fc2ブログ

Wayne McGregor x Olafur Eliasson x Jamie xx "tree of codes" @ 香港文化中心



香港に行ってきました!
2017年3月にピナ・バウシュ観に行って以来一年半ぶりの香港。そして海外もそれ以来。
目的はオラファーが美術を手がけた舞台「tree of codes」です。

この舞台の存在を知ったのは確か1年前ぐらい。
知人がこの舞台をパリのオペラ座で見てめちゃ良かったと自慢されたのです。。。
そもそもその前にその知人が教えてくれた、ウェイン・マクレガーなる人物。この人がすごい。
英国ロイヤル・バレエ団やパリ・オペラ座バレエ団など超がつく一流カンパニーも振付るコレオグラファー。
自身のカンパニーStudio Wayne McGregorもあります。こちら
彼のすごいところは、そんな「超」がつくカンパニーに対しても、平気でコンテンポラリーな演出を仕掛けてくるところ。
彼らの技術を最大限に活かしながら、伝統に囚われない動きを並行して振付る。
そんな彼が英国ロイヤル・バレエ団を演出した「Woolf Works」が日本の映画館で観られるというので観たのが昨年の4月。
衝撃でした。
この作品はヴァージニア・ウルフの作品を元に構成されていて、3章からなる作品。
音楽がMax Richterという人で、この人の音楽がまたものすごく良くて音源買ってしまったほど。
そしてダンスが本当にすごかった。特に第2章のコンテンポラリーっぷりがすごかった。
まあ、見てください。バレエの動きも技術も備わってるのに完全に新しい動きになってる。。。
美しすぎて泣けます。



そんな彼の作品にオラファーの美術!最強やないか!
観たい。。。どうしても観たい。。。でもヨーロッパまでは行けない。。。
と思っていたらまたその知人がその舞台が香港でやるらしいとの情報をくれたのです。
香港。。。と思ったけどもはやアジアに来てくれるなら観に行かない手はない!
ということでチケットも飛行機も勢いでとりましたとも!

で、ようやく本題です。(あいかわらずの前置きの長さ)
会場は九龍の南端にある香港文化中心。ピナ以来2回目!
当日早朝に起きて飛行機に乗ってやって来たので体調的には万全ではなく、正直始まる手前まで眠気が襲ってきてて、途中寝ちゃうかも。。。と思ってたのですが杞憂でした。
75分間目見開きっぱなし。すごかった。思い出しても鳥肌が立つ。観にきた甲斐がありすぎ。

冒頭のっけからやられました。
暗闇の中で体にいくつかのライトをつけたダンサーが踊るんですが、ダンサー自体の身体が見えない!
まるで蛍が舞ってるようで本当に美しかった。。。すごい演出。。。
そこからオラファーの万華鏡のような作品を持ったダンサーたちがそこに手を差し入れたりして複雑な像を作り出して、その後天井から鏡面の壁が登場し、さらに半鏡面の壁が降りてきて、最後にはさらにカラープラスティックの壁が降りてきます。
このレイヤー構造に、さらに最奥には色の変わる壁があったりで色彩もそこに加わる。
真ん中の半鏡面の壁は途中で傾いて、反射像が動く様もすごい。
そして途中客席にライトが当たる瞬間が何度かあって、客席が舞台の鏡面壁に写ってメタ構造にもなる。
その前や間や後ろでダンサーたちは踊って、鏡面で幾重にも増殖する像でもう何がなんやら。。。
最後はカラープラスティックの真ん中の丸い二つの円が回転して、今まで青い照明で踊ってると思っていたのに、円が開いた奥側は実は真っ赤なライトで照らされてたことがわかった瞬間は本当に鳥肌がたった。
さらにその円にライトが当たって客席を揺らいだ反射光が照らし出す。。。
と、書いても書いても伝わらない感すごい笑
このレイヤー構造は、今作の元になったJonathan Safran Foerの「tree of codes」という本から来てる見たいで、これは本というより彫刻。原作の本を切り抜いて新しい作品に仕上げるという脱構築的な作品。下のインタビュー映像にも出てきます。
そしてなんといってもダンサーの美しさが本当に素晴らしかった。
今回はマクレガーのカンパニーにプラスオペラ座バレエ団という豪華な布陣。
彼らの筋肉が本当にすごいし、技術に裏付けられた動きが見事すぎて素人目でもわかるぐらい。
これまたバレエの技術を使いながらの動きで、最後の全員で踊り狂う様は圧巻。
そして、先日見たフォーサイスの演出バレエ・ロレーヌのように、男女だけじゃなくて、男男、女女の組み合わせのデュオのダンスもあって、それがまた本当に美しいんですよ!
こういうジェンダーを超えた演出って涙が出るぐらい美しい。人間愛を感じる。
正直こないだの横浜はフォーサイス以外消化不良だったので、今回で完全に払拭しました。
そこにJamie xxの音楽がこれまた半端なくかっこいいのです。
言葉では本当に尽くせないのが残念ですが、これはぜひ生で観るべき舞台。
マクレガー演出の舞台全部観たい。。。ほとんどヨーロッパなんだけど。。。
日本でもし万が一やったら絶対観るべき舞台です。



ところでこの日はアフタートークがあったのですが、その中で現在オラファーはベルリン・オペラとのコラボレーションを制作中との情報が!これはこれで観たいけどヨーロッパは遠いぜよ!泣
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
11 | 2023/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最新記事
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
プロフィール

もりかわみのる

森川穣
現代美術作家。
森川穣 website
A'holicオーナー
A'holic website
instagram

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

管理者用
カウンター
To See List
・2023.12.02-2024.02.04
「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造、阿部展也、大辻清司、牛腸茂雄 @ 渋谷区立松濤美術館

・2023.11.24-2024.03.31
「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」 @ 麻布台ヒルズギャラリー

・2023.12.09-2024.02.25
キース・ヘリング展 アートをストリートへ @ 森アーツセンターギャラリー

・2023.12.01-2024.01.28
梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ @ ワタリウム美術館

・2023.11.09-2024.03.31
第14回上海ビエンナーレ @ 上海当代芸術博物館

・2023.12.17-2024.01.27
味/処 @ 神奈川県民ホールギャラリー

・2024.01.11-03.10
フランク・ロイド・ライト世界を結ぶ建築 @ パナソニック汐留美術館

・2023.12.16-2024.02.18
久門剛史「Dear Future Person, 」 @ @KCUA

・2024.01.12-02.25
牡丹靖佳展 月にのぼり、地にもぐる @ 市立伊丹ミュージアム

・2024.02.06-04.07
中平卓馬 火―氾濫 @ 東京国立近代美術館

・2024.01.18-03.24
能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築 @ ギャラリー間

・2024.02.23-04.14
生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 @ 東京ステーションギャラリー

・2024.02.14-05.27
「マティス 自由なフォルム」@ 国立新美術館

・2024.03.06-06.03
遠距離現在 Universal / Remote @ 国立新美術館

・2024.03.09-06.30
カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 @ DIC川村記念美術館

・2024.03.12-05.12
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ @ 国立西洋美術館

・2024.03.15-06.09
横浜トリエンナーレ2023 @ 横浜美術館ほか

・2024.03.30-07.07
ブランクーシ 本質を象る @ アーティゾン美術館

・2024.04.06-07.07
ホー・ツーニェン エージェントのA @ 東京都現代美術館

・2024.04.24-09.01
シアスター・ゲイツ展 @ 森美術館

・2024.04.27-08.29
デ・キリコ展 @ 東京都美術館

・2024.05.23-08.04
魚谷繁礼展 @ ギャラリー間

・2024.09.04-11.24
大西麻貴+百田有希 / o+h展 @ ギャラリー間

・2024.09.14-12.01
塩田千春 つながる私(アイ) @ 大阪中之島美術館

・2024.09.25-2025.01.19
ルイーズ・ブルジョワ展 @ 森美術館

・2024.11.02-2025.02.09
ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子 ―ピュシスについて @ アーティゾン美術館

・2024.11.23-2025.01.26
「再開館記念―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」展(仮称) @ 三菱一号館美術館

・2025.09.13-11.30
あいち2025 @愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか

QRコード
QR