地点「罪と罰」@ 神奈川県立青少年センター
各種イベントが中止・延期になる中、奇跡的に上演された地点の新作!
なんとサンクト・ペテルブルグにある国立ボリショイ・ドラマ劇場からの依頼で制作されたという本作。
しかも題材はあのドストエフスキーの「罪と罰」!
もう期待するしかありません。如何しようも無い。
しかし本場のロシアから依頼を受けるなんてすごいとしか言いようがない。
この演目は、日本で地点メンバーによる公演後、国立ボリショイ・ドラマ劇場のレパートリーとして現地の俳優たちによって演じられていくようです。それはそれで観てみたい。
さて、今回何と言っても嬉しかったのが、河野早紀さんが復活してること!
一体いつ以来なんだろうか。。。
やはりあの独特の存在感は唯一無二。
いつ以来なんだろう。。。産休かなんかだったのかな?今回だけ特別?
個人的にはまた今後も河野さんを観たいです。
今回やっぱり素晴らしかった。泣けた。
ただこの時期に咳の演出はどうかとw
そして今回はなんと11人も俳優が出てます。
河野さん入れていつもの7人に加えて4人の客演。
スヴィドリガイロフ役の岸本昌也さんは前回の「三人姉妹」でも出ていて、この人は本当に素晴らしいと思います。
声が少し高くて地声でめちゃくちゃ通るし、所作がとても美しい。
今回、まさにその両方が遺憾無く発揮されてました。
それにしても、これだけ演者が多いと地点のポリフォニーが増大していてもう大変笑
あらゆるセリフが他の演者のセリフに干渉して、誰が誰かごっちゃになる様は圧巻。
役柄は皆それぞれあるけれど、それが溶け合う瞬間が多々あって、それがたまらない。
そして、その溶け合いとは裏腹に、役者同士が指を指しあったり、石田さん演じるルージンが誰か(自分も)を名指す時にいちいちする一連の動作など、アイデンティファイする場面もあったりで、いつもながらかなり複雑な構造になってます。
僕はドストエフスキーが大好きだし、特に「罪と罰」は初めて読んだドストエフスキー作品で、あまりの面白さに衝撃だったのもあって、個人的に好きなラスコーリニコフとポルフィーリイの鬼気迫るやり取りをもっと観たかったな、というのはありました。
今回はそこよりもむしろ、ラスコーリニコフの歪んだ倫理観が強調されてる気がしました。
舞台装置や衣装も素晴らしかったけれど、なんだかもう一捻り欲しかったかな。
同じくドストエフスキーの「悪霊」をやった時のような、演者を苦しめる雪や走り、柔道のような衣装による一本背負いなど、そういう捻りが今回少なくて、結構シンプルだったので。
とはいえ、地点とドストエフスキーが再び観られて感無量。
こうなったら「白痴」、「未成年」、「カラマーゾフの兄弟」と、ドストエフスキー5大長編を極めてほしいところ。。。
代表の三浦さんも京都のロームシアターの芸術監督に就任されたことだし、ますます活躍が楽しみすぎます。
例の問題も心配だけれど、次回作(10月のKAAT?)も期待しております。ついていきます!
ちなみにこの演目はこのあと京都へ。3/20-22の3回公演。関西の方はぜひ!こちら。
「ねじまき鳥クロニクル」@ 東京芸術劇場プレイハウス
マームの藤田さんが関わってるってことで行きました。
そもそも大好きな村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」だし。
しかし蓋を開けたら、藤田さんはあくまでサポートで、メインはイスラエルのインパル・ピント。
やはり藤田貴大の「ねじまき鳥」観たかった。。。
とはいえ、あの長大な物語をほとんど余すことなく取り入れてたのは感心しました。
内容も、歌にダンスに演劇に、インタージャンルな内容でそれはそれで楽しめました。
興味深かったのは、主演が二人いて、二人とも全然似てないところ。
主人公の岡田トオルは誰でもあり得るという隠喩なのかな。
確かに彼って主人公なんだけど没個性的ですもんね。
村上春樹作品の主人公って大体ヒロイックな人いないけれど、この人は特に。
二人のくんずもつれつのパフォーマンスはすごかった。
そして僕的白眉は吹越満演じる間宮少尉。
あのノモンハンの語りどうするんだろう、とこの演目で一番気にかかってたパートで、見事にあの超長ゼリフを動きも含めて演じられててすごすぎた。読むだけでも大変なのに!しかも途中逆さになってたりしてたし笑
あと音楽も大友良英で、3人のみで演奏されててただただすごい。
オケピが舞台に向かって右にあって、そこもちゃんと観たかったな。
ちなみにこの舞台は新型コロナの影響で途中で中止になってしまいました。。。
前半で観ておいてよかったけど、後半の人は御愁傷様です。
本当に何があるかわからないですね。。。
藤田さんはこの夏マームで伝説の「COCOON」を再演とのことで大期待してます!楽しみ!