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村上友晴展― ひかり、降りそそぐ @ 目黒区美術館

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久々に作品の前で涙が出た。
この感覚、本当に久しぶり。。。
村上友晴展、想像の遥か上をいく凄まじい展覧会。
今年の2月に京都で見て以来ですが、美術館で、これほどの作品数が揃うのは奇跡。
いつも美術館の常設などで1点とかで凄まじい存在感放ってますが、これだけ揃うと威力がすごい。
ロスコやニューマンの系譜を見事に継承する「崇高な」絵画たち。
こういう感覚、今のソーシャルエンゲージドアートだのリレーショナルアートだの「先端」から見ると古臭いかもしれんけど、僕はこの「崇高」が大好物。
2階の階段上がってすぐの部屋は、そういった「崇高」なペインティングが並ぶ。
ボコボコした表面も好きですが、僕はむしろマットなんだけど何層にも塗り重ねられた作品が好き。
黒の上の赤とか本当に美しすぎてこの部屋だけで何周もしてしまった。
さらに次の部屋では「イコン」という黒い小さな絵画とそこに集う使徒のように「十字架の道」の白い14枚の作品の織りなす空気は異常。
もう展示がうますぎ。
入り口からその横一列に並んだ様が少しずつ見えていくのが本当に鳥肌もの。
「十字架の道」は版画の技術で真ん中に正方形の窪みを作って、そこをニードルで削るというもはや絵画ではないし、むしろ絵の具を足す作業とは真逆の紙を物理的に削ることでイメージを作り上げていく。
14枚とも表情が少しずつ違う。
網膜をフル活動させないと見えないこれらの画面。
写真では中々再現が難しいんだろうけど、網膜だと一瞬しか切り取れない歯がゆさ。
もう本当に目の奥に焼き付けたいと熱心に見つめるんだけど、中々難しい。
ちょっと監視の人たちが羨ましかった。ずっとずっと作品の前に対峙したかった。
できることなら作品の前に椅子置いて欲しかったなぁ。
椅子あったら何時間でも見ていられたと思う。
今年一番素晴らしい展覧会でした。12/6まで。こちら
ちなみにカタログは今月末納品だそうです。僕は予約注文してきました。


さて、芸術の秋だからか展覧会が目白押し過ぎて都内中駆け巡りました。
とはいえ、都内に住んでるってやっぱり素晴らしい。。。噛み締めております。
ということで今月観た展示は以下ざっくり。(美術館のみ)

ピエール・ボナール展 @ 国立新美術館
オルセーからの貸し出しなんだけど、正直あんまいいの持ってねぇなぁというのが感想。ロシアで観たボナールは格段に素晴らしかったので、結構良作はフランス国外にありそう。

カタストロフと美術のちから展 @ 森美術館
テーマとしては中々見甲斐があったけれど、なんでこれが?ってのがいくつかあった。(トレスとかルースとか)。逆にチラシにもなってる加藤翼の作品は、構造わかってない人が見たらなんのこっちゃわかんない感じで残念でした。でもわかってたら中々感動しちゃいます。

アジアにめざめたら アートが変わる、世界が変わる 1960-1990 年代 @ 東京国立近代美術館
前述のPara Siteの記事でも触れてますが、全体としては特に面白みはないです。ただ、日本の作品も普段「もの派」だの「具体」だのレッテルでくくられる作品たちが一個の作品として扱われてるのが面白かった。

マルセル・デュシャンと日本美術 @ 東京国立博物館
想像以上に日本のコーナーが蛇足過ぎましたね。。。あとデュシャンって見ても見ても見足りない感じがするんですよね。今回なんてフィラデルフィア美術館から結構いいものほとんど来ちゃってるぐらいのレベルなんだけど、なんだろうこの欠落感は。不思議な作家です。
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・2023.12.02-2024.02.04
「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造、阿部展也、大辻清司、牛腸茂雄 @ 渋谷区立松濤美術館

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「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」 @ 麻布台ヒルズギャラリー

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キース・ヘリング展 アートをストリートへ @ 森アーツセンターギャラリー

・2023.12.01-2024.01.28
梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ @ ワタリウム美術館

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第14回上海ビエンナーレ @ 上海当代芸術博物館

・2023.12.17-2024.01.27
味/処 @ 神奈川県民ホールギャラリー

・2024.01.11-03.10
フランク・ロイド・ライト世界を結ぶ建築 @ パナソニック汐留美術館

・2023.12.16-2024.02.18
久門剛史「Dear Future Person, 」 @ @KCUA

・2024.01.12-02.25
牡丹靖佳展 月にのぼり、地にもぐる @ 市立伊丹ミュージアム

・2024.02.06-04.07
中平卓馬 火―氾濫 @ 東京国立近代美術館

・2024.01.18-03.24
能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築 @ ギャラリー間

・2024.02.23-04.14
生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 @ 東京ステーションギャラリー

・2024.02.14-05.27
「マティス 自由なフォルム」@ 国立新美術館

・2024.03.06-06.03
遠距離現在 Universal / Remote @ 国立新美術館

・2024.03.09-06.30
カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 @ DIC川村記念美術館

・2024.03.12-05.12
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ @ 国立西洋美術館

・2024.03.15-06.09
横浜トリエンナーレ2023 @ 横浜美術館ほか

・2024.03.30-07.07
ブランクーシ 本質を象る @ アーティゾン美術館

・2024.04.06-07.07
ホー・ツーニェン エージェントのA @ 東京都現代美術館

・2024.04.24-09.01
シアスター・ゲイツ展 @ 森美術館

・2024.04.27-08.29
デ・キリコ展 @ 東京都美術館

・2024.05.23-08.04
魚谷繁礼展 @ ギャラリー間

・2024.09.04-11.24
大西麻貴+百田有希 / o+h展 @ ギャラリー間

・2024.09.14-12.01
塩田千春 つながる私(アイ) @ 大阪中之島美術館

・2024.09.25-2025.01.19
ルイーズ・ブルジョワ展 @ 森美術館

・2024.11.02-2025.02.09
ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子 ―ピュシスについて @ アーティゾン美術館

・2024.11.23-2025.01.26
「再開館記念―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」展(仮称) @ 三菱一号館美術館

・2025.09.13-11.30
あいち2025 @愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか

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