川上未映子×マームとジプシー「みえるわ」 @ 味園ユニバース

マームとジプシー、段々とハマり始めています。。。
昨秋二作連続で見てからというもの、あの感覚が頭から離れません。こちら。
そこから十周年企画の続きとしてコラボもの2作を発表しています。
マームは以前から「マームとだれかさん」という企画で何作かコラボ作品があるみたい。
にしても地点もそうだが発表のペースがすごい。。。
ということで時系列ではないけどまずは先日大阪の味園ユニバースで観た「みえるわ」から。
味園ユニバース、初潜入でめっちゃ興奮。
前から千日前にやたらバブリーな建物があるなとは思ってたけど中はお初。
もうね、めちゃくちゃバブリー!
元キャバレーをそのままライブ会場にしたところで、ソファー席とかあってすごく豪華。
天井や装飾もやたら派手でテンションが上がる上がる。
で、演目は川上未映子のテキストを使ったもの。
川上さんって読んだことないけど、芥川賞とって話題になって、タイトルが独特やなという印象。
「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」とか「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」とか。「わたくし率 イン 歯ー、または世界」もすごい。
そんな独特なテキストをどう料理するのかと思ってました。
そしたら青柳いづみの独壇場でほぼほぼライブ状態。
滝のようにテキストが吐き出される様はまるでアジテーション。
味園ユニバースのド派手な演出も加わり狂気そのもの。(背景の蛍光灯すごかった)
これ他の会場だとどんな感じやったんやろ。。。
正直味園ユニバースという場の力がすごすぎて、内容自体はほとんど入ってこなかった。
音楽との融合も楽しかったんやけど、何を見させられているんだろう感が結構あったのです。
次々とテキストを吐き出す青柳さんのパワーはすごいけど、マームのあの独特な繊細さはなかったなぁ。
ということでマームというより味園ユニバースに酔いしれた夜となりました。
あと会場も豪華だったけど、衣装もANREALAGEやsuzuki takayukiで、フライヤーもヒグチユウコと超豪華でした。
そしてもう一つ、歌人の穂村弘とブックデザイナーの名久井直子とのコラボ「ぬいぐるみたちがなんだか変だよと囁いている引っ越しの夜」。
去年の12月に原宿VACANTにて。
これがものすごくよかったです。
VACANTという会場が服屋の上にあるんだけど、屋根裏部屋みたいな雰囲気でとてもよかった。
内容は穂村弘さんの個人史みたいな感じなんだけど、またも青柳いづみの独壇場。
穂村さん自身は出てこないのに、青柳さんが穂村さんの歴史を生まれる前から辿っていく。
あー、俳優って何にでもなれるんやなぁとしみじみ思えた。
中には穂村さんのお父さんも出てくるんだけど、この人の歴史が興味深い。
北海道で生まれ育ってから炭鉱の仕事でドイツに渡り、帰国後結婚し穂村弘を生むんだけど、実はその前にドイツで帰国の際に離れ離れになってしまったドイツ人の恋人の話とかリアルロマンス。穂村さん自身は父親のロマンス聞かされてもって感じかもしれないけど笑
その後仕事の関係で転々と引越しが続くんだけど、実はそれは仕事のせいではなく、お母さんが風水にハマって気のいい方角にどんどん引っ越していたという話はすごかった。
そして、穂村さんがそれまで住んできた家の間取りを記憶を辿りながら書いていくのも面白い。
こういうホーム感覚はマームの根幹をなすものだと思う。
彼らの名前「マームとジプシー」は、マーム=故郷でそれを求めて彷徨う流浪の旅人のよう。
中島みゆきの「時代」の歌詞を思い出します。
旅を続ける人々は いつか故郷に出会う日を
たとえ今夜は倒れても きっと信じてドアを出る
この「故郷に出会う」という表現が彼女独特なんだけど、マームにも通じる気がします。
故郷は、すでにあるものではなくて、自分で見つけ出すものなんですよね。
そのためには動き続けなくてはならない。
(そういえばマームの藤田さんも中島みゆきも北海道出身だったなぁ)
なんだか話はそれそうですが、なんしかこの穂村さんの物語にマームの故郷感が表れていて新鮮でした。
名久井さんの仕上げた今回の本も素晴らしいです。
地点に続き、また追いかけていきたい人たちに出会えました。
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