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「耳をすましてー美術と音楽の交差点」@茨城県近代美術館

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水戸まで足を延ばしてきました。
目的は水戸芸術館、だったのですが、「ついでに」観に行った茨城近美の展覧会が、近年稀に見る素晴らしいテーマ展だったというまさに「棚からぼた餅」体験でした。
「耳をすまして」と題されたそれは、美術側から音楽へのアプローチの変遷を見る展覧会。
視覚芸術である美術と、聴覚を使う芸術の音楽。
下手に「領域横断」に手を出すのではなく、はっきりと「美術側から」と銘打ってるのも好感がもてます。
また、以前にもここでは「眼をとじて」という展覧会をやっていたそうで、今回も同様、美術鑑賞とはまた異質な態度を喚起するテーマになっています。
今回初訪問でしたが、「眼をとじて」も観たかったです…。

まずこの展覧会が素晴らしかったのは、「音楽」と聞いて、思い出しうる作品はほぼ揃っていたこと。
三木富雄の耳から始まり、ルドンの版画、マン・レイの写真、そしてブランクーシのミューズの彫刻。
もうのっけからして、「これはただごとじゃない…」と悟りました。
その後もマックス・クリンガーの楽譜の挿絵に、シャガール、そしてもちろんカンディンスキー!!
さらにさらにマチスの切り絵の版画にクレーにライリー。
これはマジですごい!!圧巻のラインナップです。
全国から掻き集められた名品の数々。かなりテンション上がりました。
そして、この展覧会において、それらが「音楽」というキーワードでゆるくつながっていて、まるで作品と作品がバトンを渡しあうような、素晴らしい調和が生まれていました。
個性ある作品たちが、まったく喧嘩をしていない。驚異的です。
こうして近代の名品たちに彩られた第1部の「音楽にあこがれる美術」は幕を閉じ、第2部「音と交差する美術」が幕を開けます。こちらは現代美術中心。そしてのっけからいきなりジョン・ケージッ!!!
ケージの「RYOKU」と題された版画。意味わからんけど美しい。
そしてお次は音楽といえばこの人、藤本由紀夫さんです。
藤本さんの作品をこれだけ一気に観たのは初めてかも。
作品数はすごく多いのに、とてもスマートな展示。
オルゴールがゴミ箱に落ちる作品がおもしろい。
あと研磨して聞けなくなったビートルズのレコード「DELITE」もいい。
そして最年少八木良太氏。
八木君は、若くして美術館の展示がすごく多い。次もMOTアニュアルがもうすぐ始まる。
そして今回のテーマにぴったりの作家さん。
なんか藤本さんを継承してる感じでこの流れはすごくよかった。
氷のレコードが毎日2時半から学芸員さんの手でかけられるらしい。
行ったのは午前中で、聞けなかった。残念。
他にも砂時計の砂を聴く作品や、水に浮かぶレコード。表麺のラベルにSKYと書いてて、裏面は底の鏡に映しだされてSEAと書かれている。詩的な作品。
その隣にあったのは机の上のヘッドフォンをつけて、しゃがむと水に潜った音がする作品。
仕組みはどれもシンプルやけど、どれも楽しい作品。さすがです。
そして野村仁の「'moon'score」。大好きな作品です。改めて音楽で聴く。
隣の部屋には金沢健一さんの鉄の作品。
鉄の板の上で踊る砂の映像と写真。そして観客が鉄の欠片を叩いて「演奏」する作品。
欠片はひとつひとつ違う形をしていて、どれも音が違う。
最後に石田尚志の映像。バッハの「フーガの技法」とドローイングのアニメーション。
映像に使われた膨大なドローイングも展示してあって、すごい量でした。
また、一階にも作品があり、藤本さんの椅子に座ってパイプから聞こえる音を聴く作品と藤枝守のモノコードの作品。
藤本さんのはMOTにもありますね。
藤枝さんのは芸術センターで観ました。めっちゃがんばらないと音が聞こえません笑

とまあ、こんな感じ。
思わずカタログ買っちゃいました。
1700円で、なんとCDまでついてる!
CDには、藤本さんの椅子の作品のパイプにマイク仕込んだ音と、金沢さんの鉄の音楽、さらに藤枝さんと八木くんも参加。超豪華です!!!
300部限定となってましたが、これは手にいれておいてよさそう。
もう本当に素晴らしい展覧会でした。
美術館でのテーマ展で、これだけ感動したのは、2008年の広島現美の「MONEY TALK」以来。
早くも今年のベスト10に入るのは間違いないです。超おすすめ!
来週から水戸では梅まつりだそうです。併せていかがでしょうか。

「耳をすましてー美術と音楽の交差点」@茨城県近代美術館
2011年1月22日-3月6日 月休(2月21・28日は開館)
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/kikaku/index3.html


<関連記事>
「ある風景の中に」@京都芸術センター
八木良太「制作と実験」@京都市立芸術大学新研究棟1階立体1教室


「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」@水戸芸術館
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本来こちらがメインで水戸入りしたわけですが、正直相当期待はずれだった展覧会。
もう、去年のターナー賞受賞者スーザン・フィリップスと、ずっと観たいと憧れ続けた土屋信子さんの作品が観れるってんで、テンション上がりまくって初日から行ったんですが。。。
確かにスーザン・フィリップスの中庭に響き渡る透き通る歌声は素晴らしかった。先述の「耳をすまして」の流れで出会ったので、感動も一潮。
そして土屋さんも確かによかった。あのわけわからん世界観。たまりませんでした。
確かに一人ひとりの作品は文句のつけどころがありませんでした。
eNartsで観た小林史子さんも、木村友紀さんも期待通りでした。
では、何がいけなかったのか。
それはやはりテーマの設定と展示の方法。つまり残念ながらキュレーションです。
まず「クワイエット・アテンションズ」というタイトル。
観る前はなんて素敵なタイトルなんだろう、と思ってました。しかし観た後にこのタイトルが果たしてまったくこの展示に相応しくないように思えてならなくなりました。
最初の展示室から、いきなり躍動感あふれる小林さんの自転車のインスタレーション…。
ク、クワイエット???とのっけからつまづきました。
そして、展示室を順にたどっていっても、正直「クワイエット・アテンションズ」は展示のノイズにかき消されて、最後まで聞こえてくることはありませんでした。
そして展示。1展示室1作家という、まるでスライドレクチャーを見ているよう。
この展覧会は何がしたかったんでしょうか?
女性作家の紹介展だったのでしょうか?
もう少しミニマルな展示を期待していたんですが、悪い方に裏切られました。
まあ、そんな期待は当方の責任ですが、もう少し作品と作品がつながるような展示になるような試みがあったらなーって感じでした。ビックリするぐらいすっぱり切れてるので。
あぁ、これで近美がなかったら正直救えなかった。
水戸芸に関しては残念ながらこんな感想しか書けません。ごめんなさい。
まあ、紹介展と開き直れば見る価値はあると思います。
とにかくスーザン・フィリップス素晴らしいです。5月8日まで。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

小谷元彦「幽体の知覚」@森美術館

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本年初上京してきました。わざわざ大雪の日に…。
大雪といえば、5年前にScaiの名和さんの展示観に行った日も大雪でした。
あの時は谷中がすごい景色になってたなぁ。
今回は雪質が水っぽかったのでほとんど積もってませんでした。
むしろ大阪とかの方がやばかった。
そんな雪にも負けず色々行ってきましたのでご報告。

まずは森美の小谷元彦展。
オペラシティの曽根さんと迷いましたが、曽根さんエルメスで見たんで割愛。
ちなみにエルメスは「雪」展。まさにこの日にうってつけ。
でっかいクリスタルで雪の結晶を彫った彫刻と大理石でゲレンデを彫ったやつ。あと絵画とドローイング。
クリスタルの雪は、レンゾ・ピアノの建築とマッチしてました。
が、やっぱ好きになれない。オペラシティに足が向かなかったのもこのため。
エルメスが今月28日までで、オペラシティは3月27日まで。
というわけで小谷さん。
すごい作品量でした。完全に元は取れます笑
これがまだ30代の一人の作家の仕事量なのか、という。
小谷さんの個展は2004年のKPOで一回見てます。
なので、最初の少女の写真や、鹿の剥製に矯正器具はめたやつとか、ヴェネツィアに出してた女の子がハエ食っちゃう映像とか、あと滝のやつとかはもう既に見てたのでほぼスルー。(滝は並びすぎってのもある)
それ以降の仕事は、おもしろいことに、より「彫刻」的になってました。
つまり、純粋に造形ということ。
こういう仕事って、「東京芸大の彫刻!」って感じだやなーと感じます。
京芸の彫刻は、ある一定のルールを課して、造るというより生成するって印象。
名和さんなんか、まさに京芸の彫刻って感じがする。
昨年小谷さんと名和さんの対談がありましたが、名和さんの直後のツイートがそれを物語ってます。
「小谷さんとのトークは彫刻について。方向性の違いが浮き彫りに。そもそも畑が違うのかも知れない。」
名和さんと小谷さんのトークについてはこちら>> 1 2 3 4(未)
前に爆笑問題のNHKの番組で、東京芸大の特集がありましたが、彫刻科の工房で、昇龍を彫ってる人がいて、僕の中では衝撃的でした。こんな人おんねや!!って。
東京芸大は、やはり芸術における技術を重んじてる大学だと思います。
それは、受験の時点からスタートしていて、あのデッサンは端から見ていて異常です。
故に技術命な日本画なんかにはとても向いてると思う。
村上隆を初め、松井冬子、千住博なんかもそうですね。
逆に、現代彫刻、或いは油画における技術は、そこまで重んじられていない気がします。
だから、日本のアートシーンにおける現代彫刻は京芸が強い印象。
現代造形において、技術は磨けば磨くほど工芸っぽくなっちゃうというきらいがあります。
そういや曽根さんも芸大なんですね。納得。
曽根さんと小谷さんは、2003年のヴェネツィア・ビエンナーレの日本館で二人展やってます。
小谷さんは去年エルメスで個展やってるし、色々共通点が。
こういう教育における作品の方向性ってないようで実際ある気がする。
僕なんて、まさしく精華って感じがします。抽象命!マーケットなんて糞喰らえ!的な笑
他の大学はわかりませんが、こういう傾向っておもしろいなぁ。
で、展覧会ですが、ひとつひとつが「俺を観よ!」と投げかけてくる強い作品ばかり。
中々楽しめましたが、やはり僕の見たいものではないなぁ、って感覚。
鑑賞者に委ねる部分があまりにすくない気がします。
もちろん、こういうのって、作品を見慣れてない人にはとてもいいと思います。
「現代美術ってわからない」とよく言うけれど、「わからない」良さが現代美術にはあるんだと思う。
「あれは何やったんやろう?」と考えることが、現代美術の入り口につながるんですよね。
その点で、やっぱり小谷さんの作品は僕の中でちょっと違う気がします。
そんで、相変わらずエルメスの作品がビス丸見え…。萎えます。なんで?
最後のドキュメント映像で、スタイリッシュな小谷さんが、回転するドクロにロウソク垂らして、「あっつ!あっつ!」と泥臭いことやってるのは面白かった笑
まあほんと、見ごたえという点では文句なしの展覧会。今月27日まで。
このあと静岡県立美術館、高松市美術館、熊本市現代美術館に巡回します。
それにしても、森美って見せ方がワンパターンでおもしろくないですね。
こういう量で見せる方法しかできないのかな?もっと別のやり方はないのかな?
例えば、3部屋ぐらい使って1つのインスタレーションを見せるとか。
次のマルセル・デュシャン賞展も見に行こうと思ってますがどうかなー。


高嶺格「とおくてよくみえない」@横浜美術館
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前評判悪過ぎの高嶺さんの展覧会へ笑
もうかなり覚悟して行ったので、逆に結構楽しめました。
高嶺さんのこの展示に関して、やはり特筆すべきは「感情の揺さぶり」ではないでしょうか。
前半のゆるい作品(タオル、物々交換)から、いきなりアメリカ批判やパレスチナ問題、在日など。
そして最後のタイトルにもなってる「とおくてよくみえない」。
前半は本当に笑いました。
あのタオル(毛布)の展覧会は一体!?
物々交換の映像のとなりの外人は一体!?
謎過ぎます。
後半は、既に見てる作品が多かったので、ちらっと見るぐらい。
「ベイビー・インサドン」はこの一年で3回も見てる…。
最後のは本当に謎でしたね。高嶺さんらしいといえばそうですが。
壁に書かれたメッセージも意味深。
本当に遠近のとれない人。まさに「とおくてよくみえない」です。
これまでの高嶺さんの仕事がほとんど見れます。さすがに「木村さん」の展示は写真だけでしたが。
高嶺さんって、アート関係者(特にキュレーター)のファンが多い。
わからないわからないと思いつつも、やっぱり気になってしまう存在なんでしょうね。
これだけ個人の魅力で作品が成立してる人って珍しいと思う。不思議な人。
この展覧会は3月20日まで。この後なんとイギリス・バーミンガムまで巡回だそうです!!
ちなみにこの高嶺展と小谷展、曽根展は、それぞれのチケット持っていくと割引が効きます。
あとiPhoneのミューぽんっていうアプリを1月31日まで600円やったから買ったんやけど、元取れるんかな…。とりあえずこの高嶺展で200円分割引。
関連記事>>高嶺格「Melody?Cup」@伊丹アイホール 高嶺格


ライアン・ガンダー「Ftt, Ft, Ftt, Ftt, Ffttt, Ftt, or somewhere between a modern representation of how a contemporary gesture came into being, an illustration of the physicality of an argument between Theo and Piet regarding the dynamic aspect of the diagonal line and attempting to produce a chroma-key set for a hundred cinematic scenes」@TARO NASU
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「謎な人」という点ではこの人も負けてません笑
なんだこの長いタイトルはーーー!!
昨年の「レゾナンス」展以来気になってます。年末のグッゲンハイムでやったのも気になる。
なので、最終日無理矢理滑り込みです。
実はこのTARO NASUは何気に初訪問。
馬喰町は何度も来てるし、おとなりのαMも何度か来てるのに、いつもタイミングが合わずに閉まってたり、おもしろい展覧会やってなかったりで行けてませんでした。
青木さんのリノベーションってのも気になってたんですが。
地下に降りると、会場に矢が刺さりまくってる!!!圧巻です。
わざわざこの為に床作ったりして、このギャラリーは本物だと思いました。
また、奥には木の板に着色したような色とりどりの作品群が。
これ、よくみるとすべて同じ形。どうなんてるんや?
とギャラリーのスタッフさんに聞いてみると、ものすごく丁寧に答えてくださりました。
いやはや、こういうところでギャラリーの質ってわかりますね。素晴らしいです。
ちなみにこの作品は、「選択されえた未来」を表しているそうで、つまり、作家は作品の色を選ばなければならないが、逆にこの作品は選ばないことを作品にしている。何パターンもの同じ作品を造ることで、不自由な未来からの解放を目指しているとか。本当に異様な展示でした。
奥には、壁の角に2つのスライドが上映されてて、その部分以外の壁は真っ黒にぬられてる。
スライドの意味がまたよくわかりませんでしたが、これはなんだかレゾナンスの作品に近い気がする。
意味はよくわかりませんが、空間の操作の仕方とかとても好きな作家。
あー、太宰府天満宮と沖縄の展示観に行きたい…絶対無理やけど。
ちなみに隣のαMものぞきました。今期の「複合回路」最後の作家、石井友人さんの絵画展。
視覚信号としての絵画。おもしろい作品とそうでない作品の差がすごかった…。
来年は「成層圏」がテーマ。注目は川北さんと宮永くん。どっちかは観に行きたいです。


テオ・ヤンセン展~生命の創造~@日本科学未来館
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年末に友人に教えられて、調べたらちょうど日本でやってたトム・ヤンセン展。
ゆりかもめとか久々に乗ったー。
これを美術というかわかりませんが、ユートピアン的な仕事がとても気になります。
ビーチアニマルと言う、風で動く機械仕掛けの生きものたち。
電気ではなく動力が風という自然なのがおもしろいし、作りも非常にアナログ。
プラスティックと、ペットボトルやら。
会場は凄まじい人でごった返してました…。
でも、さすがにフジテレビの企画だけあって、エンターテイメント性が強すぎて萎える。
やっぱビーチで動いてるところが観たかったなぁ。
でも展示してあるアニマルたちが、風と闘った傷跡が生々しくて、とてもロマンティック。
まるでドンキ・ホーテのよう。
そんなとこ注目してる人だれもおらんねやろうけど。
もう会場を砂浜(砂漠)にして、アニマルたちの墓場みたいなインスタレーションで見せて欲しかった。
やっぱ無理よね。現代美術に毒されてます。14日で終了。
大人の科学マガジンで、このミニ・ビーチアニマルが付いてくるらしい!!


吹雪の横浜。
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テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

ジェームズ・タレル「ガスワークス」@金沢21世紀美術館

実は金沢に行ったのは、前記事のフィッシュリとヴァイスの為ではありません。
もちろんあの展覧会も気になってはいましたが、それだけではわざわざ金沢まで出かける動機付けにはならなかったでしょう。実際金沢はパスしようと思ってました。
そんな折、ふと21美のHPを見て驚愕。
タレルの「ガスワークス」が公開されてる!!!!!!!!

丸亀から帰路に立つ道すがら、その恐ろしい計画が頭の中に浮かんでしまいました。

このまま金沢行けるんじゃね?

いやいやいやいやいや。。。いやぁあああ!!!!
と、思いつつ、ちゃっかり調べてみたら、なんと、乗ったその電車が金沢に行く最終だったのです!
運命。とわけわからんこと考えながら悩みに悩み、気づいたら大阪を通りすぎてました。
丸亀から18切符で約9時間・・・。
来てしまいました、金沢へ。
着いたら日付変更直前。金沢の気温1度!!!寒い・・・。
フードを目深に被り、今晩の宿、ネットカフェを目指す。
調べてたネットカフェの前に着くと信じられない現実。

「閉店しました。長らくのご愛顧ありがとうございました。」

なんや、これ・・・。どういうこと?
と思いつつ次のステップ。このままでは凍えてしまう。
残り少ないバッテリーのiPhoneを頼りに探すとなんとか近くにもう一件発見。飛び込みました。


さてさて、そんな険しいことをしてまで観たかったジェームズ・タレルの「ガスワークス」という作品。
この美術館のオープニング展でも公開されてて、当時ほとんど無知識でこの美術館を訪れた僕は、その球の中に人が吸い込まれていく様をなんとなく見ていました。
それ以来金沢でこの作品が公開されることはなく、僕の中で悶々とあれは何やってんやろ、と想い続けていたのです。
そしてこの度ついにそれが6年もの沈黙を破り公開されるッ!!
これは絶対観に行かなくては、と思いつつ見たらなんと当日予約のみ。
しかも一日に入れるのは最大16名。鬼!
絶対オープン前に並ばな入られへんやんと思い調べたら、大阪から始発のサンダーバード飛ばしてもオープンの10時には間に合わず、前乗りは必至。
ということで、次の日9時半から並びました。
この日はさらに鬼で、午後2時からの8人のみ。
でもまあ、午後からやしさすがに誰もおらんやろ、と思ってたら既に3人も並んでた!
上には上がいますね・・・。
10時の開館時には20人ほど並んでました。。。
企画展の方ではなくコレクション展の方に並ぶ行列。
普通に来館した人たちはなんのこっちゃっていう光景でしょうね・・・。
で、開館と同時に一人目の人はもう一直線にその展示室に・・・すごい。
彼に着いていってなんとか4番手で予約できました。よかったー。

予約して他のコレクションも拝見。
丸山直文さんの作品が相変わらずよすぎた。水面に映る舟の2点組。
他にもオープニング展以来に見る作品もちらほら。ヴィック・ムーニーズの写真や、モナ・ハトゥムのガラス玉で出来た世界地図など。椿昇の壁のドローイングは佐藤充さんの絵みたいだった。
高嶺格さんのプロジェクトも見るがほとんど理解不能・・・。
横浜美術館の個展どうなるんやろ・・・。
その後も金沢の街を徘徊したり、戻ってきて図書館でだらだら過ごしてたら時間に。
というか、何故か1時間勘違いしてて、それに気づいたのが予約の5分前!!!危なすぎる!
展示室に走りました。

着いて白衣のスタッフに荷物を預ける。
指定の台に仰向けになって寝る。
そしてそのまま球の中へ。
しばらくタレルお得意の色が徐々に移り変わる様を眺める。
これじゃ、京都近美の「生存のエシックス」で観たやつとあんまかわらんやんけと思った次の瞬間。
チカチカチカと激しい光が目を襲う。
瞬時に変わる色の世界。
すさまじい色の洪水が一気に流れこんでくる。
色と知覚しているにも関わらず、実際自分が何色を見ているのかわからなくなる。
そして終いには目を開けているのか閉じているのかもわからなくなってしまう。
怖い!!なんだこれは!!??
まるで「2001年宇宙の旅」でモノリスに出遭った時の映像のような感覚。
この体験はすごい・・・想像を絶してました。
色で目を塞がれるというか・・・。
やはりタレルは神でした・・・。凄まじいです。
体験時間は約10分。充実した時間です。
まだ公開は続くようなので、機会があれば是非!スケジュールはこちらから。

ところで、この秋にロンドンのガゴーシアンでもタレルの個展がやってました。
今回の「ガスワークス」は1993年の作品ですが、この発展形が発表されたとのこと・・・!!
「Bindu Shards」という新作で、これまた予約制。
見た目は「ガスワークス」とほとんど変わらないけどどんなのか気になりすぎる・・・。
誰かこれ体験した人いませんか??
ここで少し画像が見れます。
日本でもタレルの個展とかやってほしい!!
金沢ならこの「ガスワークス」や「ブループラネットスカイ」もあるしかなり本格的なものができそう。
オラファーも実現したんだし、是非お願いします!
あとカプーアも笑
あーー、光の館も泊まりたいなぁ。

<関連記事>
越後妻有トリエンナーレ2009 3日目(十日町・川西エリア)
JAMES TURREL @ LOUIS T BLOUN FOUNDATION
直島 再々訪


テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス@金沢21世紀美術館

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ペーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイス。
美術関係者の中で非常に人気が高い作家。
何度か単品で見てるのだけど、いまいちわからなくて、日本で一気に見れるのは絶好の機会。
昔テートモダンでもやってたけどその時はスルーした。英語で見てもしんどいだろうと思って。
今回観たいと思っていた「事の次第」はやはりすごくよかった。
これは関係者の間では「ピタゴラスイッチ」の元ネタと言われている。
こういうマジョリティのメディアである広告がマイノリティの美術をそのまま引用(というかパクリ)しちゃうことが多々あります。
こないだキューピーマヨネーズのCMが1999年のターナー賞受賞者であるスティーブ・マックイーンの作品をそのままパクッてるという話題もありましたね。
でもそもそもそのマックイーンにも元ネタがあって、っていう話題も。こちら
美術業界で「引用」(アプロプリエーション)は当然だけど、それは別の価値付けから来ていて、広告業界の引用の罪深いところは、それがマジョリティのメディアであるがゆえに、多くの人はそれが元ネタと認識してしまい、もし本当の元ネタを見た時に逆にそれがパクリだと誤認される危険性をはらんでいるということ。
まあ、そもそも元ネタを知っていれば問題ないとは思うものの、なんとなく符に落ちません。
でも、今回この「事の次第」を見てすごく安心しました。
というのも、この作品の持つ魅力は全然「ピタゴラスイッチ」に回収されてなかったから。
「ピタゴラスイッチ」は、言わばこの作品を殺菌・脱臭したような印象。
どう考えてもこのままではNHK教育で流せるわけがない笑
それほど、洗練されてないし、汚いし、なんかえぐいし。
こういうどう仕様も無い感じが現代美術のひとつの魅力なんだと思う。
それにしてもこれ30分もあるのがすごい。この鈍い連続性は見ていて飽きなかった。
他の作品は相変わらず掴みどころのない作品ばかり。
中庭の音の作品はすごくよかった。これは新作。
僕が彼らの作品を見ていて思ったのが、正直古いな、という感覚でした。
実際は最も古い作品でも1979年。まだ30年ほどしか経ってない。
にも関わらず、この古いという感覚は何なんだろうと見ながら考えてました。
それは多分、彼らの作品を評する時に頻出する「日常」というキーワードにあるのではないでしょうか。
ポップアートはあくまで広告などの「もの」を対象にしていたのに対し、フィッシュリとヴァイスが切り取って見せたのは「こと」としての日常だと思います。
初期の頃からひたすら続けている粘土の作品なんかは日常を落とし込んだ典型。
クマとパンダの映像も、美術館を飛び出し街や自然へと飛び出します。
こうした日常への態度は、今や美術界にとって当たり前になってしまいました。
彼らを祖としながら、遥かな地平へ飛び立った多くのアーティストがいます。
例えばティルマンスの写真なんかは、フィッシュリたちの「ソーセージ・シリーズ」よりさらに日常に切り込んでいるし、田中功起さんなんかはその典型でしょうね。
どちらが優れているとかそういう話ではなく、単に彼らは既に歴史になった感があるんですよね。
在命作家にも関わらず、過去の人のような印象があったのはすごく悲しかった。
新作の音の作品に心が揺れたのがせめてもの救いでした。

図書館で「ゆずれない事」のDVDも観た。
そのまま「正しい方向」も観ようと思ったけど時間切れ。
ちゃっかりカタログも読んだりして、フィッシュリとヴァイスがようやく近くなった気がします。

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

下平千夏「IMPLOSION POINT」@INAXギャラリー2

今年8度目の上京に行ってきました。今度こそファイナル。
10月から一気に5回も行ってしまった・・・。はう。
前回と今回で行った展示をざっとまとめます。
とりあえず行った順に羅列。

池田亮司@GALLERY KOYANAGI
青山悟@ギャラリーαM
下平千夏@NAXギャラリー2
アイ・ウェイウェイ@MISA SHIN GALLERY
伊庭靖子@MA2 GALLERY
青田真也@青山|目黒

で、最も良かったのは、INAXの下平さん。
この中では結構ダントツ。
そもそもDMの時点ですごい!ってなってたんやけど、実物見てびっくり。
輪ゴムが放射状に張られていて、さらに奥でねじれているインスタレーション。
写真で見た時は何か特別な大きな輪ゴム使ってはるんやと思ってたら、普通の輪ゴムを鎖のようにつないでいって作っている。どうやるんか実物見ても想像つかない。
相当な張力なはずだけど、展示どうやったんかすごく気になります。
会場にはゴムの匂いが漂ってました。
ポートフォリオ見てたら他にもスケールのある仕事しててとても面白かった。
同い年ってのもすごい!なんか嬉しい。
ここでいくつか作品見れます。
同じく、同学年の青田くんの展示もスマートでよかったです。
表面をひたすら削ることで朧気な彫刻を作ります。
これからどう展開していくのかが鍵になりそう。
お菓子のパッケージを削ったやつが結構好きでした。
MA2の伊庭さんもよかった。赤い作品が印象的。

逆に期待してたのにそこまで感動できなかったのは青山さんの展示。
二科展会員のお祖父様とのコラボのような展覧会。
作品うんぬんより、そのキュレーションがちょっと強すぎるように感じました。
青山さんの作品って、個人的にいつもどこか一歩入っていけない。
それはやっぱり技術があまりに出過ぎていて、しかもその技術がどこまですごいのか(或いは巷にあるクラフトとの違いとか)が計り知れない。
展示の仕方はかっこよかったです。
池田さんの展示はやはりMOT観てちゃね・・・って感じ。
こないだのオラファーと近い感覚。
アイ・ウェイウェイはやっぱり苦手。
それよかこの新しいギャラリーがどんな場所か見てみたかったというのが行った理由。
アートフェア東京のエグゼクティブ・ディレクターも務める辛美沙がオープン。
鉄工所を改修したような場所。
白金は他にも児玉やらありますが、あまり惹かれるエリアではない。

ちなみに白金→恵比寿→中目黒まで歩いたけど坂で死にました。。。
遠くないくせに電車のアクセス悪かったので行けるかと思ったんですが坂は計算外。
まあ、歩きましたが。

次回は2月!

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

泉太郎「こねる」@神奈川県民ホール

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今年6度目の上京。ここに来てペースが上がり過ぎ。最悪今月もう一回。
今回は特にアートとか関係なしに行くはずが、その前の用事が思ったより早く済んだので、招待状を戴いていた神奈川県民ホールの展示に行ってみた。
この県民ホールの現代美術展は2007年の塩田千春展から始まり、毎年この時期に開催される。
2008年の国立国際美術館の塩田千春展の展示ボランティアをさせて頂いた縁で、毎年レセプションパーティーの招待状を送って頂いてるのだけれど、中々行く機会に恵まれず、去年一昨年と行けずじまいに終わってしまった。さらにその時に知り合った塩田さんのアシスタントの方のお名前を失念してしまい、ご挨拶のしようがないまま今に至っている。もし万が一このブログを御覧になっていたらご一報いただけると幸いです。

さて、2日から始まったばかりの泉太郎展。
正直ここのスペースは決して現代美術に合った展示室とは言いがたいスペース。
今回、五十嵐太郎さんもtwitterで仰ってたけど、場の使い方が非常にうまい。
展示されてない雑然としたスペースもなんだか許容できるようなあっけらかんとした展示。
決して密度が薄いとかではなく、むしろ濃い。
展示目録がなかったので正確ではないが、展示作品数は全部で8点。
そのどれもが、泉さんの考えた「遊び」。
子供の頃、公園で自分たちのオリジナルの遊びを考えて遊んだことを思い出す。
そこにはちゃんとルールがあり秩序があるが、決して具体的な目的はない。
遊び楽しむこと自体が目的であり、それ以上もそれ以下もない。
そのJOYが散りばめられた、思わずにやっとしてしまう展示のラインナップ。
僕が最も好きだったのは、吹き抜け空間を使った映像作品で、赤いスポットを上から床に照らし出し、そのスポットに触れないように皆が逃げまわってる映像笑
もう笑いをこらえるので必死。ってか多分顔は完全ににやけてたと思う。
あと、スプーンとお椀で作った簡易発射機から発射されたものを、三人の女性が椅子やら机やらを組み合わせた中に拾いに行き戻ってきておわんに入れる。そしてまた発射され拾いに行くという行為を繰り返した作品。
あとは家をゴロゴロ転がす作品や、幾何学に開けられた壁の穴に粘土を押しこむ作品など。
吹き抜けの作品は正直よくわからなかった。やっぱ目録や説明が欲しかったです。
にしても特筆すべき点は、ほとんどが現場で作られた新作という点。
テレビモニターの前に水の入った容器を置いた作品以外は全部新作だったんじゃないかな。
記録としての映像と痕跡としてのインスタレーション。
この両者が同時に出来上がっているというのはとても興味深かった。
その結果が作品として立ち現れていて、展示室がまさにその現場という臨場感は大きい。
そこに人がいて、何かをしたという気配がありありと感じられてとても生々しかった。
泉さんの作品をここまでまとめて観るのは初めてだったけど、いつもこういう方法論で制作してるのだろうか。
例えばこれらの作品をどこかの美術館が所蔵するとなった場合はどのように所蔵されうべきなんだろう。
行為の痕跡というのは、やはり実際にそれが行われなければ意味が無い。
それを寸分違わずトレースしたとしても、そこには決定的な臨場感がかけてしまう。
インスタレーションではないが、ロンドンにあったベーコンのアトリエを寸分違わず再現した部屋がアイルランドのダブリンにある。壁についた絵の具のシミや汚れ等、すべて計測して徹底して再現しているのだけれど、やはり何かが違う。その部屋をそのまま移築したなら多分その臨場感は損なわれなかっただろう。
今回の泉さんの展示も、今ここで見てるからいろんなものを汲み取れるけれど、場所を変えて全く同じものを見せても難しいと思う。
痕跡としてのインスタレーションの難しさを考えた展示でした。11月27日まで。
http://taroizumi-koneru.com/

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

トランスフォーメーション@東京都現代美術館

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長谷川祐子さんと中沢新一さんのコラボキュレーションのトランスフォーメーション展へ。
結構期待してたんだけど、正直期待は超えられませんでした。
もちろんボリュームもあるし、出てる作品もバラエティに富んでて作家も豪華。
なんやけど、何かが足りない感じ。んー。
こういう「変身-変容」という大きなテーマで挑むと、どうしても「この人のこの作品は出てるのになんであの人のあの作品は出てへんねやろ?」という雑念が入って純粋に見られなくなります。
例えば土曜日までやってた名和さんの新作なんてまさにこのテーマにうってつけ。
あとJenny Savilleの両性具有シリーズとかね。
それでもいくつか印象的な展示もありました。
多分今回の目玉は表紙にもなってるマシュー・バーニーでしょう。
展示が完璧すぎて思わず笑みがこぼれるほど。クオリティー高すぎる。
180分のクレマスターは無茶!どっかで上映会せぇへんかなぁ?寝る自信あるけど。
石川直樹さんの写真もよかったし、冒頭のピッチニーニはあんな映像作ってるのは知りませんでした。
しかしなによりよかったのはサラ・ジー。
現美でサラ・ジーといえば、カルティエ財団展の時の吹き抜けの展示の印象が強く、今回はどう来るかなと思ってたんですがすごく意表を突かれました。
あの展示は素敵過ぎる!!実際に観てみてください。力のある作家です。
作品の中に今回の来日の航空チケットがあったの見つけてニヤリ。
ちなみにトゥンガの映像は怖すぎて最後まで見れませんでした…。

今回展示に関して広い空間の使い方がすごくまずかった印象があります。
3階の展示とか平面が多すぎて作品数は多いのになんかスカスカな印象。
アトリウムもイ・ブルだけならまだしも3作家も並んでて散漫。
あとやっぱ長谷川さんのキュレーションは作家がかぶります。
ウィーラセタクンや高木さんの映像はなんだか既に食傷気味です。
それともっとジャンルの横断をやってくるのかと思ったけどそこまで今回目立ってなかったです。
及川潤耶さん(同い年!)の音楽が出品されてるくらいでしょうか。
SPACE FOR YOUR FUTUREぐらい暴れて欲しかったです。
まあ、でも見ごたえは十分あるので観に行く価値はあると思います。
サラ・ジー見るだけでもホンマに価値がある。1月30日まで。

あと相変わらず常設がすごい・・・。
コレクションだけであれだけのピピロッティ・リスト特集ができるなんて。
正直本展見ごたえがあったかもしれません。
あっけらかんとすごいことやっちゃってるのが彼女の作品の魅力。よかったぁ。
あと森万里子特集まで。すごい。
この春の「Plastic Memory」で観た山川冬樹さんの作品がまだ展示されてた。今回は時間なくてパスでした。
モナ・ハトゥムの吹き抜けの作品もすごい。
上ではアンデパンダン展展。後半のまさに伝説的な展示がすごい。
んー、次の常設展も楽しみだー。
考えたら本展とこんな常設観れて1300円って安いと思う。映画観たら1800円やもんね。


さて、今回の上京は、90のメンバーの田中の銀座INAXの搬入手伝いでした。
奇跡的に台風も免れ、無事搬入終えられました。
展示は11月1日から24日まで。詳細はこちら

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

木藤純子+水野勝規 2人展@GALLERY CAPTION

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ずっと気になってた岐阜県にあるGALLERY CAPTION
結構前から名前だけは知ってて、超京都でもすごく存在感を放ってた。
なんといっても所属作家が僕好み。
今京都芸術センターで開催中のPanoramaに出品してる木藤純子さんと水野勝規さんの2人展がやってる。
そして、BIWAKOビエンナーレ開催中の近江八幡からは電車で約1時間で行ける。
ってことで、本日、午前中は友人をBIWAKO案内して、午後から行ってきちゃいました。

JR岐阜駅から徒歩10分弱。
ちょっと閑散とした場所だったけど確かにありました。
住所に伊藤倉庫ってなってるから倉庫なんでしょうか?
その建物の2階がギャラリー。
ギャラリー内は窓がたくさん開いていてとても明るい。いい感じ。
入り口で早速大きな木藤さんの代表作sky potが出迎えてくれる。
大きなガラスの器に水が張られていて、底に空のプリント。
手前と奥に部屋があって、手前は木藤さんの展示。
花の冠と割れたガラス等が展示されてる。相変わらず謎!
窓の際にもガラスが置かれていて、柔らかい光に包まれている。
ギャラリーの方のお話では、引越しの際に2つあったsky potのうちの一つが割れてしまって、しばらく悲しく思っていたのだけれど、これを新しい作品に生まれ変わらせようと前向きに考えなおしてできたのが今回の作品群らしい。
こうした個人的な物語が木藤さんの場合とても重要になってくる。
地元である富山のガラス細工の知人と共同でガラスを溶かして様々なものに生まれ変わらせる。
中には木藤さんが作ったビー玉のような玉もあって、中に灰を混ぜたりして不思議な模様が浮かんでいる。
花の冠は、そのpotの底の大きさと同じ輪っかなのだそう。説明ないとわからん!
でも、こういう見えないところをさりげなく込める木藤さんの作品はやっぱり好きです。
説明を聞く前と聞いた後で全然見え方が違う。
かと思えば、窓際に置いてた色とりどりのガラスは、この物語に関係なく、海で集めてきたものらしい笑
こういう深読みもできちゃう凄まじい振り幅の作品群です。
奥の談話室みたいなところには、で見せてた版の作品もあった。

奥の展示室では水野さんの「monoscape」の連作。
モニターが床に整然と並んでいて、その前の椅子に座って見る、というより眺める。
とてもシンプルな展示でしたが、じっと見てられるのが水野さんの映像の魔力。
明るいところで映像を見せるのはやっぱりいいですね。気分も晴れる。

そんなこんなで初CAPTION体験。もっと前に来とけばよかった!
この展示は11月27日まで。
ギャラリーのYさん、ご説明ありがとうございました。

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

バーネット・ニューマン展@川村記念美術館

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注目のバーネット・ニューマンの日本初個展に行って来ました!
もう去年のロスコがあったので、まちがいはなかろうということで。
今回東京駅から美術館まで直通のバスが登場して超便利になりました。
片道1300円(Suica利用で1250円)と、電車で行くより少しだけ高いですが、便利さは格別。
東京駅から10:55発一本のみなのでお見逃しなく。一時間ちょっとで着きます。
八重洲中央口からとなってましたが、正しくは北口よりさらに北にバス停があります。
駅降りたらすぐやろと見越してたので焦りました。
にしても乗ってたの僕合わせて3人だけだったんですが、これから先大丈夫かな。。。

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さて、まずはコレクション展。
驚きはカルダーの展示室。
なんと壁と天井が水色!
それに赤いかれのモヴィール彫刻がすごくマッチしてます。
床のデザインは少しやりすぎな感もありましたがおもしろかったです。
そして、なんといってもここはアメリカ近代美術の宝庫。
ポロックに始まり、アルバースにライマン。
何度見ても圧巻なのがステラの作品群。
ここにあるものだけでステラの変遷が踏めます。
そして、今回ニューマンと同時に楽しみだった部屋へ・・・。
そう、ロスコルームです。
前回のロスコ展の時は閉まってましたからね。
入り口が二つあって、とりあえず右側から。
これはすごかった!!!
以前のロスコルームはホンマにダサくていやでしたが、今回は文句なし。
床は黒い木で仕上がってて、なんといっても壁が絵に合わせて折れ曲がってる!
7枚ある絵画に対して、7角形の部屋。
ソファーもそれに合わせた畿科学のソファー。
あえて言うなら壁の質感がもう少しマットでもよかったのでは、というところか。
ロスコの絵に360度囲まれる体験。すばらしいです。

そして、肝心のニューマン展。
今回はそのためにニューマンルームは閉鎖。
入るとロスコ展と似たような構成。
まず椅子が置いてあって、一枚の絵画。
赤い画面の真ん中に一本の白い線(ジップ)が入っている。
ロスコの時もそうやったけど、ものすごい強い絵が最初に来ている。
次の展示室は初期のまだまだ迷走期ともとれる抽象画。
しかし、先ほどの一枚目が1949年に描かれたのに対して、これらは1946年。
たった3年であそこまでたどり着いたのか!という驚き。
さらに次の部屋は版画の部屋。
すっかり色面で構成するやり方が板についてきた模様。
そして一番大きな展示室には、晩年の作品たちが並ぶ。
さらにその次には今回のメイン、「アンナの光」が出迎える。
これは母アンナの名を冠した横幅6mにも及ぶ彼の代表作。
それがここの所蔵ってのが恐ろしい。
しかしやはり先にニューマンルームでの展示を見てしまっているのでそれほどの感動もなかった。
やっぱりあの部屋はこの絵の為だけに設計されてるとあって、格別。
なんだか小さくなってしまった印象すら受けた。
また、全体的にも、初期の抽象からジップの登場をつなぐ作品がなくて、いきなりこのスタイルに行き着いてしまった感があるのが残念。
まさにミッシングリンク。
あとで画集を見たら、やはり、少しずつジップの姿が登場してくる時期があって、その誕生の瞬間というのはロスコもそうだけど、感動するし鳥肌がたつ。
そこらへんをなんとかカバーしていただきたかったです。
最後の映像は長すぎて10分ほどで退散。
なんでミニマルな表現する人ってよくしゃべるんやろ笑
それにしてもタイトルがすごくかっこよかった。
「存在せよ(BE)」 「原初の光」「夜の女王」「名」「そこではなく、ここ」など等
それらのタイトルも大きくキャプションされてるのがよかった。
タイトルってすごく重要だと思う。
期待ほどではなかったけれど、すごくよかったです。12月12日まで。
ロスコルーム観に来るだけでも価値がありますね、ここは。
ちなみに帰りの東京駅行きバスは15時半ぐらいだったのだけど、そこまで時間つぶせず電車で戻りました。
関連記事>>マーク・ロスコ 瞑想する絵画 @ 川村記念美術館

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

名和晃平「synthesis」@SCAI THE BATHHOUSE

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約4年半ぶりとなる名和さんのSCAIでの展示。
来年の現美の展覧会も控えますます脂の乗ってる作家。
その4年半前はお手伝いさせて頂いてましたが、すっかりビッグになられました。
4年半前・・・来た時東京は大雪に見舞われ谷中が大変なことになってたのを思い出します。
今回は大きく手前と奥に分けて展示。
手前側ではドローイングを。奥では彫刻を展示。
まず入って驚かされるのが、そのドローイングのインスタレーション。
すさまじい量のドットが描かれていて、モアレを起こさせます。
このインスタレーションは本当にすごかった・・・。
元々僕は名和さんのドローイングが大好きなんですが、こういう形で見たのは初めて。
スタッフの努力も垣間見えます・・・。
また奥の彫刻ではなんとビーズの作品に変化が。
素材はいつもの鹿の剥製なんだけど、何かがおかしい。
何がおかしいって、顔がふたつ・・・2頭がくっつけられてる!
今回のタイトル「synthesis」には合成という意味があって、まさにコピペするように、2頭がかぶさって、ビーズによって合成されてる。
以前にも名和さんは、剥製というのは型が決まっていて、そのパターンにあわせて皮を貼り付けているだけ、とおっしゃってましたが、まさに同じポーズの鹿が組み合わされてる。
また、左右の壁にも頭の剥製があり、こちらも2頭。
入って右側のなんか、どういう風にくっつけてるのか、不可思議なフォルムでした。
最初DMで観たときなんか変やな、と思って気づかなかったのですが。
正直実物見るまで、そんな不自然なことしちゃったらコンセプトとかゆがむんじゃないの?と少し懐疑的だったんですが、実際に実物を目の前にすると、めちゃくちゃ「強い」んですよね。
有無を言わさぬ強さがあって、名和彫刻が新たな局面を迎えているように思いました。
名和さんの作品ってやっぱりきれいすぎるところがあったり、コンセプトが精密すぎたりで、そういうのに縛られてる感も年々拭えなくなってる感がありました。
でも、去年のエルメスでの個展で、そういうしがらみにある種終止符を打ったんじゃないかと。
あの展覧会は、改めて、Liquid、Beads、Scumと、今までのシリーズを総括することで、第一幕の終わりを示していたんじゃないかと、勝手に推測。
今回の展示が第2幕に向かって新たな一歩を踏み出している気がします。
ただ、やはり外と内がまだ整合性がとれてない気がします。
そこをうまくつなぐ糸口が見えれば、また新たな彫刻を見せてくれそう。
来年の現美ホンマに楽しみです!
SCAIでの展示は今月30日まで。
<関連記事>
名和晃平「L_B_S」@エルメス銀座
名和晃平講演会「名和晃平の"アート"」@京都精華大学
名和晃平「GUSH」@SCAI THE BATHHOUSE


オラファー・エリアソン展@Gallery Koyanagi
ここ最近の小柳さんのラインナップがすごすぎる件。
だって、須田悦弘、束芋に続くこのオラファーですよ。しかも次は池田亮司。
東京住んでたら毎回通っちゃいますね。
ちなみにこのオラファー展はほとんど観た事ある作品。
奥の岩の写真と、影の作品(黒バージョン、カラーバージョン)など。
一番奥の部屋の映像は、多分こないだベルリンでやった個展の時の作品。
でっかい鏡をサイドに張ったトラックを走らせて、その模様を映している。
ってか、これ事故になりかねないけど大丈夫だったのかね?
金沢とか見ちゃった後だとやっぱ物足りないですね。今月28日まで。
ちなみに名和さんがSCAIで個展した4年前の記事にオラファーの原美の個展も載ってる。
<関連記事>
Olafur Eliasson 'Colour activity house' @ 金沢21世紀美術館
オラファー・エリアソン「あなたが出会うとき」@金沢21世紀美術館
Olafur Eliasson 'SUNSPACE FOR SHIBUKAWA' @ HARA MUSEUM ARC
Serpentine Pavilion 2007


小池一馬/牡丹靖佳展@hpgrp GALLERY 東京
6月のMA2での個展でファンになった牡丹靖佳さんと小池一馬さんの2人展。
小池さんは半分に割れたモアイ像みたいなのが床に置かれてるインスタレーション。
モアイ(仮)の中から海の音が流れていました。
正直小池さんの作品はよくわからなかった。
ポートフォリオ見たら絵も描かれている彫刻家みたいだ。
一方牡丹さんは相変わらず素敵過ぎてたまらなかった。
4枚のMDFに直接描かれた油彩。画面の前には絵から零れ落ちたような色とりどりの木片が転がってる。
少し離れた所に小作一枚と、その反対の壁に青を画面の半分ぐらいまでさっと塗ったような小作。
ギャラリーの方曰く、小池さんが今回の2人展をやるにあたり、海のイメージがあって、牡丹さんに海の絵を描いてほしいとお願いしたら、そんな簡素な絵が生まれたんだそう。すごい!
奥からこの展示全体をイメージしたこれまた小さな絵を持ってきてくださったのだけど、これが物凄くよくて、展示してないのはもったいないくらい!ホンマにほしくなった。買えばよかった。
これから追いかけていきたい作家の一人です。この展示は今月24日まで。


石塚沙矢香展@INAXギャラリー
越後妻有大阪アートカレードスコープで拝見した作家さん。
今回は樹脂(?)の上に割れた茶碗やコップが置いててそれが会場に浮かんでいるというもの。
樹脂の上に奥意味はあったんでしょうか?ちょっとがっかり。
ポートフォリオ見てたらすごくおもしろいことやってる。これから楽しみ。今月28日まで。
この次はstudio90メンバーの田中真吾展です。月末また手伝いにきまーす。

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

あいちトリエンナーレ2010


土曜日に始まったあいちトリエンナーレ2010に行ってきました!
今週はこれを皮切りに色々アートな一週間を過ごします。イエイ。
8月更新ほどんどなかったんで、これから巻き返しです。

さて、まずはお馴染み18切符で名古屋駅へ。
地下鉄栄駅で降りてオアシス21の草間さん(写真上)を鑑賞。
そして愛知芸術文化センター前の草間彌生xプリウスも鑑賞。

センター内吹き抜けでは松井紫郎氏の巨大バルーン彫刻がお目見え。
かっこいいけど素材感が安っぽすぎるのが難点。



10階でチケット引き換えていざ中へ。
登山博文の絵画から、蔡國強のドローイングまでざっと見る。特に感動はなし。
ハンス・オブ・デ・ビークでようやく足が止まる。
これはジオラマを組み立てて風景を作っていく映像なんだけど、白黒の映像が美しいのと、音楽が素晴らしいのとで、とても「巧い」映像だと思った。映像作品っていかに観客に足を止めさせるかが肝だけど、これは見事に成功していて、気づいたら会場内にはたくさんの人々が釘付けになって見ていた。僕も結局最後まで観てしまった。良作。
次のファン・アラウホの精密すぎる雑誌の模写は必見。
ライトの帝国ホテル特集の雑誌を模してるのだけど、何でライト?と思ったら愛知県にそういやライトの帝国ホテルのある明治村があるんだった。
ここ一段床が上がっていて皆けつまづいてた。僕もそのうちの1人。要注意!
続くジャン・ホァン、三沢厚彦+豊崎秀樹と大掛かりな作品が続く。
その先の志賀理江子の部屋は良い意味で恐かった。なんだろうあの感覚。
続いて8階へ。
イマイチ順路がわかりにくく、途中で見逃していないか不安になった。
気になったのはソニア・クーラナのパフォーマンス映像。色んな場所でただ寝転がっているだけのパフォーマンスなんだけど、来ている衣服がぼろぼろでホームレスさながら。鳩が群がって大変なことになってる映像もあった笑 見様によってはコミカルだし、シニカルだし、不気味でもあるその振り幅がとても気に入る。なんか来日して実際にそのパフォーマンスをやるという話を聞いた。見てみたい!!
あとは、シドニーでも見たツァン・キンワの文字が蛇のように床を這う映像インスタレーションも相変わらず気持ちよかった。(シドニーの時は天井やった)
お目当ての宮永さんのインスタレーションは相変わらず美しかった。
でも今ひとつ物足りなかった。なんでかと思ったら、このトリエンナーレを回っていくうちにわかっていくのだがそれはまた後で。
係員の人が「作品が塩で出来ていますので触らないでください」と注意していたが、その説明ではナフタリンの作品まで塩で出来ていると勘違いするお客さん続出な気がする。というか実際「へぇ、すごい、これ塩でできてるんだって!」と興奮気味に話すお客さんを目の当たりにしてしまった・・・。確かに塩に見えなくもないのが難。塩とは回りに張られた糸に付着している堀川の塩のことです!
あと12階ではコンペで通った企画展が開催中。ちょっとよくわからなかった。
そんなこんなで芸術センターを後に。所要約1時間。早!
ここでタオルを落としたのが大失敗でした・・・。

昼飯にせっかくなので味噌カツ丼を食う。あんまおいしくなかった泣
腹ごしらえも終えて続いて名古屋市美術館へ。

着いた頃には汗だく。泣きそう。
まずは1階から。早速オー・インファのお香を使ったインスタレーションに感動。お香の粉で文字を作っているんやけど、会期中その文字を伝ってお香が焚かれ続けている。視覚的にも嗅覚的にも美しい作品。
そして吹き抜け部分では、塩田千春の血管を思わせる赤い液体の通ったチューブのインスタレーション。資生堂の椿会展で見せていた映像の中の管がインスタレーションになって登場です。
実はこの前に近くのケンジタキの塩田千春展にも行ってきました。
ここでは鞄を使った新作インスタレーションを発表。
瀬戸内でも発表してるし、勢力的すぎる発表に度肝抜かされるのだけど、正直彼女の作品の精度が最近目に見えて落ちているように感じてしまう。こちらの感性が変わってしまったのか、それともただ見慣れてしまっただけなのかわからないけれど、昔まで感じていた有無を言わさぬあの圧倒感を近作には全く感じなくなってしまっている。結婚もされて、かわいいお子さんも生まれて、彼女を覆い続けていた不安から開放されてしまったから?そうだとするとあまりに悲し過ぎる。その開放から放たれる光にシフトした作品を見てみたいです。瀬戸内もこの秋の建仁寺の展示も期待してます!
ところで、この吹き抜けの奥に、カプセルホテルみたいなインスタレーションがあったのだけど、今見取り図見てたら載ってないんですがどういうこと?あれ誰の作品やってんやろ・・・。
その逆側のトム・フリードマンの展示観てたら、某アートブロガーさんに出会う笑
彼女は日曜にも行っていて、休日は凄い人で作品を落ち着いて観れなかったそうな。
色んな情報もらいつつ2階へ。2階は特筆すべき作品はなかった。
地階へ降りると島袋道浩の個展みたいになってた。
そしてこれがすごくよかった。なんか一貫してる強さみたいなのを感じた。
愛知の知多郡南知多町篠島をテーマにした展示。必見。
常設展も観たが、結構いいもの持ってて見応えありました。

続いて近くの二葉ビルへ。ここでは梅田哲也の展示が開催中。

相変わらず独特の世界観。
シャッターが開くという話を聞いたんだけどこの日は調整中。残念。
ちゃんとことが起こる瞬間まで忍耐強く待ちましょう。

さて、長者町エリア。ここがこのトリエンナーレの難関・・・。

会場が散在しているので、観るのが大変。
この炎天下には完全に不向き。皆さん秋に行きましょう。
見所はスターネットジャパンビルの渡辺英司のインスタレーション。すごいです。

あと、ビルの外壁とかにも作品があったりして、これこそ今回のトリエンナーレのテーマ「都市の祝祭」にぴったりだと思いました。えびすビルPART1の壁面の大山エンリコイサムのウォールペインティングは必見。

旧玉屋ビルの作品はどれもよかった。
山本高之の子供が自分の作った地獄の説明をしている映像もシュールでよかったし、小栗沙弥子のガムの包み紙で壁を覆った作品もよかった。青田真也のひたすら磨いていく彫刻もそれが空間にまでおよんでいて見応えがあります。
あと、路上で野犬と軍鶏とコブラとサソリとタランチュラが喧嘩しまくってる壮絶な映像があったんやけど、あれ誰の作品やったんやろ・・・。てっきり文化センター8階でライオンとかが路上にいる写真を展示していたアデル・アブデスメッドの作品と思い込んでたんやけど、地図には表記されてない。確かエルメ長者町で観たと思うんやけど。曖昧。
他には中愛株式会社地下の戸井田雄の「時を紡ぐ」という作品が素晴らしかった。
会場に入ると、本当に何もない空きテナントって感じなんやけど、しばらくすると暗転して、床に像が浮かび上がる。像と言っても具体的な形ではなく、その床に刻まれた傷が青白く発光してものすごく幻想的。これが本当に今までついてきた床の傷をなぞっているのなら素晴らしいと思う。どちらにせよ美しい作品。
他には僕の先輩の佐藤建博の作品もあるのだけど、制作中だった。残念。
この長者町には会場がなんと20カ所以上もあるので大変でした。ふー。

ここで最後の納屋橋会場に行くのだけど、もう暑過ぎて歩けそうにないので、トリエンナーレ中チケットがあれば無料で乗れるベロタクシーを利用させてもらった。各会場を言えばどこでも回ってくれて、風がものすごく気持ちよかった。名古屋駅からも出ればいいのに。



納屋橋会場は元ボーリング場跡でものすごくインフラが整ってた。

ここは映像が中心だけど、中でも小泉明朗の作品は素晴らしかった。
普通の街中で1人の演者が台詞を独白。
その演技にどんどん拍車がかかってきて、最初は無視していた回りの人々も段々無視できなくなってくる、その異物感が観ていてドキドキした。
あと、梅田宏明の目を閉じて鑑賞する映像は、水戸芸の「REFLECTION」展で観た宇川直宏の映像に近いものを感じた。要するにやはり目を閉じて鑑賞するのはまだまだ無理があって、これは芸術ではなく単なる刺激だと感じた。
スタッフさんの「目を閉じてご覧下さい」という言葉がおもろかった笑
楽しみにしていた楊福東の映像が機械の調整で観れなかったり、「老人ホーム」で有名なスン・ユァン+ポン・ユゥの作品も機械の調整でちゃんとした作品として観れなくて残念。後者は上に取り付けられたバルコニーの奥から本が飛び出してくるという作品らしい。観たかった!
あと、小金沢健人の作品見逃してたことに気づいた!ガッシュ!

全部見終えて、会場前の堀川沿いを歩きながら、文化センターで宮永さんの作品を観ながら覚えた違和感を思い出した。
そして、彼女は文化センターではなく、こちらの会場で展示した方がしっくりくるということに気がづいた。なぜなら、展示されていた塩はこの堀川から精製された塩だったので、この川から出来るだけ近い会場で展示した方が説得力を増すのである。
そう思いながら歩いていたら、なんと納屋橋の袂に宮永さんの作品が!!!

これは地図にも載っていないので発見は偶然。
でもなんか自分の想いと宮永さんの想いがシンクロしたようですごく嬉しかった。
やはり彼女も場所と作品の関係について、その必要性を感じていたのではなかろうか。そしてその気持ちがこの作品に現れているのではないだろうか。
塩は野外だと雨風で流れてしまうので、代わりに桶に鏡が張ってあったり、ナフタリンの作品が展示されていた。これは必見です。

そんなこんなで真夏のあいちトリエンナーレ鑑賞終了!!
暑かったーー。何?の汗を流したのかしら。疲れた。
総評としては、星3つといったところ。
確かにひとつひとつの作品はいいのも多かったけれど、この名古屋という街で行われる必然性をほとんど感じませんでした。
「都市の祝祭」と銘打つならば、もっと街中に展開すべきだったと思うし、結局ほとんどが建物の中に収まってしまっているのは残念すぎる。
正直最初からそこまで期待していなかったものの、少しは良い意味で裏切ってくれるんじゃないかという仄かな期待もあったんですが、特に裏切られることもなく、大体予想の範囲内。
横浜もそうですが、これからここまでのお金をかけて続けていく意味あるんでしょうか。
実際スタッフも街中にたくさん配備されていたり、すごくお金がかかっています。
だけど、ベロタクシーの運転手さんも言ってましたが、全然市民に認知されてないらしい。
もっと市民に還元できるような、豊かな芸術祭になってほしいです。
でもそれも都市の中では難しいように思う。
都市には選択肢が溢れ過ぎていて、切迫感が欠けている。
越後妻有が成功しているのは、この切迫感が重要なんだと思う。
来年は横浜です。もう観に行くのはよそうと思っていたのだけど、先日発表された内容で、なんと僕の大尊敬するキュレーターの逢坂理恵子さんがディレクターとのこと!これは観に行かねばなりません・・・。横浜美術館の館長でもあるので、連動して美術館でも何かやってくれるに違いありません。前回は「源氏物語絵巻展」でしたからね笑 楽しみにしておきましょう。

帰りに名古屋駅内の松坂屋でまたも草間彌生発見。
草間で始まり草間で終わる。。。



ちなみに僕の場合凄い早さで回ったら、10時に見始めて3時過ぎには見終わりました。
いくつか観れない作品があったり、夜にしか観れない作品もあるけど、泊まりで観る程あるかってわけでもないので微妙なところ。来月から豊田市美で始まる石川純也展とセットで行くなら泊まりがけは十分に価値があります。僕は12月に行く予定。もちろん18切符でッ!
あと、西野達や池田亮司、高嶺格など期間限定でしか観れない作品もあり。鬼!
さらにこのトリエンナーレの目玉は後半に行われるパフォーミングアーツです。
すべての公演が豪華過ぎ!全部観たい!名古屋人羨まし過ぎ。
なので、上の評価は正当な評価とは言えないかもしれません。
百聞は一見に如かず。素晴らしい作品も多いので観に行く価値はあると思います。
10月31日まで。是非涼しくなってから行くことをおすすめします。

川北ゆう「ゆらぎのあと 景色をそそぐ」@INAX GALLERY2


同級生でstudio90でも個展をしてくれた川北さんの展覧会。
彼女は水にたゆたう線を画面に定着させる平面を作り続けています。
特にstudio90の展示では、それまで以上に大きな画面に挑戦。
そして、今までやってこなかった展示方法、床置きで展示しました。
http://www.studio90.info/exhibition002.htm
そこで見えてきたのは、大画面に悠々と遊ぶ線の姿。
そして縦も横もない、鑑賞者がいる場所が正面になるという床置きの可能性。
あの時に得た彼女の感覚がここにきてついにINAXで花開いています。
正直入った瞬間に、僕の心は躍りました。
床置きの2点の大作。
展示空間にあるのはそれだけですが、とても大きな何かを感じます。
特に手前の黄緑の作品は、今まで以上に線が自由でした。
まるで種を飛ばすタンポポのような軽やかさ。
360度回って見る楽しさも相まって、とても豊かな体験ができます。
友人とは言え、一作家として、普通におすすめの展覧会。
ぜひご覧ください!7月28日まで。
http://www.inax.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_001628.html
ちなみに同じフロアにあるセラミカの作品もおもしろくて、こちらも精華の方。
あと、見たかった「植物化石」展がやってて、INAXだけで相当楽しめました。


須田悦弘展@Gallery Koyanagi
お近くのコヤナギさんへ。
これがまた半端なくいい展示でした。
お決まりの植物彫刻ですが、やっぱり何度見てもかっこいい。
ギャラリーの中を探索するようにひとつひとつ見つける楽しみ。
全部で10点以上あったけど、そのどれもが美しくいとおしい。
オフィスの入り口にあった木蓮はめちゃくちゃ美しかった。
ギャラリーをぱっと見ただけでは何もない空間なのに、確かに豊かさに満ちてる。
本当に「美しい」と思えるものに出逢えます。ぜひ。7月31日まで。
須田さんの新しい画集が出てて思わず購入。
改めて須田さんのインスタレーション能力の高さに脱帽。
次は束芋らしい。コヤナギさん相変わらず強いです。


鷹野隆大「金魚ブルブル」@ツァイ・フォト・サロン
なんだかこの人はどんどん凶暴になってる気がする。
今回の作品は、一人の男の裸体をひたすら撮り続けたもの。
いわゆるこれは「ヌード」ではない。
明らかに「ネイキッド」。
そこにはきれいなだけではない様々なものが写し出されている。
写真家の「悪意」すら感じる写真たちに少し恐怖を覚えました。
15日の本城直季さんとのトーク聞いてみたい!


矢津吉隆「Sculptures and Paintings」@Takuro Someya Contemporary Art
彫刻のクオリティが高くてかなり見ごたえがある。
大きな作品もすごいけど、奥の小さな作品もすごい。
光が様々な状態で回って様々な像を引き起こす。
小さな方はそれがよりシンプルなだけに回りだした時の変化の差がすごい。
ペインティングは正直よくわかりませんでした。。。


あと、名和さんのau携帯の発表を観に表参道ヒルズへ。
完全なるアートピースでした。
開いたところが見てみたい。
あれ実際使ってる人も見てみたい。
会場には東信さんのインスタレーションなんかも。
高木正勝氏のパフォーマンスもあったみたいだけど始まる前に会場を後にしました。
華やかな会場は苦手です。。。

六本木クロッシング2010:芸術は可能か?@森美術館


ようやく行ってきました。
尊敬する窪田研二さんがキュレーションに加わっているので、今までのクロッシングとはまたひと味違うものになるとは思っていました。
そして実際の所、僕の想像を遥かに超える「異様な」展覧会となってました。
正直未だに整理がつきません。
言葉は悪いですが、鍋から吹きこぼれた灰汁のような、そんな感じ。
今回のテーマは「芸術は可能か?」
これはダムタイプの故・古橋悌二が提唱した命題で、90年代のバブル崩壊後の社会にアートが如何にして影響を及ぼす可能性があるのかという大いなる問い。
これに全霊を込めて応えたのがこの展覧会だったと思います。
実際に「アート」という枠を超えたものが次から次へと登場し、普段美術館で見るような作品は稀で、見たことのないようなものが並んでました。
もちろん照屋勇賢や、青山悟、横溝静、森村泰昌などの作家も存在しますが、この中に入るとそれらまで異質なものに思えてきます。
特に雨宮庸介のパフォーマンスは強烈で、常に会場内に作家がいて、何かをやっている。普段見てるパフォーマンスって決められた時間でしかやってなくて、こっちもそれなりに身構えて見るんだけど、常にそれが行われているという状態は、あまりに生々しくて、見ていて恐くなった。
また、ストリート系のアート作品も登場して、アート関係者が見過ごしているような問題を平気で突きつけてくる感じは新鮮。
音の作品も多く、ログズギャラリーのエンジンを音楽にしたような作品は、麻薬作用のようにずっとその場に留まって聴き続けたい欲求にかられたり、宇治野宗輝の様々なものを融合した機械が一斉に音を鳴らす作品も見ていて飽きなかった。
挙げていけばキリがないほど、どれも「アク」の強い作品ばかり。
アートの枠からはみ出しているといえば、近年長谷川祐子さんを中心に盛り上がっている「クロスディシプリン(領域横断)」のデザイナーなどが手がけるアート郡が挙げられるが、今回のクロッシングに関して、また新しい価値観を提唱していたと思う。
そのどれもが「社会」ということにとことん向き合っているような作品ばかりで、驚く程生々しく、時には痛々しさすら感じる。
これがいいのか悪いのかも判断がつきかねるものが多かったけど、とても印象深い展覧会でした。
ただ残念だったのが、最後のダムタイプの作品が時間が合わずに見られなかったこと。これは途中入場ができない作品のようで、開始時間に行かないと見れない。それってどうなん?と思いつつ、この作品は以前京都で見たことがあるので惜しみながらも会場を後にしました。
もう少し、この展覧会が何を意味したのか、考えてみたいと思います。
7月4日まで!
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六本木クロッシング2007:未来への脈動@森美術館
堂島リバービエンナーレ2009@堂島リバーフォーラム
MONEY TALK @ 広島市現代美術館

大舩真言「WAVE」@neutron tokyo

大舩さんのオープニングに行ってきました。
これまでも「日本画」という枠を超えた、作品の「あらわれ」を作り出して来た大船さんですが、今回の作品に関して、更に一歩進んだ感がありました。
具体的には、画面の表面に表れた、小さな結晶たち。
日本画というのは、元々自然の鉱物を砕いてそれを膠で溶くことにより、単純な「色」として画面に落とし込んでいく作業だと思うのですが、今回の大船さんの作品に関して言えば、その鉱物がそのまま現れてきています。敢えて鉱物を荒く砕いている様子。
画面自体が、何か岩をそのまま切断して出て来た表面のようなそんな印象。
今までの作品より遥かに荒々しくて驚きました。
そして、2階の展示に関しても、今度は色の変化も特筆すべき点だと思います。
これまで深海を思わせるような、深く暗い青が印象的でしたが、一気に海面近くまで上昇して、太陽の光を燦々と浴びたような碧が登場しました。
今までの濃紺のような作品は、やはり暗い場所で見る方が生える印象があったのですが、この碧の作品に関しては、光を取り入れた空間でとても美しく見えました。
これからまた画面がどう変化していくのかも興味深いです。
9月からのBIWAKOビエンナーレにも出展予定。
こんな作家さんと同じ展覧会に出せるなんて幸せすぎます。
neutronの展示は6月27日まで。
3階では大和由佳さんの展示がやってます。
こちらもあの使いにくそうな空間をうまく使った展示でとてもよかったです。
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大舩真言「Principle」 @ neutron
大舩真言「Prism」@ neutron tokyo
大舩真言「彼方の風」@天籟宮

アニッシュ・カプーア@SCAI THE BATHHOUSE

5年ぶりの日本での個展!
前回は漆の作品ばかり展示していて、それは見逃してしまいました。
今回も漆を使った彫刻は健在で、直方体に凹みのある作品が出てました。
近年の作品は、「裏側」を露にする特徴があって、その漆以外の部分が、あまりに露骨に素材感が出ていて気持ち悪かった。
他にもでっかい球の作品と粉の彫刻(あれ誰が作ったの?)と、アクリルの作品(これは白眉)、と幾何学のミラーの作品(映り方が凄い)が展示されてあった。
そのどれもが凄まじい完成度で、やはり彫刻は完成度が命と教えてくれる。
それにしても、いくつか売れていたのがびっくり。
すべて値段は伏せられていたのだが、多分吐きそうな値段だと思う。
それを日本で売りさばいちゃうスカイってやっぱすごい。
繊細な作品ばかりなので、スタッフの方々の監視が半端なかった笑
あー、日本でもでっかい展覧会やってほしいっす!!
ちなみに最近のカプーアと言えばカルティエとコラボして指輪作ったり、ロンドンオリンピックの塔をデザインしたりしてますが、なんだかすごくダサい・・・。一体全体どうしたんだ!?あのタワーは建てるべきではないと思います。
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Anish Kapoor @ Royal Academy of Arts
Anish Kapoor @ Lisson Gallery

椿会展2010 Trans-Figurative @SHISEIDO GALLERY

今回で第六次椿会メンバー(やなぎみわ、丸山直文、伊庭靖子、袴田京太郎、祐成政徳、塩田千春)による最後の展覧会。
なんですが、正直今までで最も質の低い展示だったと言わざるをえません。
まとまりに欠いたというか、なんだか凄く残念。
塩田さんの映像もよくわからなかったし、他もなんだか。
これまで毎年のように見て来ただけにチョット残念。
次のメンバーは誰になるのか。それに期待しましょう。

「マネとモダン・パリ」@三菱一号館美術館

東京駅前、丸ビル真横という超一等地に美術館登場!
ってことで、話題になってる三菱一号館美術館に行ってきました。
にしても、一発目がマネとは渋い!!
これが他の印象派の展覧会だったら行くことはなかったと思います。
しかし、マネです。
マネは僕が唯一好きな印象派の画家。大好きなんです。
やっぱり、彼の起こした革命というのは、近代絵画史に置ける金字塔ですよ。
この時代の絵画を辿っていくと、マネの異様さは明らかにおかしい。
しかもそれを普通にサロンに出しちゃってるんですから頭おかしいです笑
初めてのロンドンで、彼の遺作とも呼ばれる「フォリー=ベルナール劇場のバー」を見た時は泣きそうになりました。釘付けです。
それからオルセーでの「オランジェリー」や「草上の食卓」。
こんなにすごい偉業を成した人なのに、一般的な認知度はモネやルノワールに比べて圧倒的に低い。にも拘らずそのマネを一発目に据えて来たこの美術館の気概は特筆に値すると思います。
実際、平日の夕方ってこともあったでしょうが、ほとんど混んでなくて、とてもスムーズに見れました。いいんだか悪いんだか。
当時のパリをそのまま切り抜いてきたかのような、決定的瞬間からの外れた不思議な構図の数々。「エミール・ゾラの肖像」に見られるような不思議な背景。
改めてマネの魅力を感じられるいい展示でした。
これだけまとめてマネを国内で見られる機会はほとんどないと思います。
7月25日までなのでまだの方は是非。
オフィス街ってことで、平日20時まで開いてるのもいいですね。
にしても、マネといいセザンヌといい、アート関係者から評価の高い画家は、一般的にあまり人気がない。逆にルノワールとかドガとかどこがいいのか僕には全くわからない。モネはまだわかるんやけどね・・・。ゴヤの展覧会とかも見てみたいな。


追伸:六本木にて。改めて彼女の不在を想います。

Plastic Memory いまを照らす方法@東京都現代美術


MOTのフセインチャラヤン展を観に行ってきました!
すんごい楽しみにしてて、実際ものすごくよかった!
卒コレの土に埋めた服が生で見られるなんて・・・。
2000年春夏の「Afterwords」のコレクションはすばらしすぎる。
明快なコンセプトから生み出される表現の美しさ。
また、なにものにもとらわれない自由な表現。
そして彼自身の出自から来るえも言われぬ悲哀。
様々なものが合わさって、素晴らしい展示になってました。
映像は長過ぎて全部見るにはむずかしかったけど十分楽しめました。
ロンドンでやってた時よりいい展示になってたと思います。
ロンドン見てないけどね。でもデザインミュージアム狭いしそうに違いない。

しかし、その展覧会をも凌駕したのが今回のコレクション展。
今回から3回に分けて、テーマをしぼった展示をするらしい。
第一回は「Plastic Memory いまを照らす方法」と題し、記憶をテーマにコレクションから抜粋し、組み上げるひとつの企画展みたいになってた。
持ってる作品が素晴らしいってのはもちろんやけど、選ばれた作品の展示の仕方がものすごく贅沢で、その世界に胸一杯浸ることができた。
特に初っ端の山川冬樹の作品からノックアウトされてしまった。
彼の父親である、ニュースキャスターの山川千秋さんの死後、見つかったビデオテープを編集した壮大なインスタレーション。
暗幕をくぐると靴が3つ置いてあって、中に人が入ってると思って踏み込んで行くとそこは真っ暗闇。恐る恐る壁を伝って歩くと映像が流れ出す。
すると、そこには自分以外に誰もいないことが発覚。あの靴は一体!?
床には昔のテレビが何台か置いてあって、前の壁に投影された映像とリンクして、千秋さんの実際のニュース映像や、作者の小さい頃に撮った音声などが流れる。
完全に他者の記憶であり、年代も僕が生まれる前だったりするのに、あの圧倒的な懐かしさは一体なんなのだろうか。思わず涙がこぼれそうになる。
それは多分、多くの人が経験した親子の絆。
そんな普遍的な回路が鑑賞者の中で有機的に伝っていく。
素晴らしい作品でした。
今月精華でレクチャーするらしいから、行けたら行きたい。
他にもボルタンスキーの作品が大きな部屋にデデンと置いてあったり、米田知子のものの記憶を写し取った写真展示があったり、先日カンヌのパルムドールを受賞し今や時の人となってるアピチャッポン・ウィーラセタクン(覚えられない)などが展示してあった。
3階にはロングやフルトンなどのランドアート系の作家から始まり、土屋公雄の皿を月の満ち欠けに模したポエティックな作品や石内都の作品など。
僕にとって発見だったのが、木村友紀。
彼女の作品は以前サントリーの「インシデンタル・アフェアーズ」で見たきりで、その時はほとんど理解してなかったけど、ようやくこの人が何をしているのかが理解できた。
あの時と同じ作品なんだけど、今回の方が明快な感じがする。
なんか写真やってる人ってこういう追求型のマッドな人が多い笑
もちろん良い意味で、です。
んー、IZU PHOTOの展示も見てみたくなってきた・・・。あやうい。
いやはや、コレクションでここまでやってくれるとは。素晴らしいです。
以前から広島現美なんかが、コレクションを使って企画に負けるどころか勝ってしまうくらいの強い展示をやってましたが、現美のコレクションを使ってやれば、いくらでもできそうで、今後もかなり期待しちゃいます。
他の美術館もこういうコレクション展をどんどんやっていくべきやと思う。
これなら予算もそこそこで美術館の評価にも繋がると思う。
是非広まってほしいです。

現美は他に、「トーキョーワンダーウォール」の10周年企画もやってました。
これ自体ほとんど興味ないんやけど、ついでに寄ってみました。
あまりよく理解してなくて、3階の展示から見てどうしようかと思った。
その後1階の展示みて混乱。
つまり、3階では今年の入選作、1階にはこれまでの入賞作が展示されていて、あまりのレベルの違いに愕然としてしまったのです。
というか、入選と入賞でここまで違ってしまうのか・・・と。
今年のは、本当に若い人たちの日展みたいな、凡庸な作品が多かった・・・。
うわぁ、、、ってなりながらほとんど素通り。
でも、1階の展示になると、見応えのある作品が出て来て結構おもしろかった。
そこで見た牡丹靖佳の作品がすごくよかった。

ということで!

牡丹靖佳「do do」@MA2 Gallery

行っちゃいました笑
元々、このギャラリーはすごく好きで、東京行く時は必ずチェックするのだけど、なんせ恵比寿から徒歩10分という離れた場所にあるので、よっぽど行きたいと思わないと行けない。
で、今回も例の如くチェックしてたら、牡丹さんの展示がやってて、僕はこの人の作品は知らなかったのだけど、HPで見た時点でほぼ一目惚れしてしまって、時間あったら是非行きたい!と思ってたらMOTで出会ってしまってやっぱりよかったので、無理矢理スケジュールに組み込んで行ってきました。
そしたら、やっぱ行って大正解で、滅茶苦茶よかった。
ここ最近で見たペインティングで最もよかったかも。
というか、普通に欲しくなってしまった。
もの凄く寓話的なんだけど、まったくストーリーが読み込めない。
それでもどんどん絵画世界の中に引き込まれて行く。
色のバランスも素晴らしくて、秩序があるのかないのかわからないけれど、とても緻密に計算されたようにも見えて、本当に不思議な絵画。
見ながらずっと女の人やと思ってたんやけど、帰ってきて調べたら男性って知ってびっくり。(ずっと靖佳をヤスカって読んでました;) こんな絵を男性が描けるんや!
これからも要チェックな作家さんです。6月28日まで。是非!
MOTの展示では紙に描かれた作品が見れます。現美の今の展示はすべて今月20日まで。


現美の近くのりそな本社ビルのエントランスホールに内海さんの作品が設置されました!
朝から背広来た人たちに混じって見てきました;
青の中にいきなり登場する赤が妖艶で印象的。すばらしいです。

Olafur Eliasson 'Colour activity house' @ 金沢21世紀美術館





















オラファー2回目!
会期終了間際の20日にオラファーによる新コミッションワーク「Colour activity house」が完成したのとアーティストブックがついに完成したもんで。
コミッションワークは、色の三原色シアン、マゼンタ、イエローの弧を描いたガラスが互いに重なり合い見る場所によって見える色が様々に変化していくというもの。
円の中には灯台があり、夜にはそれが点くそうです。見てみたい。
ただ、なんとなく安っぽい感じがするんですよね・・・いいんだけど。
子供達が円の中と外をぐるぐる走り回ってました。
というか、この日は三連休中日ということで、凄まじい人!
前回の記事の写真と比べるとその差は一目瞭然。
現代美術ってこんなに人気あったの!?と勘違いしてしまいそうです・・・。
チケットを買うのに凄い長い行列が出来てました。
やっぱ金沢は全国でも特異な美術館ですよね。成功し過ぎ。
僕は係の人のおすすめで近くのコンビニでチケットを買ったので並ばずに済みました。しかも200円安かったし。
中もすごい人で、ミラーボックスを使った「Your body as eye」に長蛇の列が・・・これそこまで並ぶものなんだろうか・・・。
でも「Slow-motion shadow in colour」は色とりどりの影が重なり合いまくってて滅茶苦茶きれいでした。ごった返すぐらいがちょうどいいです。
「Your watercolour horizon」では半分寝転ぶぐらいの勢いで360度の虹を鑑賞したり、2回目だけど全然楽しめる。終わっちゃうのが惜しすぎる。。。
ショップではアーティストブックを購入。5800円もしたけど仕方ない。
これは表紙とページのエッジがまっすぐで箱のような見た目。
写真もすごく不思議で、作品を撮ってるのか建物を撮ってるのかよくわからない焦点。建築と展覧会がひとつになってる感じです。
しかも出版社が海外。ここまで時間がかかったのもうなずけます。
あー、いい夢見させて頂きました。ありがとう!

レストランのランチビュッフェ食べたかったけど全然だめでした。
おかげで昼食にありつけるまでに1時間ぐらいさまよった。
なんで美術館の周りにあんなお店少ないんでしょう。
ひとついい感じのお店をすぐ側に見つけたのでこれからはレストラン行けなかったらあそこにします。
駅でうわさの「まぼろしのクリームパン」を食す。うめー。

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オラファー・エリアソン「あなたが出会うとき」@金沢21世紀美術館
Olafur Eliasson 'SUNSPACE FOR SHIBUKAWA' @ HARA MUSEUM ARC
Serpentine Pavilion 2007
STUDIO OLAFUR ELIASSON : An Encyclopedia

オラファー・エリアソン「あなたが出会うとき」@金沢21世紀美術館









オラファーは完全に神になりました。
すごくよかった。本当によかった。終了までにもう一度行こうと思います。
こんな展示が日本で見られるなんて・・・アートラバーとして感激の極みです。
これは確実に必修科目ですね。これ見ないと卒業単位落とします。
テートやブレゲンツの展示と、近年のNYでの滝やサーペンタインパヴィリオンなんかを比べると、最近精度落ちてきてるよなーと内心思ってましたが、今回の展示見て改心しました。ごめんなさい、オラファー様。あなたはやはり神でした。

オラファーがこの美術館のためだけに企画した特別な展覧会。巡回はなし。
実際この美術館をめいっぱい使ってて、回りながらとてもゾクゾクした。
もう言葉になりません。レビュー放棄です。もっと早くに行ってればよかった。
強いて言うならやっぱ「Your atmospheric colour atlas(あなたの創りだす空気の色地図)」がすごかった。最初もっと濃い霧を想像してて、自分が虹に包まれる感覚を味わいたかったのに、とちょっとがっかりしながら奥に進んで振り返った時の感動が忘れられない。これは自分というより他の観客が虹に包まれていくのを見る作品なんだと思う。虹に消えてはまた現れる様が美しすぎた。
また、円の部屋を利用した「Your watercolour horizon(水の彩るあなたの水平線)」もすさまじい強度。美しい。
水の姿を捉える「Object defined by activity(動きが決める物のかたち)」もすごい。
今回の展覧会の作品には’Your'という単語が多く使われている。
展覧会のタイトルにも使われてるし、ここから今回のオラファーの気持ちが伝わってくる。
当初朝一の人が少ない時間帯に一人で作品を独占してやろうと思ってたんだけど、後述する「菅木志雄展」に先に行ってしまったのでそれはかなわなかった。
でもそれは思いがけず大当たりで、これは人が多い時に行った方が絶対にいい。
なぜなら観客がいてこそ成立する作品がほとんどだから。
特にこの美術館は老若男女問わず様々な人が訪れるので、彼らの笑顔が作品に花を添える。
特に子供はおもしろがってどんどん作品に「参加」していく。
ショップでまだこの展覧会の図録が出来上がってなかったので(絶対買います!)、代わりにDVDを買った。ガーディアンのアートレビュアーとのインタビューに、「君は最近のアートでは珍しい'pleasure'という言葉を使うね」という指摘があって、オラファーが「そのとおり。僕の作品ではfeelingがもっとも大事なんだ」と答えてました。
この言葉どこかで聞いたことあるなぁ、と思ったらクリストとジャンヌも同じようなこと言ってるんですね。「わたしたちのアートで一番大事なのはjoyです」と。
アートは人を笑顔にしてなんぼの商売だと彼らから学べますね。涙。
ちなみに、僕と同じスリットを使った作品「Less light horizon(微光の水平線)」は微妙でした。というかクオリティが・・・どうしたんだオラファー?
あの作品と今回の僕の作品とたまに比べられたんですけど、共通点スリットってだけやん!あれ覗いても殺風景な風景しかないし、構造丸見えやし・・・。あれはそこから漏れる光を見る作品なんであしからず・・・。
なんにせよ早くも今年一番の展覧会です。
常設では村山瑠璃子さんのあの布の大作にびっくりした。あれはすごい。
あと須田さんの展示が普通に落ち葉とまざってた笑
ってか考えたらここカプーアもタレルもあるし、もうすぐオラファーのコミッションワークもできるみたいやし(最後の写真)、神の殿堂と化してる・・・。すごいなー金沢。うらやましい!
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Olafur Eliasson 'SUNSPACE FOR SHIBUKAWA' @ HARA MUSEUM ARC
Serpentine Pavilion 2007
STUDIO OLAFUR ELIASSON : An Encyclopedia

菅木志雄「在るということ」@金沢美術工芸大学アートギャラリー

こないだ京都の小山さんとこで見た作品がめちゃくちゃかっこよくて、ちょうど金沢でも展覧会してるってことだったので行って来た。
感想は・・・オラファー見ちゃったらねぇー・・・。
旧作より近作の方が断然かっこよいです。

「エレメント」構造デザイナーセシル・バルモンドの世界@東京オペラシティ


金曜の延長時間に行くとチケットが半額になるらしいy
ということでなんとか東京最終日、滑り込みました。
待ちに待った、セシルの日本初個展です。
今まで建築家の展覧会はあっても、構造エンジニアの展覧会は珍しいと思う。
ただ、セシルの場合、構造エンジニアという枠を大きく逸脱している。
ただただ建築家の案を実現する構造原理を導き出すだけに非ず、セシルの場合はさらなる創造性をそこに加えて、建築という静的な物体を一気に動的な、まるで自然界に生きる生物のように生命を与えてしまう。
伊東さんやOMAとの仕事を見ていればそれは歴然。
どっちがデザイナー?と首を傾げてしまうほどである。
建築家にとってこれほど刺激的で驚異的なパートナーはいないのではないだろうか。
展覧会の冒頭はカラフルな垂れ幕で生い茂る森で始まる。
その垂れ幕を掻き分けながら進んでいく。たまにセシルの言葉が書かれていたりするが、それを全部読みながら進むも、好き好きに進むもまったくもって観客の自由。
僕は後者を選んだ。
それはまるでセシルの思考の森。
言葉や彼に啓示を与える自然界の「エレメント」が生い茂っている。
そこを抜けると、今度は数学のトリックをさらっと見せてくれる。
一つ一つはちゃんと説明してくれないとわかんないけど・・・。
度肝を抜かされたのが「H_edge」と言うインスタレーション。
これほど構造の凄みを端的に、そして能弁にあらわしたものはない。
X型の鉄のフレームと鎖で構造物が出来上がっている。
そこには支えなどまるでなく、ただただそれらの生み出す張力で成り立っている。
そして足元にはV&Aで発見した黄金比率のタイリング。
それを延長するように向こう側の壁にはタイリングの映像が滝のように流れている。
滝といえば岩。映像の手前には黒と白の岩のようなオブジェ。
これは正直よくわからなかった。。。
通路にはこれまでのプロジェクトを一台一台テレビ画面で見ていくコーナー。
というかこの通路の使われ方は毎度こんな感じですね。
まあ、こんな感じだけれど、ちょっと簡単に見れすぎてしまったのが残念。
会場にいろんなエレメントが多すぎて、なんだか散漫な印象を受けてしまった。
なんだったらあの大部屋は「H_edge」だけでもよかった気がする。
でもまあ、やっぱりセシルは刺激的。
バタシーの計画もものすごく楽しみです。3月22日まで。
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Cecil Balmond+伊東豊雄@NHK大阪ホール
Temenos by Anish Kapoor x Cecil Balmond
伊東豊雄


他に東京で見た展示をまとめてざざっと。


村山悟郎 shiseido art egg vol.4@SHISEIDO GALLERY

もはや恒例になりつつあるshiseido art egg。今年で第4回。
すでに若手作家の登竜門的位置を占めていて、この国における乏しいアートコンペの中ではかなり質の高いコンペだと思います。
毎年3人選ばれて年のはじめに順番に行われていく。
今年の応募総数は336件。昨年よりは多いものの、第一回が650件という脅威的な数字なのでなんともいえない。でもまあ狭き門なのは変わりなし。
今回僕が見た村山君は第4回の最後を飾る展示。
同い年なのでなかなか気になって見てきました。
最近の作家ではめずらしいほどに大きな作品。
壁面をまるまる覆い尽くさんばかりの大きさでした。
縄を編んでどんどん成長を遂げていくらしいです。
その上に描画していくんですが、その描画方法にもルールがあるそうな。
また奥の展示室にも、壁に直接描いたドローイング。こちらもルールあり。
なんだかルールを設定しすぎて、逆に縛られないのかな?と心配になる。
もう少し自分の創造性を信じてもいいと思った。
あと、そのルールのわりに、縄と描画の関係がイマイチ見えなかった。
関連記事>>宮永愛子「地中からはなつ島」@資生堂ギャラリー


森末由美子「ある日静かに」@INAXギャラリー2
昨年の京都芸大の政策展で気になってて今回たまたまやってたので寄ってみた。
んー、ほそかわの時同様インスタレーションの仕方がまずい気がする。
この若さですでに回顧展みたいな雰囲気。これはまずい。
せめて作品のシリーズをしぼるべきだったんじゃないだろうか?
あれもこれも見せたいというのもわかるけれど、手の内はある程度隠すべき。
作品はおもしろいので、発表の仕方をもう少し考えるべきじゃないかなぁ。
えらそうですんません。
ところでこのギャラリーでやってる展覧会圧倒的に関西の人ばかりなのは気のせい?
<関連記事>
森末由美子「無重力で右回り」@ギャラリーほそかわ
京都市立芸術大学学内展@京都市立芸術大学


東信「鎧松」@POLA MUSEUM ANNEX
「ジャンルの横断」という点において最も作品の精度が高い作家の一人。
華道だけど、ものすごくインスタレーション感覚に恵まれた人だと思う。
今回も会場にこの「鎧松」ひとつ。
奥には映像もあったけどなくてもよかった。
この「鎧松」の佇まいが本当に異様で、会場を飲み込んでた。
実際の鎧松にパンチングメタルでできた鎧を着せてしまうというもの。
一部普通にその鎧からはみ出てる部分があったのだけどあれはどうなんかな?
あと、パンチングメタルってのが、確かに遠くから見るとかっこいいのだけど、近くで見るとその中身がメタルと穴の部分で「見える」「見えない」が完全に分離しているので、もっと曖昧に見える素材ならもっとかっこよかったと思う。
そういえば名和さんも松をプリズムボックスに閉じ込めてたっけ。
エレベーター降りてぱっと見たときの異様さは確かにすごかった。


小谷元彦「Hollow」@エルメス銀座
今回最もがっかりした展示。
もともとそんなに期待してなかったけど、写真で見るとその浮遊感が空間にすごい緊張感漂わせていたのだけれど、実際会場で見てみると、ただただテグスとかで吊ってるだけやし、壁に設置してあった作品はビス丸見えやし、樹脂の継ぎ目がまるわかりで、げんなり。
展示の緊張感が驚くほど欠けていた。こんな作品は緊張感が命なのではないのか?
逆に床に置かれた作品がもっともよかった。
細い足でその大きな頭(?)を支えてる様にこそ浮遊感を感じたからだ。
年末森美で展覧会だけどどうかな?うーーん。


半田真規 変生態-リアルな現代の物質性VOL.8@ギャラリーaM
いいと言われて行ってきたけどそんなでもなかった。
元のスペース知ってたらもっと印象は違ったかもしれない。
この人去年ロレックスのプログラムでレベッカ・ホルンと一緒に作品作った人ですよね。
これどうやて選ばれるんでしょうか。
次のメントー(指導者)がカプーアらしく、喉から手がでるほどそのプロトジェ(生徒)の権利がほしいんですが。。。
知ってる人がいたら教えてください。
って、全然レビューになってませんな。


あと、今週からオープンする某アートセンター(わかる人はわかりますね)に友達の配慮でその準備中のところを特別に見せてもらった。
んー、ついに東京にもこんなところができるのかぁと驚嘆。
うまくネットワークが広がるといいけれど。
また出来上がったら行ってみたいと思います。
以上東京報告でした。
あとやなぎさんの展示とか見たかったなー。

クリストとジャンヌ=クロード展@21_21 DESIGN SIGHT



昨年末に届いた悲しすぎる知らせ。
その一報を聞いたときにまずクリストのことを想いました。
このまま彼も後を追ってしまわないかと。
しかしその思いはとても浅はかだったようです。
生前も別の飛行機に乗って移動していた二人。
一人が事故に遭ってもプロジェクトが遂行できるようにという思いから。
ジャンヌ=クロードの死は彼にとってとてもつらかったことでしょう。
半世紀以上連れ添った人生の伴侶。
それはもう僕には想像も及ばない悲しみだと思います。
それでも二人にはプロジェクトという人生を掛けたものがあります。
今回のタイトル、「LIFE=WORKS=PROJECT」は彼らのことを見事に表していますね。

展覧会初日にはクリストも来日して講演を行ったそうです。
聞きにいきたかったけどどうしても行けませんでした。
実際聞きにいった友人によると、今までジャンヌがしゃべり倒してたパートもクリストがまくしたてていたそうです。彼の後ろには確実にジャンヌがいるんですね。
それを聞いて安心しました。

今回の展覧会はその訃報を受けた三宅一生が、急遽ねじ込んだ企画らしい。
分野は違えど同じ布を使うアーティストとして共通するものがあったのでしょうか。
展示品の中には三宅一生に贈った梱包作品も展示してありました。
そして、1985年6月13日の新聞を包んだ作品。
この日は二人にとって50回目の誕生日。
そう、彼らはまったく同じ日にこの世に生を受けたのです。
それを見たとき涙がとめどなく落ちて大変でした。
監視員から隠れるように泣きました。
平日の朝一だったので人も少なくて助かりました・・・。
あやうく声が出そうなほどの涙でした。
僕は彼らが大好きです。

彼らのすごいところは「きれいごと」を素でやってしまうところ。
誰からの援助も受けず、自分たちのやりたいことだけをする。
そのためにはどんな犠牲もいとわない。
展示されてる作品の数々はまさに彼らの人生そのものが反映されていました。

また、この展覧会では彼らを追ったドキュメントフィルムの上映もしています。
中でも2005年のNYで行われた「The Gate」のフィルムは日本初公開。
2年ほど前だったか、NYのフィルムフィスティバルで上映されたと聞いてから見たくて見たくてたまりませんでした。
それが今回叶ってようやく見ることができました。
サフラン色の布が垂れるその瞬間。
カメラがパンして、観客の姿を捕らえます。
すると、その画面に映った人々の顔がすべて笑顔だったんです。
それを見た瞬間またもや涙がこぼれました。
アートって何だろう?
という問いは、関係者なら誰しも考えることだと思います。
僕はクリストとジャンヌがやっていることにある種の解答があると信じています。
学生の頃、その壁にぶつかった時に、救ってくれたのもクリストとジャンヌでした。
彼らの「The Gate」が新日曜美術館で放映されていて、それを見てぼろぼろ泣きました。
特に、制作スタッフの誇らしげに観客に説明している姿は印象的。
今でも彼らの笑顔が忘れられません。
観に行けなかったのは悔しいですが、それでもホントに救われました。
今回この映画を見てまたあの時の気持ちがよみがえりました。
まだ日本語字幕はついてませんが、早くDVDになってほしいです。
ちなみにその他のDVDはすでに購入済み。
壁にぶつかった時に見るようにしてます。
会期中上映プログラムが曜日ごとに違うのでご注意を。
「The Gate」は木曜と日曜日です。

展覧会の最後にはジャンヌの写真が飾られていました。
本当にありがとうございました。大好きです。
進行中の「Over The River」と「マスタバ」はできたら必ず見に行きます!!!


クリストとジャンヌ=クロード展「LIFE=WORKS=PROJECT」
21_21 DESIGN SIGHT
2010年2月13日-4月6日 火休(4月6日は開館)
11:00 - 20:00(入場は19:30まで)
*3月27日は六本木アートナイトのため翌朝5時まで開館(入場は4:30まで)
映画の上映予定はこちら


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ジャンヌ・クロード逝去
クリスト&ジャンヌ・クロード講演会 @ 福岡市美術館
クリスト&ジャンヌ・クロード講演会@京都造形大学

楊福東「将軍的微笑」@原美術館


今回の遠征では映像をかなりたくさん見た。
その中でも特に印象深かったのは、原美の楊福東の展示。
そもそも彼の作品は以前まで得意ではなかった。
その最も苦手としてた理由はなんせ長いこと。
1時間なんてザラで、2007年のヴェネツィア・ビエンナーレで発表された「竹林の七賢人」なんかはなんと5時間にも及ぶ大作である。
確かにアルセナ-レの会場のど真ん中に大きなシアターを構えて上映していたのを覚えているが、当時誰がこんな長いこと見続けられんねんといった感想で、パッと覗いて出て行ってしまった。
映像はパッと見て評価を下せないメディアだ。
ある一定の時間半強制的に拘束される。
見出したらキリがないので、いつも1分ぐらいで評価を下して見続けるか否かを決めてしまう。
楊の作品の特徴は白黒の無声映画ということである。
映し出されるのも誰かの日常のシーンばかり。
至極退屈でスペクタクルもない、おそろしく単調な映像なのだ。
そんなイメージを覆したのが、一昨年に見た、「アヴァンギャルド・チャイナ」での映像だった。
会場の最後に投影されていたそれは、とても感動させられた。
意味から解放されるというのか、観客が各々ストーリーを紡いでいける、とても豊かな映像だと気づいたからだ。
それから楊の作品を見るのが苦にならなくなったので、今回の展示は結構楽しみにしていた。
中でも前述した「竹林の七賢人」の第三弾となる映像はすばらしかった。
連れがいたので気を使って途中で出てしまったけれど、最後まで見たかった。
確か50分以上あったと思うけれど、まったく苦にならない。
5月まで会期が延長されてるので、もしかしたらまた観にいくかも。
あとその隣の「半馬索」もよかった。荒涼とした大地をスーツ姿の青年がひたすら旅をしていく。
今資料を見て驚いたが、カラーの映像だったんですね。記憶の中ではこれも白黒のイメージだったのだけど。こういう記憶違いも楽しい。
これまでの楊のイメージを変えてきたのが、2階の奥の部屋に展示されていた「青麒麟 Part1」と、今回のタイトルにもなっている「将軍的微笑」である。
どちらもインスタレーションの形式をとっていて、これまでがっつり映像として見せてきた楊のイメージからは程遠い感じだ。
まだ「青麒麟」は、これまでの主題、すなわち発展から遠ざかっていく風景を、労働者と共に見せるスティールとムービーの中間を成す作品だけど、「将軍的微笑」に関しては完全に束芋的な映像インスタレーションだった。
「将軍的微笑」は、この美術館の前のダイニングルームを使った、サイトスペシフィックとも言える作品で、でも今回の為に作られたものではないという不思議な符号を持った力強い作品。
長い机の上に、食事をとる人々の手が映し出されていて、わいわいがやがや様々な音が流れている。
上にもいくつかのTVモニターが設置されていたり、両端には二人の将軍の姿。
一人は昔をひたすら回顧していて、一人はピアノを弾いている。
テーブルの世界とかけ離れたどこかさびしい風景。
この作品をどう解釈するのか、僕の中でまだ釈然としていないけど、これから楊がどのように進んでいくのかが楽しみ。
ちなみに一番最初の部屋の「バックヤード-ほら、陽が昇るよ!」はわけがわからず、初っ端から不安に陥れられました笑
毎週日曜日には映写技師さんが流してくれるんやって。
あと、2階の階段のところで流されている楊のインタビューは必見。
思慮深く、一言一言が重く響きます。
5月23日まで。
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アヴァンギャルド・チャイナ@国立国際美術館
52 la Biennale di Venezia ♯1


REFLECTION 映像が見せる"もうひとつの世界"@水戸芸術館

先日の小生の展覧会を見てくださった学芸員さんにご挨拶をと思って朝一で水戸。
にしても遠い・・・。いつもここはいい展覧会がやってるけど距離が邪魔をする。
そのついでとばかり見た展覧会だったけど結構よかった。
前半は政治的なテーマを扱ったものが多かった。
マティアス・ヴェルムカ&ミーシャ・ラインカウフのベルリン統合前の東から西へ脱走する人々を再現した映像や、藤井光の若いホームレスを取材した映像。Chim↑Pomやジェレミー・デラーもいうにあらず、八幡亜紀の河川敷で一人でサーカス小屋をやってるおっさんに当局が出て行くように要請するみたいなドキュメントまで。
こういった作品を見るたびに考えてしまう。
つまり、アートでこれをやる意義がどこまであるのだろう?と。
もちろんないとは言えない。観に来た人は多かれ少なかれその問題を考える。
しかし、この「観に来た人は」というのが問題で、わざわざ美術館までやってきて、こういった映像を見る人がどれだけいるのかという話である。
こういった問題はマジョリティに訴えかけてなんぼみたいなところがあるので、アートみたいなマイノリティの世界でやるより、よっぽどテレビ番組とかにしてしまう方が効率がいい。
もちろん一人一人に訴えかける深度はまったく違うが、それでも、である。
むしろ前半のおもしろさはその展示の仕方にある。
得てしてそうなってるのかはわからないけれど、ひとつの映像を見ているときに視界の端にすでに別の作品が見えていたり、音がこちらまで聞こえてくるといった侵犯がなされている。
その状態がとてもおもしろかった。どうなんかな。
後半は宇川さんからがらっと印象が変わる。
宇川さんの作品はなんと「目を瞑って見る映像」。
他のしかけは特におもしろくもなんともなかったが、こういう映像の見せ方は面白いと思う。あと何を見せるかというのにもいろいろ可能性がありそう。今回のはただの刺激でしかなかったが、もっと豊かな像を見せられる隙間があるんじゃないだろうか。
あと以降の作品はどうってことないけど、ラストのさわさんは必見。
正直これ観るだけでも水戸に来る価値はあると思う。
もう泣きそうになった。2周分ぐらいその場から動けなかった。
やはりさわひらきはすごい。感動した!
さわさんは「インシデンタル・アフェアーズ」の時もそうやったけど、グループ展の最後を飾るのに相応しい作家。映画のエンディングを見ているよう。音楽も素敵。完璧。
水戸は展覧会ごとにかなり空間を変えてきていて、その精度がどの美術館より高い!
美術館自体は正直どうしようもないけれど、そこはキュレーターの腕の見せ所なのだろう。
今回のクリテリオムの高田安規子・政子の展示もよかった。
地図を切り取るすさまじい手仕事。すばらしい。
あー、前回のボイス展も見たかった!
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Hiraki Sawa @ Chisenhale Gallery
インシデンタル・アフェアーズ@サントリーミュージアム


束芋「断面の世界」@横浜美術館

とても楽しみにしていたのだけど、残念ながら期待を上回るものではなかった。
もちろん各々の作品はすばらしかったのだけど、全体の印象が薄すぎる。
何でかな?原美術館の展示がよすぎてそれとどうしても比べてしまう。
多分「よかった」と思える展覧会って、数ある出品作品の中でも突出したものがひとつでもあれば「いい展覧会」という印象になるんじゃないかと推測する。今回のは平均して良くて、だからといってこれがよかったと後に語り継げるものもなかったのが痛いところ。難しいね。
逆に原の時はあの波の映像が未だに忘れられないのです。
楊福東のカタログは買ったけど、束芋のカタログは買えなかった。
大阪の国立国際にも巡回するみたいやけどどうしようかなー。安かったら行こう。
常設は石内都の写真の保存状態の悪さに驚愕。大丈夫か?
夜にはチェルフィッチュの舞台を見た。ちょうど会場も横浜美術館やったし。
客席に俳優のMM氏がいた。完全に浮き足立ってしまった。オーラが違う。
内容は格差社会に言及するものだったけど、動きもほとんどないので難しかった。
隣に座ってた連れは完全に眠りの世界に没してらっしゃった笑
いろんな舞台が見たい今日この頃。

横浜美術館ではちょっとした個人的事件がありました。
なんと館長の逢坂さんにお会いすることが叶ったのです。
彼女は僕の憧れのキュレーターさんで、ここでも何度か言ってる水戸芸の「人間の未来へ-ダークサイドからの逃走」という展覧会を企画されて、僕はその展覧会で初めてキュレーションの重要さに気づかされたし、初めて展覧会見て泣いてしまったのです。
そんな逢坂さんがなんとこないだの小生の展覧会を観に来てくれてて、そのときはお会いできず芳名録で確認して一人で飛び上がったんですが、今回だめもとでアポもなしに受付で挨拶できないかと言ったらわざわざ出てきてくれて名刺までいただいちゃいました。
あの展覧会の感動も伝えられたので、束芋やチェルフィッチュそっちのけで大感動。
いつか一緒にお仕事したいっす!

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人間の未来へ-ダークサイドからの逃走@水戸芸術館
束芋「ヨロヨロン」@原美術館
束芋@カルティエ財団
チェルフィッチュ「クーラー」@AI・HALL
「タトゥー」@新国立劇場

杉本博司「光の自然」@IZU PHOTO MUSEUM


昨年末オープンした杉本博司が設計も手がけた美術館IZU PHOTO MUSEUMに行ってきました。
静岡県は三島駅からシャトルバスで約20分。
クレマチスの丘というところにあり、ここにはヴァンジ彫刻庭園美術館やベルナール・ビュッフェ美術館なんかも近くにあります。
写真専門に扱う美術館として、今回の杉本氏の展覧会は�落としとしてぴったりでした。
発表されていたのは、「放電場」の新作とタルボットのネガを起こした「光子的素描」。
写真の創世記に迫るすごい展示でした。
「放電場」は近年杉本氏が力を入れている新しいシリーズで、ギャラリーコヤナギで見た水中放電を使ったすさまじい像を見せ付けてくれてます。
フラクタルという言葉ではもはや言い表せられない美しさ。
まるで狼の毛皮のような肌理と、嵐の風景を思わせるような全体像。
ホントこの人どこまでいっちゃうんでしょうね。。。
これは写真の産みの親タルボットが実験していたものらしく、それを杉本氏が受け継いで形にしてるとのこと。
さらに新作「光子的素描」は、タルボットの現存している貴重なネガを、独特の技法で現在に蘇らせた作品。タルボットの作品が杉本さんの作品に生まれ変わってる!
この「放電場」も「光子的素描」もドイツのK20で最初に見たのだけれど、確実に進化していて、特に「光子的素描」はK20で見たときの印象とまったく違うのにびっくり。
杉本氏はすっかりタルボットの意思を現代につないでいます。
この「つなぐ」というのが、今回の展覧会の根底だと思う。
特にアートの世界において、この「つなぐ」という意識は本当に少ないと思う。
やはりアートにおけるオリジナル信奉は根強く、常に新しいものではないといけないという強迫観念のようなものが渦巻いていて、それが表現の幅を狭めている要因のように思える。
アートもひとつの伝統芸能として、後世につなぐ必要があると思う。
自分も作家として、誰の意思を継ぐかというのを最近考え始めている。
それをパクりと呼んでしまうのは本当に残念な発想だと思う。
そのアイディアを如何に自分のフィルターに通して昇華するかが、後世に残された作家の腕の見せ所なんだと思う。
そもそも実際まったくのオリジナルなんて今更存在するとも思えない。
そこに対して正々堂々と挑んでるのが杉本博司という作家のすごいところ。
今回の展示で改めて思い知らされました。

ところで建物に関してははっきり言ってだめでした。
杉本さんの趣味全開といった感じで、すごく食傷気味。
今後どういう展示が来るのかわからないけれど、遊びもすくないのである程度の幅でしか見せられないのではないかと思う。
美術作家が下手に他の分野に手を出すのはいけませんね。
そこは尊敬できません。


ちなみにこんだけ書いておいてなんですが、今回の鑑賞時間わずか15分です。
というのも、18切符で大阪から始発に乗ってやってきたわけですが、この後東京で用事があり、一時間に一本のシャトルバスを待ってるわけにはいかない。かといってタクシーに乗るのも金がかかりすぎて何のために18切符で来てるのかわからん。
そう思いながら見てたら、美術館自体が小さかったため、なんと折り返してきたシャトルバスに乗れたのです。運転手さんに怪訝な顔で見られました・・・。
ホントはヴァンジのアイラン・カンの展示も見たかったのだけど・・・。
貧乏暇なし。これにて!


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杉本博司「Lightning Fields」@ギャラリー小柳
杉本博司「歴史の歴史」@国立国際美術館
杉本博司「歴史の歴史」@金沢21世紀美術館
Hiroshi Sugimoto @ K20
棚田康司展「十一の少年、一の少女」@ヴァンジ彫刻庭園美術館

内藤礼「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」@神奈川近美鎌倉


今年最後の東への遠征。
ずっと楽しみだった内藤礼の個展へ。
このやたら長いタイトルはジョルジュ・バタイユの「宗教論」の一説。
これがどう展示と関係しているのか。或はしていないのか。
わくわくしながら中へ。
まずは第一展示室全体で構成される「地上はどんなところだったか」。
近年の内藤さんの作品は表現を究極にまでそぎ落としたようなものが多かったが、これは原点回帰のような作品で、豆電球やハンカチ、テグスなどが展示ケースに配置されている。ケースは開いてるのと閉じてるのがあり、なんとケースの中にも入れちゃう。この体験は中々出来ない。見る側と見られる側がごっちゃになって、世界が歪んで見える。
さっそくやられちゃったら次の展示室へ。
プリント布が床に敷かれている。なんだかいい香りがした気がして係の人に聞いてみたがにおいは特につけてないらしい。内藤さんの作品はささやかすぎて、常に五感が最大限に働いてしまう。そこがまた内藤作品のすごいところ。
その布の上には「恩寵」と題された丸い紙が。これは持ち帰り可能で、よく見るとピンクの小さな文字で「おいで」と書いてある。1枚いただき。
外に出ると、中庭に「精霊」と題されたリボンが空を漂っていた。
これは正直内藤さんらしくなくていまいち。
確かに美しいんだけど、なんだかちょっと違うなーと思った。
それよかやっぱりテグスに小さなビーズがついた「恩寵」が美しい。前に広がる池を借景として色んな場所に配置された水で満たされた小さなガラス瓶もいい。
この美術館は鶴岡八幡宮の敷地内にあり、この祈りの場に内藤礼の作品はとてもしっくりきていた。もっと大きなところで色んな表現を見てみたい。来年の豊島のプロジェクトも楽しみすぎる。
カタログがまだ出来ていなくて残念。予約注文しました。
来年のトーク聞きたかったー!
内藤礼
「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」
神奈川県立近代美術館 鎌倉
2009年11月14日-2010年1月24日
午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日:月曜日(1/11は開館) 12/24 12/28-1/4 1/12
アーティストトーク:2010年1月11日 14時より

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内藤礼「color beginning」@GALLERY KOYANAGI
内藤礼「母型」@ 発電所美術館
内藤礼「このことを」@きんざ
パラレルワールド@東京都現代美術館
横浜トリエンナーレ2008

青山悟「Labour's Lab」@府中市美術館
てっきり鎌倉と府中合わせて午前中で回れると思いきや大間違い。遠!
やはりまだまだ関東の土地勘が馴染まない。広いなー、関東平野。
12月1日から13日まで青山さんが公開制作をしている。
タイトル通り、労働者のそれのようにひたすらミシンをフル稼働。
そのミシンがイギリス製で変圧器がでか過ぎる。でもかっこいい。
そしてラボという名の通り、様々な本が雑多に置かれていたり、メモがその辺の壁に無造作に貼られていたり、プライベートとパブリックが完全に溶けている。
いくつか出来上がった作品もあって、やはりものすごい密度。
というか、見ていてもどうしてこんなことができるのか全く理解が追いつかない。
行った時はファッションショーの写真を縫いまくってた。
それにしても公開制作ってどうなんやろ。
作家と観客の距離がつかめない。話しかけてよいのやら。
結局会話も交わせず会場を後にしました。
13日以降は完成品をお披露目。来年2月14日まで。

今村遼佑「ノックする」@site
恵比寿にあるsiteという建物。
ここにあまり知られていないけどギャラリーがある。
不定期でレンタルスペースとして開いたりしているのだけど、年に1回か2回だけ「秘密実験箱」という企画展を開催している。メディアアーティストの鈴木康広や写真家の梅佳代なども実はここでやってたりする。
そんなsiteで僕が今同世代で最も注目している作家の1人、今村君が個展を開くと聞いて駆けつけました。以前今村君と話してた時にここのことを教えてもらって、いつかここで個展をしたいという話を聞いていたのでこれはどうしても観に行かなくては、と。
今村君は自分のやりたい場所で確実に展覧会をこなしている。以前のパンタロンもそうで、そういう姿勢は同じ作家として本当に共感できる。ギャラリーに選ばれるのではなく、作家自らイニシアティブを握るというのはとても大事なこと。
そしてこの秘密実験箱のおもしろさは、なんと入場料をとること。
たった200円だけど、それでも無料でギャラリーを見れるのが当然の中これはすごいことだし、とても意義のあることだと思う。音楽も演劇も素人でも金をとるのに美術だけ金をとらないのは昔からおかしいと思っていたのだけど、ここはそれをやってくれている。お金をとるということは、それだけ責任のある展示をしなければならないし、その緊張感はとても貴重。喜んで払おう。
で、肝心の展示は、相変わらず素晴らしかった。
パンタロンの展示とは対照的に全体の色がモノトーンに抑えられていて、今村君独自のささやかな世界が空間いっぱいに広がっている。
内藤礼といい今村君といい、「世界との再会」を可能にしてくれる作品に出逢えるのは至福の瞬間。そんな豊かな空気で満ちた展示。
是非おすすめです。6日までですが行ける人は是非!

笹倉洋平「ツタフ」@neutron tokyo
あらためてこの空間は使いにくいな、と思った。
最初の展示室で、京都で見た作品が同じように弧を描いて壁と壁をつないでいたけど、なんだか作品が死んでるように見えた・・・。悲しい。
でもまあ、京都とちがって、ディテールがよく見えたのだけど。
床に平置きの展示はよかった。水の波紋のような線達。
この空間は結局作品の展示スペースというより、商品のディスプレイにはすごく向いている。元々家だったので、自分の家に飾った時の様子がわかりやすいプレゼンテーションになっているし、作品を買いたいって人にはもってこいなんじゃないかな。でも展覧会を楽しもうと思ったら中々難しいです。

他にもオペラシティのコープや、コヤナギのルフ、高橋コレクション日比谷の「ネオネオガールズ」展、あと旧フランス大使館で行われている「No Man's Land」などいくつか見たいものもあったが、まあ、上の4つ見れただけでも儲けもん。次回は3月!

Olafur Eliasson 'SUNSPACE FOR SHIBUKAWA' @ HARA MUSEUM ARC











友人3人で群馬を攻めてきました。
群馬は伊香保温泉近くの牧場内。
ここに原美術館のコレクションを収めるハラミュージアムアークがあります。
いつか行きたいなぁ、と思いつつ遠いので中々機会がなく。
そんな中2005年の原美での個展を機にここに恒久作品を作ることになったオラファーのその作品がようやく先月お目見えしたということで行ってきたのです。冬は休館しちゃうしね、ここ。
にしても遠かった・・・。関西に住んでるとどうしても京阪神のイメージで捉えちゃうけど、関東は広い!しかもETC1000円やったし、帰りめっさ混んでて大変でした。(といっても僕は2人に運転任せて揺られてるだけでしたが笑)
それでも行った甲斐はありました。素晴らしかった!
美術館の敷地にぽつんと佇む未確認物体。
係の人が扉を開けてくれていざ中へ。
中に入ると幾重もの虹がお出迎え!!!
当日は曇りだったのでどうかな、と多少不安でしたが大丈夫でした。
これ、季節や時間によってどんどん移り変わっていくらしい。
しばらくぼーっとしていたい空間。
やっぱオラファーはすごい。
今月から始まる金沢の個展もかなり期待大。
来春には金沢にも恒久作品が登場するらしい。
僕は会期終了間際の3月まで行けなさそうですが、その時できてたらいいなー。
あと瀬戸内海国際芸術祭にも出品が決まってるので来年は日本でたくさん見れそう。
<関連記事>
Serpentine Pavilion 2007
STUDIO OLAFUR ELIASSON : An Encyclopedia

あと、画像1枚目のハートもオラファーの作品の一月前程に完成したジャン=ミシェル・オトニエルによる「kokoro」。別に書くことないけど。
来年にはイ・ブルの作品もできるらしい。
っていうか土地余りまくっててすごい。
そして建築も磯崎新にしてはいい感じ。渡り廊下とかすごい気持ちいい。
ただ、展示室としてはいかがなもんかなーと。
そもそもここは常設展示の美術館なのだから、良くも悪くも最大公約数をとらなければならないというか、どんな作品にも対応できるような柔軟性のある展示室が求められるのに対して、この建物は全くそういうのが考慮されてないような感じ。
自然光は気持ちいいんだけど、必ずしも全ての作品が自然光で見せることを前提として作られてなかったりするので、作品によっては居心地悪そうに見えたり。
あの三角屋根も、少なくとも今回それを活かせてる展示は見受けられませんでした。觀海庵に至っては天井閉じてましたからね・・・。
建物としての魅力はあるのに、その機能が置き去りにされたような建築。
まあ、建築はさておき、さすが原美、コレクションは充実しまくり。
野口里佳の「潜る人」を1塔まるまる使って見せてくれたり、草間さんの水玉ルームがあったり、何気に廊下にはリチャード・ロング。そして杉本博司の「海景」に、クリストの「アンブレラ」のドローイング!それにそれにカプーアのお椀型の作品!ただし照明の当て方が微妙で、あれは作家の指示通りちゃんとやってるんだろうか?名和さんのプリズムのシマウマの作品もあったけど、こちらも自然光そのままで見せちゃっててどうなの?と。あれは均質な光の中で見せるってのも名和さんのコンセプトの中に入ってるんやと思うんやけど。。。
なんにせよかなり楽しめました。
帰りは隣の牧場のソフトクリームを寒空の下食しました。うまい!


富弘美術館 by ヨコミゾマコト











元伊東事務所所員のヨコミゾマコトの代表作。
2005年オープンで、このコンペは当時相当話題になったようです。
インターネットで世界中から公募したこの美術館のコンペには1200以上もの応募案が寄せられたそうで、その審査過程までネットで公開し、最終的に選ばれたのが四角い箱の中にいくつもの○を配置するというヨコミゾ案。全ての展示室がひたすら丸いのです。
写真ではほとんどわかりませんが、上から見ると一目瞭然。
山に登ってその写真を撮りたかったのですがタイムオーバー。
ってかマジで遠い・・・。群馬、っていうかもう新潟なんじゃないの?ってぐらい北にあります。これも前から行きたかった美術館ではあったのですが、この遠さじゃね・・・。今回原に行く勢いで行っちゃいました。
中に入るとすぐに空間の丸さがわかります。
そしてそのヒエラルキーのない空間がいかに展示室に向いているかがよくわかる構成。始まりも終わりもないので好きに見れるんですね。気づいたら部屋を一巡してるっていう感じ。これは中々おもしろい体験。
各部屋も素材を変えることで個性を強調していて、それに関してはちょっとやりすぎな感じも見受けられました。青い部屋とかよくわからないし。
ところで伊東さんに苦言を呈された葉っぱの葉脈がついたガラス窓はどこにあったんでしょうか?まさか伊東さんに言われて取っ払っちゃったとか?
にしてもマルにこだわりすぎですよ、ヨコミゾさん。
途中から食傷気味になってしまいました。
窓にもマル。障子にもマル。草間彌生かっ!
以降の作品もマルが多くて、ちょっとそこから脱却しないとね。
せっかくマルい展示室はよかったのに、引き算ができなかったみたいですね。
ちなみにこの美術館は半身不随で口で絵と詩を描き続けた星野富弘さんの作品を常設してる美術館。口で書いてるとは思えない完成度。
っていうかこんな辺境の地にあるのにすごい人手でびっくりした。
隣の物産売り場の食堂で食ったソースカツ丼のカツの柔らかさが忘れられない。


ところで群馬は建築的におもしろいコンペが多いと聞きました。
実現に至りませんでしたが、藤本壮介さんの安中の美術館案もそのひとつ。
ぐねぐねうねる壁で囲われたワンルームの美術館。
模型を見てるだけでワクワクしてしまう。是非実現させてほしかった。
その藤本さんは先週トップランナーに出演されてましたね。
僕は建築家の中でも西沢さんと藤本さんは天才の部類だと思ってますが、やはりこの番組見て確信しました。「ガウディが好き」とか普通に言ってのけてしまうあたりがすごいなぁと。どこの事務所にも所属してないのもすごい。ムサ美の図書館早く出来てほしい!
ちなみに友人がこの収録行っててばっちし映ってました笑
トップランナーじゃないけど↓


レベッカ・ホルン「静かな叛乱 鴉と鯨の対話」@東京都現代美術館


レベッカ・ホルンの日本初の個展に行ってきました。
友人の結婚式の直前だったので幾分急ぎ目に。
といっても、スタートの3階部分は結構さっくり見れます。
ホルンお得意のキネティック・アート。
ほとんどの作品が動きます。
実はこのホルンの回顧展3回目。
1度目はロンドン、2度目はベルリン。
もうええかな、とも思ったんですが、今回前2回には登場してなかった彼女の代表作のひとつといってもいい「アナーキーのためのコンサート」が展示されてたので見ることに。
これはピアノが逆さに空中にぶら下がってて、いきなり鍵盤が飛び出るという作品で、テートが所有してるくせに全然見せてくれなかったので、今回初めて見ることができました。
しかも行ったらちょうどあの劇的な動きが繰り広げられるところでした。
鍵盤が全部飛び出てくる時のあの鍵盤の音は必聴。
この作品、動くインターバルかなり長いそうなので行って即見れたのはよかった。閉まるところも見たかったけど、待ってたら日が暮れるので諦めました。
こんな風に、全部動く様を見ようと思ったら相当時間がとられそう。
何も知らない人は、鍵盤が飛び出た様が通常時と思っちゃうんやろな。
前2回で見てたのが多かったのでさくさく見ていきました。
それにしてもホルンの作品たちを見てるととても切なくなる。
辿り着く当てもなくひたすら動き続ける作品達の様は、この世界でがむしゃらに踊り続けるしかない僕らの隠喩のように見えてしまうんですよね。
その切なさこそが僕はこの人の作品の魅力だと思います。
あまり個人的に得意な作品の形態ではないにも関わらず見ずにはいられない。
とても不思議な魅力を放った作家です。
ちなみに1階には過去から現在までの映像作品がズラッと投影中。
これ、全部見ようと思ったら8時間ぐらいかかります笑
開館から閉館まで。無理。
見れたら見たいけど、、、とりあえず1993年のグッゲンハイムを皮切りにテートまで巡回したホルンの回顧展のドキュメント「過去をつきぬけて」は全部見ました。55分もあったけど、これは彼女の作品を理解する上でも中々おもしろい映像だと思います。
他にも初期のパフォーマンスを収めたビデオもあったけれど、さすがに見れませんでした。パフォーマンスごとに分けて展示してくれたらいいのに。。。
そんなこんなで真剣に見たい人は開館から閉館まで頑張ってみるのも一興かと。
それにしてもこのキャリアでようやく初展覧会ですか。日本はどこまで遅れてたんでしょうか・・・。この調子でカプーア展もやって欲しいです。
関連記事>>REBECCA HORN @ MARTIN GROPIUS BAU

現美は今同時多発的にホルン以外にも色んな展示が行われてます。
まず京都近美でもこの春やってた「ラグジュアリー展」が。
やっぱこっちの展示の方が断然かっこいい。
妹島さんとコムデギャルソンの展示もアツかったなー。
なんといっても1997年のあの伝説の「コブ」の服は感涙もの。
2005年のもかっこよかった。やっぱギャルソン凄い。
スウェーデンファッションのはせめて簡単なチラシが欲しかった。
展示もオペラシティの「6+」展とほぼ同じでやる気が感じられない。
それから井上さんのエントランス開廊を使った展示。
これは個人的にいまいち。武蔵なのかまったく違う作品なのか設定が曖昧すぎて。
あと「パブリック・スペースプロジェクト 大西麻貴+百田有希」。
なんか、このシリーズ結局最初の鬼頭さん以降ぐっとくるものがない。
そんでもって建築系の作品であっと言わせてくれるのは石上さん以降現れない。
今回の作品も、どこで感動したらいいのかまったくわからなかった。
どうやら僕と同い年で、いくつものコンペを勝ちまくってる人らしいけど、建築の場合、プランの段階で終わることが多く、実際に作品を建てた時にそのプランの魅力がそのまま現実化しうるのかはかなりキワドいところ。この夏の「こたつ問題」しかり。
コレクション展はネトの作品がめちゃくちゃよかった。
昨年の「ネオ・トロピカリア」展に出てたやつやけど、今の展示室での方が断然作品が輝いてた。展示室でこうも違うのかと。やっぱ天窓が効いてる。
あと岡崎乾次郎の作品がズラーっと展示されててめちゃくちゃ気持ちよかった。
一点一点見るというよりその空間を楽しむ方がいいと思う。
もちろんディテールも結構おもしろいし、木枠のはめ方がおもしろい。
金がないといいつつ、この美術館はやっぱすごい。来年のMOTアニュアルも楽しみ。

鴻池朋子「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」@東京オペラシティアートギャラリー

またも日帰り東京弾丸ツアー。
もはや今年何度目なのかわからない。
目的は別にあったが、「ついでに」アートも回ってきた。
「ついでに」な量ではないけどご紹介。
つき合ってくれたK氏ありがとう。次の日は筋肉痛かな。

そんな強行軍の中でも最も見甲斐のあった展示が鴻池朋子の展覧会。
話題にはなっていたけどここまでとは。
今まで見たオペラシティの展示の中でもかなり成功していた展覧会だった。
ここの展示室の構成はあまりに大雑把過ぎてすごく難しいと思う。
その分アーティスト1人の個展の場合その力量が試されるというもの。
今回鴻池さんは見事にこの展示室を自分のものにしていた。
この展覧会を回っていて、元の展示室を知っているにも関わらず、幾度となく自分がどこにいるのかわからなくなる瞬間があった。
この「どこかわからなくなる」という感覚を持たせるのは相当な力量。
元々鴻池さんのインスタレーションセンスを知っているだけに、かなり期待してはいたけどここまでとは。後半の赤ん坊のミラーボールに辿り着いた時にはもう完全に鴻池ワールドに没頭してしまっていた。
これは1つの物語に入って行く旅である。
邪念は捨てて、素直にそこに入り込んだもん勝ち。
踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損というわけ。
部屋に入って行く度に1枚、また1枚と心の鎧をはぎ取られる感覚。
見終わった後の清々しさはそう味わえるもんじゃない。
いやぁ、ええもん見させてもらいました。
鹿児島の展示もえらい気になる・・・遠いな・・・。
コレクション展では伊庭さんや小西さんの絵画も見れてよかった。
オペラシティの展示は9月27日まで。コチラ
鹿児島の展示は10月9日から12月6日まで。コチラ

関連記事>>鴻池朋子展@大原美術館・有隣荘/児島虎次郎館


杉本博司「Lightning Fields」@ギャラリー小柳
やっぱ杉本博司はすごい。
そう思わざるを得ない凄まじい作品。
金沢・大阪で発表された「放電場」はまだまだ途中段階だったんだな、と思える。
今回その「放電場」の新たな展開が見られます。
空中放電ではなく水中放電。
杉本氏が辿り着いた究極の美の世界。
特にエレベーター降りて奥に見える大画面。
もう遠くから見ても近くから見ても美しい。
こんなに「美しい」を連発しちゃうくらい美しい作品。
この人には限界がないのか・・・。恐ろしい。
これまた伊豆で杉本氏自ら手がけた空間で新作を発表するらしい。
できるだけ時間見つけて行きたいと思う。
小柳の展示は10月10日まで。
伊豆の展示は10月26日から来年3月16日まで。コチラ

<関連記事>
杉本博司「歴史の歴史」@国立国際美術館
杉本博司「歴史の歴史」@金沢21世紀美術館
Hiroshi Sugimoto @ K20


光 松本陽子/野口里佳@国立新美術館
これも中々よかった展覧会。
たくさんの人の疑問だと思うけど、なんでこの2人?っていうこと。
松本さんは抽象画。野口さんは写真。
年代も技法も違う2人の展覧会なだけにたくさんの疑問があると思う。
でも、単純にキュレーターが好きな作家だったからってことに尽きると思う。
そして僕的はにはそういう個人的なキュレーションもたまにはありなんじゃないかと。
それならそれでもっと割り切って「光」なんてまどろっこしいタイトルなんか付けなければいいのにと思う。光なんてのは全ての表現が身に纏ってるわけで、特別この2人が追い求めてるわけでもない。
一人一人別々の展示空間にして個展形式にしてるのもよかった。
2人展だからといってランダムに展示されると集中力を失ってしまう。
こうやって一人一人の世界にのめり込めるのはとてもいいこと。
ということでまずは野口さんの展示室にゴー。
初期の「フジヤマ」から始まり、「星の色」、「太陽」、「マラブ」など、野口さんの代表作がこれでもかこれでもかと見られておなかいっぱいになる。
途中の「水をつかむ」は初見だったけどとてもよかった。
野口さんの作品すべてに通じるものとして、つかめないものをつかもうとしてる感覚を得ることができる。まるで届かない空に手を伸ばすように。
空に手を伸ばそうと日本で最も高い所に登ったり、太陽を直視したり。
新作「飛ぶ夢を見た」では手製のロケットを飛ばして写真を撮っているらしくて、これがすごくきれいで、まるで木漏れ日のような抽象的な写真。
先日の皆既日食の写真もあったり、新旧野口ワールド全開である。
一方松本さんの展示もよかった。
恥ずかしながら僕は松本陽子さんという作家を初めて知ったわけだけど、とてもいい色だなぁと思った。ピンクや緑ってこんなに綺麗な色やったんやと改めて思う。
天井高が高い広い展示室だけにその魅力は3割増ぐらいになってそうだけど。
作家紹介を読むと、ピンクの絵画などはアクリルで描かれていて、なんと一日で仕上げるそうだ。そして床置きで描かれているので、キャンバスの端は垂れた絵の具が垣間みられる。
近年は緑の絵画のように油彩にも挑戦してるらしい。
黒の絵画は残念ながら色がくすんでこの人の色感覚に合ってないように思えた。
そんなこんなで、いい作品がたくさんみれる展覧会。
図録が1冊1100円という安さ。野口さんのだけ買いました。松本さんのような抽象画は図録買って見ても何も伝わらないので買いませんでした。セットで2000円でしたが。


アイ・ウェイウェイ展ー何に因って?@森美術館

友人がえらく高く評価してたので観に行ってみました。
アイ・ウェイウェイの名を初めて知ったのはやはり一昨年のドクメンタ。
1001人の中国人を引き連れてカッセルに登場したり、北京オリンピックの「鳥の巣」をヘルツォーグ&ド・ムーロンと共同設計したり規模のでかい作家。
中国では日本の村上隆的存在なわけだけど、同時に彼はそのラディカルな言動などから政府から睨まれる存在で、彼のブログなどは何度も消されたりしてるらしい。
なので意外にも本国ではここまで大きな展覧会を開いたことがないそうな。
全体的な感想から述べると、あまりに整理され過ぎてておもしろくないというのが正直なところでしょうか。んー、カテゴリーとかもうわかりやすすぎるんですよね。
確かにそのカテゴリー通りに見るとすごく理解が簡単で、3分でわかる◯◯みたいな展覧会になっちゃってるのが残念すぎました。
作家的にはこれでオッケーだったのでしょうか?
見ててもやっぱ何も感じなかったし、心が凪のような状態になる。
彼の作品を見た時のこの凪状態。友人はこれを凄く評価していたけれど。
写真オッケーやったけど、1枚も撮る気にならずに終わっちゃいました。
とりあえず入口をパシャリ。
ところで最後のMAM PROJECTSの小泉明朗さんは、どっかで聞いたことあるなぁと思ったら僕がロンドンのチェルシーにいた頃にOB生としてレクチャーしにきた人やった。

関連記事>>DOCUMENTA 12


米田知子「Rivers become oceans」@ShugoArts
昨年のバングラディッシュビエンナーレに出品したバングラディッシュをテーマに制作された作品たち。何気ない日常の中に潜む歴史や天地災害などが垣間みられる。
作品はともかく、相変わらずこのビルに入ってるギャラリーはよほど顧客以外に関心がないのか、作品見てる側から平気で電話しながらギャラリーの寸法の確認とかしだしてしまうのが残念。
隣のタカイシイに関してもそうだけど、作品をわかってもらおうという気がサラサラないみたい。せっかくエルムグリーン&ドラッグセットの新作に、様々なデザイナーがコラボしてるっていうのに、どれがどのデザイナーのものなのかもわからないまま。川久保さんのは一体どれだったんだろう。
他にもこのビルでは田中敦子やオノデラユキなどトップクラスの作品は見れるけど、行くとこ行くとこ態度が悪くて全然見る気がしませんでした。
なんか米田さんの感想じゃなくなってしまった。不満たらたら。


あとは、所沢ビエンナーレにも行きました。
正直場所負けしてる作品が多くて残念。
ってか場所が凄過ぎます。日本じゃないみたいな風景。
これも作品かな?と思ったらただの雨漏り対策やったり。
結局ケンジタキの作家は力あるなあという感想。
手塚愛子さんや横内賢太郎さん、そして村岡さんに遠藤さんのようなベテラン。
それから、杉本展に行くのに方向間違えて行った資生堂ギャラリーの女性作家の展覧会も中々豪華でした。展示はちょっと無茶な気もしたけど・・・。
あとはscaiの森万里子展にも行きたかったがタイムアップ。
そんな感じ。疲れたー。

「放課後のはらっぱ 櫃田伸也とその教え子たち」@愛知県美術館


またもmemeさんのブログで知った展覧会。
18切符も余ってたので行ってきました。
ってか、新潟とか広島とかと比べると名古屋のなんと近いこと!
大阪から片道3時間もかからないなんて。素晴らしいです。
それは置いといてこの展覧会。
愛知県芸で教鞭をとっていた画家櫃田伸也。
彼は優れた画家としてだけではなく、優れた教師としての才能も持ち合わせており、彼の元から巣立ったアーティストは数知れず。
奈良美智を始め、杉戸洋、小林孝旦、渡辺豪、加藤美佳という錚々たるメンツ。
そのメンツが集まって企画されたのが今回の展覧会。
なんかこういう同窓会みたいな展覧会ってすごいいい。
全体の雰囲気もすごく柔らかくて、先生と生徒の豊かな雰囲気が伝わってくるようで、すごく優しい気持ちにさせてくれた。
前半は画家としての櫃田伸也の作品を展示。
櫃田さんの作品は寒色系の使い方が抜群にうまいと感じた。
ここに欲しいなと思う所に絶妙に青や緑が置かれている。
全体としては暖色の方が多い印象だけど、その寒色がかなり決まっている。
戦後から絵を描き続けてる方なのだけど、全く古さを感じなかった。
作品とインスピレーションの元となる資料が一緒に展示されてるのもおもしろい。
また、奈良さんプロデュースで櫃田さんのアトリエの本棚も再現。
学生に無料で貸し出したり、学生の作品を買ったりしてるんだそうな。
んー、いい先生だ。
やはり大学お醍醐味は如何にいい出会いがあるか否かだと思う。
人を変えられるのは結局のところ人でしかないんですよね。
例えば奈良さんなんかは、櫃田さんに落書きの文字がいいと褒められて今に至っていたり、加藤美佳さんの代表作「カナリヤ」のエスキースは捨てられそうになった所を櫃田さんが救い上げたなんてエピソードなんか、すごいなーと思う。
そういうエピソードが満載で、それが今の彼らを作り上げたんだと思うと鳥肌すら立ちそうになったりして、中々こういう展覧会って珍しい。
今の作家の学生時代の作品が見られるのも魅力。
奈良さんも今の要素を残しつつやっぱりまだ余分なもんがついてたり。
そんな前半が終わり、後半とのつなぎに出品者による先生の似顔絵。
奈良さんのめっさかわいい。渡辺さんのは反則です笑
後半。
こちらはそれらの学生の今現在の表現。
渡辺豪さんの映像はすごい。あれはどうやってるんやろ・・・。
加藤さんの「カナリヤ」は何度見ても凄みが。。。
城戸保さんの白黒写真もめちゃくちゃ美しかった。
前半を通した分、後半見慣れてる作品でもいつもと違うように見えた。
人に歴史あり、ってことですね。
これはすごく面白い展覧会。10月25日まで!詳細はコチラ
28日にはこの偉大なるメンバーが全員集合して座談会が行われたんだとか・・・。すごい企画だ・・・。
帰ってきて名古屋市美術館でも展示があったことに気づく・・・orz

ところでこれは来年夏に行われる「あいちトリエンナーレ2010」のプレ企画。
建畠さんプロデュースのこの企画。
出品者がかなり豪華なので期待できそう。
「愛知でやる意味」がちゃんと示されてるかがキーになりそう。
今回の企画はまさに愛知じゃないと意味がなくてとてもよかったです。


ジョゼッペ・ペノーネ@豊田市美術館

本来はこっちがメインだったはずだったんだが・・・。
イタリアの巨匠ペノーネの大展覧会。
そもそもペノーネって特に好きな作家ではないのだけど、まあ、日本で巨匠のこれだけ大きな展覧会は中々見れないので、愛知で他に何かおもしろそうなのがあれば合わせて観に行こうと思ってたら「放課後のはらっぱ」が始まったので行ってきた感じ。
案の定そこまで響くことのなかった展覧会だった・・・。
特に前半はびっくりするぐらい響かない。
ただただスケールフルな作品群が並び、感覚が麻痺してしまった。
でもまあ、これだけの巨匠で新作を次々発表してるのは単純にすごい。
後半はわりと良かった。
茶葉を敷き詰めた展示室は、もっと茶葉の匂いがしてほしかった。
ビジュアルが単純に美しかったけど、やっぱ嗅覚が使いたかったなぁ。
上の階の作品たちは展示がものすごく美しい。
傾斜した木が一本しかない展示室とか神々しい。
ドローイングもかっこよかったし、ブロンズとステンレスの彫刻もよかった。
ブロンズってもはや古くさすぎて、あまり響くことはないのだけど、ステンレスとの対比もあってすごくよかった。
というかまあ、展示室自体が美しいのが大きいと思う。
谷口建築2週連続訪問。
2005年のヤノベケンジ展以来の訪問だったけど、改めて建築に注目するとその美しさが半端ない。ものすごい大きさなのに緊張感が途絶えてない。
今回の展示はこの建築に負う所も多かったんじゃないかな。
久々にこれてよかったです。
同時開催の山田弘和展は、おもしろそうなデザインがたくさんあったんだけど、実際に手に持ったりできなくて残念。こういうのはインタラクティブであってなんぼやと思うんやけど。
ショップで、昔のクリストのカタログが500円という破壊的な安さだったので思わず購入。もう本棚が悲鳴を上げてます。。。



追伸
今月15件も投稿している。
15件を超えたのは2007年10月のロンドン最後の時以来。
珍しく面白い展覧会がかぶりまくった月でしたな。疲れた・・・。

塩田千春「流れる水」@発電所美術館


妻有から富山へ。
戦友の実家が富山だったので、宿泊させてもらう。
夜には素晴らしい料理の数々でもてなされる。癒されました。
そして次の日朝一で向かいましたは発電所美術館!!
なんか毎年恒例になってきてるなー・・・。4度目。
この日は偶数日の為バスの運行なし。タクシー利用。皆で乗れば恐くない。

なんだかもう見慣れた感のあるゲートをくぐり拝観料を払う。
でも内心ドキドキが止まらない。
こんなにドキドキさせてくれる美術館は日本でここだけです。
入口あたりから作品の一部が見える。
ベッド、30台。
それらが高い天井から地上に向かって扇形になだれている。
んー、かっこいい。
椅子に座って「あの時」が来るのを待つ。
静寂に包まれる美術館。
たまにどこかから雫の落ちる音が聞こえてくる。
外からは蝉時雨。
山本基さんの時もそうだったけど、蝉の声がより現実から離してくれる。
ぶら下がったベッド達を眺めていると黄泉の国に誘われているかのような感覚。
にしても永い沈黙。
んーまだかなぁ。
しびれを切らして2階の展示。
正直2階の作品にはあまり魅力を感じられない。
数点のドローイングと数点のオブジェ。
特にドローイングは、確実に塩田さんの得意な所ではない気がする。
オブジェもなんだかわざとらしさが見えて何も感じない。
そんなことより2階から見るベッドの様の美しいこと。
360度眺めまくる。
それでもまだ「あの時」がやってこないので、この美術館の特徴の1つであるホールを覗いたり発電所の装置を眺めたりしてたらついにやってきたーーー!!
天井からシャワーが勢いよく放水される。
これは、すごい。
しかもそれが10分以上続いてもう何がなんだか。
いきなり美術館はスコールがやってきたような轟音に包まれる。
裏からの眺めがおすすめポイント。
ベッドからしたたり落ちる水が本当に美しい。
2階からもいいね。ベッドにあたって砕ける水。
水の色んな表情が見える。
そして放水停止。
水がベッドから滴り落ちて、やがて再びあの沈黙が訪れる。
いやはや、もう凄いの一言です。

今回印象的だったのは、ベッドの白さ。
受付に置いてあるドキュメント的な写真にも塩田さんがベッドを白く塗ってる様が写し出されてましたが、確実にこれまでとは違う。
昔ケンジタキで発表された同じくベッドとシャワーの作品(今回の展覧会イメージにもなってるやつ)では完全にベッドが錆びてて、もっとおどろおどろしいいんですよね。
やはりこれは塩田さん自身が母になった変化でもあるのかもしれません。
塩田さんの作品を評する時によく使われる単語「不安」。
それが今回の作品にはあまり感じられませんでした。
流れる水は命の水。
なんだか希望のようなものすら感じる神々しい展示。
会期も延長されたようなのでまだの方は是非。必見です。
こちらのブログで写真がたくさん見られます>>Art Lover Blog


塩田千春「流れる水」@発電所美術館
2009年5月30日(土)~9月23日(水・祝)
9:00~17:15(最終入場は16:45まで) 月休 祝日の場合は翌日休



にしても塩田さんの発表が凄まじい。
金沢・富山・新潟と北陸制覇して、東京、ロンドン、そして来週からはスイス!
どういうスケジュールになってるんやろ・・・。

<関連記事>
塩田千春「精神の呼吸」@国立国際美術館
塩田千春「沈黙から」@ 神奈川県民ホール
大西伸明 「LOVERS LOVERS」@発電所美術館
内藤礼「母型」@ 発電所美術館

越後妻有トリエンナーレ2009 3日目(十日町・川西エリア)


最終日!!
川西エリアの[77]関口恒男作品に行ったらなんと豚汁と握り飯とキュウリの浅漬けと穫れたてトマトのサービスが!!地元の人たちがたくさん作ってくださって僕らに無料で振る舞ってくれました。いやー、嬉しい。
こういう地元の人々の温かさに触れるのもこの祭の醍醐味です。

朝旅館の人に別れを告げ、最後の戦場へ。
この日はまず我が母校の[13]京都精華大学「枯木又プロジェクト」へ。
これが遠いのなんのって・・・。
母校ってよしみがなかったらこねーよ、なんてことはなく、単純に僕の好きな森太三さんが出てたのでどっちにしろ行かねばならず。



森さんは紙粘土を使ったお馴染みの「Sky Mountains」をこの旧小学校の2階に。
ひんやりとした足から伝わる触感が気持ちいい。
あとは、先生や学生がなにやらしてて、完全に地元民になってた笑
旧枯木又小学校を後にして今度は[9]旧東下組小学校へ。
今回のトリエンナーレの特徴は、こうした使われなくなった民家や小学校を使ったプロジェクトがかなり多いということ。

特に書くこともないので、そのままお次は[7]うぶすなの家。
ここは様々な陶の作品が展示されてて食事もできます。
一通り見て近くの[8]古郡弘「胞衣 みしゃぐち」へ。
これが半端なくよかった。。。すごいです。





前回2006年に作られたようなのですが、まるで古代遺跡。
植物達が自生して、凄まじいオーラを放ってました。
「神聖」という言葉がしっくりくるようなサンクチュアリー。
すごく居心地がよくて、いつまでも浸っていたかったです。
このトリエンナーレの中でもかなり上位に来る作品。必見。必体験。
続いて[3]ドミニク・ペロー。
鏡面の屋根が動くっぽいんやけどどのタイミングで動くのか謎。

続いて川西エリア!
冒頭の関口恒男の作品で虹を鑑賞し、食事を頬張り、奥の[76]柴山昌也の家の象りを見たりしながら、やはり目指すはナカゴグリーンパークの「光の館」!











行ったらちょうど屋根が動く瞬間!!急げ!!
部屋に着くと写真3枚目のような有様・・・。
皆寝転がってその瞬間を見守る。宗教だね。
寝転がって空を鑑賞。畳の上で見上げる空の青さ。ええなぁ。
内部も色々鑑賞。
あああああ、泊まりたい!!!
ここは宿泊も出来るんです。
宿泊者のみ体験できる光る風呂体験や朝焼け鑑賞大会。
トリエンナーレ期間中は予約でいっぱい。
絶対リベンジします。
タレルの空間に泊まれるなんて世界でここだけではないでしょうか。
冬の雪に埋もれた「光の家」も綺麗やったなー。

そして再び十日町へ。
最後の作品は[50]R&Sie建築事務所の「アスファルト・スポット」。
駐車場が隆起しまくってます。





2003年の作品ということですが、僕はその翌年2004年に新潟を襲ったあの地震を思い出してしまいました。すごく暗示的な作品。最初それ以降に「地震の記憶」として作られたものだと思ったので、制作年を見て驚きました。
炊き出しの地元民の方々も話してくださいましたが、あれ以来新潟の人々は地震にとても敏感になってらっしゃって、車のガソリンは常に満タンにしておくなど、備えを常にしてらっしゃるそうです。奇しくも僕らが訪れた数日前に静岡を震源とする地震があって、ちょうどその話にもなって、新潟も微弱ながら揺れたそうなのですが、もう敏感過ぎて震源がどのあたりかまでわかるんだとか。そんな話も相まってこの作品は制作時とはまた違ったコンテキストを背負った作品なのかも知れないと思うと不思議な感じがしました。
でも全然ネガティブな感じがしなくて、むしろ風景に新たな豊かさを付け加えてるようで、すごく好感の持てる作品でした。最後の最後が良作でよかった。
3日間走らせっ放しの車ともお別れ。ホントにありがとさん。

駅についたら、また地元の方々がお茶とお菓子を出してくれた。
本当に温かい。また絶対来ます!



まとめ

越後妻有トリエンナーレ。
行ってみて改めてこれは世界に誇れる日本のアートシーンだと確信しました。
行くまでは少し疑いの目もあったんです。
やはりこの規模の大きさはどうなんかな?という。
だって、総面積760k�(東京都以上!)に370の作品郡ですよ。
同じようなイベントにドイツのミュンスターで10年に1度行われる彫刻プロジェクトがありますが、こちらは自転車で回れる規模なんですね。
ここまでの規模のものって世界でも中々例がありません。
ましてや都市部ではなく敢えて地方の田舎での開催。
やはりこの地方でやるということがこのイベントの最大の魅力で、アートとの出会いも去ることながら地元民との交流がものすごくうれしいんですね。
やっぱりアートと人々の生活って密接につながってるものだと思うんです。
なんかアートって神格化されすぎちゃって、一般には近寄り難いもの、現実離れしたものっていうイメージがあるけど、そういうものでは決してなくって、日常に溢れてるものだと思うんです。まあ「日常こそアートだ」とまでは言いませんが。
アートを神格化させる1つの要因に美術館という施設がありますが、日本はこの美術館が他国に比べてダントツで多い。そこまで日本人ってアート好きやったっけ?ってくらいの勢いなんですが、これはただのステレオタイプ的な考えで、とりあえず手に負えないものは箱に入れておけみたいな考えがあるんじゃないでしょうか。
今回のトリエンナーレには美術館というものがありません。
代わりに使われなくなった民家や小学校を利用したり、はたまたほとんどの作品が野外にあったりします。そしてそれらが見事に魅力を放っている。
20世紀に登場したホワイトキューブの終焉を見た気がしました。
やはり、均質より個性を皆求めているんだな、と。
その点でもこのトリエンナーレは個性的だし、広がりつつあるグローバリゼーションの波に平気で拮抗するローカリゼーションの底力が凄まじかったです。
日本のトリエンナーレといえば、もう1つ横浜トリエンナーレがあります。
はっきり言うと、もう横浜はやめた方がいいと思います。
全然個性がないし、世界に向けて日本もとりあえずなんかやらなきゃ的な雰囲気がありありと感じられちゃうんですよ。
世界と同じようなことをやっても、誰がわざわざこんな極東の島国までやってくるんだ?ってことをもっとよく考えないといけません。それならヴェニスや他のビエンナーレに行くのが常識でしょう。
でも越後妻有は世界でここでしか見れないんです。
実際、こんな地方でやってるにも関わらず都市部で行われてる横浜より動員人数が多いという話もありまして、しかも妻有の場合、皆ほとんど最低1泊はしてるんですよ。それでこの人数はすごい。
実際行った時も車の数の多さにびっくりしました。
少し暴力的な面も否めないし、すべての地元民が賛成してるとは決して思えないけど、でも地方の活性化に役立ってることは間違いないです。
そしてリピーターが多いのもこのトリエンナーレの特徴で、そこまで毎年作品の入れ替えがあるわけでもないのに行こうと思えるのは、純粋に皆こうした体験を求めている証拠なんだと思います。
発起人の北川フラムさんが、都市部の若者を中心に結成したボランティア集団こへび隊の活動を見て、田舎が都市の人間を必要としてる以上に、都市が田舎を必要としてることがわかって驚いたといったようなことを仰ってましたが、それは真実なんだと思います。
このトリエンナーレは明らかに時代と逆行した考えに基づくお祭りです。今の流行はショッピングモールやシネマコンプレックスというように、そこに行けば何でも揃うというのが主流で、こんなおもちゃ箱をひっくり返したような広い範囲に散らばった作品をわざわざ新潟まで観に行くという、途方もない行為は時代の流れからするとあまり好まれないもののはずなんですが、それでも皆えらい思いをしてまでやってくるのは、便利さだけでは済まされない人間の生理みたいなものすら感じられて、なんだか希望が持てちゃいます。
このトリエンナーレがずっとずっと続くことを僕は心から願ってます。
でもやはり最大の弱点はあまりに北川さんの負担が大き過ぎるということ。
2000年に始まったこのイベントですが、ずーっと北川さんが引っ張り続けています。
作品の選定もほぼ一人でやっちゃってるし、そろそろ次にバトンを渡す準備を始めないと、北川さんも決して若くないのだから、と勝手な心配をしています。
ミュンスターもこの40年間1人のディレクターがやっていて、そろそろ世代交代の声が叫ばれている所で、今後お互いどうなるのか不安と期待が入り交じります。
そして気になったのは、やはり北川フラムという人間がやってる以上、彼が関わる他のプロジェクトも似通り始めているということ。
今回もアートカレードスコープと同じ作家が何人かいましたが(むしろカレードスコープは妻有の作家を何人か招待したもの)、来年から始まる瀬戸内海国際芸術祭にもボルタンスキーを始め、同じような作家がエントリーされています。
この妻有での成功は、他の地方でも注目されていて、実際新潟市の方からもオファーがあり実際北川さんが手がけて現在開催中ですが、これらがあまりに普及すると、お互いの個性が相殺し合わないかと危惧しています。
個性から始まったはずなのに、いつの間にか均質になってしまう。
これほど悲しいことはありません。
こうした地方のアートイベントが増えるのは大変喜ばしいことですが、お互いがいい方向に共存できるように、何か手だてを考える必要があると思います。
ところで、artscapeにこのトリエンナーレに関する記事が出ています。コチラ
少し偏った記事ですが、村上隆と北川フラムの対比などおもしろい部分もあるので、興味のある方は読んでみてもいいと思います。



最後にこれから行く人にいくつかアドバイス!
今回のトリエンナーレは9月13日まで開催してます。
10月3日から11月23日までの期間で秋の芸術祭も開催するようですが、概要はまだ発表されてないようなので詳細はわかりません。
なので、行けるなら今やってる期間中に行くのがいいかと。
まず最初のポイントは拠点をどこに置くか、です。
僕らは十日町を拠点に動き回りました。
十日町は駅周辺にも旅館が多いし、レンタカーも借りれます。
なので十日町がおすすめ。
駅ではパスを販売してるので、そこで予め買っておきましょう。
そして服装はなるだけ身軽に。靴はサンダルがベスト!
交通手段は、バスやら自転車やらありますが、なんといっても車が便利。
僕らは駅前にある地元の美雪レンタカーで借りました。1日¥5250。ナビつき。トヨタもありますが、調べたらこっちの方が安かったので。
ただし、ナビはあまり役に立たないというか、目的地設定をどうしたらいいのか悩みます。なんせそこら中に作品が散らばってるわけですから・・・。
駅で作品マップが100円で売られてるので買っておくとよいでしょう。
あと、美術手帖別冊のガイドブックはマストバイです。
買ってしばらくその広さに呆然として5日ほど放置しましたが笑
だって、東京都以上の面積ですよ?作品数370ですよ?
明らかに僕のスケールを上回ってました・・・。
でも気を取り直して研究を進めると、ある真理に行き着きます。
それは、「如何に見るか」ではなく、「如何に見ないか」です。
ここ重要。線引いときます。
370すべての作品を見ようと思ってはいけません。
全部見ようとするならそれこそ最低一週間は必要でしょう。
ルーブル美術館の見方とおんなじ。
モナリザ、ニケ、ミロのヴィーナス以外はつけたしでオッケーなのです。
ということで、まず必ず見たい作品をピックアップしておきましょう。
そして、その道沿いにないものは、よっぽどでない限り容赦なく切り捨て御免。
段々切り捨てるのが快感になっていきます(ぉ
そして導きだしたのがこの黄金比ッ!

これを作品のバイパス手術と呼んでました。
この手術の結果、かなりの数の作品は削られましたが、まあ仕方ないってことで、旅の内容は2泊3日で決定。結果的には1日目と2日目入れ替わってますが。
そしてこれがまたびっくりするぐらい計画的に回ることができまして、予定してた作品はすべてコンプリートできました。車とか運転できないんで、作品を見てきた経験からくる勘で練り上げた計画でしたが、見事でした。我ながらすごい。野外にある作品はいつでも見れるけど、屋内のは10時~17時半までの間しか見れないのですが、ちゃんと毎回17時半ぎりぎりに終えられてましたし。
天気にも恵まれました。予報ではほとんど雨やったんですが、ちょっと降ったぐらいで、基本的に晴れてて、そんなに暑くもなくちょうどよかったです。やはり僕の晴れ男神話は続いているようです・・・。
皆さんもこれらの方法でうまく回ってください。
ちなみに十日町市内の作品はほとんど見てません。見ないでいいと判断したわけですが、キナーレの温泉は行ってみてもいいと思います。
最後の最後に僕が見た中でマストな作品をピックアップ。参考になれば。
[8]古郡弘「胞衣 みしゃぐち」(十日町)
[23]アントニー・ゴームリー「もうひとつの特異点」(十日町)
[24]石塚沙矢子「うかのめ」(十日町)
[28]J.カーディフ&G.ビュレス・ミラー「ストーム・ルーム」(十日町)
[31]行武治美「再構築」(十日町)
[38]福武ハウス2009(十日町)
[50]R&Sie建築事務所「アスファルト・スポット」(十日町)
[63]ジェームス・タレル「光の館」(川西)
[90]瀧澤潔「津南のためのインスタレーション つながり」(津南)
[147]まつだい雪国農耕文化村センター(松代)
[214]鞍掛純一・日本大学芸術学部彫刻コース有志「脱皮する家」(松代)
[215]同「コロッケの家」(松代)
[223]越後松之山「森の学校」キョロロ(松之山)
[232]塩田千春「家の記憶」(松之山)
[234]C.ボルタンスキー+J.カルマン「最後の教室」(松之山)
[240]マリーナ・アブラモヴィッチ「夢の家」(松之山)
僕もまだまだ見てない作品があるので今度来たらまた補完したいです。
今週23日のNHK日曜美術館で特集があるのでそちらもチェックです!

さて、旅はまだもう少し続きます・・・。

越後妻有トリエンナーレ2009 2日目(十日町・中里・津南・松之山エリア)


2日目。
トリエンナーレは何度も建物の中に入ったりするので靴の脱着が大変。
なのでサンダルがベストシューズなのです。
僕はサンダルだったのですが、友人2人が靴で参戦してて、どっちも1日目でその大変さに気づき駅前の100円ショップでルイ・ヴィトンよろしくなアナグラムサンダルを購入して2日目にのぞみましたとさ。

さて、この日は4つのエリアを巡る壮大な旅。
まずは十日町の南を攻める。
早速道間違えて、見る予定のなかった[25]の小川次郎の作品などを見る。
そして[24]の石塚沙矢子の「うかのめ」。

米粒が天井から床に張られた糸にくっついてます。
家の中にあったと思われる食器や家具までもが浮かんでます。
どこかで見たことあるなと思ったら 大阪アートカレードスコープ の作家だ。
米は炊いてその米の粘着で貼付けている。
と思いきや、普通にボンドらしい。くっつきが悪いらしい。そこだけ残念。
でも概して良作。

そして本日の見所1のアントニー・ゴームリー!

ホワイトキューブに展示されてた同昨の写真が公開されてたけど、今回は空き家になった古民家を使ってて断然こっちの方がいい!!
針金と思ってたけどロープで出来た人型。写真ではわかりませんかね。。
いやぁ、さすが力あります。
ところで、冒頭で靴の話しましたが、ここで僕らの前の客が普通に土足で入っていきやがって、床が汚れてしまいました。常識でわからんもんかね。非常識な行動はやめましょうね。

駅の方角に戻って、国道沿いに面したこれも使われなくなった古民家(元歯医者)を使った、[28]ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーによる「ストームルーム」へ。

これはかなり楽しいです!
家の中で嵐が起こってます。
窓の外は大雨。雨漏り。雷鳴。轟。停電。
でもなんで舞台裏を見れるようにしちゃったんやろ。一瞬興ざめ。
なんしかすごくいい作品ですね。

続いてさらに南下して[31]行武治美の「再構築」へ。



こちらもカレードスコープで見た作家。
小屋に丸い鏡が貼付けられてあって、風でちょっと揺れてすごく綺麗。
中に蝶々が飛んでてさらに幻想的でした。

中里エリアへ突入。
このエリアはほとんどすっ飛ばしました。
見たのは[119]山本想太郎の「建具の庭」、[123]ケース・オーエンスの「ストーン・フォレスト」、[122]リチャード・ウィルソンなど。
特に報告すべき点なし。

そのまま津南エリア。
ここではなんといっても[90]瀧澤潔の「つながり」が最高でした。
元繊維工場を利用した、清々しいインスタレーション。
1階は蝋で固められたTシャツ達が明かりとなって並び、奥にはハンガーの滝。
2階では一点外の明かりが気持ちよく入り、風が天井のてぐすを揺らす。
すんごく気持ちよかった。良作!
その後マウンテンパーク津南に向かう。
BBQやキャンプなどしてる人々でにぎわう牧歌的風景。
注目は[94]蔡國強のドラゴン現代美術館だろう。山奥に登って行くと登り窯がそれ。中では馬文が墨汁のインスタレーションを行っていたけどよくわからなかった。実際に窯として使われてるのか周りの草が真っ黒になってたのがちょっとかっこよかった。
あとは色々見たけど特にいいと思ったものはないのでスキップして松之山エリアへ。

山道をくねくね。登ったり下ったり車さんホントありがとう。
ここは見所たくさんのエリアです。
まずは大厳寺高原へ。
[247]村岡三郎氏の「SALT」。



タイトル通り中には17tもの塩がぎっしり!
真中にガラスが突き刺さっててスピーカーが。
制作された2000年にはスピーカーから町の音が流されたそうで聞きたかったなぁ、などと思いを馳せる。相変わらず荒々しさの中に緊張感漂うかっこよさ。
その横には[251]スラシ・クソンウォンの8mの大きなブランコが。思わずハイジの気分でこぎまくりました♪
でも注意書きに「乗らないでください」と書かれてた。
そんな阿呆な!
皆無視して乗りまくってました。
ここで時間もできたので遅めの昼食。ラーメンをすする。

またまた車を飛ばして迷いまくってなんとか辿り着いたのは[240]マリーナ・アブラモヴィッチの「夢の家」!





宿泊可能な「作品」。
ここも1度泊まってみたいなー。
宿泊者は、ハーブの浮いた風呂で体を清め、もこもこスーツに身を包み、棺桶の中で眠ります。そしてその中で見た夢を「夢の本」に綴っていくのです。
「夢の本」は実際に読むことができて面白かったです。
果たしてこの棺桶の中で安眠できるのかは疑問ですが・・・。

そんな「夢の家」も後にしてお次はキョロロ!



手塚貴晴+手塚由比による建物。
テートモダンを思い出しちゃう。
上から見ると蛇のようにうねってて中々面白い形。
錆びた外観がかっこいい。
塔の上まで登ることができる。階段で!疲れた・・・。
中や外をうろちょろして次の目的地へ。

今回の注目作の1つ[232]塩田千春「家の記憶」。





いやぁ、素晴らしかった!!
家中黒い糸で覆い尽くされてます。
蓑や古道具が糸で重力を失ってる様は圧巻。
「Trauma」シリーズがインスタレーションになったような感じ。
いやぁ、やっぱやってくれますね、塩田さん。

そして最後は[234]クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマンによる「最後の教室」で本日のノルマフィニート!
もと小学校をすっかりボルタンスキーワールドへ。世界唯一のボルタンスキー美術館といっても過言ではないでしょう。



暗い展示が多く、僕のカメラではほぼ真っ黒な画像しか残せませんでした・・・orz
体育館には干し草が敷き詰められて、ベンチが置かれ扇風機が回ってる。
裸足で歩くとめちゃくちゃ気持ちいい。
奥の光に向かって歩く廊下。壁には真っ黒な額縁。恐い。
階段上ると古着が積み重ねられたボルタンスキーの代表作が。
2階の理科室(?)の心音のライトはすごい迫力。
でもこれラファエル・ロサノ=ヘメルの作品とかぶってない?
他の教室は机や椅子が積み重ねられその上に白い布が。意味深。
3階はガラスの棺桶にライトが入ったインスタレーション。
んー、お化け屋敷と言われればそれまでやけど、なんか不思議な体験。
会場では来年瀬戸内海で発表されると思われる心音の作品の為に、1000円払うと自分の心音録音してもらえるってんで登録しようと思ったら機械の故障・・・畜生!
ということで2日目も予定通り終了!
我ながら完璧な計画や!

夜は十日町のキナーレ内にある温泉で天国へ。

越後妻有トリエンナーレ2009 1日目(十日町・松代エリア)


越後妻有トリエンナーレに行ってきました!
4度目の夏。初参戦です。
前回2006年はちょうどロンドンに行ってしまっていたので。

7時に東京を出て、十日町に着いたのは10時。
そこからレンタカーを借りていざ出発!
まずは十日町の西エリアを攻めます。
[32]のヒグマ春夫作品を経て[33]の田島征三の作品へ。
閉校した真田小学校全体を使ったわんぱくな作品。


早速体力消耗。先が思いやられる・・・。
そして「本日の見所」その1、[38]の福武ハウスへ。

ここはベネッセの会長兼このトリエンナーレの総合プロデューサーも務める福武總一郎氏が手がけるアート空間。ここも元小学校で、ここに日本を代表する7つのギャラリーと中国、韓国のギャラリーが集う。2006年スタート企画。
今回なんといってもケンジタキから出てた渡辺英二の「蝶俯瞰図」が絶品。
図鑑から蝶の姿を切り抜き、スペースである教室の天井いっぱいに貼付ける。
まるで世界中の蝶がこの妻有に集合したような。
あと、小柳のヘレン・ファン・ミーネの作品も音楽室と楽譜台に立てかけられた写真作品ってのがすごくよかった。見応え抜群。

ここで昼食。野菜カレーをいただく。
幾分か体力も回復させて次の[37]の小林壮の「空地小屋」へ。





ピラミッド小屋に入るとびっくり。
穴を掘って、さらに真中は深い穴が続く。
その穴には何やらスライドが投影されてて、それがこの作品の肝らしいけど、僕はそれよりやはりこの穴自体に興味津々。
大雨で崩れることはないの?
どうやって掘ったの?
いやぁ、なんか自分のやりたかったことに近くてちょっと悔しい。

さて、旅は続いて松代エリアに突入。
ここは、「越後妻有トリエンナーレと言えば」的な作品が密集してる。
例えば[150]の草間さん。


[147]のイリヤ&エミリア・カバコフ。

僕はこの文字も塔のように建ってるんだと思ってて、最初冒頭の写真のような棚田の風景を見た時は焦りました。やっぱ危険だから取り外されたのか!と。でもこれは文字越しに棚田の風景を見るという作品だったのですね。理解理解。

でもなんといってもMVRDVの農舞台でしょー!!(見所2)









これぞMVRDV!と言った建物。
この宇宙船みたいな建物の中に入るのがとても興奮する。
そういやここのレストラン美味しいって聞いてたんだ!
と思ったけど席待ちでいっぱいだったので前もって食べてて正解。
我々に立ち止まってる暇などないッ!
最後の写真は川口龍夫の「関係ー黒板の教室」。
部屋全体が黒板で落書き可能。楽しい。
ちなみにこの周りはホントに作品が密集してるので一気に見れます。

一通り見て、松代の西端まで走る走る。
途中の作品も次々車から目視。
そして辿り着いた先は本日の見所3[214]「脱皮する家」!





家全体が彫って彫って彫られまくってます。
まだまだ余白があるので、これからも彫られ続けるんでしょうか。
脱皮下駄なんてのも登場。3000円で販売中。
裸足で歩いた時の気持ちよさが半端ない。
2階で横になって危うく眠りそうになりました。。。
お次は隣の[215]の「コロッケの家」。





金属が吹き付けられた家。
「脱皮する家」が彫るというマイナスの行為ならこっちはプラス。
全身メタリックな家は、これまた気持ちいい感じ。
そんな家達ともおさらばして、来た道を一端引き返し北へ。
[199]リチャード・ディーコンなどの作品もどんどん目視。
[198]川俣正のアーカイブ施設に立ち寄る。
川俣さんならではのアプローチで意外に楽しい。
[200]クロード・レヴェックの作品や、[202]マーリア・ヴィルッカラの作品などを見るがあまり心に響くものはなく。
最後は[201]のみかんぐみでフィナーレ。
後半よくわからんかったけど、なんとか一日目計画通り終了。
2日目につづく!!

大巻伸嗣「絶・景 真空のゆらぎ」@TWSshibuya


今回もたくさん展覧会を見ましたが、最も度肝抜かされた展覧会。
この会場自体初めて行ったんですが、日本でここまでの展示ができるのか!と。
大巻さんの作品自体凄いと思うけどここまでさせたギャラリーが凄い。

まず、入ると砂のような黒い粒子のピラミッドがあります。
しかしそれは人の手が加わったというより自然に作られた形に見えます。
階段で2階に上がると信じられない光景が・・・。
そこには凄まじい量のその黒い粒子が積層されてる。
まるでウォルター・デ・マリアの作品を思い起こさせます。
そしてこのギャラリーに来たことある友人の一言。

「あれ、ここって吹き抜けちゃうかったっけ?」

そうなんです、今回の為にわざわざ吹き抜けを埋めてるんです。
しかも、結構な重さを支える為に仮設といえどかなりの強度が必要なはず。
木製パネルをはめ込んだだけじゃ無理でしょ、多分。
これを実現するには半分工事に近いことをせなあかんかったはず。
そして、奥の方が逆ピラミッドに凹んでるのを見てハッとします。
下のピラミッド。
あれは天井の穴から落ちてきた粒子が作り上げた形だったのか!と。
まるで砂時計のように落ちる粒子。
オープニングではその落ちる様が鑑賞できたようで、全員防塵マスクと眼鏡を着用してその落ちる様を見ていた様子。いいなー、見たかったなー。
でも、穴を塞いだわけではなく、今は重みで落ちてこないだけで、揺れたりするとたまに落ちて来るそうです。すげー。天井ごと落ちてこないことを祈ります。
んーー、まさに「絶景」。
ちなみにこの黒い粒子。
ゴミを燃やして出来るスラブだそうで、今回の展覧会は環境問題にも言及した展覧会で、今回大巻さんが1年かけてリサーチした報告展のようなものらしい。
また、奥の部屋にもこのスラブが敷き詰められていて、なんと小さな池のようなものまでお目見え。。。すごいの一言。
1つは舟が浮かんでいてカモメの映像が流されてる。
まるでゴミの島から街を眺めてるような体験。
さらに奥には焼却炉の映像が水面に映ってまるで黄昏時の空のよう。
いやはや、「絶景」。
大巻さんは、いつも身近な素材でまったく別の世界に連れてってくれるけど、今回もまた度肝ぬかしてくれました。ホントにいい展覧会だと思います。

大巻伸嗣「絶・景 真空のゆらぎ」
トーキョーワンダーサイト渋谷
2009年8月1日(土)-11月8日(日)
11:00-19:00 月曜休 (祝日の場合は翌火曜日休)



名和晃平「L_B_S」@エルメス銀座
早く行きたい早く行きたいと思ってた展覧会。
もう、色んなブログ等で紹介されてて、もう観に行った気にすらなってた笑
多分今東京でやってる展覧会の中でも抜群の人気でしょう。
入ってすぐのエルクのBeadsは噂には聞いてたけど本当にでかい!
あんな水晶みたいなのがよくくっついたな、と素直な驚き。
このレンズ・ピアノの作り上げた空間にとてもマッチしてる。
建物のセル状のガラス格子がビーズのセルに取り込まれる様は美しさの極み。
Scumシリーズも今までとは全く別の展開。
具象化した発泡ウレタンはすごく細かい粒子で、定着するまでの過程をこないだのレクチャーで聞いてたのでマジマジと見てしまった。
でも一番感動したのはLiquidのシリーズ。
あんなに生々しい動きをするなんて。
名和さんの彫刻の概念を覆す最もアグレッシブな作品だと思います。
いつまででも見ていたい世界観。お見事です。9月23日まで。
しかしなんでこのエルメスのギャラリー公式サイトないんやろ・・・。


「neoneo展 Part1[男子]」@高橋コレクション日比谷

何かと話題の高橋コレクションの新スペース。
先日上野の森で高橋コレクション展が開催中に草間彌生展がやってて、観に行こうかと思いましたがパスして、今回のは中々面白そうだと思って観に行きました。
その先日の展覧会に出品されてた作家よりさらに若手の男性作家をフィーチャーした展覧会。「ネオネオ・ボーイズは草食系?」と題されてましたが、なんかまさにそんなタイトルがぴったりというか、なんかぐいぐい攻めてるって感じの作品はなかったです。
でもその感じがなんだか微笑ましくて、中々楽しめました。
会場全体にアンニュイな雰囲気が漂ってる感じでこれだけヴァラエティーに富んだ作品が並んでおきながら、全然雑多な感じがなかったのが印象的。
注目の佐藤允や彦坂敏明等の僕と同世代の作家の作品も見れたし、特に最初の谷口真人の作品にはやられた。透明なアクリル板に絵の具がこれでもかってもられてるんやけど、奥の鏡で見ると、ただ凡庸な少女が映ってて、セル画の要領なんだがばかばかしくて笑ってしまった。
あと入口の田中功起さんの作品が相変わらずいい。ってかこれをコレクションしてる高橋さんって相当変人だと思う笑
いやー、10月から始まる女子展も楽しみ。こっちは肉食系?
男子展は10月18日まで。入場料300円要りますが安いもんです。


「Stitch by Stitch」@東京都庭園美術館

この流れでオペラシティの鴻池朋子展に行きたかったのだけど、時間の関係でお盆期間中は8時まで開いてたこの美術館へ。学生の頃1回来たことある以来だ。
「刺繍」をテーマにした展覧会。
着いたらちょうどギャラリーツアーがやってて、奥村綱雄さんの作品解説がされてるところだったので聞いてみる。
初めて見た作家やけど、今回ダントツでおもしろかった。
「夜警」と題されたその作品。
美術好きならまずこのタイトルを聞いて思い出すのはレンブラント。
でも、これは実際この作家がバイトでやってる職業。
なんとこの人、夜間の警備員やりながらひたすら刺繍してるんです笑
刺繍といってもものすごい細かさでびっくり。
一時間で縫える面積が驚く程小さく実際に展示された作品たちがどれだけの時間かけられたのか考えると気が遠くなってしまう。
これがまさにこの作家の糸、もとい意図で、時間を作品化してるんやって。
サイズも他人に怪しまれないようブックカバーサイズ。
にしても刺繍が細か過ぎてディテールを見られると明らかにおかしい人だ笑
実際刺繍してる作家の写真がかなり笑える。
このネタでロッジがコントしてる映像を一人で妄想してました、すいません。
あとは色々出てましたがなんかピンとこなかった。
手塚愛子さんも、なんであんな具象的な像に手を出してしまったんだろう。
せめて布のパターンとかにしたらいいのに・・・。
清川さんの作品も絶対造花より生花にした方がおもしろいのに。
そして、この展覧会を見た多くの人がいってるように、青山悟さんの不在はこの展覧会に大きな痛手を残してる。彼はミシンを使ってるからだめなのか?手じゃないとだめなのか?少なくとも「手作業」を押し出してる展覧会ではないように思えましたが。9月27日まで。


飴屋法水「3人いる!」@リトルモア地下

最近燃えてる「舞台を観よう!」キャンペーンの一環。
今回は作家の飴屋法水氏が演出する舞台。
行った日がちょうど最終日だったので思い立って当日券購入。
とても小さな劇場でなんかアングラな感じでいい感じ。
でもなんかちゃんと舞台しててびっくりした。
作家がやる舞台なのでもっとアートなのを期待してたんだけど。
こないだ高嶺さんのとは大違い。
でもまあ、内容としては楽しめました。
ドッペルゲンガーのように、自分と名乗る他人が現れて、その自分は他人には見えなくて、みたいなすごい複雑な設定で、出演者の3人とも別の自分がいるってことになってて、その3人が交互に入れ替わるもんだから、途中まで整理して観てるんやけど、全然わからんくなって、まあいいやってなって、そのわけわからなさを楽しんでました。
多分出演者もこんがらがってるような節があって、後で考えるとあれあそこであの台詞はおかしかったよなーなんて思うけどそれもこれもどうでもいい。
混乱が楽しかったです。
出演者は12日間の公演中毎日違って、内容もすこし違うみたい。
僕の時は男・女・外人の組み合わせでした。
ogawamaさんのブログでは途中で飴屋氏のパフォーマンスがあったらしい。
見たかったような見たくなかったような・・・出血ですか?
他はどんなやってんやろ。
もっと色んなパフォーマンスが見たい!


ARCHITECTURE JAPAN 2009
再来年ポンピドゥーで開催される日本の建築展に先駆け、いくつかのギャラリーが合同で企画した建築展。
TARO NASU青山|目黒はお盆休みで休んでたのでそれ以外を鑑賞。
TARO NASUは1度行ってみたいんやけど結局いつも行けてない。。。

まずはこの展覧会のプラットフォームを果たすGYRE
伊東さんのアメリカでの美術館やら隈さんのABCビルやら色々展示されてるが、雑多過ぎてよくわからない。菊竹さんの海上都市のプレゼンは手書きでちゃんとレタリングされてるのに感動したり。

気を取り直してギャラリー小柳へ。
ここでは「石上純也+杉本博司」展がやってます。
2人が絡んでたらメチャクチャおもしろいな、と思ってたんやけど、2人まったく別々で見せてます。絡んでたらもっと話題になるか。
杉本さんは今までの建築作品の模型や写真を中心に展示。
建築シリーズの「サヴォア邸」の作品なんかも展示。
「海景」作品は護王神社の模型を覗くとホントに直島と同じ風景が!
石上さんはKAIT工房の模型が圧倒的な美しさを放ってました。
2人ともグッゲンハイムNYのプランを出してたけど、これ何かのコンペ?
杉本さんは建物そのものをカメラに見立ててました。
石上さんのプランは相変わらずメルヘン。花畑にキリン・・・。
次回小柳は杉本さんの新作展。こっちも期待。

続いて清澄白河のギャラリーコンプレックスビルへ。
大学時代に行ったっきりで案の定一瞬迷った。
普通の運送会社のビルなのでわかりにくい。
hiromiyoshiiでは「生成の世代」と題して、藤本壮介さんや中村竜治さんのような今ぐいぐいキてる70年代生まれ以降の建築家をピックアップしてます。
にしても作品解説もなく、いきなり模型だけ見せられても・・・って感じ。
藤本さんとか前もって知ってるからいいけど、他の建築家はほとんど知らなかったりして前知識がないと中々むずかしいです。
あと、何気にアートの展覧会も普通にやっちゃってるのが謎。
タカイシイでは、ギャラリー自体は閉まってるものの、平田晃久さんの新作照明「Flame frame」が見られます。
メタルな炎を讃えた様な複雑な照明。
数あると中々の迫力。平田さんは伊東事務所出身の人です。
この照明は年末まで展示されてるそうです。
そして横綱小山登美夫ギャラリー「建築以前・建築以後」と題して鈴木布美子さんのキュレーションの元、会場設計を西沢事務所が手がけ、出品建築家も、菊竹清訓, 伊東豊雄, 妹島和世, 西沢立衛, SANAAという恐ろしく豪華な内容。4世代にまたがってます。(伊東さんは元菊竹事務所出身、妹島さんは元伊東事務所出身、そして西沢さんは元妹島事務所出身)
かなり見応えがありました。素晴らしい展示です。
まず6階のSANAAのローザンヌの模型は素晴らしいです。
確か妹島事務所観に行った時廊下に落ちてたやつもローザンヌだったような。
いやぁ、この建物はホント竣工が楽しみすぎる。
7階。西沢さんのHOUSE Aの凄まじい量の模型は圧巻。
1つの建物に一体何個の模型が存在するんだ。。。
妹島さんの犬島でのプロジェクトは初めて見た。相変わらずすごいことになってそう。
伊東さんのノルウェーでの図書館のプロジェクトを紹介。
プロフェッショナルで見た模型やドローイングが生で見れる!
気が遠くなる作業だ。。。
そしてなんといっても凄いのが菊竹さんの「海上都市計画」。
こういうことを今やると鼻で笑われそうだけど、これを本気になってやってた時代があったということに感動を覚えるし羨ましく思う。
もはや歴史的価値すらある模型や映像。
映像では実現に向けてのプレゼンがすごい迫力で迫ってくる。
そんな映像を見てたら外からなにやら聞いたことがある声が。
気になって外に出るとなんと長谷川祐子さん!!!
相変わらず早口で小山さんになにやら話しかけてました。
近くに東京現美があるからしょっちゅう来はるんやろか?
妹島さんと一緒にプロジェクトやってることもあるしね。

ところで、最近出た伊東さんの本西沢さんの本がアツい。
伊東さんのは海外の本で、日本のamazonで買ったら最初1万近くしたので、またイギリスのamazonを利用させてもらった。でもその直後にいきなり下がって、1000円ぐらいしか得しなくなった。まあ得してるからいいんやけど。でもさらにこないだジュンク堂で6000円で売ってたのを見た。それでも数百円は得してるんだい。
この本は写真が満載でしかも初期の作品から最新の作品まで網羅されてて、今出てる伊東さんの本では一番いいんじゃないかと思う。なんで海外からなんだ。そしてこの本はすぐに日本語訳されて出そうな気がする・・・。実際文書寄せてるのもDana Buntrock以外は伊東さん本人と五十嵐太郎、山本理顕氏やし・・・。坂さんのも日本語訳のが出てるしなー。出たらまた買ってしまいそうで恐い・・・。
装丁がMIKIMOTOの穴とせんだいが合わさってかわいい。
西沢さんのは対談集。西沢さんはいちいち天才すぎるので、一人の文章だと普通に何言ってるのかわからない時があるのでこういう対談の方が向いてる気がする。
原さんの研究家のような西沢考察から、伊東さんのたまにドキッとするような鋭い言葉、妹島さんとの改まった対談など、かなり内容が濃いが、藤本壮介さんとの対談が一番おもしろい。
建築だけでなくエコ問題とかにも及んでて、すごく興味深い。
とにかく豪華な内容。おすすめです。
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