ピーター・ブルック「BATTLEFIELD」@新国立劇場
帰国以来初の東京に行ってきました。
色々目的はありましたが、現地で見つけて思わず駆けつけたのがこのピーター・ブルックの新作です。
ブルックは以前「魔笛」を見て以来ですが、また観てみたいと思ってたのでタイミングが合ってラッキーでした。
今回の舞台は、1985年に発表した伝説の「マハーバーラタ」の続編とも言えるもの。
ただし、「マハーバーラタ」が9時間を超える超大作なのに対して今回はたった70分の舞台。
今回もそぎ落とし方が半端なかった。
舞台装置は布と棒のみ。
この布が川になったり炎になったりミミズになったりと大忙し。
「魔笛」でも竹の使い方が印象的でしたが、観客も想像力を試されているかのような挑発的な演出。
内容も、演劇というか、ストーリーテリングという感じで、演者の演技もこれが演技なのか?と考えさせられる。
棒読みとまでいかないけれど、感情が篭ってるような篭ってないような微妙なテンションが終始続く。
そもそも演技の定義とは?という根源的な問いが湧いてくる。
あとは土取利行さんのジャンベという西アフリカの太鼓の音が印象的。
最後、演者も観客のように座り込み、土取さんの太鼓を聞き入るシーンは、観客と舞台の垣根が超える瞬間を見た気がした。
ひたすら単調だし、特に起伏も感じられないし、終わった後も感動がこみ上げてくるということもないんだけれど、見ながらいろんな思考が巡っていって、この演目の隙間を自分で埋めていかざるをえない演出はやっぱり巧みだと思う。まあ、それがあざといと云う印象もなくはないんだけれど、退屈さは感じずに70分過ごせました。
今年で90歳のブルック。本当にその活発さには感服ですが、彼が生で演出している舞台はできるだけこれから見続けたいなと思いますね。
会場ではこの舞台に合わせたカタログも販売されてて、これまでの軌跡をたくさんのレビュアーがテキストを寄せてるとても充実した内容で思わず買ってしまった。これが2000円なんて安い!
なんとか観られて良かったです。
以下今回の上京で観てきたリスト。
・地点×空間現代「ミステリヤ・ブッフ」@にしすがも創造舎
今回の上京のメインの目的がこれ。
「ファッツァー」以来の地点×空間現代。
今回はマヤコフスキーの革命劇です。
これまで何本も地点の舞台を観てきていますが、円形舞台は初めて。
今回もまた大に叫び、大に走り、大いなるエネルギーに満ちた舞台で大満足。
・日産アートアワード2015@BankART
ミヤギフトシが圧倒的だった。
あのスペクタクルな空間を諸共しない静謐な世界。
普段なら5分以上ある映像ってほぼ見ないけれど、22分釘付けだった。
ファイナリストになった毛利悠子の作品は、リサーチの方が面白かった。
・鴻池朋子個展「根源的暴力」@神奈川県民ホールギャラリー
昔オペラシティでやってた展覧会が素晴らしかったので期待してたけど、かなり期待はずれだった。。。
・鏡―Reflected Images@川崎市民ミュージアム
出てる作家とテーマが気になったのでわざわざ行ったけど、ただただ作品が陳列されてるって感じの展示でがっかり。
・Re: play 1972/2015―「映像表現 '72」展、再演 @東京国立近代美術館
なんで今1972年に開催された幻の展覧会を再演するのかと思って観に行ったけど、むしろこの美術館が最近続けている「美術館の裏側」的な展覧会だった。映像作品を保存や修復するのがいかに大変か的な。
確かにそういう美術館の裏側って興味深くはあるんだけど、ひたすら続けられると食傷気味かも。
山中信夫のあの作品が見られたのは良かった。
上でやってる「藤田嗣治、全所蔵作品展示」はすごかった。
ちなみに最近オダジョーがやってる「Foujita」を映画館で見たけれど、B級を通り過ぎてC級な映画だった。
・村上隆の五百羅漢図@森美術館
せっかくなのでと思ってみたけど、何を観たらいいのかさっぱりわからなくて15分ぐらいで出てしまった。。。
「観るべきものは何もない」ことを徹底しているとすればすごい。
・LABYRINTH OF UNDERCOVER @ 東京オペラシティアートギャラリー
ブルック観たついでに行ったけど相変わらずこのブランドの魅力がわからないまま。
次のサイモン・フジワラ展は非常に楽しみ。
以上。
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