藤田貴大「BOAT」@ 東京芸術劇場
マームとジプシーの藤田さんの新作を観に行きました。
僕が観てきた中では一番大きな会場です。
年齢は関係ないとはいえ、この若さでこれだけの規模と会場でやれるのは純粋にすごい。
そして、相変わらず発表のペースが異常。
昨年の秋に初めて観て以来既に5つ目の作品。しかも一つ見逃してる。
さらに8月10月12月とすでに発表の予定があるという。。。
以降ネタバレになるかもしれないので読みたい人だけどうぞ。
「BOAT」。
あまり予習もせずに行ったのだけど、まずタイトルが意味深。
この公演は11月にパリでも上演されるみたいなんだけど、パリでこのタイトルを聞いてまず真っ先に思い浮かぶのは「移民」だと思う。
しかし今回の「BOAT」はむしろ3.11に由来していると思う。
最後にボートが次々と飛来してきて街を襲うという、ちょっと突飛な設定ではあるのだけど、ボートが厄災のシンボルになってるのは確か。それは津波であったり地震であったり。
それまでも次々と流れ着くボート。死体がのってたり誰も乗っていなかったり。
そして中盤では水葬として使われるボート。
救命するはずのボートがこの舞台では徹底して「死」を連想させるモチーフになっています。
舞台設定の詳しくはこちらが詳しいので省くとして、今回はマームのおいしいとこどりといった感じで、初めて観た時の感動が蘇りました。
まず舞台転換。
もう役者さんの仕事量がハンパないです笑
よくあれだけの転換を役者にぶつかったりせずに同時進行できるなといった感じ。
大きなキャンバスに多分プロジェクションマッピングで映し出されるタイトルがかっこいい。
そしてリフレイン。
もうシークエンスがバラバラになったり繰り返されたりで、つかむまでが本当に大変。
でも、後半になってこれが最高に生かされてて、ボートが襲ってくる緊迫したシークエンスに、ピクニックの牧歌的なシークエンスが折り重なってくる場面が鳥肌もの。
緩急のつけ方が、このリフレインで見事に成されている。
最後に何と言っても、芸術劇場という装置を藤田さんが楽しんでるのがわかる。
舞台美術としては数隻のボートとキャンバスぐらいしかないんだけど、今回は音の演出がすごかった。
特に最後の方の空気を揺らすぐらいのノイズ音響は凄まじくカッコよかった。
今まで僕はマームを小さな劇場でしか観たことなかったけど、今回これだけ大きな会場で、スケールの大きさを手に入れたマームを観られて本当に嬉しかった。
残念な点は、正直主役の宮本氷魚くんが弱かった。(BOOMの宮本さんの息子なんですね!)
そりゃ高身長でイケメンなんだけど、なんせこれが初の舞台。
周りの役者さんとの声の出し方が全く違う。
特に今回の舞台は音を多く使うものだったので、所々掻き消されて聞こえなかったセリフがあった。
声を張るところはいいんだけど、普通の会話はやはり弱い。
その点他の舞台俳優はすごい。発声の仕方が全然違うんだなぁと思い知った。
あと、最後の最後に街の劇場に爆弾を仕掛けるっていう設定があるんだけど、あれは必要だったのかな?
ちょっと「君の名は。」を思い出してしまった笑
今回配られてる藤田さんのステートメントにも劇場の言及があるけど、最後に無理やり劇場に絡めてきた感が拭えなくて、急に背景が弱くなってしまった感じ。
とはいえ全体としては本当に満足いく舞台。
26日までやってるので興味ある方はぜひ当日券を!こちら。
10月には同じく芸術劇場で寺山修司と藤田貴大のコラボ!絶対観に行きます!
その前に8月のVACANTも観に行く予定です。
<関連記事>
MUM&GYPSY『あっこのはなし』『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと──────』@AI・HALL
川上未映子×マームとジプシー「みえるわ」 @ 味園ユニバース
ところで東京に来てから地点と庭劇団ペニノの舞台を観ました。
地点は毎年やってるKAATとのコラボ作。今回は新作「山山」です。
脚本はもう専属になって来てる松原俊太郎。
前回アンダースローでやってた「正面に気をつけろ」は最高でした。
が、今回はかなり微妙。前回KAATでやった「忘れる日本人」も個人的に微妙でしたが。
内容的にはこれまた原発が暗に絡んでて、その感じが個人的にすごく違和感しかなかったのです。
コレットのナマハゲのような衣装も、決め台詞もかなり微妙だった。
その代わり(?)舞台美術がすごかった。
鏡面張りの「山」ではなく「谷」折になった斜面。
そこを転げ落ちたり這い上がったり、相変わらず演者への負担がすごい。。。
これでよく怪我もなく千秋楽まで突っ走るよな、といつも思う。
年末の太宰の作品を題材にした「グッドバイ」に期待してます。
<関連記事>
地点「正面に気をつけろ」@ アンダースロー
地点「汝、気にすることなかれ」@アンダースロー
地点「ロミオとジュリエット」@ 早稲田大学大隈講堂
地点「みちゆき」 @愛知県芸術劇場
地点「スポーツ劇」@ロームシアター京都
地点「光のない。」
地点「悪霊」@ KAAT
地点「CHITENの近未来語」@アンダースロー
地点「かもめ」@ Cafe Montage
地点「コリオレイナス」@京都府立府民ホールアルティ
地点「――ところでアルトーさん、」@京都芸術センター
そして庭劇団ペニノ。
以前から知人から話は聞いててなんとなく興味のあった劇団。
噂には聞いてたが、舞台美術がすごすぎた。
劇場に入ると、お堂の中そのものが再現されてて、なんて金のかけ方してるんだ!と。
以前にも温泉だったりありえない舞台が繰り広げられてたらしい。
しかし中身が正直ひどかった。。。
蛸がモチーフで、それ自体は面白そうなんだけど、内容はもはや儀式そのものだった。
途中から何を見せられてるんだろうって感じ。。。
今回はいつもとかなり違うらしいんだけど、次から観たいかは微妙です。。。
あまり予習もせずに行ったのだけど、まずタイトルが意味深。
この公演は11月にパリでも上演されるみたいなんだけど、パリでこのタイトルを聞いてまず真っ先に思い浮かぶのは「移民」だと思う。
しかし今回の「BOAT」はむしろ3.11に由来していると思う。
最後にボートが次々と飛来してきて街を襲うという、ちょっと突飛な設定ではあるのだけど、ボートが厄災のシンボルになってるのは確か。それは津波であったり地震であったり。
それまでも次々と流れ着くボート。死体がのってたり誰も乗っていなかったり。
そして中盤では水葬として使われるボート。
救命するはずのボートがこの舞台では徹底して「死」を連想させるモチーフになっています。
舞台設定の詳しくはこちらが詳しいので省くとして、今回はマームのおいしいとこどりといった感じで、初めて観た時の感動が蘇りました。
まず舞台転換。
もう役者さんの仕事量がハンパないです笑
よくあれだけの転換を役者にぶつかったりせずに同時進行できるなといった感じ。
大きなキャンバスに多分プロジェクションマッピングで映し出されるタイトルがかっこいい。
そしてリフレイン。
もうシークエンスがバラバラになったり繰り返されたりで、つかむまでが本当に大変。
でも、後半になってこれが最高に生かされてて、ボートが襲ってくる緊迫したシークエンスに、ピクニックの牧歌的なシークエンスが折り重なってくる場面が鳥肌もの。
緩急のつけ方が、このリフレインで見事に成されている。
最後に何と言っても、芸術劇場という装置を藤田さんが楽しんでるのがわかる。
舞台美術としては数隻のボートとキャンバスぐらいしかないんだけど、今回は音の演出がすごかった。
特に最後の方の空気を揺らすぐらいのノイズ音響は凄まじくカッコよかった。
今まで僕はマームを小さな劇場でしか観たことなかったけど、今回これだけ大きな会場で、スケールの大きさを手に入れたマームを観られて本当に嬉しかった。
残念な点は、正直主役の宮本氷魚くんが弱かった。(BOOMの宮本さんの息子なんですね!)
そりゃ高身長でイケメンなんだけど、なんせこれが初の舞台。
周りの役者さんとの声の出し方が全く違う。
特に今回の舞台は音を多く使うものだったので、所々掻き消されて聞こえなかったセリフがあった。
声を張るところはいいんだけど、普通の会話はやはり弱い。
その点他の舞台俳優はすごい。発声の仕方が全然違うんだなぁと思い知った。
あと、最後の最後に街の劇場に爆弾を仕掛けるっていう設定があるんだけど、あれは必要だったのかな?
ちょっと「君の名は。」を思い出してしまった笑
今回配られてる藤田さんのステートメントにも劇場の言及があるけど、最後に無理やり劇場に絡めてきた感が拭えなくて、急に背景が弱くなってしまった感じ。
とはいえ全体としては本当に満足いく舞台。
26日までやってるので興味ある方はぜひ当日券を!こちら。
10月には同じく芸術劇場で寺山修司と藤田貴大のコラボ!絶対観に行きます!
その前に8月のVACANTも観に行く予定です。
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MUM&GYPSY『あっこのはなし』『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと──────』@AI・HALL
川上未映子×マームとジプシー「みえるわ」 @ 味園ユニバース
ところで東京に来てから地点と庭劇団ペニノの舞台を観ました。
地点は毎年やってるKAATとのコラボ作。今回は新作「山山」です。
脚本はもう専属になって来てる松原俊太郎。
前回アンダースローでやってた「正面に気をつけろ」は最高でした。
が、今回はかなり微妙。前回KAATでやった「忘れる日本人」も個人的に微妙でしたが。
内容的にはこれまた原発が暗に絡んでて、その感じが個人的にすごく違和感しかなかったのです。
コレットのナマハゲのような衣装も、決め台詞もかなり微妙だった。
その代わり(?)舞台美術がすごかった。
鏡面張りの「山」ではなく「谷」折になった斜面。
そこを転げ落ちたり這い上がったり、相変わらず演者への負担がすごい。。。
これでよく怪我もなく千秋楽まで突っ走るよな、といつも思う。
年末の太宰の作品を題材にした「グッドバイ」に期待してます。
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地点「正面に気をつけろ」@ アンダースロー
地点「汝、気にすることなかれ」@アンダースロー
地点「ロミオとジュリエット」@ 早稲田大学大隈講堂
地点「みちゆき」 @愛知県芸術劇場
地点「スポーツ劇」@ロームシアター京都
地点「光のない。」
地点「悪霊」@ KAAT
地点「CHITENの近未来語」@アンダースロー
地点「かもめ」@ Cafe Montage
地点「コリオレイナス」@京都府立府民ホールアルティ
地点「――ところでアルトーさん、」@京都芸術センター
そして庭劇団ペニノ。
以前から知人から話は聞いててなんとなく興味のあった劇団。
噂には聞いてたが、舞台美術がすごすぎた。
劇場に入ると、お堂の中そのものが再現されてて、なんて金のかけ方してるんだ!と。
以前にも温泉だったりありえない舞台が繰り広げられてたらしい。
しかし中身が正直ひどかった。。。
蛸がモチーフで、それ自体は面白そうなんだけど、内容はもはや儀式そのものだった。
途中から何を見せられてるんだろうって感じ。。。
今回はいつもとかなり違うらしいんだけど、次から観たいかは微妙です。。。