田中功起 「共にいることの可能性、その試み」 @水戸芸術館

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もう半月以上前になっちゃいましたが東京に行ってきました。
いくつか観てきたのですが、特に「関係性の美学」以降の作家の展示を3つ立て続けに観ました。

まずは水戸芸術館で開催されてる田中功起展。
2013年のヴェニスビエンナーレ日本館の個展で特別表彰を受けて以来初の日本の美術館での大型個展。
それだけにある程度の期待はしていましたが、正直モヤモヤの残る内容でした。
展示空間を、ただの場にしていたインスタレーションとしてみれば相当クオリティが高かったと思います。
しかし内容は、6日間のワークショップの記録を並べたもので、そこで「共同体は可能か」と言った内容が吟味されるのだけれど、あまりに欺瞞的というか、最終的にこの結果は明らかにエラーを起こすことを予期して作られてるように見えて、とても居心地が悪かったです。
あの日本館での美しい調和は完全に失われていました。
今回のテーマは深く震災に根付いています。
これまで裏方だった作家本人も積極的に映像に参加しているしインタビューまで受けてる。
こういう直接的な態度を展覧会で見せることにどういった意味があるんだろうと思ってしまいました。
日本館では、直接関係ないけど、震災にゆるく結びついているという、その関係がとても心に染み渡るようだったんだけど、今回は押し付けがましさすら感じてしまいました。
これから田中さんはこういう方向に作品をシフトしてしまうんだとしたら非常に残念です。
それとも今回直接2011年に被災した水戸芸術館での展示ということでそうしたのでしょうか。
ちょっと腑に落ちない展示でした。
とはいえ貴重な機会なので水戸は遠いけど足を伸ばしてあの場を体験してみるのはいいことだと思います。5月15日まで。こちら


あと、東京都現代美術館でのArtists' Guildを迎えたMOTアニュアル「キセイノセイキ」もまた腑に落ちない展覧会でした。
これも前述の田中さんも出してた2012年のMOTアニュアルが良すぎただけに、どうしても比べてしまう展示ですね。
美術館批判とも取れる内容を美術館でやってるだけに、説得力がないしあまりにドメスティック。
風桶の時は、各作家の作品同士がうまく手を結び合ってる印象があったんだけど、今回のは全然その感覚がなかった。
すんごい大まかな傾向のものを同じフォルダーにとりあえず詰めちゃった感じ。
同時にピクサー展やってたけど、そっちから流れてきたお客さん相当引くんだろうなぁと。。。5月29日まで。


もひとつオペラシティでやってたサイモン・フジワラ展もひどかった。。。
田中さん同様空間の使い方は抜群にうまくて、ひとつの展示空間に様々な物質が置かれてる様は爽快。
ただ、作品として、過去の作品のダイジェストみたいな感じで、ウェブサイトの作品紹介をマウスでクリックしながらスラスラ見ていくような感じで、現実の展覧会としてのダイナミックさは皆無。
彼のルーツの断片でもある日本での初の大きな個展なのに、なんでこうなったのか残念。。。
今度はがっつり新作で大きな個展を観てみたいです。こちらは既に終了済み。


これらの展示があんまりだったのは、僕の興味がここ数年でまた変異したせいもあると思います。
震災以降特に作家自ら、作家であること、作品を作ることという、根源的な問いを改めて突き詰めて、これまで自明と思われてきた制度に改めて真っ向勝負を挑んていくような、田中さんを始めとする作家の姿に心動かされた時期もありましたが、あれから5年が経過して、揺り戻しで純粋に美しいと思えるものを観てみたいという欲求が出てきたように思います。
あの日本館の展示をピークにして、作家たちの自意識的な展示を観ても感想が出てこない自分がいます。
最近発売になった「地域アート」の本も読んでみましたが、これまたドメスティックすぎて、全然内容が入らず。というか、この本の主題である「地域アート」の源流を築いたとも言える北川フラムさんが参加してない時点でこれを本にまでする価値があるのかっていう内容。ただただファミレスかどっかで作家たちが内輪であーだこーだ言ってるだけに思えて辟易しました。


その点で今回最も良かったのは自分でも意外な横浜美術館での村上隆コレクション展
森美での自身の展覧会がひどかったのでどうだろうと思いつつ友人に勧められて横浜へ。
結果的に、この美術館で観た展示の中で一番良かったと言えるぐらい良かった。
やはり作家だけあって展示の仕方が本当にうまくて唸りました。
あのどうしようもない入り口の大空間も、キーファーや李禹煥等のインスタレーションでビシッと決まってたし、何よりあの膨大な作品たちをほとんどストレスもなく観られたのは本当に奇跡。
普段より壁にかかってる平面も多いし、作品と作品の隙間だって本当に狭いのに不思議と干渉していない。
やはり村上さんはディレクション力がすごいんだと改めて思いました。
そしてコレクションの内容も凄すぎた。。。
でも、なんかすごいコレクションに愛情を感じたし、見せびらかされてる感じが全然なかった。
これは杉本博司とは全く違うところですね。
杉本さんのコレクションは、あくまで自分の趣味の良さと、それらを自身の作品の正当化に結びつける口実に見えてしまう部分があるんだけど、村上コレクション展では、自身の作品が一切展示されてないし、え、こんなんも持ってるの?っていう村上隆のイメージとは全く違うものが幾つかあって面白かったですね。
小泉明朗さんやミカ・ロッテンバーグの作品を持ってるのは意外だったなー。キーファーもね。
帰りのショップで思わず展覧会に出ていた尾形アツシさんの飯茶碗を買ってしまった。
とても気持ち良い展覧会でした。こちらも既に終了済み。


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