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第9回ヒロシマ賞受賞記念 ドリス・サルセド展@広島市現代美術館

IMG_2923.jpg

「あの日」から今日でちょうど69年が経ちました。
今日の広島は雨。この日に雨が降ったのは43年ぶりだそうです。
確かに毎年式典をテレビで見てますが、カンカン照りで蝉がガンガン鳴いてる印象があります。
今日の式典はいつもと違って蝉の声も小さく、静かな印象でした。
もし「あの日」にも雨が降っていたら、広島に原爆が落とされることはなかったでしょう。
そしてその後に黒い雨も降ることはなかったでしょう。

そんな広島の現代美術館で現在第9回となる「ヒロシマ賞」の受賞記念展が開催されています。
3年に一度、創造を通して世界に平和を訴えている作家に与えられる賞。
ここまで明確なコンセプトの元で与えられる賞というのも世界的に珍しいかもしれません。
今年の受賞者はコロンビアのドリス・サルセド。
2007年のテートモダンで発表した、床を割った作品は忘れられません。
そんな彼女の作品が日本で見られるなんてと発表当時から楽しみにしていました。

彼女は自国に蔓延する暴力とひたすら向き合ってきました。
コロンビアでは、暴力が日常化していて、必要悪とすら見なされることもあるそうです。
しかし、暴力というのは、確実に絶対悪です。
その当たり前のことが通じない場所が世界の至る所にあります。
彼女はその途方もない暴力と対峙し膨大なエネルギーで作品を制作しています。
その分規模の大きいものが多いので、今回この美術館でどのように展示されるのか気になっていました。

行く前に知人が行っていて、事前に作品と言えるものは2点しかないと聞かされていました。
しかもいつも企画展示をしている場所ではなく、地下の常設展示室。
少し不安を覚えつつ広島へ。

チケットカウンターを通るとまずはこれまでの作品の写真。
そして、2点のうちの1点「ア・フロール・デ・ピエル」が一室を埋めています。
これは、特殊な加工をしたバラの花びらを一枚一枚繋ぎ合わせて、15m四方の大きさまで広げたもの。
これが床に皺を帯びながら敷かれています。
この花びらの状態が不思議で、フレッシュとは言えないまでも、決してドライフラワーのような死んだような印象もなく、生と死のあわいの状態で留まっている感じ。
また作品の状態も、吊るでもなく、壁に貼るでもなく、床に敷かれているっていうのがいいなと思いました。
しかも綺麗に敷かれるのではなく、しわくちゃの状態で敷かれているのです。
彼女はインスタレーション能力が非常に高い作家ですね。
ただ、この作品は、彼女の作品にしては今ひとつ何かが足りない印象がありました。
少し消化不良のまま地下へ。

地下へ入ると、2つの机が上下で組合わさったものがずらーっと展示室を埋めていました。
「プレガリア・ムーダ」という作品です。
机と机の間には土があって、上の裏返された机に開いた穴から植物が生えています。
実際この展示期間中に植物は成長するらしいので、会期間際どうなってるのか見てみたい。
それにしても、この展示にはやられました。
なんで、わざわざ企画展示室ではなく常設展示室なんやろうと思っていましたが、このインスタレーションを見て納得。彼女のインスタレーション能力が遺憾なく発揮されています。
というのも、この部屋、実際普通の展示には使いにくいんですよね。
真ん中に上から降りてくる階段があるので、展示室全体は見渡せないし、導線も悪い。
まあ、この黒川記章の建築は全体的に導線最悪なんですが。。。
この最悪な導線をさらにこの机たちがかき乱しているんです。
観客は、この机たちの間を縫うようにジグザグに進むしかなく、もはや導線は消失。
さらに、全体を見渡せない中、この机たちがあらゆる空間を埋めているので、どこまで続くのかわからない不安が湧いてきます。
僕の中の優れたインスタレーションの定義のひとつに、自分がその場にいながらどこにいるのかわからなくさせるってのがあるんですが、この作品はまさにそう。
この作品自体は何回かいろんな場所で展示されていますが、写真を見ていて、開けた場所よりも、こういった閉塞感を覚える場所でやった方がこの作品は生えるなと思いました。
久々にやられてしまいました。やっぱり彼女はすごい。

とまあ、2作とは言え十分見応えのある展覧会です。
広島遠いけど是非行ってみてください。
現在企画展示室ではコレクション展が開催中ですが、正直あんまりでした。
いつもここのコレクション展は企画展を凌駕する程面白かったりするのに珍しい。
会期終了間際に被ってくる「戦後日本住宅伝説−挑発する家・内省する家−」と併せて行くべきかも。
ドリス・サルセド展は10月13日まで。
http://www.hiroshima-moca.jp/doris_salcedo/


次のヒロシマ賞も楽しみ。個人的には内藤礼さんかなぁとか思ってたり。
彼女は広島出身で、昨年初めて広島で広島に関する作品を制作したそうだし。
気は早いですが、末永く続けて欲しい賞ですね。

久々のレビュー記事でした。

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