William Kentridge @ Museum Haus Konstruktiv









チューリッヒのHaus Konstruktivで開催中のケントリッジの個展。
昨年京都で観た時あまり入り込めなかったので、正直あまり期待せず来訪。
展示の内容も、数年前に彼が舞台美術を手がけたNYメトロポリタンオペラのゴーゴリ原作「鼻」に関するもので、なんや新作ちゃうんかぁと内容からもテンション低め。
まず入ったらマルチスクリーンによる映像インスタレーションでいつもの感じ。
しばらく見て上の階へ。こっからテンションがめっちゃ上がりました。
この「鼻」の映像のために作られた、ドローイングや彫刻などが資料のように展示されてるのだけど、改めて彼の造形センスに舌を巻きました。
特にブロンズで作られた彫刻は素晴らしかった。
ブロンズって素材自体があまり好きじゃないんだけど、彼の生み出す造形との一体感が素晴らしい。
平面も、タペストリーのようなものからシンプルなものまでどれも素晴らしかった。
ベタな素材でも造形によってここまで魅せられるのは、加藤泉さんの仕事に近いなと思います。
彼もキャンバスに油彩とか木彫とか、昔からある超ベタな手法にも関わらず、あの卓越した造形センスで、マテリアルや手法を超越した「それそのもの」にしてしまう、力技とも言えるやり方で観客を魅了してしまう。
逆に、観てませんがこないだまで横浜美術館でやってた石田尚志さんは、この造形の部分に違和感がものすごく個人的にはあって、彼のあの抽象「っぽさ」が、何か誤魔化されてる感じがするんですよね。引き合いに出して申し訳ないけど正直な感想。
それにしても、そもそも「鼻」という主題は、ゴーゴリの原作の上の言わば二次創作であるにも関わらず、ここまで自分のものにしてしまうのがすごい。そして彼を美術監督に任命したNYメトロポリタンはすごい。オペラも観てみたくなってしまいました。
なにはともあれ、改めてケントリッジすごい作家だなぁと思わされた展覧会。9月6日まで。
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