丹下健三

今回東京に行ったら絶対に観ておきたい建築があった。
東京カテドラル聖マリア大聖堂。
建築家の名は丹下健三。
東京都庁、フジテレビ本社ビル、赤坂プリンスホテル等々挙げていけばキリのない丹下建築たち。建築だけでなく都市計画にも長けていた丹下さん。広島原爆ドームのあの一帯はすべて丹下さんの手によって作られました。そんでもって日本だけではなく世界にも丹下パワーは及んでいて、ナポリの都市計画やサウジアラビア王国国王宮殿など、重要なプロジェクトも一手に引き受け、彼がその生涯で残してきたのは、都市・建築も含めなんと330。31ヶ国にも及んでおります。今建築家が世界に羽ばたいているのも彼の土台のおかげと言っても過言ではないでしょう。コルビュジエ、ライトに続く巨匠。それが丹下健三です。
そんな彼が1964年に作り出したこの大聖堂。当時世界を震撼させたこの建築は40年建ってもまだまだその衝撃が色褪せません。メタルな外装は太陽の光を反射し神々しく、上から見ると十字の形をしているというしかけ。
しかし中に入るとその外観からは想像もできない姿が…。

もうただただ圧巻な吹き抜け。そしてコンクリートが向きだしの壁。もう言葉も出ないくらい感動しました。そして幸運にもこの日、行ったら結婚式が行われてて、なりゆきで出席させていただくことに(笑) いやぁ、こんなとこで式を挙げられるなんて幸せですね。いつまでもお幸せに。
ちなみに昨年、ここで丹下さんの葬儀が行われました。本人の希望によるもので、丹下さん自身もこの教会を気に入っておられたのでしょう。巨匠の最後を飾るのにこんなにふさわしい場所はないですね。キリスト教会の人もここに来て驚いたとか。キリスト教徒でもない丹下がこんなものを作れるなんて、と。天才ですね。外は未来的で、中はもう既に1000年ほどの時間を内包したかのような神々しさ。モダン建築の弱点の「時の重み」をしっかりものにしてるこの建築はすごい!僕が今までみたモダン建築でナンバーワンです。
そしてこの1964年。もう1つ世界を震撼させた建物を作られました。それが国立屋内総合競技場。代々木体育館として認知は高いかも。僕が行った時は世界バレーがやってました。

ちょっとその全貌を撮るのが難しかったんですが、「吊構造」と呼ばれる構造で、上に屋根を引っ張ってキュって巻いたイメージというか…。とにかくこの2つの建物は世界に多大なる衝撃を与えたのであります。もしコルビュジエが生きてたら絶対嫉妬してたでしょうね。
他にも東京の静岡新聞社や大阪のアップリカなどおもしろい建物があります。

あと、丹下さんのすごいのはなんといっても弟子達を育てるテクニックというか、もしや天然なのかもしれないけど、丹下スタジオからは本当にたくさんの名建築家が出ています。昨年NYのMoMAを建てた谷口吉生さんもそうだし、世界的な論客磯崎新氏もそうだし、東京体育館や京都近代美術館などの槇文彦氏もそう。こんなに名建築家を輩出できた理由は丹下事務所のやり方にあります。普通○○事務所というと、そこの代表の人が1人で案をだして、所員の方々がそれを現実的な形に起こしていくわけですが、丹下さんの場合、まずアイディアを所員の方々と一緒になって考えます。で、その中からいい案をピックアップして丹下流にアレンジしていくわけですが、そこにベテランも新人も関係ないわけで、そうすると新人でも頑張ろうってなるわけです。それが名建築家を生み出すトリックなわけですね。でもやっぱ自分の事務所を持つと自分が自分がってなるところをちゃんと所員の声も反映させるのがすごいなって思います。今回東京を旅をして丹下建築をいくつか見ながら改めてすごさを実感しました。しかし丹下さん亡き後、丹下事務所は息子さんが引き継いでらっしゃるのですが、やはりレベルが…。銀座のフェラガモとか見ましたが、なんじゃこりゃって感じでした…。うーん。
ちなみに丹下さんのお弟子さんの作品で今回1番面白かったのが黒川記章氏のカプセルマンション。これはすごい!メタポリズムという都市を生物の新陳代謝に見立てた運動があって、その一員だった彼が生み出したその建物は、マンションなんだけど、部屋が古くなったら部屋ごと新しいものに変えれるというすごい発想…。残念ながら竣工以降1度も変えられたことはないそうですが…。ちなみに一部屋サンプルで見れるんですが、狭すぎて住む気にはなれないですね(笑)
