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地点「スポーツ劇」@ロームシアター京都

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地点の新作の舞台を観に京都へ。
地点は昨年の8月の「茨姫」以降、11月の「ミステリヤ・ブッフ」に1月の「フィデリオ」と次々と新作を発表し続けていて、一応全て拝見しているけれど、よくもまあこれだけのものを短期間で作られるなと、ちょっと想像を絶しすぎる仕事量に呆然とする。
しかも同時並行でアンダースローでのレパートリーの演目もある。彼らは一体人間なんだろうかとすら思えてくる。
その新作群の中でも、この「スポーツ劇」はひときわ力が入っている。
何と言っても「光のない。」のメンバーが再び顔を揃える豪華絢爛な内容。
イェリネクのテキストに三輪眞弘の音楽、木津潤平の舞台美術、コレット・ウシャールの衣装、そして地点。
この3月は毎年横浜のKAATと新作を発表しているけれど、その時期とKYOTO EXPERIMENTがかぶさり、京都が初演という関西に住む人間としては喜ばしい出来事となった。
ちなみに昨年のKAATとのコラボレーション「三人姉妹」は観られず涙を飲んだので今回は楽しみで仕方なかった。
ということで以下ネタバレなので読みたい人だけどうぞ。

まず入るとスキーのジャンプ台のごとくかなり勾配のついた人工芝の舞台が目に入る。
そしてその前にネットが張られていて、舞台の始まる前は60秒を刻む映像が流れていて、確か60秒経ったら笛が鳴ってた気がする。始まる前からすでに始まっている。
やがて、上のフロアに古代ギリシャを思わせるような衣装を着た男女が7人ずつ現れる。舞台に向かって左が男、右が女。これが今回三輪眞弘が手がける音楽を奏でる演奏者たち。とはいえ彼らに楽器が与えられているわけではなく、使用するのは7色の筒と声、身体のみ。この筒も陸上のバトンやオリンピックの聖火を思わせる。彼らは決められたアルゴリズムによって、舞台中互いに音を奏で合う。
そして開演、客席の後ろから演者たちが舞台に向かって登場。
舞台の急勾配を上ったり転げ落ちたりしながら演じられる「スポーツ劇」。
演者はセリフを放つ時必ず反復横跳びをしながら話さなければならないというルールがあるらしい。
もう、見ているだけで胸が苦しくなるほど、彼らはひたすら息を切らして演じ続ける。
2時間たっぷり体力の限界まで繰り広げられる壮絶な舞台だった。
初めて地点を見た時、彼らの台詞回しや地点語と呼ばれる独特の節に舌を巻いたものだけれど、今やそれはとても自然に僕の鼓膜を震わせる。
ものすごいセリフ量なのに、何を言ってるのかほとんどわからない。なのに終わった頃には何か身体に言葉が染み渡っている感覚がある。
特に今回はイェリネクのテキスト。
スポーツをメタファーにして、そこでは戦争が語られる。
「私は頑丈な岸辺ではありません。」
それは、2020年の東京でのオリンピックを目前に控え、国家掲揚を讃えるがごとく戦前のような空気感に包まれている我が国の状況が反映されているかのよう。「光のない。」も原発事故が一つのテーマだったけれど。
果たして彼らは何を演じているのだろう。
彼ら一人一人に何となくの設定はあるけれど、キャラクターと言えるほど強固なものではない。
舞台上の7人はつかず離れずの「関係」を維持している。
しかし、ラスト、必死に手を握り合う場面は圧巻だった。
それまで同じ舞台上であれ、別の世界を生きているような7人が、あの場面だけ、いきなり全員が同じ世界に登場したような感覚があった。
確かに彼らは演じている。
決められたセリフがあり、決められた動きがある。
そうでないと、途中で誰か蹴飛ばしたり踏んづけたりしそうな際どい距離感を絶妙に立ち回っている。
今回の舞台は文字通り、スポーツであり、劇であった。
あれだけ身体を酷使した舞台をやってのける地点というグループはちょっと別次元すぎて、僕はただ彼らの活動を傍観するしか術がないけれど、今後も改めて楽しみになった素晴らしい舞台。
次回は3月11日から21日まで、横浜のKAATにて上演されるのでまだの方は是非。こちら
しかしあんなハードな舞台を連続でやるなんてちょっと心配になるな。。。


同日@kcuaで開催中のグイド・ヴァン・デル・ウェルヴェと奥村雄樹の展示を観て、ちょうど両作家の仕事が今回の地点の演目と通じる部分があって興味深かった。
グイドはオランダの作家で僕は知らなかったのだけど、とてもポエティックな映像を作っている。
フランシス・アリスと似ているところはあるのだけれど、決定的に違うのは、グイドの映像は圧倒的に身体的であるという点。
まあ、アリスもハリケーンの中に突っ込んでいったり体張ってるんだけれど、グイドの場合はアスリート的な体の張り方。
多分今回メインだった1時間近い「郷愁」では、トライアスロン(水泳27km、自転車1400km、マラソン289km)をやってのけてるし、2階の「暇つぶし」では、世界一高いエベレストと同じ8848m分ベッドに上り下りを繰り返し、世界一深いマリアナ海溝と同じ10911m分浴槽に使ったり出たりを繰り返し、はたまた自宅の周りを12時間もひたすら100km走り続けるなど、詩的なんだけれどものすごい体力がそこに注がれている。
また奥村さんの作品は、河原温ならぬ、河名温という人物との交流を描いた「グリニッジの光りを離れて」という小説の朗読劇が、会場に設置されたスピーカーから聞こえてくるサウンドインスタレーション。
展覧会タイトルが「な」となっているように、朗読中「な」のところだけ微妙に意識して発音されている。
両展示は3月21日まで。こちら


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