い麻キャンバスに描かれた植物。
大西さんは会期ギリギリで行けた。
なんかSee Sawでたまたま手にとったそのDMが実は招待状で、無料で入れた!ラッキー。
アートコートの時と同じ、ホットボンドで天井から吊るした透明シートの作品。あの時より全然よかった。
この作品はやっぱある程度のスケールが必要かも。青森の時の展示がたゆたう雲のようでとてもいい。
それにしても無料で配られてた大西さんの冊子がすごい。こんなの無料でもらっていいんすか!?
僕が学生の頃から作品見てるけど、ある時期からあまり見なくなって、何してはるんやろと思ったら海外でバンバンご活躍されてたみたい。オランダからアメリカ、インドまで!すごい。
この秋に国立国際でやる展覧会にも出品されるみたいで楽しみです。
あと、ここの新収蔵作品展がすごかった!!やっぱ舘勝生さんの作品が見事でした。。。

以上、愛知リポートでした。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

なかもと真生展「都市論」@GALLERY M

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愛知県は、小牧・豊田・日進に行ってきました。名古屋は今回パス。
小牧へは来年あたり企画するかもしれない展覧会の下見。
豊田へは豊田市美でやってたintextさんたちのライブ。
何をやってるかイマイチわからんまま行ったんですが、どうやら「アイチ・ジーン」という凄まじいネーミングの展覧会のオープニングイベントだったらしい。
着いたらcircle sideという名古屋を中心に活動するグループのパフォーマンスが始まってた。
京都を旅した音を収録しミックス、さらにタイプライターで時間と場所を打ち、画面に投射。
おもしろいけど、やってることが的を外さなすぎて凡庸に思えました。
intextさんのは、僕にはよくわからなかった。
マックを3台並べて音と映像が同期してるというこちらもまああるかな、っていうパフォーマンス。
池田亮司の時も思ったけど、こういうのは僕には合わないみたいです。
ちなみにintextは京都を中心に活動してるグループ。「アイチジーン」ちゃうやん!!!!
となりつつ展覧会も拝見。
本館の方で引っかかったのは阿部大介さんの作品ぐらいだった。
それでも彼の作品は、発泡バインダーという素材に依り過ぎてる感じがしました。
これは熱を加えると独特の表面を形成する素材らしく、それでドレス等を制作。
平面もおもしろかったけど、靴はやりすぎに思えました。着色するとキツイです。
また、離れの又日亭でも展示があり、ここでは木彫の谷村彩さんが気になりました。
それにしても、このケンミンショー的な企画、ちょっとどうかと思うなぁ。。。
「キョウト・ジーン」とか絶対嫌ですしね笑 お茶出されたらはよ帰らな!みたいな。
ところでチラシ見てたら、写真で気になる作家はこの前のはるひ美術館というところで行われてた同企画にほとんど出品してたみたい。こちらは2月20日までやったらしい。清須市ってどこ?
そもそも豊田の展示も細井博之さんの展示を見逃してるなぁ。。。

そんなこんなで豊田を後にし、日進市へ。
こちらでは友人作家のなかもと真生君の展示がGALLERY Mにて。
愛知の人に聞くと、聞いたことあるけど行ったことない、というこのギャラリー。
名古屋から高速バスで1時間。地下鉄星が丘からもバスで30分ほど。
なんといっても遠い。
2007年開廊と比較的新しいギャラリーですが、オープニングには篠原有司男だったり、鷹野隆大やMAYAMAXXなんかも展示をしている。前述の阿部大介さんも2009年に展示してたみたい。
実際場所も広くて、10mx10mx5mという半端ないスペース。
そんなスペースでなかもと氏は「都市論」と題された壮大なインスタレーションを展開。
まずギャラリー入って左の扉をくぐって展示室へ。
この動線もすべて今回の展示のために設置。
入ると、奥の壁からLEDライトで照らされた何かの塊たちが、高さ1m弱ぐらいの台の上にズラーッと整理され並べられているのがわかる。
最初は暗くて一つ一つよくわからないが、次第にその輪郭がはっきりしてくる。
さらに、物見台のような場所まで設置され、そこから俯瞰することもできる。
そうすると、それらがまるで都市のように見えてくる。
実際は彼の故郷でもある愛媛県新居浜市から集められた産業廃棄物に銀色のスプレーをふりかけたものが並べられていて、それらは出自も様々な物。
中には火葬場で棺桶を載せる車輪付きの台なんかもあったりしました。
それにしても、こういう展示で残念なのが、どうしても物当てゲームになってしまうきらいがあること。
ものが具体的すぎる上に、形もほぼそのまま見せてるので、自ずとそうなってしまう。
そうなると、全体図よりも部分に目が行きがち。
あと、都市論ということで、榎忠の工場の部品を並べた作品を思い浮かべるが、あちらがステレオタイプな未来都市像とすると、こちらはすごく馴染みのある風景に見えてくる。具体的にはスカイスクレイパーの現代都市ではなく、置き去りにされた近代の工業都市。
作者の故郷から集められたという所からもある種のノスタルジーを覚えなくもないのだけれど、それらの表面に宿るフェティッシュをスプレーで消し去る行為がうまく結びつかない。
ノスタルジーに駆られそうになる寸前でどこかストップがかかってしまう。
どちらに行けばいいのかわからず、結局部分に思考が乗っかってしまう。
倉敷の野外で見せた作品に関しては、太陽光に照らされ、それらが光のオブジェに感じられ、うまく思考を飛ばすことができたのだけれど、今回はそれが難しかった。
また、本人としては体育館級の大きさでも見せてみたいということだったけれども、サイズを大きくすれば何かが解決するのかも少し疑問。ただの都市のジオラマにしてしまっては勿体無い気がする。
こちらの作品より、無茶ぶりが甚だしいドローイングにむしろ興味が湧いてしまった。
本人的にはあくまで実現させるためのドローイングなのだろう。それはクリストの方法論に近い。
まるでコピペ感覚で、冗談のように思えても仕方がないそれらは、むしろ独立して作品足りえてる気がする。
これらが何百枚も日夜描かれてるしたら、、、。
それにしてもギャラリーの空間をほぼ無視した展示構成がすごかったなー。お疲れ様です。
こちらは3月6日まで。
<関連記事>
なかもと真生「境界線/不在」@西院久田町貸家
なかもと真生@大原美術館


帰りは高速が事故により完全にストップ。2時間で1mmも動かなかった…。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

今村遼佑 第5回shiseido art egg 「ひるのまをながめる」@資生堂ギャラリー

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資生堂の今村くんの個展を観に行ってきました。
ちょうど今週からはじまるstudio90の展示以来を今村くんに伝えた頃(去年の9月ぐらい?)、このshiseido art eggの入選を耳にしました。
それを聞いたときは本当にうれしかったし、あの地味な(失礼)作品が数ある応募者(261件)から選ばれたのは驚きでした。審査員の審美眼は相当鋭いですね。
なので、本当に楽しみで楽しみで仕方なかった展覧会。
レセプションにも行きたかったけど都合が合わず。
どっちにしろレセプションみたいながやがやした中で見るのは不向きなのはわかってたので。

さて、資生堂に着いて、上の写真を撮ってる時、一人の女性がギャラリーへ続く階段を下っていかれました。そのあとに続こうとしたら、なんでかそのまま戻ってこられました。
ん?と、彼女を見送り地下に降りて納得。

何も、ない!笑

いや、わかります。ないことはないです。あるんです。そう見えるだけです。
でも、何も知らない人から見たら、確実に搬入前後の状態ですよ!
あんだけ、からっぽな資生堂の空間を観たのは初めてでした。
でも、とりあえず階段の踊場にはドローイングが展示されてるので、何か展示されてるっていう暗示にはなるのかな?でも踊り場から見る風景は本当にからっぽ…。
ドローイングは一昨年のsiteでの個展「ノックする。」のドローイング。
家型の中で様々な出来事が起こっているという大きな紙に小さなドローイングです。
そしてさらに降りていって、そのからっぽに潜入。
まずはオルゴール。これがすべてのきっかけになっているのです。
そして小さなハンマーが床の近くにあり、それを見下ろすとその先にライトが点滅している。さらに先には糸巻きが糸を巻き、紙くずとマスキングテープが吊るされては落ちるを繰り返している。そしてもう一個ライト。
奥の部屋では、なんと梱包用の紐!上の方にもハンマーがあった気がする。
これらが本当に些細にあの空間に配置されています。
多分要素としては僕が見つけたので8つ。
オルゴールが電気信号を送る装置になっているそうです。

いやはや、本当に大胆な展示。
これだけ攻めてる展示は中々見られないと思います。
こんな展示するのは絶対相当勇気が必要。本当に男気あふれてますよ、彼は。
物で空間を埋めるのって、造るのは確かに大変やけど、展示しちゃえば安心出来ちゃうんですよね。
その点今村くんのこの展示に関しては、もちろん造る苦労も多々あるでしょうが、展示してもさらに安心出来ない感じがすごいです。さらに器械で動いてるので、止まらないかという心配も。。。
ターナー賞のマーティン・クリードや去年のスーザン・フィリップスを思い出します。
彼らの展示はマジで何もなかったですからね。上には上がいます。
(クリードに関しては当時賞を捨てたとすら言われてたらしい)
こういう展示は作品の力を100%以上信じてあげられるからこそできるんですよね。
作品と作家の信頼関係がこういう展示にこそ垣間見れたりするのです。
そしてこの展示は空間が広ければ広いほど映えます。
明らかにsiteの時よりよかった!期待を超えてくれました。嬉しい。
僕の作品も結構通り過ぎられますが、今村くんには敵わないかも笑
特に吊るされてるモチーフがいい。
梱包紐は、前回の藤本さんの搬出時に出たゴミらしいです笑
いやはやお見事な展示でした。おすすめ!!

今村遼佑 第5回shiseido art egg 「ひるのまをながめる」@資生堂ギャラリー
2011年2月4日(金)-2月27日(日) 11:00~19:00 日・祝 11:00~18:00 月休
http://www.shiseido.co.jp/gallery/



さて、いよいよその今村くんの90での展示が今週金曜日から始まります。
僕はその文章を書かなければ…。また告知します!

<関連記事>
今村遼佑「白色と雑音」@GALLERY301
今村遼佑「ノックする」@site
今村遼佑展「畔を廻る」@PANTALOON

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

「耳をすましてー美術と音楽の交差点」@茨城県近代美術館

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水戸まで足を延ばしてきました。
目的は水戸芸術館、だったのですが、「ついでに」観に行った茨城近美の展覧会が、近年稀に見る素晴らしいテーマ展だったというまさに「棚からぼた餅」体験でした。
「耳をすまして」と題されたそれは、美術側から音楽へのアプローチの変遷を見る展覧会。
視覚芸術である美術と、聴覚を使う芸術の音楽。
下手に「領域横断」に手を出すのではなく、はっきりと「美術側から」と銘打ってるのも好感がもてます。
また、以前にもここでは「眼をとじて」という展覧会をやっていたそうで、今回も同様、美術鑑賞とはまた異質な態度を喚起するテーマになっています。
今回初訪問でしたが、「眼をとじて」も観たかったです…。

まずこの展覧会が素晴らしかったのは、「音楽」と聞いて、思い出しうる作品はほぼ揃っていたこと。
三木富雄の耳から始まり、ルドンの版画、マン・レイの写真、そしてブランクーシのミューズの彫刻。
もうのっけからして、「これはただごとじゃない…」と悟りました。
その後もマックス・クリンガーの楽譜の挿絵に、シャガール、そしてもちろんカンディンスキー!!
さらにさらにマチスの切り絵の版画にクレーにライリー。
これはマジですごい!!圧巻のラインナップです。
全国から掻き集められた名品の数々。かなりテンション上がりました。
そして、この展覧会において、それらが「音楽」というキーワードでゆるくつながっていて、まるで作品と作品がバトンを渡しあうような、素晴らしい調和が生まれていました。
個性ある作品たちが、まったく喧嘩をしていない。驚異的です。
こうして近代の名品たちに彩られた第1部の「音楽にあこがれる美術」は幕を閉じ、第2部「音と交差する美術」が幕を開けます。こちらは現代美術中心。そしてのっけからいきなりジョン・ケージッ!!!
ケージの「RYOKU」と題された版画。意味わからんけど美しい。
そしてお次は音楽といえばこの人、藤本由紀夫さんです。
藤本さんの作品をこれだけ一気に観たのは初めてかも。
作品数はすごく多いのに、とてもスマートな展示。
オルゴールがゴミ箱に落ちる作品がおもしろい。
あと研磨して聞けなくなったビートルズのレコード「DELITE」もいい。
そして最年少八木良太氏。
八木君は、若くして美術館の展示がすごく多い。次もMOTアニュアルがもうすぐ始まる。
そして今回のテーマにぴったりの作家さん。
なんか藤本さんを継承してる感じでこの流れはすごくよかった。
氷のレコードが毎日2時半から学芸員さんの手でかけられるらしい。
行ったのは午前中で、聞けなかった。残念。
他にも砂時計の砂を聴く作品や、水に浮かぶレコード。表麺のラベルにSKYと書いてて、裏面は底の鏡に映しだされてSEAと書かれている。詩的な作品。
その隣にあったのは机の上のヘッドフォンをつけて、しゃがむと水に潜った音がする作品。
仕組みはどれもシンプルやけど、どれも楽しい作品。さすがです。
そして野村仁の「'moon'score」。大好きな作品です。改めて音楽で聴く。
隣の部屋には金沢健一さんの鉄の作品。
鉄の板の上で踊る砂の映像と写真。そして観客が鉄の欠片を叩いて「演奏」する作品。
欠片はひとつひとつ違う形をしていて、どれも音が違う。
最後に石田尚志の映像。バッハの「フーガの技法」とドローイングのアニメーション。
映像に使われた膨大なドローイングも展示してあって、すごい量でした。
また、一階にも作品があり、藤本さんの椅子に座ってパイプから聞こえる音を聴く作品と藤枝守のモノコードの作品。
藤本さんのはMOTにもありますね。
藤枝さんのは芸術センターで観ました。めっちゃがんばらないと音が聞こえません笑

とまあ、こんな感じ。
思わずカタログ買っちゃいました。
1700円で、なんとCDまでついてる!
CDには、藤本さんの椅子の作品のパイプにマイク仕込んだ音と、金沢さんの鉄の音楽、さらに藤枝さんと八木くんも参加。超豪華です!!!
300部限定となってましたが、これは手にいれておいてよさそう。
もう本当に素晴らしい展覧会でした。
美術館でのテーマ展で、これだけ感動したのは、2008年の広島現美の「MONEY TALK」以来。
早くも今年のベスト10に入るのは間違いないです。超おすすめ!
来週から水戸では梅まつりだそうです。併せていかがでしょうか。

「耳をすましてー美術と音楽の交差点」@茨城県近代美術館
2011年1月22日-3月6日 月休(2月21・28日は開館)
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/kikaku/index3.html


<関連記事>
「ある風景の中に」@京都芸術センター
八木良太「制作と実験」@京都市立芸術大学新研究棟1階立体1教室


「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」@水戸芸術館
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本来こちらがメインで水戸入りしたわけですが、正直相当期待はずれだった展覧会。
もう、去年のターナー賞受賞者スーザン・フィリップスと、ずっと観たいと憧れ続けた土屋信子さんの作品が観れるってんで、テンション上がりまくって初日から行ったんですが。。。
確かにスーザン・フィリップスの中庭に響き渡る透き通る歌声は素晴らしかった。先述の「耳をすまして」の流れで出会ったので、感動も一潮。
そして土屋さんも確かによかった。あのわけわからん世界観。たまりませんでした。
確かに一人ひとりの作品は文句のつけどころがありませんでした。
eNartsで観た小林史子さんも、木村友紀さんも期待通りでした。
では、何がいけなかったのか。
それはやはりテーマの設定と展示の方法。つまり残念ながらキュレーションです。
まず「クワイエット・アテンションズ」というタイトル。
観る前はなんて素敵なタイトルなんだろう、と思ってました。しかし観た後にこのタイトルが果たしてまったくこの展示に相応しくないように思えてならなくなりました。
最初の展示室から、いきなり躍動感あふれる小林さんの自転車のインスタレーション…。
ク、クワイエット???とのっけからつまづきました。
そして、展示室を順にたどっていっても、正直「クワイエット・アテンションズ」は展示のノイズにかき消されて、最後まで聞こえてくることはありませんでした。
そして展示。1展示室1作家という、まるでスライドレクチャーを見ているよう。
この展覧会は何がしたかったんでしょうか?
女性作家の紹介展だったのでしょうか?
もう少しミニマルな展示を期待していたんですが、悪い方に裏切られました。
まあ、そんな期待は当方の責任ですが、もう少し作品と作品がつながるような展示になるような試みがあったらなーって感じでした。ビックリするぐらいすっぱり切れてるので。
あぁ、これで近美がなかったら正直救えなかった。
水戸芸に関しては残念ながらこんな感想しか書けません。ごめんなさい。
まあ、紹介展と開き直れば見る価値はあると思います。
とにかくスーザン・フィリップス素晴らしいです。5月8日まで。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

小谷元彦「幽体の知覚」@森美術館

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本年初上京してきました。わざわざ大雪の日に…。
大雪といえば、5年前にScaiの名和さんの展示観に行った日も大雪でした。
あの時は谷中がすごい景色になってたなぁ。
今回は雪質が水っぽかったのでほとんど積もってませんでした。
むしろ大阪とかの方がやばかった。
そんな雪にも負けず色々行ってきましたのでご報告。

まずは森美の小谷元彦展。
オペラシティの曽根さんと迷いましたが、曽根さんエルメスで見たんで割愛。
ちなみにエルメスは「雪」展。まさにこの日にうってつけ。
でっかいクリスタルで雪の結晶を彫った彫刻と大理石でゲレンデを彫ったやつ。あと絵画とドローイング。
クリスタルの雪は、レンゾ・ピアノの建築とマッチしてました。
が、やっぱ好きになれない。オペラシティに足が向かなかったのもこのため。
エルメスが今月28日までで、オペラシティは3月27日まで。
というわけで小谷さん。
すごい作品量でした。完全に元は取れます笑
これがまだ30代の一人の作家の仕事量なのか、という。
小谷さんの個展は2004年のKPOで一回見てます。
なので、最初の少女の写真や、鹿の剥製に矯正器具はめたやつとか、ヴェネツィアに出してた女の子がハエ食っちゃう映像とか、あと滝のやつとかはもう既に見てたのでほぼスルー。(滝は並びすぎってのもある)
それ以降の仕事は、おもしろいことに、より「彫刻」的になってました。
つまり、純粋に造形ということ。
こういう仕事って、「東京芸大の彫刻!」って感じだやなーと感じます。
京芸の彫刻は、ある一定のルールを課して、造るというより生成するって印象。
名和さんなんか、まさに京芸の彫刻って感じがする。
昨年小谷さんと名和さんの対談がありましたが、名和さんの直後のツイートがそれを物語ってます。
「小谷さんとのトークは彫刻について。方向性の違いが浮き彫りに。そもそも畑が違うのかも知れない。」
名和さんと小谷さんのトークについてはこちら>> 1 2 3 4(未)
前に爆笑問題のNHKの番組で、東京芸大の特集がありましたが、彫刻科の工房で、昇龍を彫ってる人がいて、僕の中では衝撃的でした。こんな人おんねや!!って。
東京芸大は、やはり芸術における技術を重んじてる大学だと思います。
それは、受験の時点からスタートしていて、あのデッサンは端から見ていて異常です。
故に技術命な日本画なんかにはとても向いてると思う。
村上隆を初め、松井冬子、千住博なんかもそうですね。
逆に、現代彫刻、或いは油画における技術は、そこまで重んじられていない気がします。
だから、日本のアートシーンにおける現代彫刻は京芸が強い印象。
現代造形において、技術は磨けば磨くほど工芸っぽくなっちゃうというきらいがあります。
そういや曽根さんも芸大なんですね。納得。
曽根さんと小谷さんは、2003年のヴェネツィア・ビエンナーレの日本館で二人展やってます。
小谷さんは去年エルメスで個展やってるし、色々共通点が。
こういう教育における作品の方向性ってないようで実際ある気がする。
僕なんて、まさしく精華って感じがします。抽象命!マーケットなんて糞喰らえ!的な笑
他の大学はわかりませんが、こういう傾向っておもしろいなぁ。
で、展覧会ですが、ひとつひとつが「俺を観よ!」と投げかけてくる強い作品ばかり。
中々楽しめましたが、やはり僕の見たいものではないなぁ、って感覚。
鑑賞者に委ねる部分があまりにすくない気がします。
もちろん、こういうのって、作品を見慣れてない人にはとてもいいと思います。
「現代美術ってわからない」とよく言うけれど、「わからない」良さが現代美術にはあるんだと思う。
「あれは何やったんやろう?」と考えることが、現代美術の入り口につながるんですよね。
その点で、やっぱり小谷さんの作品は僕の中でちょっと違う気がします。
そんで、相変わらずエルメスの作品がビス丸見え…。萎えます。なんで?
最後のドキュメント映像で、スタイリッシュな小谷さんが、回転するドクロにロウソク垂らして、「あっつ!あっつ!」と泥臭いことやってるのは面白かった笑
まあほんと、見ごたえという点では文句なしの展覧会。今月27日まで。
このあと静岡県立美術館、高松市美術館、熊本市現代美術館に巡回します。
それにしても、森美って見せ方がワンパターンでおもしろくないですね。
こういう量で見せる方法しかできないのかな?もっと別のやり方はないのかな?
例えば、3部屋ぐらい使って1つのインスタレーションを見せるとか。
次のマルセル・デュシャン賞展も見に行こうと思ってますがどうかなー。


高嶺格「とおくてよくみえない」@横浜美術館
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前評判悪過ぎの高嶺さんの展覧会へ笑
もうかなり覚悟して行ったので、逆に結構楽しめました。
高嶺さんのこの展示に関して、やはり特筆すべきは「感情の揺さぶり」ではないでしょうか。
前半のゆるい作品(タオル、物々交換)から、いきなりアメリカ批判やパレスチナ問題、在日など。
そして最後のタイトルにもなってる「とおくてよくみえない」。
前半は本当に笑いました。
あのタオル(毛布)の展覧会は一体!?
物々交換の映像のとなりの外人は一体!?
謎過ぎます。
後半は、既に見てる作品が多かったので、ちらっと見るぐらい。
「ベイビー・インサドン」はこの一年で3回も見てる…。
最後のは本当に謎でしたね。高嶺さんらしいといえばそうですが。
壁に書かれたメッセージも意味深。
本当に遠近のとれない人。まさに「とおくてよくみえない」です。
これまでの高嶺さんの仕事がほとんど見れます。さすがに「木村さん」の展示は写真だけでしたが。
高嶺さんって、アート関係者(特にキュレーター)のファンが多い。
わからないわからないと思いつつも、やっぱり気になってしまう存在なんでしょうね。
これだけ個人の魅力で作品が成立してる人って珍しいと思う。不思議な人。
この展覧会は3月20日まで。この後なんとイギリス・バーミンガムまで巡回だそうです!!
ちなみにこの高嶺展と小谷展、曽根展は、それぞれのチケット持っていくと割引が効きます。
あとiPhoneのミューぽんっていうアプリを1月31日まで600円やったから買ったんやけど、元取れるんかな…。とりあえずこの高嶺展で200円分割引。
関連記事>>高嶺格「Melody?Cup」@伊丹アイホール 高嶺格


ライアン・ガンダー「Ftt, Ft, Ftt, Ftt, Ffttt, Ftt, or somewhere between a modern representation of how a contemporary gesture came into being, an illustration of the physicality of an argument between Theo and Piet regarding the dynamic aspect of the diagonal line and attempting to produce a chroma-key set for a hundred cinematic scenes」@TARO NASU
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「謎な人」という点ではこの人も負けてません笑
なんだこの長いタイトルはーーー!!
昨年の「レゾナンス」展以来気になってます。年末のグッゲンハイムでやったのも気になる。
なので、最終日無理矢理滑り込みです。
実はこのTARO NASUは何気に初訪問。
馬喰町は何度も来てるし、おとなりのαMも何度か来てるのに、いつもタイミングが合わずに閉まってたり、おもしろい展覧会やってなかったりで行けてませんでした。
青木さんのリノベーションってのも気になってたんですが。
地下に降りると、会場に矢が刺さりまくってる!!!圧巻です。
わざわざこの為に床作ったりして、このギャラリーは本物だと思いました。
また、奥には木の板に着色したような色とりどりの作品群が。
これ、よくみるとすべて同じ形。どうなんてるんや?
とギャラリーのスタッフさんに聞いてみると、ものすごく丁寧に答えてくださりました。
いやはや、こういうところでギャラリーの質ってわかりますね。素晴らしいです。
ちなみにこの作品は、「選択されえた未来」を表しているそうで、つまり、作家は作品の色を選ばなければならないが、逆にこの作品は選ばないことを作品にしている。何パターンもの同じ作品を造ることで、不自由な未来からの解放を目指しているとか。本当に異様な展示でした。
奥には、壁の角に2つのスライドが上映されてて、その部分以外の壁は真っ黒にぬられてる。
スライドの意味がまたよくわかりませんでしたが、これはなんだかレゾナンスの作品に近い気がする。
意味はよくわかりませんが、空間の操作の仕方とかとても好きな作家。
あー、太宰府天満宮と沖縄の展示観に行きたい…絶対無理やけど。
ちなみに隣のαMものぞきました。今期の「複合回路」最後の作家、石井友人さんの絵画展。
視覚信号としての絵画。おもしろい作品とそうでない作品の差がすごかった…。
来年は「成層圏」がテーマ。注目は川北さんと宮永くん。どっちかは観に行きたいです。


テオ・ヤンセン展~生命の創造~@日本科学未来館
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年末に友人に教えられて、調べたらちょうど日本でやってたトム・ヤンセン展。
ゆりかもめとか久々に乗ったー。
これを美術というかわかりませんが、ユートピアン的な仕事がとても気になります。
ビーチアニマルと言う、風で動く機械仕掛けの生きものたち。
電気ではなく動力が風という自然なのがおもしろいし、作りも非常にアナログ。
プラスティックと、ペットボトルやら。
会場は凄まじい人でごった返してました…。
でも、さすがにフジテレビの企画だけあって、エンターテイメント性が強すぎて萎える。
やっぱビーチで動いてるところが観たかったなぁ。
でも展示してあるアニマルたちが、風と闘った傷跡が生々しくて、とてもロマンティック。
まるでドンキ・ホーテのよう。
そんなとこ注目してる人だれもおらんねやろうけど。
もう会場を砂浜(砂漠)にして、アニマルたちの墓場みたいなインスタレーションで見せて欲しかった。
やっぱ無理よね。現代美術に毒されてます。14日で終了。
大人の科学マガジンで、このミニ・ビーチアニマルが付いてくるらしい!!


吹雪の横浜。
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テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

ジェームズ・タレル「ガスワークス」@金沢21世紀美術館

実は金沢に行ったのは、前記事のフィッシュリとヴァイスの為ではありません。
もちろんあの展覧会も気になってはいましたが、それだけではわざわざ金沢まで出かける動機付けにはならなかったでしょう。実際金沢はパスしようと思ってました。
そんな折、ふと21美のHPを見て驚愕。
タレルの「ガスワークス」が公開されてる!!!!!!!!

丸亀から帰路に立つ道すがら、その恐ろしい計画が頭の中に浮かんでしまいました。

このまま金沢行けるんじゃね?

いやいやいやいやいや。。。いやぁあああ!!!!
と、思いつつ、ちゃっかり調べてみたら、なんと、乗ったその電車が金沢に行く最終だったのです!
運命。とわけわからんこと考えながら悩みに悩み、気づいたら大阪を通りすぎてました。
丸亀から18切符で約9時間・・・。
来てしまいました、金沢へ。
着いたら日付変更直前。金沢の気温1度!!!寒い・・・。
フードを目深に被り、今晩の宿、ネットカフェを目指す。
調べてたネットカフェの前に着くと信じられない現実。

「閉店しました。長らくのご愛顧ありがとうございました。」

なんや、これ・・・。どういうこと?
と思いつつ次のステップ。このままでは凍えてしまう。
残り少ないバッテリーのiPhoneを頼りに探すとなんとか近くにもう一件発見。飛び込みました。


さてさて、そんな険しいことをしてまで観たかったジェームズ・タレルの「ガスワークス」という作品。
この美術館のオープニング展でも公開されてて、当時ほとんど無知識でこの美術館を訪れた僕は、その球の中に人が吸い込まれていく様をなんとなく見ていました。
それ以来金沢でこの作品が公開されることはなく、僕の中で悶々とあれは何やってんやろ、と想い続けていたのです。
そしてこの度ついにそれが6年もの沈黙を破り公開されるッ!!
これは絶対観に行かなくては、と思いつつ見たらなんと当日予約のみ。
しかも一日に入れるのは最大16名。鬼!
絶対オープン前に並ばな入られへんやんと思い調べたら、大阪から始発のサンダーバード飛ばしてもオープンの10時には間に合わず、前乗りは必至。
ということで、次の日9時半から並びました。
この日はさらに鬼で、午後2時からの8人のみ。
でもまあ、午後からやしさすがに誰もおらんやろ、と思ってたら既に3人も並んでた!
上には上がいますね・・・。
10時の開館時には20人ほど並んでました。。。
企画展の方ではなくコレクション展の方に並ぶ行列。
普通に来館した人たちはなんのこっちゃっていう光景でしょうね・・・。
で、開館と同時に一人目の人はもう一直線にその展示室に・・・すごい。
彼に着いていってなんとか4番手で予約できました。よかったー。

予約して他のコレクションも拝見。
丸山直文さんの作品が相変わらずよすぎた。水面に映る舟の2点組。
他にもオープニング展以来に見る作品もちらほら。ヴィック・ムーニーズの写真や、モナ・ハトゥムのガラス玉で出来た世界地図など。椿昇の壁のドローイングは佐藤充さんの絵みたいだった。
高嶺格さんのプロジェクトも見るがほとんど理解不能・・・。
横浜美術館の個展どうなるんやろ・・・。
その後も金沢の街を徘徊したり、戻ってきて図書館でだらだら過ごしてたら時間に。
というか、何故か1時間勘違いしてて、それに気づいたのが予約の5分前!!!危なすぎる!
展示室に走りました。

着いて白衣のスタッフに荷物を預ける。
指定の台に仰向けになって寝る。
そしてそのまま球の中へ。
しばらくタレルお得意の色が徐々に移り変わる様を眺める。
これじゃ、京都近美の「生存のエシックス」で観たやつとあんまかわらんやんけと思った次の瞬間。
チカチカチカと激しい光が目を襲う。
瞬時に変わる色の世界。
すさまじい色の洪水が一気に流れこんでくる。
色と知覚しているにも関わらず、実際自分が何色を見ているのかわからなくなる。
そして終いには目を開けているのか閉じているのかもわからなくなってしまう。
怖い!!なんだこれは!!??
まるで「2001年宇宙の旅」でモノリスに出遭った時の映像のような感覚。
この体験はすごい・・・想像を絶してました。
色で目を塞がれるというか・・・。
やはりタレルは神でした・・・。凄まじいです。
体験時間は約10分。充実した時間です。
まだ公開は続くようなので、機会があれば是非!スケジュールはこちらから。

ところで、この秋にロンドンのガゴーシアンでもタレルの個展がやってました。
今回の「ガスワークス」は1993年の作品ですが、この発展形が発表されたとのこと・・・!!
「Bindu Shards」という新作で、これまた予約制。
見た目は「ガスワークス」とほとんど変わらないけどどんなのか気になりすぎる・・・。
誰かこれ体験した人いませんか??
ここで少し画像が見れます。
日本でもタレルの個展とかやってほしい!!
金沢ならこの「ガスワークス」や「ブループラネットスカイ」もあるしかなり本格的なものができそう。
オラファーも実現したんだし、是非お願いします!
あとカプーアも笑
あーー、光の館も泊まりたいなぁ。

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直島 再々訪


テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス@金沢21世紀美術館

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ペーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイス。
美術関係者の中で非常に人気が高い作家。
何度か単品で見てるのだけど、いまいちわからなくて、日本で一気に見れるのは絶好の機会。
昔テートモダンでもやってたけどその時はスルーした。英語で見てもしんどいだろうと思って。
今回観たいと思っていた「事の次第」はやはりすごくよかった。
これは関係者の間では「ピタゴラスイッチ」の元ネタと言われている。
こういうマジョリティのメディアである広告がマイノリティの美術をそのまま引用(というかパクリ)しちゃうことが多々あります。
こないだキューピーマヨネーズのCMが1999年のターナー賞受賞者であるスティーブ・マックイーンの作品をそのままパクッてるという話題もありましたね。
でもそもそもそのマックイーンにも元ネタがあって、っていう話題も。こちら
美術業界で「引用」(アプロプリエーション)は当然だけど、それは別の価値付けから来ていて、広告業界の引用の罪深いところは、それがマジョリティのメディアであるがゆえに、多くの人はそれが元ネタと認識してしまい、もし本当の元ネタを見た時に逆にそれがパクリだと誤認される危険性をはらんでいるということ。
まあ、そもそも元ネタを知っていれば問題ないとは思うものの、なんとなく符に落ちません。
でも、今回この「事の次第」を見てすごく安心しました。
というのも、この作品の持つ魅力は全然「ピタゴラスイッチ」に回収されてなかったから。
「ピタゴラスイッチ」は、言わばこの作品を殺菌・脱臭したような印象。
どう考えてもこのままではNHK教育で流せるわけがない笑
それほど、洗練されてないし、汚いし、なんかえぐいし。
こういうどう仕様も無い感じが現代美術のひとつの魅力なんだと思う。
それにしてもこれ30分もあるのがすごい。この鈍い連続性は見ていて飽きなかった。
他の作品は相変わらず掴みどころのない作品ばかり。
中庭の音の作品はすごくよかった。これは新作。
僕が彼らの作品を見ていて思ったのが、正直古いな、という感覚でした。
実際は最も古い作品でも1979年。まだ30年ほどしか経ってない。
にも関わらず、この古いという感覚は何なんだろうと見ながら考えてました。
それは多分、彼らの作品を評する時に頻出する「日常」というキーワードにあるのではないでしょうか。
ポップアートはあくまで広告などの「もの」を対象にしていたのに対し、フィッシュリとヴァイスが切り取って見せたのは「こと」としての日常だと思います。
初期の頃からひたすら続けている粘土の作品なんかは日常を落とし込んだ典型。
クマとパンダの映像も、美術館を飛び出し街や自然へと飛び出します。
こうした日常への態度は、今や美術界にとって当たり前になってしまいました。
彼らを祖としながら、遥かな地平へ飛び立った多くのアーティストがいます。
例えばティルマンスの写真なんかは、フィッシュリたちの「ソーセージ・シリーズ」よりさらに日常に切り込んでいるし、田中功起さんなんかはその典型でしょうね。
どちらが優れているとかそういう話ではなく、単に彼らは既に歴史になった感があるんですよね。
在命作家にも関わらず、過去の人のような印象があったのはすごく悲しかった。
新作の音の作品に心が揺れたのがせめてもの救いでした。

図書館で「ゆずれない事」のDVDも観た。
そのまま「正しい方向」も観ようと思ったけど時間切れ。
ちゃっかりカタログも読んだりして、フィッシュリとヴァイスがようやく近くなった気がします。

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

下平千夏「IMPLOSION POINT」@INAXギャラリー2

今年8度目の上京に行ってきました。今度こそファイナル。
10月から一気に5回も行ってしまった・・・。はう。
前回と今回で行った展示をざっとまとめます。
とりあえず行った順に羅列。

池田亮司@GALLERY KOYANAGI
青山悟@ギャラリーαM
下平千夏@NAXギャラリー2
アイ・ウェイウェイ@MISA SHIN GALLERY
伊庭靖子@MA2 GALLERY
青田真也@青山|目黒

で、最も良かったのは、INAXの下平さん。
この中では結構ダントツ。
そもそもDMの時点ですごい!ってなってたんやけど、実物見てびっくり。
輪ゴムが放射状に張られていて、さらに奥でねじれているインスタレーション。
写真で見た時は何か特別な大きな輪ゴム使ってはるんやと思ってたら、普通の輪ゴムを鎖のようにつないでいって作っている。どうやるんか実物見ても想像つかない。
相当な張力なはずだけど、展示どうやったんかすごく気になります。
会場にはゴムの匂いが漂ってました。
ポートフォリオ見てたら他にもスケールのある仕事しててとても面白かった。
同い年ってのもすごい!なんか嬉しい。
ここでいくつか作品見れます。
同じく、同学年の青田くんの展示もスマートでよかったです。
表面をひたすら削ることで朧気な彫刻を作ります。
これからどう展開していくのかが鍵になりそう。
お菓子のパッケージを削ったやつが結構好きでした。
MA2の伊庭さんもよかった。赤い作品が印象的。

逆に期待してたのにそこまで感動できなかったのは青山さんの展示。
二科展会員のお祖父様とのコラボのような展覧会。
作品うんぬんより、そのキュレーションがちょっと強すぎるように感じました。
青山さんの作品って、個人的にいつもどこか一歩入っていけない。
それはやっぱり技術があまりに出過ぎていて、しかもその技術がどこまですごいのか(或いは巷にあるクラフトとの違いとか)が計り知れない。
展示の仕方はかっこよかったです。
池田さんの展示はやはりMOT観てちゃね・・・って感じ。
こないだのオラファーと近い感覚。
アイ・ウェイウェイはやっぱり苦手。
それよかこの新しいギャラリーがどんな場所か見てみたかったというのが行った理由。
アートフェア東京のエグゼクティブ・ディレクターも務める辛美沙がオープン。
鉄工所を改修したような場所。
白金は他にも児玉やらありますが、あまり惹かれるエリアではない。

ちなみに白金→恵比寿→中目黒まで歩いたけど坂で死にました。。。
遠くないくせに電車のアクセス悪かったので行けるかと思ったんですが坂は計算外。
まあ、歩きましたが。

次回は2月!

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

泉太郎「こねる」@神奈川県民ホール

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今年6度目の上京。ここに来てペースが上がり過ぎ。最悪今月もう一回。
今回は特にアートとか関係なしに行くはずが、その前の用事が思ったより早く済んだので、招待状を戴いていた神奈川県民ホールの展示に行ってみた。
この県民ホールの現代美術展は2007年の塩田千春展から始まり、毎年この時期に開催される。
2008年の国立国際美術館の塩田千春展の展示ボランティアをさせて頂いた縁で、毎年レセプションパーティーの招待状を送って頂いてるのだけれど、中々行く機会に恵まれず、去年一昨年と行けずじまいに終わってしまった。さらにその時に知り合った塩田さんのアシスタントの方のお名前を失念してしまい、ご挨拶のしようがないまま今に至っている。もし万が一このブログを御覧になっていたらご一報いただけると幸いです。

さて、2日から始まったばかりの泉太郎展。
正直ここのスペースは決して現代美術に合った展示室とは言いがたいスペース。
今回、五十嵐太郎さんもtwitterで仰ってたけど、場の使い方が非常にうまい。
展示されてない雑然としたスペースもなんだか許容できるようなあっけらかんとした展示。
決して密度が薄いとかではなく、むしろ濃い。
展示目録がなかったので正確ではないが、展示作品数は全部で8点。
そのどれもが、泉さんの考えた「遊び」。
子供の頃、公園で自分たちのオリジナルの遊びを考えて遊んだことを思い出す。
そこにはちゃんとルールがあり秩序があるが、決して具体的な目的はない。
遊び楽しむこと自体が目的であり、それ以上もそれ以下もない。
そのJOYが散りばめられた、思わずにやっとしてしまう展示のラインナップ。
僕が最も好きだったのは、吹き抜け空間を使った映像作品で、赤いスポットを上から床に照らし出し、そのスポットに触れないように皆が逃げまわってる映像笑
もう笑いをこらえるので必死。ってか多分顔は完全ににやけてたと思う。
あと、スプーンとお椀で作った簡易発射機から発射されたものを、三人の女性が椅子やら机やらを組み合わせた中に拾いに行き戻ってきておわんに入れる。そしてまた発射され拾いに行くという行為を繰り返した作品。
あとは家をゴロゴロ転がす作品や、幾何学に開けられた壁の穴に粘土を押しこむ作品など。
吹き抜けの作品は正直よくわからなかった。やっぱ目録や説明が欲しかったです。
にしても特筆すべき点は、ほとんどが現場で作られた新作という点。
テレビモニターの前に水の入った容器を置いた作品以外は全部新作だったんじゃないかな。
記録としての映像と痕跡としてのインスタレーション。
この両者が同時に出来上がっているというのはとても興味深かった。
その結果が作品として立ち現れていて、展示室がまさにその現場という臨場感は大きい。
そこに人がいて、何かをしたという気配がありありと感じられてとても生々しかった。
泉さんの作品をここまでまとめて観るのは初めてだったけど、いつもこういう方法論で制作してるのだろうか。
例えばこれらの作品をどこかの美術館が所蔵するとなった場合はどのように所蔵されうべきなんだろう。
行為の痕跡というのは、やはり実際にそれが行われなければ意味が無い。
それを寸分違わずトレースしたとしても、そこには決定的な臨場感がかけてしまう。
インスタレーションではないが、ロンドンにあったベーコンのアトリエを寸分違わず再現した部屋がアイルランドのダブリンにある。壁についた絵の具のシミや汚れ等、すべて計測して徹底して再現しているのだけれど、やはり何かが違う。その部屋をそのまま移築したなら多分その臨場感は損なわれなかっただろう。
今回の泉さんの展示も、今ここで見てるからいろんなものを汲み取れるけれど、場所を変えて全く同じものを見せても難しいと思う。
痕跡としてのインスタレーションの難しさを考えた展示でした。11月27日まで。
http://taroizumi-koneru.com/

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

トランスフォーメーション@東京都現代美術館

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長谷川祐子さんと中沢新一さんのコラボキュレーションのトランスフォーメーション展へ。
結構期待してたんだけど、正直期待は超えられませんでした。
もちろんボリュームもあるし、出てる作品もバラエティに富んでて作家も豪華。
なんやけど、何かが足りない感じ。んー。
こういう「変身-変容」という大きなテーマで挑むと、どうしても「この人のこの作品は出てるのになんであの人のあの作品は出てへんねやろ?」という雑念が入って純粋に見られなくなります。
例えば土曜日までやってた名和さんの新作なんてまさにこのテーマにうってつけ。
あとJenny Savilleの両性具有シリーズとかね。
それでもいくつか印象的な展示もありました。
多分今回の目玉は表紙にもなってるマシュー・バーニーでしょう。
展示が完璧すぎて思わず笑みがこぼれるほど。クオリティー高すぎる。
180分のクレマスターは無茶!どっかで上映会せぇへんかなぁ?寝る自信あるけど。
石川直樹さんの写真もよかったし、冒頭のピッチニーニはあんな映像作ってるのは知りませんでした。
しかしなによりよかったのはサラ・ジー。
現美でサラ・ジーといえば、カルティエ財団展の時の吹き抜けの展示の印象が強く、今回はどう来るかなと思ってたんですがすごく意表を突かれました。
あの展示は素敵過ぎる!!実際に観てみてください。力のある作家です。
作品の中に今回の来日の航空チケットがあったの見つけてニヤリ。
ちなみにトゥンガの映像は怖すぎて最後まで見れませんでした…。

今回展示に関して広い空間の使い方がすごくまずかった印象があります。
3階の展示とか平面が多すぎて作品数は多いのになんかスカスカな印象。
アトリウムもイ・ブルだけならまだしも3作家も並んでて散漫。
あとやっぱ長谷川さんのキュレーションは作家がかぶります。
ウィーラセタクンや高木さんの映像はなんだか既に食傷気味です。
それともっとジャンルの横断をやってくるのかと思ったけどそこまで今回目立ってなかったです。
及川潤耶さん(同い年!)の音楽が出品されてるくらいでしょうか。
SPACE FOR YOUR FUTUREぐらい暴れて欲しかったです。
まあ、でも見ごたえは十分あるので観に行く価値はあると思います。
サラ・ジー見るだけでもホンマに価値がある。1月30日まで。

あと相変わらず常設がすごい・・・。
コレクションだけであれだけのピピロッティ・リスト特集ができるなんて。
正直本展見ごたえがあったかもしれません。
あっけらかんとすごいことやっちゃってるのが彼女の作品の魅力。よかったぁ。
あと森万里子特集まで。すごい。
この春の「Plastic Memory」で観た山川冬樹さんの作品がまだ展示されてた。今回は時間なくてパスでした。
モナ・ハトゥムの吹き抜けの作品もすごい。
上ではアンデパンダン展展。後半のまさに伝説的な展示がすごい。
んー、次の常設展も楽しみだー。
考えたら本展とこんな常設観れて1300円って安いと思う。映画観たら1800円やもんね。


さて、今回の上京は、90のメンバーの田中の銀座INAXの搬入手伝いでした。
奇跡的に台風も免れ、無事搬入終えられました。
展示は11月1日から24日まで。詳細はこちら

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

木藤純子+水野勝規 2人展@GALLERY CAPTION

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ずっと気になってた岐阜県にあるGALLERY CAPTION
結構前から名前だけは知ってて、超京都でもすごく存在感を放ってた。
なんといっても所属作家が僕好み。
今京都芸術センターで開催中のPanoramaに出品してる木藤純子さんと水野勝規さんの2人展がやってる。
そして、BIWAKOビエンナーレ開催中の近江八幡からは電車で約1時間で行ける。
ってことで、本日、午前中は友人をBIWAKO案内して、午後から行ってきちゃいました。

JR岐阜駅から徒歩10分弱。
ちょっと閑散とした場所だったけど確かにありました。
住所に伊藤倉庫ってなってるから倉庫なんでしょうか?
その建物の2階がギャラリー。
ギャラリー内は窓がたくさん開いていてとても明るい。いい感じ。
入り口で早速大きな木藤さんの代表作sky potが出迎えてくれる。
大きなガラスの器に水が張られていて、底に空のプリント。
手前と奥に部屋があって、手前は木藤さんの展示。
花の冠と割れたガラス等が展示されてる。相変わらず謎!
窓の際にもガラスが置かれていて、柔らかい光に包まれている。
ギャラリーの方のお話では、引越しの際に2つあったsky potのうちの一つが割れてしまって、しばらく悲しく思っていたのだけれど、これを新しい作品に生まれ変わらせようと前向きに考えなおしてできたのが今回の作品群らしい。
こうした個人的な物語が木藤さんの場合とても重要になってくる。
地元である富山のガラス細工の知人と共同でガラスを溶かして様々なものに生まれ変わらせる。
中には木藤さんが作ったビー玉のような玉もあって、中に灰を混ぜたりして不思議な模様が浮かんでいる。
花の冠は、そのpotの底の大きさと同じ輪っかなのだそう。説明ないとわからん!
でも、こういう見えないところをさりげなく込める木藤さんの作品はやっぱり好きです。
説明を聞く前と聞いた後で全然見え方が違う。
かと思えば、窓際に置いてた色とりどりのガラスは、この物語に関係なく、海で集めてきたものらしい笑
こういう深読みもできちゃう凄まじい振り幅の作品群です。
奥の談話室みたいなところには、で見せてた版の作品もあった。

奥の展示室では水野さんの「monoscape」の連作。
モニターが床に整然と並んでいて、その前の椅子に座って見る、というより眺める。
とてもシンプルな展示でしたが、じっと見てられるのが水野さんの映像の魔力。
明るいところで映像を見せるのはやっぱりいいですね。気分も晴れる。

そんなこんなで初CAPTION体験。もっと前に来とけばよかった!
この展示は11月27日まで。
ギャラリーのYさん、ご説明ありがとうございました。

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

バーネット・ニューマン展@川村記念美術館

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注目のバーネット・ニューマンの日本初個展に行って来ました!
もう去年のロスコがあったので、まちがいはなかろうということで。
今回東京駅から美術館まで直通のバスが登場して超便利になりました。
片道1300円(Suica利用で1250円)と、電車で行くより少しだけ高いですが、便利さは格別。
東京駅から10:55発一本のみなのでお見逃しなく。一時間ちょっとで着きます。
八重洲中央口からとなってましたが、正しくは北口よりさらに北にバス停があります。
駅降りたらすぐやろと見越してたので焦りました。
にしても乗ってたの僕合わせて3人だけだったんですが、これから先大丈夫かな。。。

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さて、まずはコレクション展。
驚きはカルダーの展示室。
なんと壁と天井が水色!
それに赤いかれのモヴィール彫刻がすごくマッチしてます。
床のデザインは少しやりすぎな感もありましたがおもしろかったです。
そして、なんといってもここはアメリカ近代美術の宝庫。
ポロックに始まり、アルバースにライマン。
何度見ても圧巻なのがステラの作品群。
ここにあるものだけでステラの変遷が踏めます。
そして、今回ニューマンと同時に楽しみだった部屋へ・・・。
そう、ロスコルームです。
前回のロスコ展の時は閉まってましたからね。
入り口が二つあって、とりあえず右側から。
これはすごかった!!!
以前のロスコルームはホンマにダサくていやでしたが、今回は文句なし。
床は黒い木で仕上がってて、なんといっても壁が絵に合わせて折れ曲がってる!
7枚ある絵画に対して、7角形の部屋。
ソファーもそれに合わせた畿科学のソファー。
あえて言うなら壁の質感がもう少しマットでもよかったのでは、というところか。
ロスコの絵に360度囲まれる体験。すばらしいです。

そして、肝心のニューマン展。
今回はそのためにニューマンルームは閉鎖。
入るとロスコ展と似たような構成。
まず椅子が置いてあって、一枚の絵画。
赤い画面の真ん中に一本の白い線(ジップ)が入っている。
ロスコの時もそうやったけど、ものすごい強い絵が最初に来ている。
次の展示室は初期のまだまだ迷走期ともとれる抽象画。
しかし、先ほどの一枚目が1949年に描かれたのに対して、これらは1946年。
たった3年であそこまでたどり着いたのか!という驚き。
さらに次の部屋は版画の部屋。
すっかり色面で構成するやり方が板についてきた模様。
そして一番大きな展示室には、晩年の作品たちが並ぶ。
さらにその次には今回のメイン、「アンナの光」が出迎える。
これは母アンナの名を冠した横幅6mにも及ぶ彼の代表作。
それがここの所蔵ってのが恐ろしい。
しかしやはり先にニューマンルームでの展示を見てしまっているのでそれほどの感動もなかった。
やっぱりあの部屋はこの絵の為だけに設計されてるとあって、格別。
なんだか小さくなってしまった印象すら受けた。
また、全体的にも、初期の抽象からジップの登場をつなぐ作品がなくて、いきなりこのスタイルに行き着いてしまった感があるのが残念。
まさにミッシングリンク。
あとで画集を見たら、やはり、少しずつジップの姿が登場してくる時期があって、その誕生の瞬間というのはロスコもそうだけど、感動するし鳥肌がたつ。
そこらへんをなんとかカバーしていただきたかったです。
最後の映像は長すぎて10分ほどで退散。
なんでミニマルな表現する人ってよくしゃべるんやろ笑
それにしてもタイトルがすごくかっこよかった。
「存在せよ(BE)」 「原初の光」「夜の女王」「名」「そこではなく、ここ」など等
それらのタイトルも大きくキャプションされてるのがよかった。
タイトルってすごく重要だと思う。
期待ほどではなかったけれど、すごくよかったです。12月12日まで。
ロスコルーム観に来るだけでも価値がありますね、ここは。
ちなみに帰りの東京駅行きバスは15時半ぐらいだったのだけど、そこまで時間つぶせず電車で戻りました。
関連記事>>マーク・ロスコ 瞑想する絵画 @ 川村記念美術館

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

名和晃平「synthesis」@SCAI THE BATHHOUSE

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約4年半ぶりとなる名和さんのSCAIでの展示。
来年の現美の展覧会も控えますます脂の乗ってる作家。
その4年半前はお手伝いさせて頂いてましたが、すっかりビッグになられました。
4年半前・・・来た時東京は大雪に見舞われ谷中が大変なことになってたのを思い出します。
今回は大きく手前と奥に分けて展示。
手前側ではドローイングを。奥では彫刻を展示。
まず入って驚かされるのが、そのドローイングのインスタレーション。
すさまじい量のドットが描かれていて、モアレを起こさせます。
このインスタレーションは本当にすごかった・・・。
元々僕は名和さんのドローイングが大好きなんですが、こういう形で見たのは初めて。
スタッフの努力も垣間見えます・・・。
また奥の彫刻ではなんとビーズの作品に変化が。
素材はいつもの鹿の剥製なんだけど、何かがおかしい。
何がおかしいって、顔がふたつ・・・2頭がくっつけられてる!
今回のタイトル「synthesis」には合成という意味があって、まさにコピペするように、2頭がかぶさって、ビーズによって合成されてる。
以前にも名和さんは、剥製というのは型が決まっていて、そのパターンにあわせて皮を貼り付けているだけ、とおっしゃってましたが、まさに同じポーズの鹿が組み合わされてる。
また、左右の壁にも頭の剥製があり、こちらも2頭。
入って右側のなんか、どういう風にくっつけてるのか、不可思議なフォルムでした。
最初DMで観たときなんか変やな、と思って気づかなかったのですが。
正直実物見るまで、そんな不自然なことしちゃったらコンセプトとかゆがむんじゃないの?と少し懐疑的だったんですが、実際に実物を目の前にすると、めちゃくちゃ「強い」んですよね。
有無を言わさぬ強さがあって、名和彫刻が新たな局面を迎えているように思いました。
名和さんの作品ってやっぱりきれいすぎるところがあったり、コンセプトが精密すぎたりで、そういうのに縛られてる感も年々拭えなくなってる感がありました。
でも、去年のエルメスでの個展で、そういうしがらみにある種終止符を打ったんじゃないかと。
あの展覧会は、改めて、Liquid、Beads、Scumと、今までのシリーズを総括することで、第一幕の終わりを示していたんじゃないかと、勝手に推測。
今回の展示が第2幕に向かって新たな一歩を踏み出している気がします。
ただ、やはり外と内がまだ整合性がとれてない気がします。
そこをうまくつなぐ糸口が見えれば、また新たな彫刻を見せてくれそう。
来年の現美ホンマに楽しみです!
SCAIでの展示は今月30日まで。
<関連記事>
名和晃平「L_B_S」@エルメス銀座
名和晃平講演会「名和晃平の"アート"」@京都精華大学
名和晃平「GUSH」@SCAI THE BATHHOUSE


オラファー・エリアソン展@Gallery Koyanagi
ここ最近の小柳さんのラインナップがすごすぎる件。
だって、須田悦弘、束芋に続くこのオラファーですよ。しかも次は池田亮司。
東京住んでたら毎回通っちゃいますね。
ちなみにこのオラファー展はほとんど観た事ある作品。
奥の岩の写真と、影の作品(黒バージョン、カラーバージョン)など。
一番奥の部屋の映像は、多分こないだベルリンでやった個展の時の作品。
でっかい鏡をサイドに張ったトラックを走らせて、その模様を映している。
ってか、これ事故になりかねないけど大丈夫だったのかね?
金沢とか見ちゃった後だとやっぱ物足りないですね。今月28日まで。
ちなみに名和さんがSCAIで個展した4年前の記事にオラファーの原美の個展も載ってる。
<関連記事>
Olafur Eliasson 'Colour activity house' @ 金沢21世紀美術館
オラファー・エリアソン「あなたが出会うとき」@金沢21世紀美術館
Olafur Eliasson 'SUNSPACE FOR SHIBUKAWA' @ HARA MUSEUM ARC
Serpentine Pavilion 2007


小池一馬/牡丹靖佳展@hpgrp GALLERY 東京
6月のMA2での個展でファンになった牡丹靖佳さんと小池一馬さんの2人展。
小池さんは半分に割れたモアイ像みたいなのが床に置かれてるインスタレーション。
モアイ(仮)の中から海の音が流れていました。
正直小池さんの作品はよくわからなかった。
ポートフォリオ見たら絵も描かれている彫刻家みたいだ。
一方牡丹さんは相変わらず素敵過ぎてたまらなかった。
4枚のMDFに直接描かれた油彩。画面の前には絵から零れ落ちたような色とりどりの木片が転がってる。
少し離れた所に小作一枚と、その反対の壁に青を画面の半分ぐらいまでさっと塗ったような小作。
ギャラリーの方曰く、小池さんが今回の2人展をやるにあたり、海のイメージがあって、牡丹さんに海の絵を描いてほしいとお願いしたら、そんな簡素な絵が生まれたんだそう。すごい!
奥からこの展示全体をイメージしたこれまた小さな絵を持ってきてくださったのだけど、これが物凄くよくて、展示してないのはもったいないくらい!ホンマにほしくなった。買えばよかった。
これから追いかけていきたい作家の一人です。この展示は今月24日まで。


石塚沙矢香展@INAXギャラリー
越後妻有大阪アートカレードスコープで拝見した作家さん。
今回は樹脂(?)の上に割れた茶碗やコップが置いててそれが会場に浮かんでいるというもの。
樹脂の上に奥意味はあったんでしょうか?ちょっとがっかり。
ポートフォリオ見てたらすごくおもしろいことやってる。これから楽しみ。今月28日まで。
この次はstudio90メンバーの田中真吾展です。月末また手伝いにきまーす。

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

あいちトリエンナーレ2010


土曜日に始まったあいちトリエンナーレ2010に行ってきました!
今週はこれを皮切りに色々アートな一週間を過ごします。イエイ。
8月更新ほどんどなかったんで、これから巻き返しです。

さて、まずはお馴染み18切符で名古屋駅へ。
地下鉄栄駅で降りてオアシス21の草間さん(写真上)を鑑賞。
そして愛知芸術文化センター前の草間彌生xプリウスも鑑賞。

センター内吹き抜けでは松井紫郎氏の巨大バルーン彫刻がお目見え。
かっこいいけど素材感が安っぽすぎるのが難点。



10階でチケット引き換えていざ中へ。
登山博文の絵画から、蔡國強のドローイングまでざっと見る。特に感動はなし。
ハンス・オブ・デ・ビークでようやく足が止まる。
これはジオラマを組み立てて風景を作っていく映像なんだけど、白黒の映像が美しいのと、音楽が素晴らしいのとで、とても「巧い」映像だと思った。映像作品っていかに観客に足を止めさせるかが肝だけど、これは見事に成功していて、気づいたら会場内にはたくさんの人々が釘付けになって見ていた。僕も結局最後まで観てしまった。良作。
次のファン・アラウホの精密すぎる雑誌の模写は必見。
ライトの帝国ホテル特集の雑誌を模してるのだけど、何でライト?と思ったら愛知県にそういやライトの帝国ホテルのある明治村があるんだった。
ここ一段床が上がっていて皆けつまづいてた。僕もそのうちの1人。要注意!
続くジャン・ホァン、三沢厚彦+豊崎秀樹と大掛かりな作品が続く。
その先の志賀理江子の部屋は良い意味で恐かった。なんだろうあの感覚。
続いて8階へ。
イマイチ順路がわかりにくく、途中で見逃していないか不安になった。
気になったのはソニア・クーラナのパフォーマンス映像。色んな場所でただ寝転がっているだけのパフォーマンスなんだけど、来ている衣服がぼろぼろでホームレスさながら。鳩が群がって大変なことになってる映像もあった笑 見様によってはコミカルだし、シニカルだし、不気味でもあるその振り幅がとても気に入る。なんか来日して実際にそのパフォーマンスをやるという話を聞いた。見てみたい!!
あとは、シドニーでも見たツァン・キンワの文字が蛇のように床を這う映像インスタレーションも相変わらず気持ちよかった。(シドニーの時は天井やった)
お目当ての宮永さんのインスタレーションは相変わらず美しかった。
でも今ひとつ物足りなかった。なんでかと思ったら、このトリエンナーレを回っていくうちにわかっていくのだがそれはまた後で。
係員の人が「作品が塩で出来ていますので触らないでください」と注意していたが、その説明ではナフタリンの作品まで塩で出来ていると勘違いするお客さん続出な気がする。というか実際「へぇ、すごい、これ塩でできてるんだって!」と興奮気味に話すお客さんを目の当たりにしてしまった・・・。確かに塩に見えなくもないのが難。塩とは回りに張られた糸に付着している堀川の塩のことです!
あと12階ではコンペで通った企画展が開催中。ちょっとよくわからなかった。
そんなこんなで芸術センターを後に。所要約1時間。早!
ここでタオルを落としたのが大失敗でした・・・。

昼飯にせっかくなので味噌カツ丼を食う。あんまおいしくなかった泣
腹ごしらえも終えて続いて名古屋市美術館へ。

着いた頃には汗だく。泣きそう。
まずは1階から。早速オー・インファのお香を使ったインスタレーションに感動。お香の粉で文字を作っているんやけど、会期中その文字を伝ってお香が焚かれ続けている。視覚的にも嗅覚的にも美しい作品。
そして吹き抜け部分では、塩田千春の血管を思わせる赤い液体の通ったチューブのインスタレーション。資生堂の椿会展で見せていた映像の中の管がインスタレーションになって登場です。
実はこの前に近くのケンジタキの塩田千春展にも行ってきました。
ここでは鞄を使った新作インスタレーションを発表。
瀬戸内でも発表してるし、勢力的すぎる発表に度肝抜かされるのだけど、正直彼女の作品の精度が最近目に見えて落ちているように感じてしまう。こちらの感性が変わってしまったのか、それともただ見慣れてしまっただけなのかわからないけれど、昔まで感じていた有無を言わさぬあの圧倒感を近作には全く感じなくなってしまっている。結婚もされて、かわいいお子さんも生まれて、彼女を覆い続けていた不安から開放されてしまったから?そうだとするとあまりに悲し過ぎる。その開放から放たれる光にシフトした作品を見てみたいです。瀬戸内もこの秋の建仁寺の展示も期待してます!
ところで、この吹き抜けの奥に、カプセルホテルみたいなインスタレーションがあったのだけど、今見取り図見てたら載ってないんですがどういうこと?あれ誰の作品やってんやろ・・・。
その逆側のトム・フリードマンの展示観てたら、某アートブロガーさんに出会う笑
彼女は日曜にも行っていて、休日は凄い人で作品を落ち着いて観れなかったそうな。
色んな情報もらいつつ2階へ。2階は特筆すべき作品はなかった。
地階へ降りると島袋道浩の個展みたいになってた。
そしてこれがすごくよかった。なんか一貫してる強さみたいなのを感じた。
愛知の知多郡南知多町篠島をテーマにした展示。必見。
常設展も観たが、結構いいもの持ってて見応えありました。

続いて近くの二葉ビルへ。ここでは梅田哲也の展示が開催中。

相変わらず独特の世界観。
シャッターが開くという話を聞いたんだけどこの日は調整中。残念。
ちゃんとことが起こる瞬間まで忍耐強く待ちましょう。

さて、長者町エリア。ここがこのトリエンナーレの難関・・・。

会場が散在しているので、観るのが大変。
この炎天下には完全に不向き。皆さん秋に行きましょう。
見所はスターネットジャパンビルの渡辺英司のインスタレーション。すごいです。

あと、ビルの外壁とかにも作品があったりして、これこそ今回のトリエンナーレのテーマ「都市の祝祭」にぴったりだと思いました。えびすビルPART1の壁面の大山エンリコイサムのウォールペインティングは必見。

旧玉屋ビルの作品はどれもよかった。
山本高之の子供が自分の作った地獄の説明をしている映像もシュールでよかったし、小栗沙弥子のガムの包み紙で壁を覆った作品もよかった。青田真也のひたすら磨いていく彫刻もそれが空間にまでおよんでいて見応えがあります。
あと、路上で野犬と軍鶏とコブラとサソリとタランチュラが喧嘩しまくってる壮絶な映像があったんやけど、あれ誰の作品やったんやろ・・・。てっきり文化センター8階でライオンとかが路上にいる写真を展示していたアデル・アブデスメッドの作品と思い込んでたんやけど、地図には表記されてない。確かエルメ長者町で観たと思うんやけど。曖昧。
他には中愛株式会社地下の戸井田雄の「時を紡ぐ」という作品が素晴らしかった。
会場に入ると、本当に何もない空きテナントって感じなんやけど、しばらくすると暗転して、床に像が浮かび上がる。像と言っても具体的な形ではなく、その床に刻まれた傷が青白く発光してものすごく幻想的。これが本当に今までついてきた床の傷をなぞっているのなら素晴らしいと思う。どちらにせよ美しい作品。
他には僕の先輩の佐藤建博の作品もあるのだけど、制作中だった。残念。
この長者町には会場がなんと20カ所以上もあるので大変でした。ふー。

ここで最後の納屋橋会場に行くのだけど、もう暑過ぎて歩けそうにないので、トリエンナーレ中チケットがあれば無料で乗れるベロタクシーを利用させてもらった。各会場を言えばどこでも回ってくれて、風がものすごく気持ちよかった。名古屋駅からも出ればいいのに。



納屋橋会場は元ボーリング場跡でものすごくインフラが整ってた。

ここは映像が中心だけど、中でも小泉明朗の作品は素晴らしかった。
普通の街中で1人の演者が台詞を独白。
その演技にどんどん拍車がかかってきて、最初は無視していた回りの人々も段々無視できなくなってくる、その異物感が観ていてドキドキした。
あと、梅田宏明の目を閉じて鑑賞する映像は、水戸芸の「REFLECTION」展で観た宇川直宏の映像に近いものを感じた。要するにやはり目を閉じて鑑賞するのはまだまだ無理があって、これは芸術ではなく単なる刺激だと感じた。
スタッフさんの「目を閉じてご覧下さい」という言葉がおもろかった笑
楽しみにしていた楊福東の映像が機械の調整で観れなかったり、「老人ホーム」で有名なスン・ユァン+ポン・ユゥの作品も機械の調整でちゃんとした作品として観れなくて残念。後者は上に取り付けられたバルコニーの奥から本が飛び出してくるという作品らしい。観たかった!
あと、小金沢健人の作品見逃してたことに気づいた!ガッシュ!

全部見終えて、会場前の堀川沿いを歩きながら、文化センターで宮永さんの作品を観ながら覚えた違和感を思い出した。
そして、彼女は文化センターではなく、こちらの会場で展示した方がしっくりくるということに気がづいた。なぜなら、展示されていた塩はこの堀川から精製された塩だったので、この川から出来るだけ近い会場で展示した方が説得力を増すのである。
そう思いながら歩いていたら、なんと納屋橋の袂に宮永さんの作品が!!!

これは地図にも載っていないので発見は偶然。
でもなんか自分の想いと宮永さんの想いがシンクロしたようですごく嬉しかった。
やはり彼女も場所と作品の関係について、その必要性を感じていたのではなかろうか。そしてその気持ちがこの作品に現れているのではないだろうか。
塩は野外だと雨風で流れてしまうので、代わりに桶に鏡が張ってあったり、ナフタリンの作品が展示されていた。これは必見です。

そんなこんなで真夏のあいちトリエンナーレ鑑賞終了!!
暑かったーー。何?の汗を流したのかしら。疲れた。
総評としては、星3つといったところ。
確かにひとつひとつの作品はいいのも多かったけれど、この名古屋という街で行われる必然性をほとんど感じませんでした。
「都市の祝祭」と銘打つならば、もっと街中に展開すべきだったと思うし、結局ほとんどが建物の中に収まってしまっているのは残念すぎる。
正直最初からそこまで期待していなかったものの、少しは良い意味で裏切ってくれるんじゃないかという仄かな期待もあったんですが、特に裏切られることもなく、大体予想の範囲内。
横浜もそうですが、これからここまでのお金をかけて続けていく意味あるんでしょうか。
実際スタッフも街中にたくさん配備されていたり、すごくお金がかかっています。
だけど、ベロタクシーの運転手さんも言ってましたが、全然市民に認知されてないらしい。
もっと市民に還元できるような、豊かな芸術祭になってほしいです。
でもそれも都市の中では難しいように思う。
都市には選択肢が溢れ過ぎていて、切迫感が欠けている。
越後妻有が成功しているのは、この切迫感が重要なんだと思う。
来年は横浜です。もう観に行くのはよそうと思っていたのだけど、先日発表された内容で、なんと僕の大尊敬するキュレーターの逢坂理恵子さんがディレクターとのこと!これは観に行かねばなりません・・・。横浜美術館の館長でもあるので、連動して美術館でも何かやってくれるに違いありません。前回は「源氏物語絵巻展」でしたからね笑 楽しみにしておきましょう。

帰りに名古屋駅内の松坂屋でまたも草間彌生発見。
草間で始まり草間で終わる。。。



ちなみに僕の場合凄い早さで回ったら、10時に見始めて3時過ぎには見終わりました。
いくつか観れない作品があったり、夜にしか観れない作品もあるけど、泊まりで観る程あるかってわけでもないので微妙なところ。来月から豊田市美で始まる石川純也展とセットで行くなら泊まりがけは十分に価値があります。僕は12月に行く予定。もちろん18切符でッ!
あと、西野達や池田亮司、高嶺格など期間限定でしか観れない作品もあり。鬼!
さらにこのトリエンナーレの目玉は後半に行われるパフォーミングアーツです。
すべての公演が豪華過ぎ!全部観たい!名古屋人羨まし過ぎ。
なので、上の評価は正当な評価とは言えないかもしれません。
百聞は一見に如かず。素晴らしい作品も多いので観に行く価値はあると思います。
10月31日まで。是非涼しくなってから行くことをおすすめします。
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ジャコメッティと Ⅱ @ 国立国際美術館

・2019.09.14-11.10
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・2019.10.24-10.31
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・2019.11.16-2020.02.16
ダムタイプ―アクション+リフレクション @ 東京都現代美術館

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藤田貴大「ねじまき鳥クロニクル」@ 東京芸術劇場プレイハウス

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