地点「悪霊」@ KAAT

休止中ですが書きたいものは構わず書きます。
ということで、横浜で観た地点のレビューです。
まだ公演中ということもありネタバレ抑制の為読みたい人だけどうぞ。
京都を本拠地にしながら世界を股にかけて活躍する舞台集団「地点」。
このブログでも何度か取り上げていますが、昨年彼らの基地である「アンダースロー」ができてからというもの加速度的にハマりまくってます。
この「アンダースロー」では過去の作品もやってくれるので、取りこぼしたものを観れるのは本当にありがたい。
やはり舞台ものは、一度見逃すと映像とかでしか観れないし、舞台は生ものなので映像では中々伝わりづらい。
もちろん公演場所も違うのである程度の差異はあるものの、再演はありがたいわけです。
しかし、ここ数年、神奈川芸術劇場(以下KAAT)とのコラボ作品の再演は今のところ行われていません。
2011年から始まったこのコラボ。
初回は芥川龍之介の小説を基にした「Kappa/或小説」(2011)、太宰治の短編を基にした「トカトントンと」(2012)、「駈込ミ訴ヘ」(2013)、そして今年地点とKAATのコラボは4年目へ。
4度目に選ばれたのはドストエフスキーの「悪霊」。
ドストエフスキーも好きだし、地点も大好きな自分としてはどうしても見逃したくない舞台でした。
「悪霊」ってドストエフスキーの中でも特に難解で陰鬱なトーンの漂う小説なんですよね。
「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」、「白痴」なんかはテンポ感もあって長いなりにスラスラ読めるんですが、この「悪霊」に関しては中々進まなかった記憶があります。
そんな小説をどう料理するのか非常に楽しみでした。
会場に入ると舞台にはすでにハラハラと発泡スチロールの雪が降っていました。
そして時間になり開演、ということもなく、阿部聡子さんが舞台をひたすら走って周回。
何周かしたところで舞台アナウンスがなって、どこからが公演のスタートなのかわからない。
これは、ソフィア・コッポラの「SOMEWHERE」でも、始まりがレースカーがひたすら走り回っていて、映画が始まらないという始まり方をしていたのを思い出しました。
そして、舞台に一人二人と演者が増えていくのですが、小林洋平さんが「メルシー!」と叫びながら雪の中から演者を引っ張りだしてくるのは圧巻でした。
最終的に9人の演者が登場するこの舞台。いつもは5人(+1)ぐらいなんですが、客演に3名プラスです。
自分的にこの舞台の最も着目すべき点は、発話の難解さです。
いかに、演者に話しにくくさせるかというのが裏テーマなんじゃないかというぐらい。
まずは、この舞台、数名を除いてよく動きます。
特に阿部聡子さんの運動量半端ない。あれは辛そう。。。
とにかく舞台の周りをひたすら走る走る。最終的に何周したのでしょうか。
息が切れながらも台詞は続いていく。
そして、舞台衣装が柔道着をイメージしたようになってて、実際取っ組み合いがそこここで起こります。
なんだったら、喋ってる人の口を別の人が塞いだりして、とにかく発話の邪魔ばかり笑
服を頭から被せられる場合もあって、服越しにくぐもった声がします。
それから、舞台中ずっと降り続ける雪です。
演者の喋ってるところにどんどん降り積もっていって口にも入ってると思います。
様々な要素が彼らの発話の邪魔をする。しかしそれでも彼らは話し続ける。
地点語とも呼ばれるあの独特の台詞回しに対して、物理的に自分たちで攻撃を加えてるようで面白かったです。
あとはやはり木津潤平さんの作る舞台美術があまりに美しかった。
舞台の中に窪みがあって、そこもすごい効果的。
窪みの中は観客席からは見えなくて、そこに埋もれてた人がいきなり出てくるとか、声だけするとか。
降り続く雪越しに観る演者達も美しくて、まどろんでしまいました。
最後の全員が走って終わるあの終わり方には本当に鳥肌が立ちましたね。
しかし、これが「悪霊」?と言われると首を傾げざるを得ないかも。
確かに「ロシア的」とかいう台詞も現れるし、役名もあるけれど、別に忠実に1から100までやってるわけではない(やってたら100分では終わらない)ので、ドストエフスキーファンとして期待して行くと難しいかも。
あと、今回のその発話問題は、面白くもあったけれど、やはり普通に何を言ってるのかひたすらわからないので、間延び感はあったかなぁ、と。
地点の台詞はまあ、いつもわからないっちゃわからないんですが、今回みたいに物理的にわからないのとでは全く違うなと思いました。
諸刃の剣。これを今後どう生かすかは課題かもしれません。未来の地点に期待。
さて、今後またアンダースローでいくつかやるので観ていきたいと思います。
1月に観た「ファッツァー」は最高でした。
この人たちの舞台が近場の京都にあるってのは僕にとっては本当に幸せです。
この「悪霊」は23日までやってます。関東の方は是非地点を知ってもらう上でもおすすめです!
当日券もあるみたいですが、まだ前売りも買えるようです。コチラ。
夏にはシェイクスピアの『コリオレイナス」も関東で再演するみたいです。要チェック。
地点website>>http://chiten.org
<関連記事>
地点「CHITENの近未来語」@アンダースロー
地点「かもめ」@ Cafe Montage
地点「コリオレイナス」@京都府立府民ホールアルティ
地点「――ところでアルトーさん、」@京都芸術センター
このブログでも何度か取り上げていますが、昨年彼らの基地である「アンダースロー」ができてからというもの加速度的にハマりまくってます。
この「アンダースロー」では過去の作品もやってくれるので、取りこぼしたものを観れるのは本当にありがたい。
やはり舞台ものは、一度見逃すと映像とかでしか観れないし、舞台は生ものなので映像では中々伝わりづらい。
もちろん公演場所も違うのである程度の差異はあるものの、再演はありがたいわけです。
しかし、ここ数年、神奈川芸術劇場(以下KAAT)とのコラボ作品の再演は今のところ行われていません。
2011年から始まったこのコラボ。
初回は芥川龍之介の小説を基にした「Kappa/或小説」(2011)、太宰治の短編を基にした「トカトントンと」(2012)、「駈込ミ訴ヘ」(2013)、そして今年地点とKAATのコラボは4年目へ。
4度目に選ばれたのはドストエフスキーの「悪霊」。
ドストエフスキーも好きだし、地点も大好きな自分としてはどうしても見逃したくない舞台でした。
「悪霊」ってドストエフスキーの中でも特に難解で陰鬱なトーンの漂う小説なんですよね。
「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」、「白痴」なんかはテンポ感もあって長いなりにスラスラ読めるんですが、この「悪霊」に関しては中々進まなかった記憶があります。
そんな小説をどう料理するのか非常に楽しみでした。
会場に入ると舞台にはすでにハラハラと発泡スチロールの雪が降っていました。
そして時間になり開演、ということもなく、阿部聡子さんが舞台をひたすら走って周回。
何周かしたところで舞台アナウンスがなって、どこからが公演のスタートなのかわからない。
これは、ソフィア・コッポラの「SOMEWHERE」でも、始まりがレースカーがひたすら走り回っていて、映画が始まらないという始まり方をしていたのを思い出しました。
そして、舞台に一人二人と演者が増えていくのですが、小林洋平さんが「メルシー!」と叫びながら雪の中から演者を引っ張りだしてくるのは圧巻でした。
最終的に9人の演者が登場するこの舞台。いつもは5人(+1)ぐらいなんですが、客演に3名プラスです。
自分的にこの舞台の最も着目すべき点は、発話の難解さです。
いかに、演者に話しにくくさせるかというのが裏テーマなんじゃないかというぐらい。
まずは、この舞台、数名を除いてよく動きます。
特に阿部聡子さんの運動量半端ない。あれは辛そう。。。
とにかく舞台の周りをひたすら走る走る。最終的に何周したのでしょうか。
息が切れながらも台詞は続いていく。
そして、舞台衣装が柔道着をイメージしたようになってて、実際取っ組み合いがそこここで起こります。
なんだったら、喋ってる人の口を別の人が塞いだりして、とにかく発話の邪魔ばかり笑
服を頭から被せられる場合もあって、服越しにくぐもった声がします。
それから、舞台中ずっと降り続ける雪です。
演者の喋ってるところにどんどん降り積もっていって口にも入ってると思います。
様々な要素が彼らの発話の邪魔をする。しかしそれでも彼らは話し続ける。
地点語とも呼ばれるあの独特の台詞回しに対して、物理的に自分たちで攻撃を加えてるようで面白かったです。
あとはやはり木津潤平さんの作る舞台美術があまりに美しかった。
舞台の中に窪みがあって、そこもすごい効果的。
窪みの中は観客席からは見えなくて、そこに埋もれてた人がいきなり出てくるとか、声だけするとか。
降り続く雪越しに観る演者達も美しくて、まどろんでしまいました。
最後の全員が走って終わるあの終わり方には本当に鳥肌が立ちましたね。
しかし、これが「悪霊」?と言われると首を傾げざるを得ないかも。
確かに「ロシア的」とかいう台詞も現れるし、役名もあるけれど、別に忠実に1から100までやってるわけではない(やってたら100分では終わらない)ので、ドストエフスキーファンとして期待して行くと難しいかも。
あと、今回のその発話問題は、面白くもあったけれど、やはり普通に何を言ってるのかひたすらわからないので、間延び感はあったかなぁ、と。
地点の台詞はまあ、いつもわからないっちゃわからないんですが、今回みたいに物理的にわからないのとでは全く違うなと思いました。
諸刃の剣。これを今後どう生かすかは課題かもしれません。未来の地点に期待。
さて、今後またアンダースローでいくつかやるので観ていきたいと思います。
1月に観た「ファッツァー」は最高でした。
この人たちの舞台が近場の京都にあるってのは僕にとっては本当に幸せです。
この「悪霊」は23日までやってます。関東の方は是非地点を知ってもらう上でもおすすめです!
当日券もあるみたいですが、まだ前売りも買えるようです。コチラ。
夏にはシェイクスピアの『コリオレイナス」も関東で再演するみたいです。要チェック。
地点website>>http://chiten.org
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地点「CHITENの近未来語」@アンダースロー
地点「かもめ」@ Cafe Montage
地点「コリオレイナス」@京都府立府民ホールアルティ
地点「――ところでアルトーさん、」@京都芸術センター