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伊東豊雄「もののもつ力」


大阪は朝日生命ホールにて伊東豊雄氏の講演会が開かれました。
前回お知らせした通り、予約取れなくて敢え無く残念…と諦める僕ではありません。クリストの時同様、駄目元突撃大作戦。現場に直接行って頼み込むしかないッ!ってことで行ってきたわけです。
「どうしても見たいんです!お願いします!」
そしたらとりあえず予約した人が大体入ってからってことでオッケーもらっちゃいましたy いやぁ、やっぱやってみるもんです。
にしてもやはり恐ろしい人気。開場十分後には席が埋まってしまって、予約してた人も立ち見かロビーで中継されてるテレビを見るかしか残されてませんでした…恐ろしや…。主催側の人も「もっと大きな会場借りるべきやった」とつぶやいてました。多分そこら辺の歌手とかより集客力あるかも。今回も400席近くあったのに…。
で、立見席で観覧。映像関係のトラブルで少し遅れたものの無事スタート。
大きな拍手と共に登場された伊東さんは黒のジャケットにお気に入りのギャルソンのピンクと白のコンビネーションのシャツ。いやぁ、素敵です。
今回テーマとしては「もののもつ力」ということでしたが、作品のスライドと説明に終始されてたのが少し残念でした。でもまあ、色々おもしろい話もでてきたのでよかったですが。
スライドはやはりせんだいメディアテーク以降のものになるんですが、僕ほとんど見ちゃってます。日本のものはもちろんのこと、海外のものも素晴らしい幸運のもと見れちゃってる。例えばベルリンの新国立美術館で開かれた展覧会の会場設計(上写真)なんかは本当に偶然だったし、サーペンタインパビリオンなんて、本当はあのバタシー発電所の再開発が完了されるまで見れないはずがたまたま展覧会がやっててカフェとして起動してたし、本当に伊東建築とは運命的なものを一方的に感じちゃってます。今回だってわざわざ僕が日本にいる時に、しかも大阪で講演会だなんて…。東京だったら3月だった。
こうなったら伊東建築をとことん追いかけてやります。今度実はパリに行くんですが、その時も先月オープンしたばかりのコニャック・ジェイ病院も見てきたいですし、来年帰ってきたら、その頃には完成されてるであろう福岡の中核施設や多摩美の図書館、今回見れなかった岐阜の瞑想の森なども周りたいですね。
ところでサーペンタインのパビリオンの予算の話はちょっとおもしろかった。予算自体は実際2000万なんだけどかかったお金は8000万。半分の4000万は寄付で、残りの2000万はバタシーの開発者が買い取ったんだって。だからあそこにあるのか。謎が解けた。またバタシー開発終了したら行ってみたい。今まで見た中であれが1番好きかも。
他にはTOD'Sに置かれてるザハの椅子が気に入らないとか言ってた(笑) あまり仲がよろしくないのだろうか。台中オペラハウスのコンペでザハを破ったのは気持ちよかったのかな(笑)
しかし伊東さんは至って謙虚な人だ。2時間しんどいのに座らず延々と休みなく水もほとんど飲まずにレクチャーしてくれたし、最後の質問も終了時間過ぎても質問に答えてたし。ってか質疑応答をもうちょっと長めにとってくれてもよかったんじゃないかな、って思います…。
最初の「日本での建築家のスタンス」という質問の答えは中々興味深かった…というか日本って…って感じだった、やっぱり。日本の施主は伊東さんのようなある種特殊な建築は受け入れられにくいのだそう。実際今の伊東さんの仕事の8割が海外。日本は建築業界においても認知が甘いらしい…。芸術はもっと悪いがこの国は大丈夫なんだろうか…。そして建築を任せる施主側の建築にかける熱意もヨーロッパのそれとは大違いだそうな。例えばこないだ伊東さんがせんだいメディアテークにおいて、日本の建築賞をとった際、果たして賞状を渡してくれた人があの建築のことを知っているのだろうか。否、多分知らないだろう。ヨーロッパではそんなことありえない。なんだかなー。

今回ロンドン帰る直前に尊敬する伊東さんの生の声が聴けて本当によかった。
「均質な空間で生きている現代人に自分の建築を通して動物的になってほしい」
そう語っている伊東さんが印象的でした。

しかし主催した東西アスファルト事業協同組合さんはとても太っ腹だ。帰りにバーバリーのミニタオルをいただいた。この講演会も無料やし。過去にもSANAAや坂茂など豪華な講演会をやってるみたい。来年はまた海外からも呼んできたいとおっしゃってた。リベスキンドやゲーリーとかだったら嬉しいな。その時はぜひ僕の帰国中に。
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