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窓展:窓をめぐるアートと建築の旅 @ 東京国立近代美術館

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東京国立近代美術館で開催中の「窓展」に行ってきました。
もう窓というテーマを聞いた時点で興奮します。
昔「風景」をテーマに展覧会を作ったことがあって、そこにも「窓」は重要な要素だったし、僕は絵画をやってたので、窓は切っても切り離せないし、僕のインスタレーション作品にも窓は大きな要素を占めてる。
「窓」は本当に豊穣な世界を持ったキーワードなんです。
さらに担当学芸員が蔵屋美香さん。
そして五十嵐太郎らの窓研究所とのタッグ。
もはや面白くない要素がない!

とかなりハードル上げて行ったんですが、そのハードルをさらに超える素晴らしい展示でした!
まず美術館中庭には藤本壮介の代表作House Nのモックアップ。
実物は見たことないですが、中に入ると窓枠と窓枠が重なり合って、空を幾何学に切り取る様は爽快。
中は入れ子構造になってるので、どこを切り取っても違う幾何学が登場する。
この日は快晴の秋晴れだったので、余計青い空とのコントラストが素晴らしかった。

会場に入るとまず飛び込んでくるのが、有名なバスター・キートンの名場面。
キートンの後ろの家のファサードが剥がれて倒れてくるんだけど、キートンは窓の部分にいたので無事っていう。
これはスティーブ・マックィーンも作品でやってたし、福山雅治もCMでやってましたね。
様々なジャンルから参照してくるキュレーションめっちゃ好きなんですよね。
しかも冒頭からですから、個人的にめっちゃテンション上がった。
最初のテキストにも、ちゃんとアルベルティの「絵画論」における「開かれた窓」が引用されてて完璧。
見知らぬ他人を窓から撮った横溝に、窓から外を覗く人々を撮った郷津雅夫の写真が並んで、もう一部屋目から完璧!

次の部屋には窓を巡る歴史年表と、建築家のドローイング。
この部屋は、こういう大きなテーマを掲げる展覧会において重要。
というのも、窓に関する作品もあれもこれもと集め出したらキリがないから。
なんであれがなかったんだろう、というのも一気に解決。
持ってこれない「最後の晩餐」なんかも、年表に織り込んじゃえばちゃんとおさえてることになるし。
これは中々賢い方法だと思いました。
窓の発展と、ああ、確かにこの作品も!っていう確認にもなって面白かった。
そして建築家たちのドローイングがすごい。コルビュジエのロンシャンのドローイングとか!

次からは近代の名作たちがこれでもかと登場して目眩がします。
なんといってもマティス。
彼の描く窓は本当にユニーク。
部屋の中と外の区別が曖昧で、窓を描いた画中画なんじゃないの?という錯覚も。
これはマティス自身が意識していたようで、解説に詳しく書いてました。
曰く

「私の感情にとって、空間は水平線から私のアトリエの室内に至るまで一体をなしていますし、通り過ぎる船は私の周囲のなじみの品物と同じ空間のなかを生きている。壁にしつらえられた窓は、2つの異なる世界を作り出しているわけではないのです。」

彼の絵の中では、外も中も全くの等価。
冒頭アルベルティが、絵画論で絵画を窓に捉えたのは、絶対的な「外」を描くための装置として触れていたのとは相反する態度です。
マティスの隣にティルマンスの写真があるのも面白い。
ここからさらに抽象画へ。
アルバースにロスコ。ロスコがやっぱり最高すぎる。
もはや窓は、外を眺めるものではなく、内面を見つめるためのメタファーになります。
そして極め付けがデュシャンの「フレッシュ・ウィドウ」。
最近デュシャンに関する本を改めて読んでたので、具に見られて棚ぼたでした。
リキテンスタインのキャンバスの裏を描いた作品も初めて見たけど面白かった。

この後展覧会は、個展形式で流れていくのも面白かった。
奈良原一高の修道院や刑務所の窓を捉えた写真や、日中韓(小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソック)のユニット西京人の国境を皮肉ったインスタレーション、ユゼフ・ロバコフスキの変わりゆくポーランドを22年間にも渡ってただただ窓から眺め続けた映像、ローマン・シグネールの窓を使った破天荒なアクション等々。
どれも「窓」というテーマ一つでここまでのことができるのか!と舌を巻くばかり。
途中、コンピューターのウインドウのセクションがあったけど、ここはもう少し広げられたように思う。
そして最後の方に来て、THE PLAYや山中信夫を持ってくるのはエモい。
彼らの作品は、マスト中のマストなのです。
そしてフィニッシュがリヒターっていう、出来すぎた展覧会。。。
本当に素晴らしかった。

敢えて難を言うなら、最初にキートン持ってきたんだから、もう少し美術や建築外からも窓に纏わる表現持ってきてほしかったなーと。
ヒッチコックの「裏窓」なんてまさにだし、あと日本画とかも。
個人的には久隅守景の「夕顔棚納涼図屏風」なんか最高だと思う。
日本の建築には元々窓という概念はなかったんだけど、この絵には窓を感じるんですよね。
まあ、この絵は東博のコレクションだけど、近美のコレクションにも絶対なんかあるはず。
本当に言い出したらキリがないんだけど、それだけ横にも縦にも延びるテーマなので、シリーズ化とかしたら面白いなぁ、などの妄想してみたり。
東京近美での展示は来年2/2まで。こちら
その後来年夏には丸亀へ。


ところでこの展示鑑賞後に真っ先に向かった先は、この美術館にある「眺めのいい部屋」でした。
これぞこの窓展を強化するであろう要素なので、展覧会出口に案内出すべきかと。
ここからは皇居が真正面に見られるんですよ。
いつもは素通りするけど、改めて堪能しました。
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あと、東京近美はコレクションも素晴らしいんですよね。
鏑木清方の新収蔵作品展も良かった。メインじゃないけど1年12ヶ月の作品は泣きそうになった。
あと驚いたのが、戦後のセクションで、当時の子供達の絵が展示されてたこと。
こんなものまで収蔵してるのか!と。
本当に素晴らしい美術館だな、と改めて。
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最近お店で「現代美術ってどう見たらいいんですか?」という最早普遍的な質問を受けるんだけど、もうね、答えは決まってて「勉強してください」としか言いようがないんです。
なんか美術って感覚的なものと思われがちだけど、特に近現代美術に於いてはほぼ学問に近い。
算数の知識がないと数学が解けないように、それなりの背景や歴史を知ってないと楽しめません。
ということで、今回の「窓展」は勉強してみたい人とってはうってつけかと。
あと近美のコレクションで補完もできて、こんな親切な場所はないかも。

あと最近僕が読んだ2冊は、とても平易な文章ながらめちゃくちゃ勉強になるのでおすすめ。

平芳幸浩著「マルセル・デュシャンとは何か」
森村泰昌著「自画像のゆくえ」

ちょっとでも近現代美術わかりたいって方はぜひ読んでみてくださいー。

加藤泉 -LIKE A ROLLING SNOWBALL @ 原美術館

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8月からやってる原美術館にて加藤泉展へ。
会期が1月までとめちゃ長いのでいつ行こうかと思いつつ中々行けてなかったけどついに。
ここ3年の近作がなんと69点も展示されてる超充実した展示。
なんとなく単発で近作観てきましたが、ここまで自由になってたのか!と驚きの連発。
素材は多岐に渡っていて、作品の素材見るだけでもおかしい。
例えば

「木にアクリル絵具、ソフトビニール、石、ステンレス、鉄、石にリトグラフ、アクリル絵具、綿布に木炭、アクリル絵具、ブリキ」

ってのがあるんだけど、所々被ってない?笑
特に石に描いてる作品なんかは、もはやこの人の中で絵画も彫刻もボーダーがないんだな、と思わせてくれて、爽快というか快活というか、すごいの一言。
石のザラザラした質感に描かれた絵は、洞窟壁画のようでもあり、複雑怪奇な様相。
ここまでとんでもないことになってるとは思わなかった!
凄まじい展示なので是非。来年1月13日まで。こちら
原ミュージアムアークでもやってるけど、こちらは遠すぎるのでパス。
カタログもようやく発売されてましたが、4000円オーバーはちょっと。。。


さて、この美術館も閉館まで残すところあと一年ちょっと。
あと何回来られるだろうか。
こんな素敵な場所がなくなると思うととってもとっても寂しい。
来年は6月から久門剛史と小泉明朗の展示もあるみたいなのでそれは絶対行く。

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山元彩香「organ」@ void+

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大学時代の同級生、山元彩香の展覧会に行ってきました。
今回僕が大好きなギャラリーvoid+でやると知った時はテンション上がりました!
これまでTaka Ishiiで発表してきた彼女でしたが、void+のあの独特な空間でどう展示するのかとても楽しみにしていたのです。
特にマンションの管理人室を改装したという小さな展示室。
まさに「ホワイトキューブ」で、天井に照明すらありません。
そこで今回彼女は初となる映像作品を発表しました。
展覧会タイトルにもなってる「organ」。
内容は少女がチェストに寝転がって鼻歌を歌っているというシンプルなもの。
この映像を観た時ようやく彼女のやってきたことが一本の線で結ばれた気がしました。
というか、その線がピンと張った感覚があったんです。調律が合うというか。
これまで彼女は写真というメディアを使って、海外、特に東欧の女性たちをモデルに作品を制作してきました。
一貫して青っぽい画面に無表情無気力な女たち。
それらの写真群を観て、僕には特にピンとくるものはなかったんですよね、正直。
僕の場合、彼女がコンセプトがあやふやな状態のまま撮ってる時から知ってるので、どこまで考えてるんだろう、というのが計りかねていたのもあって。
彼女の作品は、一見しただけではおしゃれなファッションフォトに見えなくもないので、実際そういう観られ方してる部分もあると思います。
でも、今回のこの映像を観て、一気に目を開かされました。
実は展示前にも携帯の小さな画面で見せてもらってたんですが、その時からこの作品は凄いという感じがあって、改めてこの真のホワイトキューブで観た時の衝撃!
観た、というのはちょっと足りなくて、体験したという言い方が正解。
小さなホワイトキューブで微かに反響するその鼻歌。
それは少女がその場で即興で作った歌らしいのだけど、何とも言えない懐かしさ。
聞いたことなんて絶対ないはずなのに遠い昔から知ってるような。
そして映像自体も、ほとんど動かない彼女の身体をひたすら定点で映していて、生きてるのか死んでるのかわからないのだけれど、メロディは確実に彼女から鳴っている。
そう、鳴っているんです。
「organ」というタイトルが示すように、彼女は楽器と化しているのです。
この作品は、贔屓目を抜きにして、この空間で観た今までの作品の中でダントツベストワークになりました。
本当にいつまでもそこにいられる。永遠に観ていたい。聴いていたい。
この作品はもっといろんな空間で見てみたいな。
例えばコンクリートの部屋とかだともっと反響して聞こえるだろうし、廃墟みたいなところで見たら更に作品の持つ霊性みたいなものが際立ちそう。
そうして彼女の写真作品を改めて見ると、どの女性たちも魂が抜けているように見える。
特に今回は作品を厳選してるのもあって、その感覚が凄まじい。
昔の人は写真に撮られると魂が抜かれると信じていたけれど、彼女は本気でカメラでもって女たちの魂を抜いているように思えてならないのです。
よく写真を評するのに「生き生きしている」というのが賛辞の一つではあるけれど、山元の作品はそれとは真逆。
青い画面も、そうした魂が抜けて体温が下がっていく感覚を覚える。
しかし、それは暴力的な行為ではなく、むしろ「浄化」という言葉がしっくりくるように思えます。
そして更に面白いのが、今回人物のポートレイトと並列して、オブジェや人形の写真も並べられています。
それらが本当に等価すぎて驚きの連続。
一体どれに魂があって、どれに魂がないのか。
今回の展覧会を通じて、彼女がなぜ女性だけをモデルにしてきたのかもわかったような気がしました。
というのも、女性と男性を隔てる最大の違いはやはり「命を生む」という点。
その為には女性は男性に比べて身体的なハンディキャップが有り余るほどある。
出産はもちろん、毎月訪れる生理なんて男の自分としては大変すぎて想像もできない。
女性は生きてる間に流す血の量が男性よりとてつもなく多い。
その度に彼女たちは一旦死を経験しているのかもしれない。
それ故か、女性には巫女のような、彼方と此方をつなぐ役割を担わされてきました。
魂が抜けたり、何かに憑依されたりするというのは、もしかしたら日常茶飯事に起きてることなのかもしれない。
そういうことを写真を見ながら考えられました。
今後彼女がどういう方向に向かっていくのか、とても楽しみになった展覧会。
11/30まで!ぜひ!

<展覧会概要>
■タイトル:Unknown Image Series no.8 #1 山元彩香「organ」
■会期:2019 年11月1日(金)— 11月30(土)14:00-19:00
・レセプション:11月1日(金)19:00-21:00
・トークイベント:11月29日(金)19:00-20:30
山元彩香+ 光田由里(DIC川村記念美術館学芸員)+ 中村史子(愛知県美術館学芸員)
■会場:void+ 東京都港区南青山3-16-14, 1F
■定休日:日、月、祝日
■入場無料
■お問合せ:Tel: 03-5411-0080/メール: info@voidplus.jp

お店にDMと作品集置いてます。
作品集はamazonでも買えますが、残部僅かとのことで購入検討の方はお早めに!
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その他に観た展示。
DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術 @ 埼玉近代美術館
碓井ゆい展 @ 河合塾美術研究所
原田裕規「One Million Seeings」@ KEN NAKAHASHI
植松奎二 「-見えない力と浮くこと-」@ Yumiko Chiba Associates
今井俊介「range finder」@ HAGIWARA PROJECTS
横村葵「little living room」@ INTERART7
「イメージの洞窟 意識の源を探る」@ 東京都写真美術館

カミーユ・アンロ「蛇を踏む」@ 東京オペラシティアートギャラリー/フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると @ ワタリウム美術館

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カミーユ・アンロとフィリップ・パレノ。
アンロはパリ生まれ、NY在住のアーティスト。
パレノはアルジェリア生まれ、パリ在住のアーティスト。
それぞれ中々日本で作品をまとめて観る機会はなく、僕もよく知らない作家たちでした。
特にアンロは全くわからず、近所だからという理由だけで何の期待もなく、むしろトム・サックス、ジュリアン・オピーと僕的にアウトな展示が続いただけにむしろどうせまた良くないんでしょという態度で行ったのだけど、結構良かった。
(次の白髪さんは期待してます)
まず、最初の「革命家でありながら、花を愛することは可能か」という作品は、文学のタイトルと生花を組み合わせた作品で、生花を草月流の人たちに任せてるのが面白い。
アンロはお題目を選んで、華道家たちがそれに応えるという形。
それぞれ確かに面白くて、それにしてもこの花たちは会期中どうなるのかしらと思いきや何と草月流の方々が毎朝来てメンテナンスしてるんだとか!なんて作品!
そんな花々の展示を見終えるとドローイング。これはちょっと僕的にはなかった。。。
その先の「青い狐」というインスタレーションが素晴らしかった。
無秩序なのかと思いきや、4つの壁はそれぞれライプニッツの四つの原理がそれぞれ割り当てられるらしいのだけど、結局よくわからなかった笑
そして映像「偉大なる疲労」は、国立スミソニアン博物館とパフォーマンスアーティストのアクウェテイ・オラカ・テテーによって紡がれる宇宙史とも言える壮大な物語。気づいたら全編通して見てました。
何だろう、何がいいとか具体的に言えないんだけど、圧倒的な空間の使い方のうまさ。
そしてそれはフィリップ・パレノもそうで、この展示ほどワタリウムの空間が美しく見えた展示は未だかつてなかった。
個人的に、マリオ・ボッタの作ったこの建物は美術館としてほぼアウトなんだけど、今回彼の作品が置かれることで、気づかなかった建築のディテールに気づかされました。
作品自体は、もう謎だらけで良くわからないんだけど、その作品たちがあることで空間が生き生きと呼吸してる感じがして、とても清々しかった。
氷の雪だるまは僕が行った時は溶けてなかったのだけど、その残骸みたいなのも味があって良かった。
どの作品も以上も以下もなく収まっていて、とにかくいい。
フランスの作家ってこういう空間の使い方ホントうまいですよね。
ソフィ・カルもダニエル・ビュレンもそうだけど。
いつかピエール・ユイグの大きな展覧会も見てみたいなぁ。
あまり感想になってないけど、巧みな空間的アプローチを観たい人は必見の展覧会です。

カミーユ・アンロ「蛇を踏む」@ 東京オペラシティアートギャラリー -12/15
フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると @ ワタリウム美術館 -2020/3/22

ちなみにオペラシティは上の李禹煥も見応えがあります。
そして今回カミーユ・アンロのカタログがすごすぎる。。。
展覧会というか「青い狐」のドキュメントなんだけど、めっちゃ凝ってる!
思わず買ってしまいました。。。店でご覧いただけます。
パレノの方は今回カタログないらしい。残念。

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あいちトリエンナーレ2019 ④ 豊田市、まとめ

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最終日は豊田市。
僕はのんびり名古屋でモーニングを食べたかったのだけど、一緒だった友人が「ホー・ツーニェンの作品が9時から並ばないと観れない」ということで9時から豊田へ。(ちなみにモーニングは6時半に起きて7時から無理やり食べに行きました。美味。)

このツーニェンの作品が展示されているのが「喜楽亭」という元旅館。
着いたらすでに10人ほど並んでいました。ツワモノ。。。
もうずっと喜楽亭がすごいという話を聞いていたのでこの作品は見逃すわけにはいかなかった。
10時になって開場。なんと津田さんも様子を見に来られてました。
後ろを振り向くと長蛇の列。。。朝早く並んでおいて良かった。。。

中では全部で6つの映像を見るんだけど、それぞれ12分ずつなので、終わる度に次に行く感じでよくできた構成だなぁと思いました。
内容はこの旅館に泊まっていた特攻隊の若者から、「神風」という言葉、そして軍歌など、映像ごとに通底したテーマがあるのだけれど、ベースになる映像は小津安二郎と横山隆一。彼らが国家の求めに応じ戦意高揚を目的とした映画やアニメを作ったことが語られ、京都学派の言説なんかも出てくるとても複雑な物語がこの旅館全体で綴られます。
詳しい説明はREAL KYOTOの記事に任せます。こちら
旅館全体を使って物語化していく様はとてもうまいなぁと思いつつ、期待してたほどではなかったかな。。。
まあ、観られて良かったとは思います。
外に出たらさらにすごい行列で、こんなのに並んでたら他のが観られない。。。
行列を後にして豊田市美術館へ。

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豊田市美術館も名古屋市美術館同様あまり観るべきものがなかった。。。
同時にやってるクリムト展の最終日と重なって館内は大混乱でした。
まあ、唯一面白いと思ったのは社会主義彫刻、絵画を扱ったレニエール・レイバ・ノボぐらい。
30分もいなかった気がするけど次へ。。。


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高嶺格さんのこれ。もうすごすぎ笑
有無を言わさぬインパクトでやられました。
高嶺さんって美術館の外から出ると急に面白くなるよね。
この旧豊田東高校はこの後取り壊され、坂茂による建築ができるとのこと。

後、街中はいくつかあるけどこれといって感動できるものはなかった。
小田原のどかの作品は少し期待してたけど、ものとしての説得力がない。
今回コンテキストベースの作品が多いけれど、それに見合うビジュアルを獲得できてない作品がいくつか見受けられて少し残念だった。


さてさて、やっとまとめ。ってまとめられないけどつらつらと思うこと。
今回のあいちトリエンナーレ、展覧会として総じてよかった。とても良かった。
騒動抜きにして本当に素晴らしいテーマとキュレーション。
このトリエンナーレ、始まった当初は1回で終わると思ってたけど、もう4回目。
そして今回津田さんがディレクターに決まった時点で絶対面白くなる!と大きく期待してました。
その期待はもうすでに開幕前から叶えられてて、それは何と言ってもまず彼が今回の展覧会をジェンダーフリーにすると宣言して、作家の男女比を半分半分にしたこと。
とっても情けない話だけど、これだけのことが今まで実現できてなかった美術界。
このことで、なんと美術業界から「女に高下駄を履かせるのか」とか「質が落ちる」なんて馬鹿げた発言もあって、それを津田さんは「今まで男が履いてた高下駄を脱いでもらいます」と一蹴。格好良すぎる。
リベラルなはずの美術業界ですら男中心の古すぎる世界。うんざりです。
この一石のおかげで美術手帖でも「ジェンダーフリーは可能か?」という特集も組まれて、今までなんとなくわかってはいたけど、改めて向き合うきっかけになりました。
このことで美術業界から「一生分の罵倒」を浴びたそうですが、美術界の外の人だからこそできたことかもしれません。情けないですが。
しかしその後一生どころか何十生分の罵倒を浴びることになろうとは。。。

開幕後の騒動はいうまでもなく、何と言っても展覧会は終わりましたが、まだ文化庁の助成金不交付問題はまだ終わっていません。
これは本当にまずい事態だと思います。
案の定その後、文化庁は「公益性の観点で不適当なら助成金は不交付」という条件をつけ、映画「宮本から君へ」にピエール瀧が出てたという理由だけで不交付を決定しました。

文科省外郭団体「公益性の観点で不適当なら助成金は不交付」
映画『宮本から君へ』の助成取り消し、交付要綱も改正。プロデューサーは「文化芸術にとって由々しき事態」と怒り

この国は本当に地に堕ちましたね。
これでは文化が死んでしまいます。
国家にとって都合のいい作品だけが残る。
まさにツーニェンの作品の世界。
にしても文化庁長官の宮田良平自身が作家であり元東京藝大の学長ってのがもう皮肉しかない。
まあ、彼の作品観てたら然もありなんで、失望も何もないけど本当にゴミ。

この展覧会は、大きな功罪を残しました。パンドラの箱を開けたという言い方もできましょう。
ここまで社会と美術が激突したのは「千円札裁判」以来かもしれません。事態はさらに深刻ですが。
この「不自由」と闘うためにも是非とも記録に残して欲しい。
今回不交付となったことで、カタログを作れないという話を聞きました。
クラウドファンディングでもなんでもいいから絶対に作って欲しい。見返りはいりません。
それだけ時代のマイルストーンとなる展覧会の枠を超えた出来事として残さなくては。
そして、大村県知事も最後に宣言してくれましたが、なんとしてでも次回のあいちトリエンナーレ2022を実現して欲しい。
課題は山積み。
何ができるか表現に関わる全ての人々が考えなければなりません。
この展覧会を通して、本当にいろんなことを考えました。
ひとまず会期を全うし、最終日には全ての作品を見られる状態に戻してくれたこと、関係者の方々には感謝しかありません。
お疲れ様でした。そしてありがとう。


最後に大村県知事の会見を貼っておきます。素晴らしい演説。一生忘れたくない。
この騒動で唯一の救いでした。


あいちトリエンナーレ2019 ③ 田中功起、小泉明朗

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田中功起「抽象・家族」。
僕の中でこの作品は今回のあいちトリエンナーレのベスト作品。
この作品観られただけでも愛知に来た甲斐がありました。
正直田中さんは前の水戸芸術館の展示で相当失望しちゃったし、今回の展示ボイコットもかなり疑問で、それはそのことで最も被害を被るのが観客だからです。
なのに田中さんはそれに追い打ちをかけるような発言をTwitterでしていました。



この発言を観た時、なんて傲慢なんだろうと思いました。
ただでも観客は「観る機会」を奪われてるのに、そこをさらに責めるの?まじで?
責めるべきは他にたくさんいるだろう。
観客が責められる筋合いはこれっぽっちもないだろう。
と。

エキソニモの発言が個人的には最もしっくりきます。



そう、作家なら態度じゃなくて、作品で示せよと思う。
いい作品というのは総じて作家の態度がそのまま作品に反映されてる。
僕は「態度が形になるとき」が観たいんです。
それを「観せない」というのは如何なものかと。

なので最後の最後に皆が展示再開に至ったことは本当に良かった。
そして、もし展示が閉ざされていて、田中さんの作品が観れなかったとしたら、僕の中でこのトリエンナーレの印象は大きく損なわれていたと思う。
それほどに今回の田中さんの作品は素晴らしかった。
あのヴェニスの感動が再び蘇りました。
そう、あの時のタイトルにも「抽象」が入っていました。
田中さんの作品においてこの「抽象」というのが重要な気がします。
以前の水戸の作品はあまりに「具体」すぎました。あれでは田中さんの魅力が発揮できない。
そして今回大きく扱われてるのが「家族」です。
これまで田中さんが描いてきた「関係」の究極という感じがして震えました。
そして実際見事なインスタレーション。

このインスタレーションは三つの映像を軸としています。
この映像には4人の「ハーフ」と呼ばれる人たちが登場して、彼らが共同生活を送りながら、その成果物として4人で抽象画を描いてもらうという過程が映されています。
会場にはその抽象画がたくさん展示されていて、その中を観客が自由に過ごすんですが、この観客たちの開放感がとってもいいんですよね。
流石に展示がうまいなぁと思うんですが、本当に自由度の高い空間に仕上がってる。
映像の前には座り心地のいい椅子が置かれていて、ゆっくり観ることもできるし、映像の間をすり抜けることもできる、非常に緩い空間構成。
全ての行動がここでは肯定されていて、本当に清々しかったし、いつまでもここにいたいと思わせてくれました。
そして映像。
その4人の生い立ちや「ハーフ」だからこそ背負ってきた苦労が共有されていき、まるで家族のように過ごすんですが、もうこの感覚って坂元裕二のドラマ好きには堪らないと思います。
家族も故郷も自分で獲得していくものだと思うんですよね。
血の繋がりだけが家族じゃないし、生まれ育った場所が無条件に故郷になるわけじゃない。
田中功起自身が語る家族観に「たまたまそこに空いてる席があったから座っただけ」みたいな言葉があったけど、もうわかり過ぎて辛い。
自分も親と確執とかほとんどないけど、子供の頃から「たまたま居合わせた他人」以上に思えなくて。
昔「世にも奇妙な物語」でやってた「レンタル家族」って話があって、実は本当の親は物心つく前に事故で死んでて、その遺言と遺産に従って、息子が20歳になるまでの契約で「レンタル家族」を雇って、20歳の誕生日に家に帰ったらバースデーケーキと契約満了の紙が置かれてるっていうめっちゃ怖い話なんだけど、僕はそれを信じちゃったんですよね笑
今もその感覚が消えなくて、大人になったら家族なんて解散するものだと思ってた。
その感覚がまさにこの作品に落とし込まれていて、沁み方がどうしようもなかった。
こんなこと思っててもいいんだ、と肯定してもらえた気がして本当に感動しました。
あとちょうどポール・オースターの「孤独の発明」を読んでいて、そこには彼のお父さんが亡くなった時の話が書かれていて、結局最後までわからない人だったことが延々と綴られるんだけど、本当に家族って近くて遠い他人だよなぁとつくづく思ってしまう。
この作品は本当に色んな広がりがあって、生涯忘れられない作品だと思います。
本当に観られて良かった。


あと、この日は小泉明朗さんの新作「縛られたプロメテウス」を鑑賞しました。
毎回15人程度の定員制で、VRを使った作品。
これは先日無人島プロダクションで見たようなものを想像しいたのだけどちょっと違った。
もう終わったのでネタバレしてしまうけれど、最初の30分はVR装置を装着して、ナレーションを聞きながら抽象的な映像を味わうんだけど、後半はバックヤードみたいなところに移動して、目の前にあるテレビを観ていたらALSの車椅子に乗った男性が現れ、彼がALSになった経緯を話すんだけど、それはさっきまで聞いてたナレーション通りで、そのナレーションは彼の発言をなぞっていただけのことがわかる。
そして、カーテンが開くと、その後に入ったグループがVR装置を付けながら彷徨う様が現れる。
僕らのグループもその前のグループに見られていたというわけ。
僕らは知らない間にパフォーマーになっていたということ、なんだけど、なんか安易だなぁと思ってしまいました。
僕はてっきり無人島で見た「サクリファイス」のようなものを期待していたので、VR体験も普通の不思議体験になっちゃってたし、僕は「サクリファイス」を体験した時に、小泉さんが今まで映像の中で人々にさせていた「憑依」を自然な形で観客にさせてしまったということに衝撃を受け、感動したのだけど、今回はまた今までの小泉さんの作品の領域を出てない感じで少しがっかりでした。
この表と裏みたいなのって前にも森美術館でやってたしね。
とはいえこの作品を体験するために最終日にしたので、そのおかげで全ての再開した作品も観れたので感謝といえば感謝。
今後の小泉さんの作品、期待してます!


つづく。

あいちトリエンナーレ2019 ② 愛知芸術文化センター

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愛知芸術文化センター。
何と言ってもウーゴ・ロンディノーネに救われる。
彼も当初不自由展の中止を受けて展示延期を訴えたけど、説得の末なんとか展示継続してもらって、これがあるのとないのとでは全体の雰囲気が大きく変わるぐらいのインパクト。
今回やはり政治的な作品が大きくフィーチャーされがちだけれど、彼のカラフルなピエロたちが各々寛ぐ空間に入るととってもスカッとするんですよね。
もちろんピエロって時点でいろんな意味を含んでるんだけれど、それも含めて今回のテーマ「情の時代」にぴったり合うし、メインビジュアルになるのもわかる。
彼の作品そこまで好きじゃないんだけど、前の横トリの時もそうだけど、メインビジュアルになりやすいキャッチーな形態を取りながら、人間の深い感情にも潜り込んでくる感じはすごいなぁと。
この作品は写真で観るよりすごかった。観客が各々楽しんでる雰囲気もとても良かった。

他にもアンナ・ヴィットの作り笑いを1時間継続させる映像や、dividual inc.の遺書を書いてもらう作品など、「情の時代」というテーマがすんなり染み込んでくる作品群で物凄くよくできたキュレーションだな、と感心しました。

中でもタニア・ブルゲラ。
今回の騒動を受けて、展示ボイコットを早急に訴えた作家の中でも特に強い印象を持ちました。
その理由はこのインタビューを読むとよくわかります。
彼女の国キューバで行われてる「検閲」がいかに酷いものか。僕も衝撃でした。

タニア・ブルゲラ、小泉明郎「「表現の自由を守る」・その後」

そんな彼女の作品も無事展示再開されて、実際体験することができました。
メンソールが充満した部屋で、強制的に涙を流させるという作品で、本当にすごかった。
まあ、フロア全体にかすかにその匂いが充満してたのはどうかと思ったけど笑
彼女の作品は「視覚」に頼ることなく、嗅覚的刺激のみで物凄く深いところまで到達していて本当にすごい。
それまで彼女のことよく知らなかったけど、昨年のテートモダンのタービンホールをやってたんですね。
どこかドリス・サルセドに通づるものがあるなぁと。
次のヒロシマ賞あたりとって個展が観たいなと思いました。


そして途中退場して不自由展。
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最後の1週間ほど展示が再開され、毎回抽選で入れる人を決めます。
その際身分証明書の提示と同意書に署名が求められる厳重っぷり。
それにしてもすごい人。。。
一応並びましたがちゃんと落選でした笑
ここまできたら観たかったけど仕方ない。
それにしても本当によく再開できたよなぁと改めて関係者たちの努力に頭が下がる。
正直最終日にはほとんどの作品が観られなくなってるんじゃないかと半分諦めてたんですが。
ところで半分閉じられた不自由展の入り口、めちゃ神秘的笑


ここからは観られなかった負け惜しみでもなんでもないんだけど、この「表現の不自由・その後」、僕は最初から懐疑的でした。
この展示は開幕直前まで周知されてなくて、プレオープン時に僕は確かTwitterか何かで知って、とても不穏な空気を感じたのを覚えています。
正直これトリエンナーレに必要?と思いました。
まずそもそもこれキュレーションというべきものが何もない。
そう、展覧会内展覧会にしても展覧会としての質が全くないんです。
ただ「検閲を受けた作品を集めました」というだけ。
これなら博物館の陳列に近い。
そして問題になった少女像。
ここまで日韓関係が冷え切った中で騒動を巻き起こすことは自明だし、作者の意図なんてその前ではなんの力も無くなるんだろうなぁと。
僕は後にも書くけど、津田さんがディレクターに決まった時点でこのトリエンナーレは今までとは違ったものになると確信していたし、開幕前からとても楽しみにしていただけに、あの少女像を見た時点で、あれ、これ自分が見たかったものじゃないな、と思ってしまったのが正直なところです。
そして案の定あの結果。
僕ですら「炎上商法じゃないの?」と思ってしまいました。
僕は嫌韓なんてこれっぽっちもないけれど、あの少女像はとっても不快なんですよね。
あの像に色んなものを押し付けて背負わせてる感じがとても気味が悪い。
これをもって「表現の自由」って言われてもと思ってしまう。
「表現の自由」と聞いて思い出すのが2015年パリで起きたシャルリ・エブド事件。
アッラーを嘲笑うような風刺画を表紙にした雑誌社がイスラム過激派に襲撃され、「表現の自由」を巡り大きなデモになりました。
でも僕はそんなの「表現の自由」ではなくただの暴力だろうと思いました。
誰かが強く信じているものを揶揄するものを「表現」という名前で呼んでほしくない。
それと今回は少し違うけれど、あの少女像はその表象だけで少なくない人たちを不快にさせる力があるんです。
まあ、不快にさせるだけならいいんだけど、今回そのバイアスを払拭できるだけの力が作品にあったのか。
僕は実際観てないのであまり強くは言えないけれど、でもやっぱりなかったよねぇと。
要は作品の質の問題なんです。
その他にも大浦信行氏の「遠近を抱えてPart2」やChim↑Pom「 気合い100連発」等悪い意味で話題になっちゃったけど、特に後者の「 気合い100連発」は本当に好きな作品なので、個人的に大きな「分断」を感じました。
にしても皆ちゃんと観てもないのによくもまああそこまで好き勝手言えるよなぁと半分感心。
「放射能最高!」を「放射能最高!」ととっちゃうなんて馬鹿丸出し。
リテラシーって言葉も知らないんだろうなぁ。。。だからすぐフェイクニュースにも飛びついちゃうんだよね。
あんなに震災に対する悔しさや苛立ち、悲しみや怒りを表した作品を僕は知らない。
彼らはあの震災直後の反応がすごすぎて、その後の作品がパッとしないけれど、それにしてもあれらの作品たちは本当に一級品です。
再来年、彼らの大きな展覧会が森美術館であるけど、どこまで展示されるんだろう。
また「検閲」が行われそうで、僕らはそこをしっかり見届けなくてなりません。

つづく。

あいちトリエンナーレ2019 ① 名古屋市美術館、四街道・円頓寺エリア

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満を持しまくってあいちトリエンナーレへ。
言うまでもなく今年アート界の台風の目となってしまった展覧会です。
その辺は美術手帖さんが会期中に50以上も記事にしてるので詳しく知りたい方はこちら
あとは津田さん自身のインタビュー。これは長いけど読むべき。衝撃。

あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督インタビュー

そして最終日間際になって本物の台風まで来てしまいました。。。
愛知入り、かなり遅くなって全部は見れないだろうなぁと絶望的な気分で眠りについたのが13日深夜。
なぜか3時間ぐらいで目が覚めてしまい、なんとなく交通情報を見るとなんと新幹線朝から動いてる!
と言うことでそのまま起きて名古屋へ!
新宿まで来たらJR在来線は止まってたけど挫けず丸ノ内線で東京駅へ。
新幹線は動いてるのに在来線止まってるの不思議。。。
とはいえなんとか午前中に名古屋入りできて、ホームできしめん食って、まずは名古屋市美術館へ。

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正直30分ほどで観終わってしまった。。。
唯一見応えがあったのは藤井光の映像。
戦時中、日本の植民地で行われていた「日本教育」を、今日本に住んでる移民の人々に実践してもらう映像で、観ていて本当に不快なんだけど、今回のトリエンナーレを体現しているように思えて。
「不快なものに税金を使うな」という言論が今回とても印象的で、あぁ、まだ人々は「美」術を信じてるんだなぁと絶望的な気分になったんだけど、まさにその人たちにとってこの映像なんかは格好の標的になり得ただろうなぁと。
でもね、観たいものだけを観てたら本当に視野って狭くなるんですよね。
特に現代アートを観る最大のメリットって不快なものも見せてくれるところにあると思うんですよね。
不快な現実を直視するのは辛いけれど、それを作品に昇華して観せてくれるんだからこれほど親切なことはないと思うし、それで世界は大きく広がるんですよ。
まあ、大半の人には響かないんだろうけど、少なくとも僕はそこに救われたので。
この作品も一時閉鎖になってたそうだけれど、最後になって再開して本当に良かった。
モニカ・メイヤーの作品とか全然好きじゃないけど、「展示再開」の文字を観ると胸が熱くなりました。
この辺の今回明らかになった「分断」はこの記事が一番的を得ているかと。

「あいトリ」騒動は「芸術は自由に見ていい」教育の末路かもしれない


続いて円頓寺エリア、の前に途中の長者町にある大山エンリコイサム。すごかった。
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で、円頓寺エリア。
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まずは伊藤家住宅。
もう会場がすごすぎる。なんだこの素晴らしすぎる家は。
その中でも蔵を使った岩崎貴宏の作品がすごかった。
このエリアで最も印象に残ったのは葛宇路の作品。
嘘から出た誠とも言うべきドキュメンタリーで、彼の名前「葛宇路」で標識を無許可で名もなき道(北京には無名の道が多いらしい)に掲示したら、マップにこの名前で登録され、当局もしばらく気づかなかったらしい。
この作品確かにすごいけど、彼は今後どんな作品を作るのか興味深いです。
にしても細々と会場が多く、夏に来なくて良かった。。。と思った。
キュンチョメは混みすぎて見れず。
このエリアと愛知芸術文化センターとつなぐシャトルカーが30分おきに出てるんだけど、一回に3人までしか乗れず要予約で、ダメ元で行ってみたら予約してた人が来なくて奇跡的に乗れた!助かったー。。。
そしてメイン会場愛知芸術センターへ。

つづく。

バスキア「MADE IN JAPAN」@ 森アーツセンター

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話題のバスキア展へ。
こんなに有名な作家なのにここまで大きな日本の美術館での個展ってそうそうない。
僕も実際にバスキアの絵をちゃんと観るのは初めてでとても楽しみにしてた展覧会。
PENのバスキア特集で予習したりして臨みました。
が、そこまで感動はなかった。。。
以前シュナーベルが撮ったバスキアの映画とかも観てたので、描いてるところがそのまま立ち現れるような臨場感があったのだけど、正直彼の絵とどう向き合っていいのやら。。。
そもそもウォーホルもキースも自分は苦手。
やっぱ僕は抽象的な表現じゃないと入ってこないというのがあると思います。
もちろんバスキアにも抽象性はあるんだけど、どうしても冠やら骸骨やらが邪魔をする。
むしろ最後に展示されてた文字だけのやつとかが一番良かったかも。
彼の文字ってとても人柄が表れてて好きなんですよね。
最近大山エンリコイサムの「アゲインスト・リテラシー」を読んで、そこにグラフィティのことが色々書かれてるんだけど、中でも「識字リテラシー」と「文脈リテラシー」という言葉が印象的で、前者はグラフィティの単純に読み方で後者はその意味するところ。
バスキアの場合はSAMO時代から培った複雑な「文脈リテラシー」が最大限生かされてると思う。
正直ちょっと何言ってるかわからないって感じの文章がそこかしこに書かれていて、それがとてもミステリアスだし、バスキアの「識字リテラシー」の美しさもあってそこは本当に魅力的。
特に100YEN 200YEN 300YEN、、、と書き連ねてるだけの作品がとても良かった。
あと日本語が出てきたりするのも興味深かった。
ただね、やっぱ絵画としてのダイナミズムがそれだけでは弱いんですよねぇ。
文字を使ってるという点でよくサイ・トゥオンブリーの名前が出てくるけど、やっぱトゥオンブリーの絵画画面の強さって異常で、それはあの圧倒的な絵の具の存在感にあると思います。
バスキアはどっちかというとイラストなんですよね。
画集でわかっちゃうというか、実際観てもそこまで印象変わらないというか。
トゥオンブリーの絵画はもう現物の強さがすごすぎて画集では全然伝わらない。
フィラデルフィア美術館で観たトゥオンブリールームはいまだに忘れられない。。。
そんなこんなで、とりあえず現物観れたのは良かった、ぐらいの展覧会でした。
とはいえこんな機会本当にそうそうないので少しでも興味のある人は行った方がいいですよー。
もう作品が高騰しすぎてセキュリティチェックとか中々厳しかったです。
かの前澤さんが123億で買った絵も展示されてます。11/17まで。こちら

そしてちょうど今六本木のアートコンプレックスがアツいです。
僕が観たのは以下。

ホンマタカシ@ TARO NASU
グレゴール・シュナイダー@ WAKO
シュテファン・バルケンホール@小山登美夫
戸谷成雄@ ShugoArts
法貴信也@タカイシイ

どれも素晴らしかった!

ホンマタカシは特に好きでもないんだけど、今回の作品はコルビュジエの建築の窓を撮った作品で、すごく新鮮な建築の眼差し。そしてとてもリアルな眼差しでもあって、生活者としての視線というか、体温のある建築写真という感じでとても良かった。

グレゴール・シュナイダーは先日お客さんでドクメンタで彼の作品を体験してその体験が忘れられないと聞いてから気になりまくってる作家。名前はなんとなく聞いたことあったけど、そこまで気にしてなかったので今回実際ギャラリーで鑑賞してとても興味深かった。
以下ギャラリーのサイトから直接引用。

本個展は、ナチス・ドイツの国民啓蒙宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッペルスが実際に生まれた生家で、2014年にシュナイダーが行ったプロジェクトを、立体作品や映像作品によるインスタレーション構成で展示する試みです。同年にワルシャワのザヘンタ国立美術館とベルリンのフォルクスビューネ劇場とで『UNSUBSCRIBE』展として公開されましたが、それ以降は展示されることがなく、本個展で5年ぶりに、アジアでは初めて公開いたします。このプロジェクトは、自らの出生地の近隣にかつてゲッペルスが暮らした家があり、かつ現存している事実を知った作家が家を買取り、家財や目録を丁寧に調べ上げ、そして建物の内部を徹底的に破壊し残骸を廃棄するまでを一連の流れとします。ゲッペルスが去った後、この家屋の歴史が公になることは今までに殆どありませんでした。戦後から約75年間、ゲッペルス一族ではない人々が暮らしながら一般の家として街の中に存在し続けています。

内容からもとても不気味な作品群で、一つ一つのピースが具体的にどういう意味を持つのかまではわからなかったんだけど、断片的に伝わってくる不気味さみたいなのがすごかった。
引用にもある元になった展覧会のカタログを買いました。
神戸で今大規模なグレゴール・シュナイダーの展示をしてるので、観に行くつもりなかったけど行く気満々。楽しみ。

バルケンホールと戸谷成雄が同時にやってるのはアツい。
どっちも木を使った作品だけど、表現方法が全然違うけど、どちらも素晴らしい作品群。
バルケンホールは台座と人物が一体となって、アンソニー・カロ以来の彫刻と台座の関係を考えさせられました。
戸谷さんの作品も今までのような森のような作品ではなく、もはや塊といっていいほどぶっきらぼうな彫刻で、ものすごくかっこよかった。前半の大きなのも後半の小さなのも一つ一つの密度が素晴らしいバランスで感動。

法貴さんの作品は、これまでスッキリした印象だったのに、今回はかなりヌメッとしてるというか、正直「汚い」とすら思ってしまって、それもそのはず今回の作品のテーマの一つが「汚れ」だったから。
「汚れ」をテーマに絵画を描くなんて聞いたことないのでとても面白い主題だとは思うのだけど、絵画として全く気分のいいものではないので、もっと改良の余地があって楽しみな作品。

といった感じ。
バルケンホールが明日(10/5)までなので是非この5つは観て欲しいところ!
森美では塩田千春もやってるし、新美では「話しているのは誰?」もやってるので併せたらかなりのボリュームですが、どれも見逃せない展覧会ばかり!

大垣美穂子「immortal moment」@ KEN NAKAHASHI / 手塚愛子「Dear Oblivion 親愛なる忘却へ」@ スパイラルガーデン

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昨年東京に出てきてすぐに初めて行ったKEN NAKAHASHI。
真っ暗な中にプラネタリウムのように光る空間。
光源は床に転がった人型の中から発せられてて、それが大垣美穂子の彫刻でした。
そこからこのギャラリーは展示が変わる度にほぼ通わせてもらってるお気に入りのギャラリー。
そんな大垣美穂子の個展がまた開催中です。
正直前述の彫刻にはあまり感心しませんでした。
その光の演出に心打たれることがなかったんですよね。
今回はどうだろうと思いつつ行ったのですが、今回は彫刻ではなくペインティング。
これがものすごく良かった。泣きそうになった。

去る3月、大垣さんのパートナーで、当時KEN NAKAHASHIで個展を開催中だった佐藤雅晴さんがこの世を去りました。
ずっと闘病生活を共にした大垣さん。
その個展の為に佐藤さんが絵を描き始める同じタイミングで大垣さんも絵を描き始めたそうです。
アクリル絵具で打たれた無数の点。
前回の彫刻と通づる部分はあるのですが、この点の一つ一つが物凄い覚悟を持って打たれてるように感じられて、心が動きました。
まるであらゆる感情をその点に込めてるような。
祈りのようでもあり、写経のようでもあり、瞑想のようでもあり、とても神聖なものを感じました。
あまり作家の背景と作品をごっちゃにしてしまうのは良くないと思いつつも、こうした繰り返しの作業を続けることで、大垣さんは自分を保っていたのではないかな、と想像してしまいました。
これまでも生と死をテーマに作品を作ってきた大垣さんだからこそ、この作業は本当に重い。
しかし出来上がった作品が悲しいほど美しいんですよ。
特に上の写真の馬の作品。崇高でした。
他にも手を描いた2点もものすごく感動させるものがありました。
線ではなく点で描かれたそれらのモチーフは、まるで生と死のあわいを描いているようでもあります。
そのまま点が解けて輪郭を失ってしまいそうな危ういモチーフたち。
それでも踏ん張って輪郭を保っている。
途方もないエネルギーを持った作品群です。ぜひ。9/21まで。詳しくはこちら



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続いてベルリン在住の手塚愛子さんの展覧会。
現在東京2箇所とドイツで同時開催中。
そのうちスパイラルの個展とMA2ギャラリーの個展に行ってきました。
スパイラルは2007年の展示以来で、当時の作品は実際には観てないのですが、吹き抜け空間をフルに使った大きな作品で、写真で見てとても印象的でした。
またあの大空間をどう使うのか楽しみにしていました。
行ったらちょうどアーティストトーク中で手塚さんが今回の展覧会の解説をされてました。
今回の展覧会は二つ大きなテーマがあって、一つはレンブラントの「夜警」をテーマにしたものと、もう一つは日本の近代化に着目したもの。
説明はこちらを読んでください。
正直これらの新作で僕はほとんど感動できませんでした。
あまりに背景を重視しすぎているというか、これまでの手塚さんの仕事が孕んでいた普遍性が失われている気がしてとても残念でした。
今回他にもこれまでのように織を解体したものがいくつか展示されてましたが、これがとてもいい。
無名の織物が解体されることで新たな生命を吹き込まれる様はとても美しく、今回のように改めて布を一から製作して解体するのとはコンテキストが全く違ってくると思います。
MA2の方もほとんどスパイラルと変わりないですが、オーガンジーの作品は良かったです。
とはいえ日本で手塚さんのこれほど大きな展示があるのは稀なので、ぜひ足を運んでみてください。
スパイラルは9/18まで。MA2は9/27までです。


この日はさらにスパイラルの近所の渋谷ストリームとワタリウムへ。
店のお客様でジュエリー作家のお二人がそれぞれ展示販売をされていました。
一人は「ててて」という展示会にて、itiitiというブランドを展開している田中典子さん。
下の写真のジュエリーなのですが、なんとい草でできてます!
熊本で製作されていて、熊本ならではのジュエリー。
もう一人はMalaNocheというブランドを展開している中田チサさん。
ワタリウムのon sundaysにて販売中です。
お二方ともそれぞれずっと憧れていた場所での展示だったそうです。
こういう瞬間に立ち会えるのは本当に嬉しい。
お二人ともおめでとうございました。今後のご活躍も楽しみにしております!

itiiti https://www.itiitiitiiti.com
MalaNoche http://malanoche.g.dgdg.jp

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あとついでに、ワタリウム裏にあるpejite青山さんで展示台を購入してしまいました。
以前買った地球儀を置く台をずっと探していたのですが巡り合ってしまった。。。
少し値は張りましたが、こういうのはご縁なので一度逃すと中々出会えないのです。
実際地球儀置いてみると、マジでぴったりサイズでびっくり。
脚の造形が面白いんです。ぜひお店で見てみてください。

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「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」/ クリスチャン・ボルタンスキー展 - Lifetime @ 国立新美術館

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2つの展覧会を観に国立新美術館へ。
1つは「話しているのは誰?」という、文学とアートを手掛かりにしたグループ展。
超絶ハイコンテクストな展示です。

最初の田村友一郎から飛ばしてます。
まず壁にはニューハンプシャー州のナンバープレートが展示されています。
ナンバープレートには州のスローガンである「LIVE FREE OR DIE」というメッセージが書かれていて、山の絵もプリントされています。
この山は地元で「オールド・マン・オブ・ザ・マウンテン」と呼ばれていて、岩の形がおじいさんに見えるとのこと。
更に進むとガラス越しに部屋が見えて、机の上にはファストフード店の模型が置かれている。
また進むと、今度はまたガラス越しに、今回の展示を作るために使った廃材やらダンボールやら、でこぼこのナンバープレートやらが置かれていて、まるで美術館のバックヤードのよう。
またまた進むと天井から吊るされた4台のテレビ画面にCとOが知恵の輪のようにつながったマークがぐるぐる回っていて(このマークは最後まで謎)、その下にはオールがたくさん並び、壁にはコーヒーとミルクとマドラーが写った写真が2枚展示され、それぞれミルクを入れる前と入れてかき混ぜた後の様子。
と、ここまで書き出してみたはいいけれど、全く伝わらないですよね笑
それぞれ「空目」や「聞き間違い」を表してるんだけど、かなり難解。
インスタレーションとしてはとても優れています。

続いてミヤギフトシの作品。
複数の写真と映像、音声で構成されたインスタレーション。
音声は、多分ミヤギさん本人と友人の会話。とても聞き取りづらいので、3つの画面に出てくる英語字幕を手掛かりに聞いてました。
これ、ミヤギさんが今年出した小説「ディスタント」を読んでいった方が理解が深まると思います。
今回の展覧会が文学xアートだったので、まさに自身の文学作品と絡めての展示だったんだろうけど、読んでないと正直なんのこっちゃかもしれません。展示室で読むのはきついけど、「ディスタント」を展示してても良かったんじゃないかな。。。
本の内容にも触れると、沖縄の離島に住んでいた主人公(ミヤギさん?)が、子供時代に双子と仲良くなり、その後本島に渡った主人公はその二人と疎遠になるんだけど、大人になって兄のジョシュに大阪のクラブで再会し一緒に飲んだ後、ジョシュはアメリカへ。主人公もアメリカに留学することになるんだけど結局ジョシュとは会わずじまい。
今回の展示は、当時大阪でジョシュに会った時に使っていたカメラと同じソヴィエト製のレンズで撮影した沖縄の写真と、ジョシュの弟との会話。
大阪でミヤギに会ったジョシュはアメリカに渡る前に沖縄に寄り、公園で弟に自身のセクシャリティをカミングアウトし、それを受けた弟の心情が語られます。
またミヤギは小説を出したことで両親にカミングアウトするべく帰ってきたが、結局原稿を母親に渡すだけで自身の口から言えなかったことを語る。
会話の中でも小説の中でも出てくる、ミヤギと双子3人の思い出の曲、ヴェートーベンの「ピアノソナタ第32番」のレコードが映像から流れ、また別の画面では弟がたどたどしくもその曲を演奏する。
今回は徹底して、自身の物語を紡いでいました。

そして続く小林エリカの展示が圧巻でした。
現在のチェコにあった聖ヨハヒムの谷から展示(物語)は始まります。
ここは銀の採掘で有名で、ここの銀で作られた貨幣は「ヨハヒムスターラー」と呼ばれ、これは現在のアメリカの貨幣ドル(ダラー)の語源だと言われています。
後に採掘場で黒光りする鉱石が採掘されるようになり、採掘場では坑夫達が原因不明の病にかかり、この石は「不幸の石(ビッチブレンド)」と呼ばれることになるが、実はこれはその後ウランと名付けられる物質だった。
このウランを気化させガラスに混ぜると紫外線で緑の蛍光色に発光することから、ヨーロッパ中でこのガラスが大流行するのだけれど、展示室にはそのガラスで作られたドルの形をしたオブジェが展示されています。
更に、ここから周知の通りウランは核爆弾へと使用されていくのだけれど、それとナチス政権下に開催されたベルリンオリンピックと、幻に終わった1940年の東京オリンピックの聖火をたどる物語へとつながっていきます。
聖火リレーは1936年のベルリン大会から採用されていて、この火はプロメテウスの炎の神話から発生しています。
展示では聖火リレーの炎と、プロメテウスの炎、そして人間が手に入れてしまった最大の炎をテーマに物語が丁寧に紡がれていて、展示も本当に美しい素晴らしいインスタレーションとなっています。
惜しむらくは、聖火を待ち望む女たちのイメージをイラストレーションで表現してしまったこと。
このイラストの癖が結構強くて、せっかくの物語のノイズになってしまってました。。。
イラスト、描きたかったのかな。。。
それはともかく今回の展覧会で白眉の展示でした。

その後、豊嶋康子、山城知佳子、北島敬三と続くのですが、最初の3方で繋いできたリレーが完全に断ち切れます。残念極まりない。
多分キュレーターが、このままでは観客が疲れてしまうと危惧したのかと邪推しちゃうほど。
豊嶋さんと北島さんは物語を観客に投げ出しちゃってるし、山城さんに関しては物語を意識しすぎて、超絶中途半端な映画みたいなものを作ってて、あまりに酷いので途中退場しました。無理。
最初の3方のような方向性で最後まで突っ走って欲しかった。他にもいくらでもいい作家いただろうに。
そもそももう田村さんから展示始まってる時点で観客は腹くくりますから。
観客をもっと信じてほしいな、と思いました。
ちなみに自分がキュレーターなら豊嶋さんの代わりに牛島光太郎、山城さんの代わりに荒木悠、北島さんの代わりに木村友紀を、と想像したりして。
とはいえ3方の展示見るだけでも価値はあるのでぜひ。11月11日まで。こちら


さて、ボルタンスキー。
周囲の評判があまりによくなくて、行きたくねー!と思いつつ、まあ観とくべきだろうとのことで、これを観るためだけに国立新美術館まで行くのも嫌なので、上の「話しているのは誰?」展と会期がかぶる8/28-9/2の5日間のうちに行きたかったのです。
で、感想は「そこまで悪くなかった」です。
前回庭園美術館で見た展示があまりにも酷くてもはやブログにも書いてないほどだったので、かなーりハードル低くしてたのが良かったのかも。
とはいえ初っ端の最初期に作られていた映像がとても良かったのです。
ポール・マッカーシーを思わせる超絶気持ち悪い映像で、そのうちの一つ「咳をする男」は咳どころか、口からなんか茶色い液体吐き散らかしてる映像で、驚きなのが1970年に大阪でテレビ放映されたと解説に書いてて、どういう経緯で!?とめっちゃ気になるんですが笑
「なめる男」もキモくて良かった。
とにかく最初期の小作品たちが中々いいのです。
「罠1970/71」という作品の解説が秀逸。

「1968年から72年にかけて、作家はとても孤独な生活を送り、こうした偏執的な作業をやり遂げたのだった。」


何があってんw
とツッコミどころ満載なのですが、こうした無自覚にガムシャラに作ってた時期の作品がとてもいいんです。
その後、大展示室で展開されてる、この作家を一気にスターダムに伸し上げた、写真に照明を当てた祭壇のような作品群「モニュメント」シリーズまでは本当に良かった。
特に配線の処理が本当に上手くて、唸りました。
新聞記事からランダムで死亡写真を選んでるのもすごい。
しかしこの展示室以降の作品はもはや惰性です。
「孤独な生活」からの跳ね返りなのか、もう自意識半端ない。
解説に一切触れられてないんだけど、「アニミタス(白)」の映像の前にある紙丸めたやつ何なの?
友達と自慰行為の産物かな?とか言ってたんだけどそれだったらすごい。キモいけど。
他は一切特筆すべき作品がないです。
作家の高田冬彦氏が呟いてたツイートがまさに言い当ててる気がします。



こないだの塩田千春展もそうなんだけど、空間が大きいとどうしてもスペクタクルを要求されますよね。
作家自身が作っているのか空間に作らされてるのか。
難しいけど、そこをブレずに作るのは確かに至難の業かもしれません。
まあでも見たことなかった初期作品を見られたので良かったです。


ちなみに順序としては、ボルタンスキーを先に見てたんだけど、この二つの展覧会の差がすごくて、改めて現代美術の奥深さを思い知りましたw

「美学校クロニクル1969-2019 51年目の現在」 @ 美学校

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みなさん、美学校って知ってますか?
僕もぼんやり名前を知ってるぐらいだったのですが、最近美学校出身者(講師は会田誠!)と知り合って、なんとなく興味が湧いてきて、そしたらちょうどが出てるってんで買ってみたわけです。

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僕の認識だと、Bゼミに並んで日本近現代美術史に出て来る歴史上の学校だったのですが、なんとまだ現役!今年で創立50周年という恐ろしい事実が!
本もその50周年を記念しての発行で、なんとその美学校で50周年記念展示をやってるとのこと。
こんな機会でもないとそんなとこ行けないので、行ってきました神保町。
そこは令和とは思えない昭和空間www

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やー、すごかった!ものすごく興奮しました!
なんてったって50年ですよ。歴史の厚みがすごい!
美学校のロゴは赤瀬川原平。
創立時の案内に書いてある講師陣の豪華さが異常。
中西夏之、赤瀬川原平、松沢宥、中村宏、菊畑茂久馬、小杉武久、澁澤龍彦、唐十郎、瀧口修造、土方巽、、、
嘘みたいな本当の話。
赤瀬川さんも捨てがたいけど、松沢宥の授業は受けてみたかったなぁ。。。
本にはこれらの講師陣の貴重な授業の様子などが書かれています。

「澁澤龍彦さんはすごい人気でした。当時はマイクを使わない上、ほとんど聞き取れない蚊の泣くような小さな声でしゃべるので、一生懸命耳を澄まさないと何を言っているのかわからないというような授業でした。それと、どの先生の時もそうですが、横にサントリーレッドとかのウイスキーとちっちゃいグラスが置いてあるんです。先生もだいたい緊張しているので、それを飲みながら話していました。特に澁澤先生は緊張しているように見えました。」

「(土方巽先生の授業は)1回か2回あったと思います。すごく面白い授業で、着流しみたいな格好で座って、わけがわからんことをおっしゃっていました。いまでも覚えているのは藁半紙を七輪でさっさと炙って醤油をつけて食べるんだって言っていて、ああそうですか、と思いました。そんな感じの授業でした。1回休講になったことがありましたけど、「今日は脳の調子が悪いので休講します。」というお知らせがあって、本人がその通りおっしゃったんでしょうけれど、ちょっと不思議な人でした。」

「美学校1969-2019 自由と実験のアカデメイア」 P122より


なんの脚色もなくこんな感じだったんだろうなぁと想像します笑
この美学校は、こうした現役の作家たちが教えてることが何と言っても特徴的。
そして、「美術学校」ではなく「美学校」であることも。
もちろん技術も教えるけれど、ここではもっと精神的な部分を教えて来る場なんだろうな、と想像します。
本当に豊かな空気が流れていました。
会期は8/25とこの記事上げてる当日までですが、間に合う人はぜひ!
歴史の空間に居られるだけで幸せでした。いけてよかった!
ちなみに廊下にあった美術手帖の蔵書はうちの店が勝ってましたw


ところで神保町。
学校のある場所もいいよなーと思う。
何と言っても古書店がひしめき合い、レコード屋もたくさん。
ディスクユニオンに行ったらずっと欲しかったMax Richterの「SLEEP」が売ってた!
しかもやすい!即買い!
これはトータル8時間に及ぶ壮大な音楽で、タイトルの通り、睡眠時に聞く音楽。
買ってから本当にこれかけながら寝てます。幸せ。
古本の収穫はなしでした。

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大山エンリコイサム個展「VIRAL」 @ 中村キース・へリング美術館

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山の日に山梨へ初訪。
久々の18きっぷ。
下諏訪ー上諏訪ー小渕沢ー甲府の旅。

下諏訪と甲府では建築を。
山梨文化会館 by 丹下健三 / 下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館 by 伊東豊雄
昔から見たかった丹下健三の山梨文化会館はやはり神でした。上まで登りたかった。。。
伊東豊雄の中期の作品はふーんって感じ。。。せんだい以前の公共建築はいまいちですね。

さて、今回の旅のメインはキース・ヘリング美術館。
前から存在は知ってましたが、キース・ヘリングに特に興味はないので行く機会もなく。
今回は特別展で大山エンリコイサム展がやってるのでいい機会だと思い行くことにしました。

大山さんは僕と同い年の1983年生まれ。
日本人とイタリア人のハーフで現在NY在住とのこと。
先月までポーラ美術館で個展やってたり、現在NYのビルでも巨大作品展示していたり大活躍中。
コムデギャルソンとのコラボも記憶に新しいし、今とてもキてる作家です。
ストリートアートのような作品ですが、一目見て大山の作品とわかるインパクトがあります。
ずっと気になってたけど生で見る機会がなかったので行こうと思い立ちました。

それにしても遠い。
小渕沢からさらにタクシー。
18キップで行ってるのにタクシー往復だけで4000円近いんですけど。
駅前からバス出して欲しい。。。

たどり着いた先は木々の生い茂る高級リゾート地感満載のポッシュエリア。
美術館の近くには同じ建築家によるホテルが。
中にも作品が展示されてるようだったので、宿泊客でもないけど見せていただきました。
しかしそれより何よりロビー奥にあったバーがヤバすぎた!
プレミアウイスキーの数々が並んだ壁。神々しすぎる。
勧められたけど車で来てるんでと嘘ついて逃れました笑
ちなみに一室4万ぐらいだそうです。

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それよかいい加減展覧会について。
前半はもちろんキース・ヘリングの展示。
僕、本当にこの作家に興味ないんです。ほとんどスルー。。。
そして後半が大山エンリコイサム展。

まずキースの写真のコラージュと大山のストロークのコラボレーションがエモすぎて泣きそう。
この展覧会の目玉って何と言っても二人の関係性だと思うんです。
僕はポーラではなくこっちに来た理由もそれにあって、ストリートとアートを難なく結んじゃってる時代を超えたこの二人の親和性は見事で、その二人が織りなす空気感が本当に素晴らしかった。
ストロークの点でもエッジは違いますが、完全に精神を引き継いでる。

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そして大画面の作品も本当に素晴らしいけど、僕は小品に目が釘付けになりました。
目の力がとても試される絵ですが、これはすごく欲しい。。。

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展覧会は11月17日まで。遠いですが行く価値はあると思います。こちら

ちなみにカタログ欲しかったけど4500円は流石に高い。。。
まだまだこれから大活躍するであろう作家なので、将来包括的な作品集が出たら欲しいな。
画集より先に彼の評論集が出てるみたいなので読んでみたいですね。こちら

サイモン・フジワラ「The Antoinette Effect」@ TARO NASU

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2ヶ月ぶりのアートの記事です。。。
観てはいるんですが書く気力が。。。昔はなんであんなに書けてたんだろう。

さて、そんな中で最も良かったのがタイトルのサイモン・フジワラ展です。
というか新しいタロウナスがめっちゃ良かった。
馬喰町から六本木のギャラリーが集まるピラミデビルの4階に移動。
前の地下ギャラリーはあまり好きじゃなくて、今回のは外光も入って気持ちいい空間。
同階にはコルビュジエやペリアンなどのモダニズム家具を扱うGALLERY SIGNも新たに入居。
広島を本拠地にしていて、ここが企画する家具展に足を運んでたので東京にギャラリーができたの嬉しい。
しかもタロウナスとゲストルームをシェアしてるのか、ペリアンらの椅子が並び、壁にリアム・ギリックの作品が掛かった部屋があってめちゃくちゃ気になりました。
それはそうと展覧会。

前回タロウナスでやった時は確か自分の母親と父親の馴れ初めであった帝国ホテルをテーマにしてたと思うんだけど、今回はタイトルが「アントワネット現象」で、これまでの個人史を扱った作品とはまた違った趣。
入ってすぐに気がつくのは香りです。
これは部屋の奥でラデュレの「マリー・アントワネット」という名前のアロマを焚いているせい。
嗅覚が導入になるってすごく素敵だなと思いました。
そして視覚に入ってくるのはヴェルサイユ宮殿の門のミニチュア模型。
奥には金の水滴モチーフがいくつも壁に貼り付けられて、手紙、金の大きなオブジェ、そしてマリー・アントワネットと思われる頭の頭部の模型。
さてはて何のこっちゃですが、ここはテキストを読まねば始まらない。
なのにテキストがどこにも置いてない。。。スタッフの方に尋ねるとテキスト出てきました。
なぜテキストを自由に取れるようにしてないんでしょう。。。テキスト必須の作品なのに。
気になりつつ、読んでると、これは2017年にブレゲンツ美術館で開催された個展「HOPE HOUSE」の続編ともいうべき展覧会で、その「HOPE HOUSE」とは、アンネ・フランクの家の模型がお土産として大ヒットしているという事実から端を発し、美術館の中に、その模型を大きくした家を建てた凄まじい展示。



今回はマリー・アントワネットの死がエンターテイメント化していく人々の欲望に焦点を当てていて、なんといってもアントワネットの頭部の模型は、実際マダム・タッソーで当時彼女のデスマスクとしてとても人気があったとか、金色の大きなオブジェは、当時彼女の首を刎ねたギロチンをモチーフにしたイヤリングが発売されてたとか、彼女の死がいかに民衆を熱狂させてたかがわかります。
が、それは今でも変わらないどころか、ネットやSNSの発達によってさらに強化されています。
フジワラの面白いのは、アンネの作品をオランダではなくオーストリアで、アントワネットの展示をフランスではなく日本で発表している点にもあると思います。
これまでの地域性の概念を全く無視していて、これこそ現代のどこにいても世界中の情報が入ってくる感覚をそのまま享受しているようでとても自然な態度だと思います。
にしても何で今回アントワネットなのか。
僕の勘ですが、アントワネットの享年37歳というのに関係しているかと思います。
というのも、それはサイモンの今の年齢でもあるからです。
テキストにはそういうことは書いてませんが、なんとなく。
サイモンの作品はとても難しいとは思いますが、読み込んでいく楽しさがあって、わずか10点とはいえ豊穣な世界が広がっていてとても満足できました。
明日(8/10)までですが、お時間あればぜひ。こちら
近くのcomplex665のタカ・イシイでは木村友紀展がやっており、同じく読み込み系なんですが、ちょっとネタ切れ?感がすごい。。。全く広がりのない世界でとても残念でした。


さて、六本木といえば今最も話題なのが森美術館でやってる塩田千春展でしょう。
下の森アーツセンターでやってるPIXAR展の影響もあり子供づれがたくさん。
平日でもチケット売り場めっちゃ混んでて、10分ほどは並びました。つら。
そして入ったら入ったですっかりインスタスポット。。。
写真撮影をかいくぐる様にして観なきゃいけないのでとても不快です。
とはいえ、もはや僕の中で塩田さんはほとんど響かない作家さんになってしまった。。。
どれ観ても魂ふるえないよ。。。
やっぱ読み解く楽しさがこの人の作品にはあまりないんですよね。
見た目のインパクトがすごいので、ビジュアルだけでお腹いっぱいになっちゃう。
多分彼女は今後まだまだ活躍するし、いずれは草間彌生を継ぐ女性作家になるとは思うけど、僕みたいなアートクラスタはあまり満足できないかもしれません。
とはいえインスタでもアートの裾野が広がるのはいいことなので、こういう作家さんがいるのは大事だと思います。
ところで、彼女の作品、写真映えしすぎる問題。実際より絶対写真の方がいい。
入り口の舟とかも実際見ると小さい印象だし。
唯一驚いたのが、枠の中にドレスが2体収まってる「時空の反射」という作品で、中に鏡が仕込んであるんだけど、何周しても構造がわからなかった。。。鏡は確実にあるのにどういう風に収まってるのか全くわからない。
鏡で2対に見えるのと実際に2対あるってのも面白かった。

それよか、ミュージアムショップ抜けた先でやってる高田冬彦展に魂がふるえた!
トータル1時間弱ありますが、全部観るのをお勧めします。
笑えるんだけど、ものすごく深い哀愁が漂う映像作品郡。
まだ若いのに、どうしてこんなことに笑 必見!
どちらも10/27まで。
どうせだったら9/21からバスキア展も森アーツセンターで始まるので、両方みれる時に行けばいいかと。

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他ここ最近観た展示リスト。
川北ゆう Be still @ 日本橋高島屋
本多康司写真展 @ poubelle
佐藤雅晴 I touch Dream @ KEN NAKAHASHI
今村文展 @ SHISEIDO GALLERY
“Robert Morris − Jiro Takamatsu & Robert Morris from the 1970’s” @ Yumiko Chiba Associates
ジュリアン・オピー @ 東京オペラシティアートギャラリー
松延総司 "See the Shades" @ HAGIWARA PROJECTS
塩田千春 @ KENJI TAKI GALLERY
小泉明郎展「Dreamscapegoatfuck」 @ 無人島プロダクション
伊庭靖子展 まなざしのあわい @ 東京都美術館


ユミコチバのモリスと高松次郎のドローイングは驚異的だった。
特に高松次郎。
世界的にはモリスの方が断然有名だけど、今回のドローイングは完全に高松次郎の凄さに驚く。
世界はもっと高松を知るべき!!
どちらも手を使ったドローイングなんだけど、本当にかっこいい
前期で高松次郎のドローイングはなかったけど、8/31までやってます。(8/11-19休み)
近くで塩田千春、松延総司、ジュリアン・オピーもやってるのでぜひ。オピーは3分で観終わっちゃった。。。


無人島は清澄白河から錦糸町に移転第一弾。
倉庫みたいな巨大空間で初のVR体験。
小泉さんが今までやってきたことと、VRの親和性がすごい。
彼の作品のキーワードの一つに「憑依」ってのがあると思うんだけど、その憑依をまさか観客が味わえるなんて。
VRの中の人物と同じ動きをする場面があって、本当に感覚が重なる体感があった。
すごく不思議な体験でした。
10月のあいちトリエンナーレ企画の新作も予約済み!
ちなみにこの無人島の作品も要予約です。ぜひ。8/31まで。予約ページはこちら


そして伊庭さん。
ずっと絵画を超えて触感にまで触れそうな作品を描いてきた伊庭さんですが、新作ではついに触感を超えて、触れられそうで触れられないという、まさに「あわい」を描いていて、ここまできたかと思わず唸りました。
最後の版画と映像は正直よくわかりませんでしたが、新作絵画郡がとにかく驚異的。
10/9までやってるのでぜひ。インタビューはこちら

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ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ @ DIC川村記念美術館

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平成が終わる前に観覧記事。
4月に観に行ったやつ羅列。

展覧会
ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ @ DIC川村記念美術館
志賀理江子「ヒューマン・スプリング」@ 東京都写真美術館
荒木悠展 : LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ @ 資生堂ギャラリー

映画
「マックイーン モードの反逆児」
「ROMA」
「新宿タイガー」
「ハイ・ライフ」
「ザ・バニシング 消失」

舞台
「毛皮のマリー」

なんか映画をやたら観てますね。
今月からお店が始まったけど案外支障もなく色々見れてます。
まずは展覧会。

何と言ってもコーネル。
川村記念美術館は遠いのであまり行きたくないのだけど笑
内容は行った甲斐があって素晴らしかった。
タイトルにもあるようにコラージュとモンタージュがメインなのだけど、それでも箱の作品も50点と充実の内容。
冒頭のコラージュは面白かった。
箱に至る前にコラージュで力を鍛えていたんだなぁと思わせる内容。
本当にセンスの塊。
箱50点がずらりと並ぶ様は圧巻。
どれも素晴らしい。。。欲しい。。。
あとはデュシャンとの手紙なんかも超貴重!
最後の映像はよくわからなかった。。。
久々のロスコルームも泣きました。
ニューマンルームがトゥオンブリールームになってたけど中途半端感。。。
敷地内はツツジや八重桜が咲いててGWでもお花見が出来ました^^
コーネル展は6月16日まで。

志賀理江子展は中身言っちゃうとネタバレになっちゃうから言えないけど、もっと広い空間で見たかった。
写真がボロボロになるだろうけど、野外のだだっ広い草原とか海岸とかでも良さそう。
写真美術館だとちょっとやっぱ狭かった。
上の階でやってる「写真の起源 英国」も中々面白かった。5月6日まで。
次の宮本隆司展も楽しみ。

荒木悠は期待はずれ。個展よりグループ展で生きる珍しいタイプかも。


今月見た映画は全体的に当たり多し。
マックイーンは期待してたけど期待を上回る内容。
最後は号泣してしまった。。。
マックイーンの貴重な映像や家族や周囲の証言などはもちろん、映像も美しく、ナイマンの音楽も最高。サントラ買っちゃった。
伝説となった1999SSのショーの舞台袖で頭抱えて感動してる無邪気なマックイーンが泣ける。


「ROMA」はNetflixで話題になったアルフォンソ・キュアロン監督作。
冒頭のオープニングシーンで心鷲掴みにされました。
映画が始まらない始まり。
ソフィア・コッポラの「Somewher」もそんな始まりかたで好き。
白黒の映像が本当に美しいし、緻密に計算されたカメラワークも素晴らしい。
惜しむらくは上映時間が長すぎること。
自分がここだろ!ってとこで終わることは稀だけど、今回は3回も肩透かし。
こういう映画は90分ぐらいにまとめてほしい。
にしてもなんでタイトル「ROMA」なん?

「新宿タイガー」は観に行こうか迷った末に観に行って大正解。
ミスター新宿と言っても過言ではない「タイガー」さん。
新宿で見たことない人の方が少ないんじゃないかな。
それほど見た目のインパクトがすごい。真ピンクの出立にタイガーマスク。。。
上映15分ほどであっさりマスク脱いだの笑ったw
見た目とは裏腹にめっちゃ明るいおっちゃん。御齢69歳。
もう50年ぐらいこの格好で新宿をうろついてる。
彼を追うと自ずと新宿の歴史に繋がって、新宿好きとしては見逃せないシーンがいくつか。
特に彼がよく通ってるゴールデン街の元青線の現場を見られたのは嬉しかった。
映画館出て歩いたら即効タイガーさん目撃したw

「ハイ・ライフ」はオラファーがアート監修してるってので観に行ったけどイマイチ。
「2001年宇宙の旅」の劣化版みたいでした。。。

「ザ・バニシング」は1988年のオランダ映画でなぜか今更日本初公開。
キューブリックも震撼したというサイコサスペンス。
脚本もカメラワークもめっちゃうまい。最後は確かに震撼した。
犯人役の人の存在感がめっちゃいい。
最後、地面を舐めるようなカメラワークは本当に怖かった。。。
なんで今まで公開されてなかったんだろう。。。素晴らしかったです。


最後に舞台。
近年樹木希林に市原悦子に訃報が多いので、美輪様がお元気なうちに。。。と思って。不謹慎ごめんなさい。
とは言え実際見るとあと20年ぐらい出来んじゃね?ってぐらい元気w
寺山修司の舞台だけど、前半は完全に美輪さんの趣味。食傷。。。
後半不安になりながら観てたけど、しっかり寺山ワールドになっててよかった。
今まで見た寺山の舞台で一番よかったかも。
美輪様、これからも元気に舞台にお立ちくださいませ!


来月は怒涛の舞台三昧!
令和も宜しくお願い致します!

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「ソフィ カル ─ 限局性激痛」 @ 原美術館

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気づけば1月半ほど更新せず野放しになってました。。。月日が早い。
この間も色々見てました。
中でも2月はソフィ・カル月間かというほどにソフィ・カルが東京を席巻。
原美術館に小柳、ペロタン、そして渋谷の街頭ビジョン。
まずは原美術館。

1999年の展示の再現ってことで、どうなんかな、と思いつつ行ってきました。
当時の展示は観てないので、まあ僕にとっては新作。
これがまた素晴らしかった。
彼女が1984年に奨学金を得て初来日した時の日々と、その後の失恋という彼女お得意の私的ドキュメントなんだけど、まあ見せ方がうまい。うますぎる。
1階では日本に来ることになった経緯からスタート。
なんでも当時「最も行きたくなかった国」だそうで笑
詳しくはインタビューに載ってます。こちら
行きたくないのでなんとか遠回りして飛行機ではなくシベリア鉄道で日本へ。
この電車の中の出来事も1日1日綴られます。
壁には写真とテキストが入った額が交互に並べられていて、額の大きさはバラバラなんだけど、底辺が揃えられているので展示としてものすごく美しい。
全部で90日以上あるんだけど、どれも見逃せないぐらいの説得力。
写真には「--DAYS TO UNHAPPINESS(不幸まであと--日)というスタンプが押されていて、その後に起きる悲劇を予感させつつ、順に見ていくとその日々が迫ってくる感じもすごい。
最後は0日になり、それは恋人との別れで幕を閉じるのだけれど、ここからどう展開していくのだろうと思いつつ2階へ。
最初の小部屋では、その悲劇の元となった電話を受け取るホテルの部屋が再現されてて、次の部屋へ行くと、彼女の悲劇と他人の悲劇が交互に展示されている。
どうやら「自分が悲劇を語ること」と「他人の悲劇を聞くこと」によって、傷がどんどん癒されていく様が現れているようで、これって本当に人間の本質だな、と思う。
他人の悲劇で自分を癒すなんてとても卑しいとは思うけれど、そういうことってある。
24時間テレビが「感動ポルノ」なんて言われるのに似てる。
中にはうわぁ、っていう辛いのもあったりする。
面白いのが、自分の悲劇も他人に話すことによってどんどん変化していって、最後は「語るまでもない瑣末なこと」になってるので笑った。
これまたうまいなぁ、と思うのが、テキストが全部刺繍で書かれていて、後半にいくにつれて、カルのテキストが最初黒地に白(銀?)糸だったのが、黒地に黒になって読むのも困難になっていくやり方。うまい。
こうして悲劇は瑣末な出来事になりました、ちゃんちゃんで本当に見事だった。
ところで原美術館、今年で閉館と思い込んでる人が多いみたいだけど、来年末だからね。
この展示も読む展示なので、混みすぎるとかなり辛いものになる。。。
行った時は最初のところで渋滞は起こってたけど、そこまでじゃなかった。3/28まで。会期終了間際はまた混みそうなのでご注意を。こちら

続いてペロタンの展示。これがまたうまかった。びっくり。
母親、父親、猫の死についてのドキュメントで、いつもの写真とテキストなんだけど、最初の「C ki」から度肝抜かれました。。。
額の中にはWifiのマークと父親の写真、そして吹出しに「C ki」の文字。
これはショートメッセージの画面を表してて、父親が送った謎のメッセージ(誤送信?)みたい。
額の中であのスマホ画面をこれほど美しく表すなんて。。。すごい。
奥の部屋の猫の死を悼んだ作品も素晴らしかった。
彼女の十八番でもあるコラボレーションで音楽家たちに猫のための曲を作ってもらってレコードにしてるのは流石にやり過ぎかとは思いましたが笑
この展示の中で最もすごいと思ったのが柱に展示されてる2点。
この柱の使い方が絶妙で、特にガラスの壁面側の方は素晴らしい。
この2点に関してはライトボックスになってて、テキストしかないのかと思いきや、一瞬だけボックスが光って中の写真が浮かび上がるんだけど、それ以外は黒地が鏡面になって、鑑賞者がテキスト上に映ることになる。さらにバックがガラスの壁面なので外の風景とかも写り込んでとても複雑な表情になってしまう。これはうまかった。
小柳の方はちょっとどうかな、っていう展示だった。
写真に全部布がかけられてて、鑑賞者が自分でめくるという、やり方は面白いのだけど、その先の写真とテキストに対してそのやり方が合ってるのかは大分疑問でした。

最後に本当に素晴らしかったのが渋谷での街頭ビジョン。
2/3から9までの一週間の深夜0時から1時までソフィ・カルの代表作でもある「海を見る」がジャックしました。
こんなクソ寒い時期の深夜って嫌がらせかよ、と思いつつ見に行っちゃいました。こんなことが出来るのも東京に住んでるおかげ。ありがたや。
「海を見る」は海に囲まれながら海をまだ見たことのないトルコの人を海に連れていって生まれて初めて海を見た瞬間を捉えるという映像。
4つの街頭ビジョンに1人ずつ映し出されていて、深夜の渋谷の喧騒の中に潮騒が響き渡る様はもう言葉にならないぐらい美しかった。。。寒かったけどひたすら見てられました。
ソフィ・カルなんて知らない人が大半だったとは思うけど、明らかにいつもと違う映像にたくさんの人が見入っていて、もうその光景も美しかった。
美術館とか目的持って観に来てる人たちじゃなくて、たまたまそこに居合わせた人たちが同じ映像を観てるってのがなんだかものすごいいい体験でした。行ってよかった。。。

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街灯ビジジョンと言えば、昔池田亮司がNYのタイムズスクエアでやってたやつが凄すぎました。観てみたい!




インポッシブル・アーキテクチャー もうひとつの建築史」@ 埼玉県立近代美術館
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埼玉かぁ、と思いつつ調べたらそこまで遠くなかったので行ってきました。
五十嵐太郎監修の建築展なので、まあハズレではないだろうとの見立て。
結果的には建築展としてはかなりいい展覧会だったと思います。
当時「アンビルト」という一つのジャンルにすらなった建築がありました。
磯崎新(プリツカーおめでとう!)が昔「建築の解体」という本で紹介していたアーキグラムやハンス・ホライン、セドリック・プライス、そしてその後のザハやリベスキンドなど、建てられない建築。
そんなものにどんな価値があるのかと問われそうですが、これらの建築は明らかに建築の可能性を広げてきたと思います。彼らの夢想がなければ建築はここまで面白くなっただろうか、と。
実際展覧会冒頭のタトリンが掲げた理想の建物「第三インターナショナル」は、もう冒頭にふさわしすぎるアンビルトの極北。これが最初に目に入った時点でいい展覧会だと確信しました。
その後もマレーヴィッチの建築や、アーキグラム、メタボリズムなど、戦前戦後のスター建築ムーブメントのオンパレードで楽しすぎました。
しかし今や建築技術は飛躍的に進歩し、もはやほとんどのものが建ってしまう時代。
ザハなんかはむしろ建てられなかった時代の方が面白かったんじゃないかという気がしてきます。
最後に五十嵐さんの熱が伝わるほどにザハの廃案になった国立競技場の展示がありましたが、僕はあれが廃案になってとことんホッとしてる人です。あんなの恥ずかしくて後世に残せないですよ。とは言え隈研吾のやつもどうかと思いますが。。。SANAAで通って欲しかった。。。
ザハは個人的には最初の方のヴィトラの消防ステーションあたりが極地であとは下り坂でしかなかったように思います。
リベスキンドやコープ・ヒンメルブラウなんかも実際に見てもほとんど感動がないです。
そんな「可能な世界」で、どんな建築が「可能」なのか。
そこで登場するのがOMAでありSANAAであり石上純也なのかもしれません。
彼らの建築は、形だけでなく、しっかりの人の本能に向き合って作ってる人たち。
建築ってアートとかと違って衣食住に入ってるし、服につぐ第三の皮膚と言われるぐらいだから、もっと人にコミットしていかないといけないんだと思います。
これからの建築も楽しみにさせてくれる展覧会でした。
最後の方の会田誠と山口晃による都庁と日本橋の案も面白かった。埼玉は3/24までで、その後新潟、広島、大阪と回ります。

ところでここの美術館、謎に名作椅子が多くて楽しかった。
常設展も独特で、特に瑛九愛が強すぎて、一部屋明かりを観客が調光できる謎の部屋とかあって笑った。
「可能」だった黒川紀章の建築がゴミすぎて展覧会のアイロニーになってたのは偶然か。
そういや巡回先の広島も黒川紀章だし、国立国際もシーザー・ペリのゴミ建築。。。

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アルヴァ・アアルト もうひとつの自然 @ 東京ステーションギャラリー
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ダメな建築展の典型みたいだった。。。
もうほとんど覚えてないけど、やはり実物が見られる家具の展示は素晴らしかった。
アンティークになったstool60が9つスタッキングされてるのとかめっちゃ欲しかった。4/14まで。


六本木クロッシング2019展:つないでみる @ 森美術館
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六本木クロッシングは2010年の「芸術は可能か?」が素晴らしすぎて、あとはキュレーションと言えるのか曖昧だし、日本人しか出ないし、なんだかなぁと思いつつ観に行きました。
ここ数年足が遠のき気味なのもあるけど、本当に知らない作家がいっぱいいるんだなぁと思いました。
とはいえ、知らない作家でわ!ってなる展示ってやっぱりほとんどなくて、わ!ってなるのは知ってる作家ばかり。。。保守的になってきているのか。。。
以下わ!ってなった作品たち。

青野文昭:前から知ってるけど、何度見てもすごい。
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花岡伸宏:マーク・マンダースっぽくなってきた。昔はもっとぶっ飛んでたけど今の方が好き。
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川久保ジョイ:為替のグラフはともかく、壁を削る行為が面白い。
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佐藤雅晴:先日KEN NAKAHASHIで見たばかり。彼の作品はどこか「怖さ」がある。
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土屋信子・ヒスロム:安定感。
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5/26まで。次の塩田千春展が楽しみ!

起点としての80年代 @ 静岡市美術館

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関西への帰省途中で静岡に途中下車。新幹線で途中下車は初めてで新鮮でした。
目的は静岡市美術館で開催中の「起点としての80年代」。
金沢、高松と巡回して最後の静岡展です。
県立美術館は行ったことあったんですが市美は初訪問でした。
こんなに駅前にあるなんて。。。丸亀と東京ステーションギャラリーに次ぐ近さでは。
奇しくも今ちょうど80年代美術を再考する展覧会が3つ開催中です。
一つはこの展覧会で、もう一つは後述する国立国際美術館の「ニュー・ウェイブ」展、そして熊本市現代美術館で村上隆がキュレーションしてる「バブルラップ」展。
最後の「バブルラップ」は80年代と銘打ってるわけではないけど、まあバブル期に焦点を当ててるので80年代と言っちゃっても過言ではないでしょう。こちらに詳しいレポートが載ってます。
話は逸れますが、去年あたりから熊本現美が面白いです。
巡回のない独自企画がほとんどで、チェルフィッチュや上海アートシーンなんかは純粋に観たかったなぁと。逆に金沢が巡回展がほとんどでめっきり面白くなくなってしまいました。。。
閑話休題。
80年代って、前衛の70年代とサブカルの90年代に挟まれて、世間はバブルで浮かれて文化はないがしろにされてたイメージがあって、実際70年代90年代と比べると言説も少ないように思えます。
自分は80年代生まれなので、80年代もっと知りたい欲もありつつ、でも実際面白くなさそうってのが現実で、この機会なので観ておこうと思い静岡までやってきた次第。
ちなみにこの展覧会は80年代生まれは割引で観られます!
でまあ、内容なんですが、作品は正直とても面白いものではないんだけど、展示構成があまりに素晴らしくて感動しました。
やっぱ展示構成大事。作品が面白くなくても展示でかなりポイントは持っていけます。
今回の展示は、展示室の特徴もあるんだろうけど、シームレスに繋がってるんですよ。
作家でかっちり区切られてる感じがしなくて、流れるように観ていけるし、その流れがとっても気持ちよかった。
最初の金沢なんかは部屋がくっきり分かれてるからまた同じ展覧会でも大分印象が変わると思う。
作品面白くないってバッサリ斬っちゃってますけど、岡崎乾次郎、諏訪直樹、辰野登恵子、今村源、舟越桂、日比野克彦、川俣正、藤本由紀夫、宮島達男、松井智恵、石原友明、大竹伸朗、森村泰昌。。。と限りなく豪華。まさに80年代ベストアルバム。
でもやっぱり80年代のノリってとっても苦手。
なんだかあまりにも具体的というか、抽象性が薄いというか、まあその反動みたいなものもあるんだろうけど、今見たらダサいものが多かったりして。。。
展示があまりによかったので、カタログも買おうかと思いましたが、作品個別で見るとやっぱり苦手なのでやめました。。。でもとにかく展示を見るだけでも価値があります。3月24日まで。こちら
同時に「Shizubi Project 7 アーカイヴ/1980年代-静岡」というのもやってます。
展覧会に合わせて、80年代に静岡で開催された3つのプロジェクトに焦点を当てていて、小さな部屋の展示ながら、資料もたくさんでとっても見応えがあります。初訪問の美術館でしたが、とてもしっかり企画が組まれていて好感の持てる美術館でした。

対照的なのが国立国際美術館。
会期ギリギリ最終日に滑り込んだ「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」展でしたが、まあひどかった。。。
何がひどいって、80年から89年までに発表された作品をただただ発表年順に並べただけという、キュレーションもクソもなく、カタログみたいな展覧会。
「起点としての80年代」の展示があまりに素晴らしかっただけに失笑ものでした。
案の定酷評されてるみたいで、福永信さんの記事が辛辣ですが一番当たってます。
この展示見たら80年代って。。。ってなります。辛たん。
この展覧会は巡回がなかったので、頑張って観に行ったんですが、どうした国立国際!って感じで我が故郷大阪を代表する美術館としてショックの念を禁じえません。。。


ちなみに静岡ですが、もし「起点としての80年代」を観に行かれる予定のある方は是非2月10日以降で。
というのも、その日から静岡県立美術館「1968年」展が巡回してくるからです。
あと、芹沢銈介美術館で開催中の「世界の仮面と衣装」展もおすすめ。
途中登呂遺跡を通りながらのアプローチもなかなか楽しいです。
ランチは静岡駅前の清水港でマグロ丼をぜひ!絶品です!

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小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家vol.15 @ 東京都写真美術館

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写美へ。(TOP MUSEUMなんて死んでも言わない)
いつも写美は並行して2つ3つ展示をやってますが、今回は珍しくどれも気になる展示。

まずは3Fの「建築x写真 ここのみに在る光」
ダゲレオタイプに始まり、アジェ、石元泰博の「桂」、宮本隆司の「九龍城砦」、細江英公の「ガウディの宇宙」、柴田敏雄、 二川幸夫、奈良原一高、、、と、これでもかという著名建築写真のオンパレード。これはすごい。ベストアルバム的な内容で酔いしれました。そうそうベッヒャー夫妻まであったんだった。これに杉本博司があれば完璧だったけどそこまで言うまいという素晴らしい内容でした。

お目当ては2Fの「小さいながらもたしかなこと」
この企画は2002年から毎年日本の新進作家を紹介する企画。
今回の担当学芸員の伊藤貴弘さんは1986年生まれとお若い方。
選ばれた5人に共通して言えるのは、写真の物質感だと思います。
特に前述の3Fの展示を見た後だとその差異が特に際立ちます。
ただプリントした写真を展示するのではなくて、今やこれだけインスタだので画像が氾濫してる中で、敢えて作品として提示する意味を意識して作られてるな、という印象。
ファインアートとして写真を撮る現在の作家は特にそのことを意識していないと本当にまずいと思う。
今回この5人は見事にそれを意識されていて見ていてとても気持ちが良かった。
少し脱線ですが、最近ティルマンスがオペラの美術を担当しました。こちら
こういう舞台美術って大体がインスタレーション作家や彫刻家など、もともと空間を扱う作家が手がけることが多いですが、彼は写真というメディアを使ってこれまでも空間を作ってきたからこそ成せる技なんでしょうね。
さらに脱線というかこの流れで地下のマイケル・ケンナの写真は本当に悪例だと思う。
見ていて全然時代についていってないというか、これならインスタでよくない?ってなりました。
ひたすら並べられるただただ美しい白黒写真に辟易してしまった。。。絵葉書でした。
というわけで戻って2F。
もう一つ面白いのは、5人の中にヘテロ男性がいないこと。
別にジェンダーで気にしてみる必要はないんだけれど、特に出品してる男性2人はゲイで、あとは女性。
これって笠原美智子さんの影響なのかな、と勘ぐってみたりしそうになるんだけど、その笠原さんが1968年展やアジアに目覚めたら展に女性の出品があまりにも少ないと仰ってたこととは真逆の事態が起こっていて、これも時代なのかな、と思うとちょっと面白かったり。
で、内容ですが、全体を通して素晴らしかったと思います。
特に森栄喜さんとミヤギフトシさんにはやられました。
森さんは血のつながりや家族をテーマに作品を作られていますが、今ちょうど新宿3丁目にあるKEN NAKAHASHIでも展示をされていて、その「Letter to My Son」という新作が素晴らしいんですよ。
美術館では寒冷紗みたいな布に投影されてますが、写真の本質をついてる気がする。
というのも、一人の青年を撮ってる映像なんですが、一つのシーンにつき長くとも5秒も満たないようなシークエンスが続くんだけど、その眼差しみたいなものがぐんぐん流れ込んできて泣きそうになる。
写真って基本的に近しい人を撮るものだと思うんだけど、写真に撮る対象に向ける眼差しって基本的に愛おしさみたいなものが含まれていて、写真は瞬間を切り取るものではなくて、その愛おしさの時間みたいなものが詰め込まれてるものだと思う。
撮るよ撮るよー、もうちょっと右、ハイ、チーズっていう流れも写真に入ってると思うんです。
その感覚が見事に映像になってて、会ったこともない青年が愛おしくなってしまう。
家族を演じた「Family Regained」シリーズも愛おしいんだけど、「Letter to My Son」はさらに愛おしさの濃度が濃い。それはタイトルにもあるようにまるで自分の息子に宛てた手紙のように、本当に大事な出来事なんだな、と思います。
そしてミヤギさん。
展示がかっこよすぎる。なんなんですかあれ。
暗闇の中に浮かぶ薄暗い男たちの肖像写真。
さらに奥へ行くと写真と同じ配置で浮かぶ写真を撮ってる時の映像。
この作品は、対象となる男性の部屋に行って、夜、暗い中で窓から入る光だけで撮るというもの。
暗い中で撮るので、シャッター時間を長めに取らないと撮れなくて、その間対象は動いてはいけない。
その沈黙が鑑賞空間に染み込んでいて、物凄く心地がいい。
沈黙を共有するってすごい親密な時間だと思う。
ミヤギさんの作品は前から好きですが、改めてすごい作家だと思いました。
写美の展示は3つとも来年の1月27日まで。


今月見た他の展示一覧。

松江泰治「gazetteer」@ TARO NASU
絵と、  vol.4 千葉正也 @ gallery αM
細江英公「芸術家たちの肖像」@ Galerie LIBRAIRIE6
民藝 MINGEI -Another Kind of Art @ 21_21 DESIGN SIGHT
桑山忠明 @ Taka Ishii Gallery
小野祐次 Vice Versa ‒ Les Tableaux 逆も真なり−絵画頌 @ Shugo Arts
冨井大裕「線を借りる」@ void+
終わりのむこうへ : 廃墟の美術史 @ 松濤美術館

なんとなく写真多め。
松江さんの細密な写真にも驚愕したけど、何と言っても細江英公。
大変失礼なんだけど、まだご存命だって知らなかった。。。
オールスターの肖像がこれでもかってぐらい写ってて笑った。
恵比寿にあるギャラリーで、写美ついでに寄ったんだけど、こちらもまた知らなくて、シュルレアリズムを中心に結構マニアックな本も売ってたり中々面白いので恵比寿来たらまた寄りたい。
冨井さんの作品もまた面白くて、服のパターンを使って彫刻を作るという方法の可視化も面白いし、展示方法も展示代にアンバランスに載ってて、多分アンソニー・カロを意識してるんだろうなぁと読めるのもいい。
廃墟展は期待ハズレ。。。廃墟っていうか遺跡。。。

ギャラリーじゃないけど、六本木のギャラリー群を見る前に立ち寄った、青山ブックセンター六本木の跡地にできた「文喫」が面白かった。
「本と出会うための本屋。」を謳っていて、入場料が1500円かかるんだけど、コーヒーとお茶は飲み放題で、滞在制限時間もなくて、売ってる本を自由に閲覧できることができる本屋、というか施設。
本屋で本が売れなくなった時代の新たな形だと思いました。
つまり、買ってもらったらラッキーだけど、その前に手堅く入場料で稼ごうと。
そこにカレーやらケーキなんかもあるのでついでに飲食でもお金落としてもらおうと。
客としても、ここで実際に本をとって中身を見られるので、正直ここで見てネットでポチるのもあり。
特に洋書はネットだと半額近い値段で買えるのでそうならざるを得ないと思う。
ネットだと実際には見られないので、相互補完的な利用ができるなら1500円は高くないかと。
キャッチフレーズに全く嘘がないのが気持ちいいと思います。
僕もブックカフェ的なものをやろうとしてるので、中々参考になりました。
すでに人気で入場規制までかかってるみたいなので、その辺のオペレーションをうまくしないと問題だろうけど、六本木に用事があるなら寄ってみて損はない場所だと思います。

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1968年 激動の時代の芸術 @ 千葉市美術館

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千葉・・・馴れない京成線に乗ったら乗り過ごしたりして行き帰り右往左往しつつ到着。
そこまでして観に来たのが「1968年激動の時代の芸術」展。
いっそこの後の巡回先の静岡で観ようかとも思いましたが、やはり観れる時に観ておこうと。

1968年。
パリの五月革命、プラハの春、ベトナム戦争。。。
この年は枚挙に遑がないほど世界中で事件が勃発していました。
戦後、皆が復興し理想郷に向けて走り出したはいいものの、理想郷のメッキが剥がれ始めたのがこの辺りなのでしょう。いわばパラダイムシフトの時期がこの1968年に当たります。
日本では全共闘が大学をバリ封したり、新宿騒乱もこの年にあったり荒れ狂った時代なのです。
この「熱狂」を知らない僕にとって、少し憧れの年でもあります。
もちろん当時にいたらいたで辟易した可能性大だけど、それでも少しは味わってみたかった。
そんな時代の「味見」をさせてもらえるのがこの展覧会です。
実際想像以上にボリューミーで大満足の展覧会でした!!
ちなみに内容的には1968年のみならず、1966年から1970年までの芸術の流れを示しています。

まず初っ端の東松照明や森山大道の白黒写真からやられた。
これは1968年10月21日に勃発した新宿騒乱を捉えた粒子の荒い写真たち。
この時代の新宿は本当に熱かった。
西口には西口広場があり、東口にはグリーンハウス。
花園神社では唐十郎の状況劇場、風月堂は文化人の坩堝。
あぁ、新宿。
今ではすっかり変わってしまったけれど、そんな地霊の息づく新宿が大好きだし、お店をこの地に出したいと思ったのもこれが理由。
歌舞伎町、ゴールデン街、新宿二丁目、紀伊国屋書店。
今だって十分カオスなんだけどね。
ちなみにこの展覧会にはなぜか出てませんでしたが、当時の新宿を知る資料として大島渚の「新宿泥棒日記」(1969) があります。映画としてはどうなのって感じですが、冒頭から唐十郎が出てきたり、主演が横尾忠則だったり(!)、状況劇場や新宿騒乱の様子、当時の紀伊国屋などかつての新宿がたくさん登場します。



それから1969年に公開された松本俊夫の「薔薇の葬列」。
ピーターのデビュー作でも知られますが、何気にゼロ次元や粟津潔も出てきます。




あと脱線だけど、最近三橋順子さんが出した「新宿 「性なる街」の歴史地理」が最高に面白かった!
江戸時代の内藤新宿の様子から新宿遊郭、赤線、新宿二丁目へと移り変わる流れが緻密な調査により浮かび上がってくる名著。新宿好きにはたまらない一冊です!
ちなみに前述の「薔薇の葬列」に出てくるバーの名前が「ジュネ」で、三橋先生が昔働いておられたお店もジュネなんだけどたまたまかな?

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閑話休題。

それにしてもこの時代の日本のカルチャーは凄まじい。
美術にはハイレッドセンターがいたし、デザインには粟津潔に横尾忠則、演劇には唐十郎に寺山修司、文学には三島由紀夫に安部公房がいて、建築は磯崎新らメタボリズム運動真っ只中。
美術批評も瀧口修造もいれば御三家(中原佑介、針生一郎、東野芳明)がいて、石子順造や宮川淳まで。
さらにこれらの人たちがジャンルを横断しながらコラボしまくっていた時代。
椹木野衣は各ジャンルの未熟さ(悪い場所)故というけれど、とは言えこの交配は刺激的。
「空間から環境へ」(1966)、「トリックス・アンド・ヴィジョン」(1968)、「人間と物質」(1970)等伝説的展覧会も開催。
他にも読売アンデパンダン、千円札裁判に美共闘など、国家(社会)と美術が繋がっていた時代。(好む好まざる関わらず)
本当にこの時代に生まれてなかったのが悔やまれる。
とは言え、こうして後から客観的に見ることでまとまってるけど実際はもっとカオスだったんだろうなぁ。
このカオスは1970年の万博で終わってしまいます。
前衛を葬り去った万博。
しかしこの万博さえも、やはりこの「熱狂」の頂点として今から見れば美しいのです。
実際この万博は言わずもがな国家総動員で練り上げた壮大な祭であり、そこには岡本太郎に丹下健三、実験工房に具体他一流の芸術家までも動員され、この時代の極点として相応しい祭典となりました。行きたかったなぁ。。。
そんな中、前衛外に現れたのが「もの派」。
1968年の10月、神戸須磨離宮公園現代彫刻展で、関根伸夫が「位相ー大地」を発表したことをきっかけに、ものそのもの、手の否定を主軸にした作品が増殖します。
これらが万博後も隆盛を極めたのは、皮肉なことに美術というジャンル内に留まったことが大きいのかもしれません。
「前衛」は、その言葉通り、社会や国家に対してのカウンターたる使命を帯びているのに対して、もの派にはそういう十字架がないのです。
ここから美術は、他ジャンルとあまり交わることなく独立化していくのですが、やっぱり刺激が足りない。。。
こうして展覧会を一望していて思うのが二人の人物の絶大なる存在感。
赤瀬川原平と高松次郎です。
最初から最後まで必ず登場する二人はやっぱり他の作家とは一線を画しているように思います。
赤瀬川さんは一人インターメディアやっちゃってるのでまさに「前衛」を体現するような人ですが、高松さんはずーーっと美術をやってるのがすごい。ハイレッドセンターは確かに赤瀬川色が強いけれど、読売アンデパンダンから影の絵画まで、ひたすら「虚」と向かい合って制作してる姿がかっこよすぎる。長生きしてたらどうなってんたんだろうと想像せずにはいられません。展覧会途中に出てくる自身が壁画を担当した新宿二丁目にあった「サパークラブ・カッサドール」でグラス片手にソファーに腰掛ける高松さんがイケメンすぎます!

そんなこんなで本当に素晴らしい展覧会でした。
千葉市美術館での展示は終わってしまいましたが、今後北九州市美術館(2018.12.01-2019.01.27)と静岡県立美術館(2019.02.10-03.24)に巡回するのでまだの方は是非!
ちなみに静岡では来年1月5日から「起点としての80年代」展も静岡市美術館でやるのでセットで観るのがいいかと。僕は年明けにこっちだけでも観に行けたらなという感じ。
カタログも2000円で凄まじいボリューム。資料的価値はもちろん冒頭の水沼啓和氏の文章や、ゼロ次元やハイレッドセンターの記録写真でも知られる羽永光利氏のご子息羽永太郎さんの文章もグッときます。
惜しむらくは英語訳がないこと。。。英語はやっぱり必要です。

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ところで、この展示でもキーパーソンになってた赤瀬川原平の未発表作品が国分寺にある丘の上APT/兒嶋画廊というところで12月9日まで開催中です。
ここ、よく知らなかったんですが、元々洋画家の児島善三郎氏のアトリエ跡地に建てられたそうで、建築家は赤瀬川さんとも所縁の深い藤森照信氏。
住宅地の中に突然現れる様子のおかしい建物笑
展覧会の内容は、1971年に限定200部だけ出版した本「あいまいな海」の原画が展示されてます。
赤瀬川さんってすごく不思議で、彼の作るものってどこかオリジナリティを避けてる感があって、実際作品見てもピンとこないんですよね。
そもそも「千円札」の頃からも、「模型作り」と言っていたように、トマソンにせよカメラのデッサンにせよ、ひたすら何かを模してる印象。
今回の原画も、1968年展に出てた漫画もどこかで見たことあるようなタッチ。
内容としては確かに赤瀬川原平なんだけど、パッと見て赤瀬川さんと言えるタッチって中々ない気がする。
とはいえ場所としてもとても気持ちいいしオススメです。こちら

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その他の展示。
「田根剛 未来の記憶」@ オペラシティギャラリー
今最も注目されてる建築家といっても過言ではないけれど、どうも好きになれない建築家…前半にあるエストニア博物館の藤井光による映像見てたらわかるけど、内部が綺麗すぎる。考古学といいながら、それが反映されてるのはせいぜい外部のみで内部に及んでいない。

主観主義写真における後藤敬一郎 @ スタジオ35分
この写真ギャラリーは隣にバーも併設されててとっても好きな場所。特に主観主義写真の再発見に力を入れてて、今回もその一環。主観主義写真は主に50年代に起こった写真の動きなんだけど、あまり顧みられることもなくきてしまっていて、実際当時のフィルムがなくなってたりして、再評価されるのは急務。今後美術館での展示やまとまった写真集の出版など動きが気になるところです。

川辺ナホ『Save for the Noon / 昼のために』 @ WAITINGROOM
元々川辺さんの作品って政治的だったっけ?って思うほど今回は政治的。
ベルリンの壁の崩壊以前の東西ドイツの話が背景にあるみたい。
とはいえ見た目がポップなので見ただけではわからないかも。その背景必要なのかな?

加納俊輔「ピンク・シャドウ」@ Maki Fine Arts
単調な展示。それを目指してるとは思うけどもう数シリーズ欲しかった。

齋木克裕|朝食の前に夢を語るように @ Sprout Curation
すいません、何のこっちゃわからず感想すら出ません。。。

安喜万佐子展 暁の石/沈黙の水鏡 @ アートコンプレックスセンター東京・B1ホール

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昨日(11/1)より四ツ谷にあるアートコンプレックスセンターで安喜万佐子展が始まりました。
この施設、住宅街の中に突然現れるお城みたいな建物でビビります笑
その地下に巨大空間(約100坪!) があります。
そんじょそこらの作家じゃ埋められない空間。。。
安喜さんは4年ほど前にも展示されてて、その時も広いな、と思いましたが、今回は搬入のお手伝いをさせていただいたので、まだ何も展示されてない空間を見た時の絶望感たるや笑
最終的には二日でなんと60点近い作品を展示しました!

安喜さんは僕の大学の先輩にあたりますが、卒業後に展覧会をご一緒させていただいたりして、語りつくせぬ程お世話になっており、今回展示のお手伝いさせて頂けるのはとてもありがたかったです。
展示に関していえば、今回照明がすごいです。
美術館でもたくさんお仕事されてる竹下誠司さんが担当されていて、プロってすごい!と改めて。。。
とっても勉強になりました。
今後美術館でも照明もっと気にして見てみたいなと思います。

さて、展覧会。
本当に盛りだくさんで、語りつくせないんですが。。。
まず入ってすぐの映像作家前田真二郎さんとのプロジェクションマッピングコラボがものすごいです。
金箔の松林図に波や雪が投射されてるんですが、無限の奥行きを感じる。
椅子が置いてあって、本当にいつまででも眺められます。
寒い日に窓から雪が降ってる冬の海を見ているような。
この「風景」や「窓」の関係は、安喜さんが数年来取り組んでらっしゃる主題です。
彼女の描く絵画はそのほとんどが所謂「風景画」です。
テンペラや岩絵具といった和洋の古典技法を用いながら、あらゆる「風景」を画面に落とし込みます。
しかしそれは果たして一言で「風景」と言えるような代物ではなく、むしろ「光景」といった方がしっくりくるのかもしれません。
彼女の作品はしっかり画面と対峙しないと見えてきません。
まるで明るいところから暗いところに入った時の暗順応に近いものがあります。
それは、彼女が対象そのものを描いていないからだと思います。
対象を光として細分化して、一つ一つ丁寧に色彩を置いていくのです。
金箔の絵画に関しても、描かれる対象は「空」(void)として残されます。
図と地の関係が反転していて、例えば松林図だと本来画題にもなってる松林はキャンバス地のまま残され、背景が金箔で覆われていることで松林が「白い影」として顕れるのですが、さらに先のプロジェクションマッピングの松林図に関しては、途中で急に描かれた松もあったり、金箔ではなく銀箔が貼られていたりして、何がなんやらわからなくなってしまうのです。
奥の部屋の大画面もすごい「光景」群。
本当に光に覆われるような感覚に襲われます。
そんな彼女が最近になって発表し始めた作品に「影の絵」というシリーズがあります。
刺繍枠に絹本を貼って、そこに描画して、最終的にそこに光を当てることで壁に絵画の影が投影されます。
僕はこれまで安喜さんの作品を見てきて、ついにここまで来たのか!と驚愕しました。
一人の作家をずっと追って見てるとたまにこういうことが起こります。
人生を懸けてものごとを突き詰めていくと辿り着ける境地みたいなのが垣間見えるんです。
物故作家だとカタログを時系列に見ながらなるほどなるほど、とその進化をたどれますが、今を生きてる作家さんはその途上をリアルタイムで見られるんです。これほどエキサイティングなことはありません。
ゴームリーが霧の作品を作った時や、石内都がフリーダ・カーロを撮った時もそうでした。
それが今回体験できました。
もちろんこの「影の絵」は発展途上だと思います。
まだまだできることがたくさんありそう。
もうそのことを勝手に想像するだけでワクワクします。
展覧会は11月18日まで。ぜひ!こちら
明日11月3日にはオープニングパーティーもあるみたいなので興味ある方は行ってみてください。僕も行きます!


さて、そんな安喜さん。
本日より僕のカフェで始まる「空間孝」で彼女の作品を展示させていただきます!
前田真二郎さんとのコラボレーションの映像作品です。合わせてどうぞ!
2011年に開催された僕も参加した「風景の逆照射」展の冊子もお配りします。

A'holic pop up cAfe
東京都新宿区新宿5-10-5 プログレス新宿5階
http://aholic.tokyo
13:00-18:00(l.o.17:30)

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内海聖史「あらゆる時間」@ GALLERIE ANDO

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内海聖史さん。ずっと追いかけてる作家さんですが、個展は久々に拝見しました。
そしてその久々の鑑賞はすごい体験だった。。。
なんせ、作品が見えないんだもの!
内海さん、何度かこのギャラリーで展示されてますが、毎度度肝抜くことしますね。
スペースの小ささを逆に利用して実験場にしている感じ。
今回の展示、具体的には、全部の作品がアクリルのボックスに入って展示されてるんです。
これがまた曲者で、アクリルのほとんどが色付きで、中には不透明なものもあり、そんなのに作品が入ってると言われてもなんだか化かされてるみたいな気分。。。
中にどういう作品が入ってるかみたいなファイルが見られるんだけど、本当に??みたいな不思議な感覚になりましたとも。
見えてる作品も、カラーアクリルのおかげで実際の作品の色味と全く違うし。。。
作品を鑑賞するとは何ぞやっていう根源的な問や、これを購入したら箱を開けるんだろうか等々なんだか物凄く色んなことを考えてしまいました。
それはそうと、ファイルを見ていたら表に出てない作品があって、「三千世界」と言われる5cm角の小さな作品を見せていただけることに。
これに関しては値段が手に届く範囲。。。買いました。
ついにギャラリーで作品を買ってしまった!!!
今お店の展示にと友人から作品買ったりしてたけど、ギャラリーでは初。
初の作品が内海さんというのはとても嬉しい。
というか内海作品が家にあるだなんてとっても贅沢!
5cm角でも凄まじい密度なので作品としての強度もあります。大満足。大事にします。

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さらに上野駅でも展示されてると聞いたので観にいってきました。
相変わらず絵画の可能性をズンズン拡張している。
内海さんの絵画自体ももちろん好きだけど、その向き合い方がなんといっても好き。
今回の展示のインタビューでのこの答えがすごい好きです。

「僕は表現の中で自分を発信するのではなくて、絵の中で自分をどれだけ消せるかということでやっています。僕のタッチというより人のタッチ、人間の総体の感覚みたいな感じで制作したい。僕には自分が素晴らしいセンスを持って生まれたという思いがなく、凡庸な自分を消していった方がいいものが出来ると何となく考えています。僕だからこの表現が出来たというより、ガラスだからこうなった、絵の具だからこうなったという形にしたい。何なら僕のこと忘れちゃっていいよ、と。僕ではなく絵だけ見てくれればいい、と。」

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前述の村上さんも内海さんも網膜では追いつけない程の「超網膜的絵画」だと思います。
絵画って基本的静的なメディアだけど、こんなにも動的になれるんだという可能性を教えてくれます。


最近見た展覧会ギャラリー編。

薬師川千晴展 @ 画廊くにまつ青山
カフェにも展示させてもらった後輩の薬師川さんの東京初個展。展示としては大人し過ぎたかな。

名和晃平「Biomatrix」@ SCAI THE BATHHOUSE
久々にこれぞ名和晃平!という展示。シリコンオイルの作品はさすがですね。人のオブジェはよくわかんないけど、ベルベットの抽象的半立体の作品は面白かった。案の定ベルベット作品二つとも売れてました。

井原信次 「MEYOU」@ KEN NAKAHASHI
笑えるぐらい超写実。現実というより写真寄り。でもリヒターのようなフォトペインティングとも違ってその先の内容が気になってしまう絵画(実際いろんな背景がある)それにしても現代のSNS時代に写真を元に描かれた写実絵画を改めて画像になって見るっていう体験はメタが過ぎて何が何やらわからなくなりますね。

村上友晴展― ひかり、降りそそぐ @ 目黒区美術館

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久々に作品の前で涙が出た。
この感覚、本当に久しぶり。。。
村上友晴展、想像の遥か上をいく凄まじい展覧会。
今年の2月に京都で見て以来ですが、美術館で、これほどの作品数が揃うのは奇跡。
いつも美術館の常設などで1点とかで凄まじい存在感放ってますが、これだけ揃うと威力がすごい。
ロスコやニューマンの系譜を見事に継承する「崇高な」絵画たち。
こういう感覚、今のソーシャルエンゲージドアートだのリレーショナルアートだの「先端」から見ると古臭いかもしれんけど、僕はこの「崇高」が大好物。
2階の階段上がってすぐの部屋は、そういった「崇高」なペインティングが並ぶ。
ボコボコした表面も好きですが、僕はむしろマットなんだけど何層にも塗り重ねられた作品が好き。
黒の上の赤とか本当に美しすぎてこの部屋だけで何周もしてしまった。
さらに次の部屋では「イコン」という黒い小さな絵画とそこに集う使徒のように「十字架の道」の白い14枚の作品の織りなす空気は異常。
もう展示がうますぎ。
入り口からその横一列に並んだ様が少しずつ見えていくのが本当に鳥肌もの。
「十字架の道」は版画の技術で真ん中に正方形の窪みを作って、そこをニードルで削るというもはや絵画ではないし、むしろ絵の具を足す作業とは真逆の紙を物理的に削ることでイメージを作り上げていく。
14枚とも表情が少しずつ違う。
網膜をフル活動させないと見えないこれらの画面。
写真では中々再現が難しいんだろうけど、網膜だと一瞬しか切り取れない歯がゆさ。
もう本当に目の奥に焼き付けたいと熱心に見つめるんだけど、中々難しい。
ちょっと監視の人たちが羨ましかった。ずっとずっと作品の前に対峙したかった。
できることなら作品の前に椅子置いて欲しかったなぁ。
椅子あったら何時間でも見ていられたと思う。
今年一番素晴らしい展覧会でした。12/6まで。こちら
ちなみにカタログは今月末納品だそうです。僕は予約注文してきました。


さて、芸術の秋だからか展覧会が目白押し過ぎて都内中駆け巡りました。
とはいえ、都内に住んでるってやっぱり素晴らしい。。。噛み締めております。
ということで今月観た展示は以下ざっくり。(美術館のみ)

ピエール・ボナール展 @ 国立新美術館
オルセーからの貸し出しなんだけど、正直あんまいいの持ってねぇなぁというのが感想。ロシアで観たボナールは格段に素晴らしかったので、結構良作はフランス国外にありそう。

カタストロフと美術のちから展 @ 森美術館
テーマとしては中々見甲斐があったけれど、なんでこれが?ってのがいくつかあった。(トレスとかルースとか)。逆にチラシにもなってる加藤翼の作品は、構造わかってない人が見たらなんのこっちゃわかんない感じで残念でした。でもわかってたら中々感動しちゃいます。

アジアにめざめたら アートが変わる、世界が変わる 1960-1990 年代 @ 東京国立近代美術館
前述のPara Siteの記事でも触れてますが、全体としては特に面白みはないです。ただ、日本の作品も普段「もの派」だの「具体」だのレッテルでくくられる作品たちが一個の作品として扱われてるのが面白かった。

マルセル・デュシャンと日本美術 @ 東京国立博物館
想像以上に日本のコーナーが蛇足過ぎましたね。。。あとデュシャンって見ても見ても見足りない感じがするんですよね。今回なんてフィラデルフィア美術館から結構いいものほとんど来ちゃってるぐらいのレベルなんだけど、なんだろうこの欠落感は。不思議な作家です。

リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」 @ 原美術館

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現在ポップアップカフェで開催中の「良いニュースというのは多くの場合小さな声で語られるのです。」に関連する二つの展覧会をご紹介。

まずは原美術館で始まったリー・キット展。
今年マッタ=クラークに次いで楽しみだった展示です。
リー・キットは香港で生まれ育ち現在は台湾在住の作家。
一昨年行った香港では彼が主催しているスペースthings that can happenも面白かった。(既に閉廊)
またART ITのこの記事を読むととてもクレバーな作家なのがわかります。
リー・キット「ザ・グレート・プリテンダー」

彼が最も注目を浴びたのが2013年のヴェネツィア・ビエンナーレの香港パヴィリオンの個展。
僕もこの展示見ましたが、何が展示されてあったかはほとんど覚えていなくて、覚えているのはその空気でした。
なんというか、留守中の他人の家に勝手に上がり込んだ感じと言うんでしょうか。
僕の好きなキム・ギドク監督の「うつせみ」の主人公になったような感覚。
うしろめたいんだけど、なんだかワクワクする。
周囲の風の音とかそういう何気無いもの全ての感覚が鋭敏になる。
あの感覚はちょっと忘れがたい経験の一つです。
そして今回もまさに同じ感覚に陥りました。
はっきり言って、展示といえるものはこれといってありません。
驚くほど物質感がなく、あるのは光。
窓から差し込む光をプロジェクションで表現しているのか、この元邸宅の窓がことごとく開け放たれた感じ。
見る時間帯によっても見え方が色々変わりそうな展示でした。
これは中々万人がわかるにはあまりにも「繊細」。
そう、タイトルの通りその繊細さを感じ取れないと中々難しい展示だと思います。
万人にはオススメできないけれど、とても爽やかな気持ちになれる展覧会でした。12/24まで。
カタログは11月上旬に完成予定とのこと。間に合えばポップアップカフェにも置きたかったんだけど。こちら


内藤 礼―明るい地上には あなたの姿が見える @ 水戸芸術館
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水戸へ。遠い。。。
出来るだけ外したいんだけど内藤礼は外せない。
ということで内藤礼の個展としては最大規模の展覧会です。
結果から言うと、可もなく不可もなくといった感じでした。
展示室を自然光のみにしたのはさすがですね。
あそこの展示室は天窓があるので電気がなくてもかなり明るい。
電気がないと、展示室というか、ただの「場所」になっちゃう感覚が気持ちいい。
しかしあの展示室構成はやっぱり使いづらい。
展示室と展示室のつながりがいちいち断章しちゃうんですよね。
今回の展示とかシームレスに繋がって一つの作品みたいになってたら本当によかったと思う。
あと、やたら監視員が多いのが気になりました。繊細な作品多いし仕方ないのだけど。
タイトルの「あなた」は監視員のことなのかとすら思いました笑
あと、展示構成的には「鏡」を意識してるのかな、とも思いました。
実際の鏡はもちろん、展示室の対面でおなじモチーフが置かれていたり対になっていたり。
元々内藤さんの作品はシンメトリーの強いものですが、今回は特にそれを感じました。
個々の作品の説明は省きますが、なんだか取り止めがなくてちょっと残念でした。
もっと大胆に、何もない展示室とか作ったりしても面白かったと思うんだけどなぁ。
展示は10月8日までで、カタログは9月末だそうです。こちら


本日9月25日でこのブログ開設から丸13年になりました。僕は3○歳になりました笑
今後ともよろしくお願いします。

ゴードン・マッタ=クラーク展 @ 東京国立近代美術館

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先月から始まったゴードン・マッタ=クラーク展に行ってきました。
今年度一二を争う期待度の展覧会でしたが、それを遥かに凌駕する素晴らしい展覧会でした。

まず何が素晴らしいかというとその会場構成。
彼の展覧会をする上で最も難しいのが、作品そのものがほとんど現存していないこと。
ほとんどが一過性の出来事なので、展示となるとその大半が記録になります。
建築の展覧会とかもそうだけど、それそのものが持ち込めない展覧会ってしばしば退屈になりがち。
しかし今回はそこを飽きさせない為に会場構成で観客のテンションを高めていました。
会場構成を担当した元OMAの小林恵吾さんがカタログ内でもおっしゃったように、展示会場というより「広場」という印象の様々な建築的マテリアルで織り成す会場風景は爽快。
青木淳の「原っぱと遊園地」を思い出させる、伸び伸びとした原っぱに観客が各々好きなように過ごしているのが印象的。
小林さんの「現代の日本では都市の方が窮屈」という話も印象的。

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そして展示構成もわかりやすい。
「Museum」「Dwellings」「Streets」「Port」「Market」の5つにテーマがわかれています。
今回全体通して、改めて自分がいかに彼の活動を知らなかったかを思い知りました。
(彼の名付け親がデュシャンだったなんてことも!)
ここまで広範に展開していたとは本当に驚き。しかも彼の作家活動期間はたった10年なのです!
やはりゴードン・マッタ=クラークといえば「ビルディング・カット」。
中でも1974年の最初のカット「Splitting」は単純に建物を半分に割るという衝撃的な作品。
以降いくつか建築を切ってますが、やはりこのシンプルさには敵いません。
そしてここでも知らなかったのが、実は真ん中を切るだけじゃなくて、屋根の四隅も切っていたこと。
その四隅がなんと今回展示されているのです。これはアツい。

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あと、他の活動も本当に興味深いし、改めて彼の先駆者性を発見しました。
例えばその屋根の横に展示してあった、壁をプリントした紙。その名も「壁=紙」。
どこかのアノニマスな壁のプリントが壁に貼っているという二重性の時点で面白いのに、なんと1972年当時に観客に配っていたというのがさらに驚き。
これってフェリックス・ゴンザレス=トレスの先の先をいってますよね。
今回も持って帰れるので僕もちゃっかりお持ち帰りしました。

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それと、初期の食物を使って行っていたプロジェクト、特に「FOOD」という名のレストランをしてたのはなんとなく知っていたのだけど、それが地元アーティストの臨時の職場になっていたりしていて、今のソーシャルアートやリレーショナルアートのこれまた先の先をいっちゃってます。

カタログの中で沢山遼さんも指摘していますが、これまた初期の仲間内でやってた「アナーキテクチャー」の活動も、都市を「観察」する赤瀬川原平の活動にリンクします。
ただし赤瀬川さんはゴードンたちと全く同じ時期にやってるのがまたすごいんだけど。

他にもいらない土地を買っちゃってアートプロジェクト用に使うとか、木の上で生活するとか、ゴミで作品作って最後またゴミにしちゃうとか、本当に面白いことを短い期間に散々やっちゃってます。
彼の10年の活動の中に、近現代美術の歴史がかなり内包されちゃってます。
彼の多様でありながらも一貫した姿勢って、やっぱりコンセプト云々よりも、純粋に面白いと思ったことにまっすぐ突っ走った結果なんだと思う。
色々読んでると、どれもコンセプトは後付けな感じがしてそれがまた面白い。
彼が活動の中心に置いていたグリーン通り112番地のジェフリー・ルウの言葉が全てを物語っています。


アートはコミュニティだよ。でもそんなことを、考えてさえいなかったんだ。みんなその真っ只中にいたんだ。コンセプトのことを考えてる暇なんてなかった。生み出すのに忙しくてね。コンセプトというのはそうやって出来上がるものだと私は信じている。知的な思考じゃなく、実践によってだ。だからグリーン通り112番地は・・・グリーン通り112番地は、経験そのものだったんだ。



展覧会は9月7日まで。僕は最低もう一回は行こうと思います。超おすすめ。こちら

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今村遼佑「雪は積もるか、消えるか」 @ アートラボあいち

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最終日ギリギリ、東京帰りに無理やりねじ込みました。今村くんの展示です。
ポーランドの滞在を経て、どんな作品を作るのかとても楽しみにしていました。
昨年末アートスペース虹での展示も見ましたが、やはり小さなスペースなので物足りなさが残ったというか。
今回はとても広いスペース。
アートラボあいちは長者町にあった時代は知ってましたが、今はとても立派な歴史建築物の中にあります。
行ったら最終日だったため、今村くんがちょうど撮影していて色々話も聞けました。

にしてもこの人はブレない。
ポーランドでの滞在での影響はどこかしらかにあるんだろうけど、昔から変わらずそれでいて新鮮。
その場所を慈しむように、さりげなくさりげなくそこに潜む作品たち。
作品はあるんだけど、それそのものを見るというより、それを触媒にしてその場所を楽しめてしまう。
今村くんの説明を聞いていても、ここにどんな光が入ってきて、どんな音があってという説明ばかり笑
実際この空間は大きな窓がたくさんあって、光がすごい勢いで変化して空間の質がどんどん変化するのです。
僕が行ったのは夕方前ぐらいだったので、驚くほどの変化を楽しめました。
これが夜とかだとまた面白いんだろうなぁと。
彼の作品は冬がよく似合う。
夏のギラギラした太陽の光ではなくて、ぼーっとした淡い光。
(実際以前「冬の日」ってタイトルの展覧会もあったな)
って、今村くんの作品の説明がほとんどないけど、実際そういう作品なんです。
具体的にはバケツの中に映像があったり、廃盤になったクレヨンで書かれたドローイングがあったり、ついたり消えたりする電球があったり、壁を叩く小さな音があったり、ポーランドで撮った映像なんかもあるとか色々言えちゃうんだろうけど、個々の作品をあげつらうのは彼の作品にふさわしくないように思います。
どうしようか迷ったけど、行って本当に良かった。
改めて僕はこの人の作品が心底好きなんだなぁと思えました。
終わっちゃったのでなんの宣伝にもなってませんが、今後も追い続けたい作家さんです。

<関連記事>
今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだ」@studio90
今村遼佑 第5回shiseido art egg 「ひるのまをながめる」@資生堂ギャラリー
今村遼佑「ノックする」@site
今村遼佑「白色と雑音」@GALLERY301
今村遼佑展「畔を廻る」@PANTALOON



東京では他に恵比寿映像祭関連のALの展示とワタリウムのマイク・ケリーを見ました。
ALは秋山さやか、荒木悠、荒井美波の三人展。(全員Aから始まるのは偶然?)
中でも過去作ですが荒木さんの作品はよかった。オリーブを巡る誤認の話。
彼の作品は個展だとくどさがありますが、グループ展だといいスパイスになりますね。
マイク・ケリーは相変わらず意味不明笑
配られたチラシに映像に出てくる登場人物紹介が載ってるのが斬新でした笑

江之浦測候所/草間彌生美術館/長島有里枝

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杉本博司の夢の舞台が小田原に完成しました。
その名も「江之浦測候所」。
根府川駅からシャトルバスで10分弱。遠い。遠いよ!
で、いきなり感想としては

「一体何を見てきたんだろう?」

です。
正直感想と言える感想はないです。
予約とって入館料3000円と交通費かけてわざわざ行ったんだけどね。
まあ、行く前からなんとなくそんな感じなんやろうなとは思ってたけど。
この人って自己完結の人だなぁと改めて思いました。
ここには批評はないです。いいも悪いもないのです。
だから行って後悔ってのもないです。
とまあ、のっけからネガティブですがとりあえず写真バンバンのっけちゃいます。

まず全体図。広いです。
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待合棟。ここで受付。
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100mギャラリー。
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先からの海景。
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隣の小庭。
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下へ。
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100mギャラリーの下を斜めに突き抜ける道。このアプローチは直島の護王神社みたい。
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外から。
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上も登れます。
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隣は能舞台。
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大庭園?から門。
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茶室への道程。
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茶室。
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以上こんな感じ。
一体何の施設なのか謎・・・。人に話す時に困ります。
ご興味ある方は公式サイトからご予約くださいませ。こちら
帰りはシャトルバスを待ちきれずタクシーで小田原へ。絶品の鯵がいい思い出。


あと東京では開館したばかりの草間彌生美術館にも行って来ました。
なんか年内はもうチケット予約完売らしいですね。すごい人気。。。年明け以降の予約はこちら
こちらも写真でぱぱっと。外観はすごく地味。中は階段で上がらないといけない。
こちらも感想らしい感想はないです笑

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他には東京都写真美術館で開催中の長島有里枝展。
これまでの彼女の写真シリーズが一気に見られるベスト盤みたいな展示。
僕は彼女の写真といえば、彼女のパートナーを撮った「not six」が忘れられません。
学生の時に本屋で見て、赤裸々にパートナーとの私生活を覗き見してるようでドキドキしました。
表紙も赤裸々に「テント張ってる」写真笑
僕が持ってる唯一の彼女の写真集です。
それから10年以上が経って、今回の展示で彼女がその彼と離婚してることを知りました。
めっちゃ不思議なんだけど、なんかショックでした。
あの写真集にはそれだけ彼女と彼に感情移入させちゃう力があったんですよね。
どんな言葉よりもあれらの写真って単純に時間や関係性がビジュアルに詰まっちゃってる。
写真の持ってる力を改めて思い知らされたような気がします。
あと、その写真集にも写ってた赤ちゃんだった息子が大きくなってる写真もあって、まるで親戚の子のように「大きなったなぁ」と感慨深く見ちゃいました。
それと、僕の友人がモデルになっててびっくり。
長島さんが神戸にレジデンス来た時に撮ったみたい。
他にも家族じゃない人たちが家族みたいに一緒に写真に写ってる初期のシリーズとか、彼女のデビュー作でもある家族で裸で写ってる写真とか、僕はてっきり彼女の写真は「関係性」が重要なんだと思ってたんだけど、カタログとか彼女の発言とか見てるとかなりフェミニズムの人なんだなぁとわかって正直がっかり。
なんかもっと大きな広がりを彼女の写真に見てたのです。
とはいえ、やっぱり彼女の写真は面白い。11月26日まで。こちら

あと土屋信子が駒込倉庫でワーク・イン・プログレスみたいなのやってたから見に行ったけど、会期終了間際だったのにプログレスすぎてなんのこっちゃでした笑
scaiからカタログが出るらしいのでとりあえずそれをたのしみにしてます。

川俣正 -「 工事中 」再開 @ アートフロントギャラリー

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急遽東京へ。
まさかあの伝説の作品が「再開」されるなんて。。。
1984年に川俣正の名をアートシーンに確かに刻んだ「工事中」。
北川フラム氏からヒルサイドテラスの改修に合わせて何かやらない?と誘われて作った作品。
建物を囲むように木材で組まれたそれは、テナントからのクレームで中止に追い込まれますが今や伝説。
これ以降の活躍は周知の通り。ここから「work in progress」というスタイルを築いていくのです。
その作品が30年以上の時を超えて「再開」とな。これは逃すわけにはいかない。
とはいえ当時のように建物を囲むことはなかったものの、建物の屋根を這うように組まれた木材たち。
数年前に「TOKYO IN PROGRESS」というプロジェクトの木材を使ったそうです。
さらにこの作品は、今後取り壊される予定の歩道橋から見られることを前提とされてます。
とはいえフラム氏から、やっぱ構造の中に入って観られた方がいいでしょ、ということで土日のみ予約制で観覧可。
当日は雨予報でしたが、そんな予報もどこ吹く風。夕方の涼しい風と青い空とのコントラストが気持ち良かった。
9/24まで。こちら

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アピチャッポン・ウィーラセタクン「亡霊たち」@ 東京都写真美術館

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写美(TOP MUSEUMとは言いたくない)と、イメージフォーラムでやってるアピチャッポン特集に行ってきました。
後者の「トロピカル・マラディ」がメインでしたが、まずは写美へ。

美術館でのアピチャッポンの展示はグループ展でも@kcuaの個展でも観てるけど、正直ピンときたことはなくて、それはきっと彼の映像はある程度長い時間観ないと沁みてこないからだと思うのです。
展覧会だとどうしても散漫になるし、映像を一個一個丁寧に観られる環境じゃない。
その点映画館は、映像を観るのに特化した場所だから彼の作品は生きてくる。
なので、今回の展覧会もさほど期待はしていなかったのだけど、驚くほどによかったです。

まずタイトルがいい。
英題の"Ghosts in the Darkness"は彼が以前に書いた論考のタイトルらしい。
この「Ghosts」というワードは、彼の作品を表すのにとても適した単語だと思います。
彼の映像にはしばしばこの世のものとあの世のものが曖昧に描かれます。
「プンミおじさんの森」なんかは顕著ですが、新作の「光りの墓」なんかもまさにです。
近年特にあの世とこの世が地続きになってる感覚があります。
さらに以下この展覧会の冒頭で書かれていたテキスト

Ghostには二つの意味が潜んでいます。ひとつは写真や映像などのメディアを媒介することで作用する映像自体が持つ特性です。もうひとつは、現実社会で作用する目に見えない力、すなわち政治屋歴史の中に潜むモンスターのような見えざる力のことです。

ひとつ目の映像の持つGhostというのはすごくわかります。
よく昔の映画なんかを観てると、そこに出てる俳優も監督もこの世にはいないんだよなぁとしみじみ思うことがあります。
しかし作品だけはしっかりとそこに生き続けている。
以前TEDで河瀬直美監督も仰ってましたが、映像にすることで過ぎた時間を立ち返らすことができます。
The value of movies: Naomi Kawase at TEDxTokyo

この展覧会では、アピチャッポンの日常の愛おしさが伝わってくる映像がたくさん出ています。
家族との時間。恋人との時間。ペットとの時間。俳優たちとの時間。
これらの時間たちが、そのまま会場に持ち込まれていました。
特に「灰」という作品には、彼を取り巻く環境が散りばめられていて、20分を越す映像ですが、最後まで目が離せませんでした。

また「花火」という映像では、ガラスにプロジェクションされていて、暗闇の中で光る閃光がとても印象的。
映像的な美しさとともに、そこに孕む第二のGhost、見えざる力の存在もうかがわせます。
爆音と暗闇は、とても不穏な空気を纏っていて、これもまた目が離せない光景でした。

そして、この後アピチャッポン特集に行ったのは正解で、彼の映画制作の元となる映像もいくつか展覧会に出ていて、映画を見ながら場面と展示を行き来できたのはよかったです。

アピチャッポン特集では「ブリスフリー・ユアーズ」と「トロピカル・マラディ」を観ました。
「ブリスフリー・ユアーズ」は、彼がカンヌで「ある視点」賞をとり、彼の名を世界に知らしめた最初の作品です。(名前長すぎですが・・・)
何と言っても開始1時間ほどしてからオープニングが流れるという構造が印象的で、前半と後半で話がガラッと変わります。
特に後半の森をさまよう男女の様は美しかったのですが、最後が個人的にいただけなかった。
僕が思ういい映画って、「あ、終わる」ってとこでカチッと終わる映画なんです。
その点で、この映画は、最後がダラダラとしてしまって、あーあってなった。
観客の忍耐を試すかのような映像で、正直イラっとしてしまって後味悪かった。
その点「トロピカル・マラディ」がほとんど完璧と言っていい映画でした。
以前から観てみたいなと思っていた作品ですが、日本だと東京以外の上映がなくて、なかなか観られず念願叶っての映画鑑賞。
そして期待を遥かに超える作品で、もっといろんなところで上映してほしいしDVDも出してほしい。
この映画も前半と後半でガラッと印象が変化します。
「ブリスフリー・ユアーズ」よりも激変するので、本当に同じ話なのかと疑うほどでした。
何と言っても後半の森の中で虎を追う場面は、息を飲むし、目は冴えっぱなしになりました。
ほとんど暗闇の薄明かりの中で撮影された映像で、観客の想像力がフルに回転します。
最近の彼の作品は、とても直接的な表現が多いので、こういう気配を描いた作品をまた撮ってほしいですね。
「トロピカル・マラディ」は僕の中で彼の最高傑作となりました。

展覧会は来年1月29日まで(こちら)。アピチャッポン特集は1月13日まで(こちら)。
できれば両方セットで行くのがオススメ。
イメフォの特集は上映作品が毎日変わるのでご注意を。
2月のアピチャッポンの舞台「FEVER ROOM」も行こうかすんごく悩んでます・・・。
ちょっと落ち着いてたのにほぼ毎月東京行っちゃってる病再発の気配。


それではよいお年を。

トーマス・ルフ展@東京国立近代美術館

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最近は色々スルー気味ですがこれは見逃すわけにはいくまい、ってことでお江戸へ。
目的は近美で開催中の「トーマス・ルフ」展。
このところデマンド、グルスキー、ティルマンスとドイツ写真の巨人たちの展覧会が相次いでますが、ついにルフです。
ドイツ写真家の中だったら個人的に一番好きかも。
そして実際大満足な展覧会でした。

まずは初期の巨大なポートレート作品からスタート。
その後建築シリーズやインテリアシリーズなどが続きますが、初期の作品ってびっくりするぐらい見るところがない。
いや、これ悪口とかじゃなくて、この「見るべきものは何もない」感じがすごいというか、ものは写ってるのに何も写ってないように感じるこの無の感覚が不気味でついつい気になってしまう。
ストレートフォトとコンセプトフォトの中間に絶妙な感覚で立っちゃってる感じ。
ベッヒャーとか見ると、明らかにコンセプトがあるなってのがわかるんだけど、ルフはそこがわからない。

そしてルフのすごいのは、結構初期の方になって、カメラを放棄しちゃうところ。
1989年の「Sterne」は、ヨーロッパ南天天文台が天体望遠鏡で撮影して天体の写真のイメージを使用していて、この作品から自分が撮ったイメージではなく、すでにどこかにあるイメージを使って写真作品にしてしまっている。
写真のアプロプリエーションを最もラディカルにやってる「写真家」。
特に僕が好きなのは「jpeg」という作品で、タイトル通りインターネット上にあるjpegの画像をでっかく引き伸ばした写真なんだけど、実際物理的に自分がその写真の前に立って、近寄ったり遠ざかったりすることで揺らぐ目の解像度と写真の解像度の往来がとても面白い。そして単純にjpegの荒れが美しい。
さらに今回いいなと思ったのが「ma.r.s」の3Dバージョン。
会場に3Dメガネが用意されてて、観客がそれかけながら見るという、なんともチープな内容なんだけど、実際メガネをかけて3Dになった像を見ると普通にオォ!ってなる。これは火星の表面を撮影したイメージなんだけど、その凹凸の感じが腑に落ちるというか、このイメージじゃないと3Dにした意味ないよなっていう説得力があった。他の作品でこれやられても寒いだけになるけど、誰も行ったことのない火星の表面をイメージを通して簡単に触れた気になれるっていう写真の魔力みたいなのを改めて感じられる作品でした。
ちなみにカタログにも3Dメガネついてますw
あと、「zycles」っていう作品は、三次元ドローイングで説明読んでもちょっと何言ってるかわかんないって感じやったんやけど、これに関しては写真ですらないってのが笑った。元のメディアがキャンバスですからね。

こんな感じで、中には?ってのもあるけど、いかにカメラを使わずに写真の可能性を広げられるかっていう追求が、こうやって一気に見せられると本当に面白い。
無理やり行って本当に良かった。11月13日まで。その後金沢に巡回します。こちら
後は来年か再来年あたりトーマス・シュトゥルート展でしょうか。


後、観たいのが他になかったので、リニューアルして新しくなった写真美術館(TOP MUSEUM!)へ。
杉本博司展がやってましたが、この人どんどん趣味悪くなっていくな。。。
とりあえず上の階の「世界の終わり」的な展示はほぼ流し見。
下の階の新しい廃墟劇場シリーズは見応えがありました。もう普通に写真やってほしい。
写美(TOP MUSUMなんて恥ずかしくて言えない)は次回アピチャッポン・ウィーラセタクン展てことで気になる。
普通に「トロピカル・マラディ」が観たいんですが。


追伸
ブログ12年目突入しました。

あいちトリエンナーレ2016

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3回目となるあいちトリエンナーレ。
前回も行ってないし、今回もパス予定だったのだけど、友達に誘われて行ってきました。
昨今「地域アート」の問題で散々議論されてるけど、もはや国内の芸術祭には食傷気味。
ましてや、地域復興の目的のある地方の芸術祭と違って、すでに満たされてる都市でやる芸術祭にどういう意味があるのか。
もう3回目になるトリエンナーレだけど、名古屋の街に根付いてるようには全く見えない。
確かに告知は街中で多く見るけど、それが何なのか市民の人たちに伝わってるのかしら。
テーマも「虹のキャラヴァンサライ」って一体・・・。
実際全体通して見ても特にまとまりも感じられずって感じでした。
とはいえ、名古屋、豊橋、岡崎と3都市とも回ったので良かったのだけ抜粋。

まずは名古屋。
名古屋はいくつか会場ありますが、僕が好きだったのは愛知県美術館の後半と街中のいくつかだけ。
名古屋市美術館の作品群は一つもピンとこなかったです。
愛知県美術館の作品の中でも飛び抜けて良かったのが三田村光土里のインスタレーション。
ランダムなオブジェが、絶妙なバランスで配置されていて、さらにハッとさせられるような言葉が散りばめられている。
いくら見ても見飽きることのない、いつまでもそこにいたいと感じさせてくれる空間でした。

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三田村さんまで、本当にピンとくるのがなかったんだけど、この最後の最後らへんから立て続けにマーク・マンダース、大巻伸嗣、松原慈と好きな作品が続く。
マーク・マンダースは今までで一番良かった。
大巻さんのは踏まれてからも見てみたい。彼は栄の損保ビルや岡崎でも展示してて、このトリエンナーレで最も活躍してる作家かも。
松井さんのはとてもポエティックで繊細な空間。閉館間際だったのでゆっくり見れず残念。

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栄会場の旧明治屋栄ビルでは寺田就子の元バレェ教室を使ったインスタレーション。さすがでした。

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場所は移動して豊橋。
ここでメインになってたのは開発ビルっていう会場。
10階から数フロアあって、なかなか体力消耗するけど、動線がかなりわかりやすくて良かった。
この中では久門剛史のインスタレーションが気持ち良かった。
窓のようなフレームに薄いカーテン。これにランダムに光や風が当たる。
ビルの窓からの自然光も手伝って、とても爽快な作品でした。

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しかし、この豊橋エリアではもう全部持ってっちゃったんじゃないのってぐらい度肝抜かれたのがラウラ・リマ。
なんと4階建てのビルまるごと鳥小屋に変えちゃいました。
中には100匹もいたらしい。これはすごかった。。。

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最後に岡崎会場。ここが一番過酷だった。。。
駅でレンタサイクルをトリエンナーレのチケットがあれば無料で貸してくれるので借りましょう。歩くのは無理。
結構な範囲を行くんだけど、良かったのは岡崎シビコの野村在ぐらいかなぁ。
会場の退廃的な空間とものすごくマッチしててかっこ良かった。

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以上こんな感じ。行く人の参考になれば。
後半も色々イベントがあるみたいなのでHP等でチェックしましょう。映像プログラムもあるし。10/23まで。こちら

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