志賀理江子「ブラインドデート」@丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

やっぱり気になって最終日ギリギリに行っちゃいました、丸亀。
はい、青春18きっぷです。いつになったらやめられるんだろうか。。。
志賀さんの個展は10年以上前にグラフでやってた「リリー」の展示以来。
以前から不気味な写真やなぁと思ってましたが、「螺旋海岸」で極地を極められたんじゃないかと。
写真集買いましたが本当にホラー。恐すぎてあまり見てません。。。
せんだいメディアテークの展示は行けませんでしたが、行った友達が
「鑑賞者とやたら目が合う」
って言ってて、どういうことなんだろうとずっと気になり続けてました。
そしてその視線の問題がいよいよ作品に現前化したのが今回の新作「ブラインドデート」。
タイでバイクタクシーに乗っていたら、バイクに乗ってるカップルと視線がやたら合うことをきっかけに100組以上のカップルを撮影した作品。
作品の詳しい説明はartscapeやPENの記事に詳しく書かれています。
で、展示なんですが、以下会場図面。

なんのこっちゃって感じですが、なんと21台ものスライドプロジェクターを使っています。
入ると会場は暗くて、スライドが回るカシャッって音が鳴り響いてます。
しかもこのスライドがついたり消えたりしてて、正直「見せる気あるのか?」とすら思えたり。。。
ブラインドって言葉を展示に活かしてるんだろうけど、ちょっとどうなの?って感じでした。
不気味感が凄すぎて作品に集中できない。させる気もないんだろうけど。
対照的に奥の空間(写真だと上の部分)では、今回のタイトルにもなってる「ブラインドデート」のプリントが一点一点小さな照明に照らされて展示されてて、これがものすごく良かった。
光が絞られていることによって、さらに写真の中の視線が強調されてて、写真から眼差されているのをひしひしと感じて、一瞬動けなくなります。
それだけ眼差しっていうのは強いんだなぁと実感。
静止した写真というメディア性と彼女たちの無表情がさらに何も読み取れないもどかしさを誘発しています。
「目は言葉以上に語る」と言いますが、写真になるとこれだけ語らなくなるのは面白い発見。
今までの志賀さんの作品って、抽象的な恐さがあったんだけど、今回の作品では眼差しという具体的な対象があって、さらにその視線がこっちを向いているという恐さがとても新鮮でした。
とてもとても強い作品。素晴らしかったです。
それだけにプロジェクターの展示が残念。
もうこの「ブラインドデート」だけに絞って展示しちゃっても良かったと思います。
なんにせよそれだけ力のある作品でした。
最後の通路には志賀さんの手記や、弔いをテーマにしたアンケートなどが壁にびっしり書かれていましたが、ちょっと死や生のテーマに縛られすぎてる感じがしました。まあ、それが彼女の制作を突き動かすモチベーションなのかもしれませんが。
写真集欲しかったけど8640円は高い。。。
来年に発売されるというカタログだけ予約して帰りました。にしても遅いな。。。
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