地点「CHITENの近未来語」@アンダースロー









この夏オープンしたばかりの地点の稽古場、及び発表の場「アンダースロー」に行ってきました!
京都は北白川にあるビルの地下にそれはあります。
演劇は門外漢なんですが、発表の場を自前で持つカンパニーって結構あるんでしょうか。
地点は演出家の三浦さんと演者5名、スタッフ数名の小さなカンパニーでこれは異例なのでは。
でも確かに毎回毎回稽古場借りて、発表する度に会場アレンジしたりすることを考えれば、もしかしたら自分たちでそういう場を持っちゃう方が時間もお金もかなり効率がいいのかもしれません。
しかし、内装が凄い凝ってて、使われてる材とかもすごく良さそう。
どんなものが飛び出すのか始まる前から期待が高まります。
今回の舞台は新作で、その日の新聞をモチーフにして展開します。
なので毎日内容は変わる、この場所ならではの実験的な舞台。
選ばれる記事は、ほとんどアドリブなのか、隣に演出家の三浦さんが座ってらしたけど、普通に笑ってたし笑
その日は8月9日で、長崎の記念式典のニュースはもちろんのこと、やくざの裁判の記事や、甲子園の記事、広告までくまなく取り上げられ、新聞の見方が変わりそうなぐらいのインパクトでした。
これまで地点は過去の小説や戯曲をテーマに展開していたけれど、こうして所謂詩的ではないものを題材に選ぶことで、より地点らしさが出てる気がしてとても興味深かったです。
テキストというものがこれほどまでに展開されるものなのかと本当に驚きました。
また、タイトルにもあるように地点が現在(今日の新聞)を通して未来にまで馳せてるのは新しかった。
小松左京のSF小説を新聞と絡ませて、果ては宇宙まで展開するんですが、椅子と新聞の小道具のみでここまでダイナミックに見せられるのは本当にすごい。
新聞はまた、どんどん過去になっていくメタファーとしてもおもしろいモチーフですね。
それから、やはり自身のホーム公演ということもあり、これまで以上に演者と観客の距離が近く、見ていてとても心地よい空気ができてました。舞台と観客席に敷居がないのもすごいですよね。
これまで見てきた彼らの舞台の中で最も地点の哲学が凝縮されたものだったように感じました。
この舞台は17、18と21から24日まで上演されます。
アンダースローもとてもおもしろい場所ですし、この演目は相当素晴らしいので是非。
予約は地点公式HPから。こちら。
あと、昨日で終わってしまいましたが、丸太町にあるCafe Montageでも、お盆に併せて、前述の「近未来語」の姉妹版「近現代語」にも行ってきました。
こちらは、日本が明示以降近代に向けて邁進する様を描いたもので、大日本帝国憲法から玉音放送までがモチーフとなり、これも今までとは違い詩的ではないものが選ばれている点で興味深かったですが、これは今まで見た地点の中ではかなり「重い」舞台でした。観ていて恐怖すら感じる程の舞台でしたね。
昨日の8月15日に観たんですが、終戦記念日ということもあって、色々考えさせられました。
最後に「近未来語」の宣伝も兼ねて冒頭だけ演じられたのはおもしろかった。一気に和みました。
観客席の中にやなぎみわさんもいらっしゃいましたが、彼女も近年近代をテーマにした演劇を手がけているだけに何か思うところがあったかもしれませんね。
それにしても今年既に4回も地点の作品を観ていますが全く飽きない!ドはまりしてます。
この3月のKAATの舞台は観ていませんが、この「近未来語」が終わった次の日25日には、三浦さん演出で演者の安部聡子さんと朗読劇がCafe Montageであったり、来月もビューヒナーの「レンツ」を朗読劇にしたり、10月に再びアンダースローで新作「ファッツァー」も発表されるし、と、本当に息つく暇もないスケジュール。三浦さんの凄まじい創作意欲もさることながら、演者の方々はあの台詞量を一体どうやって覚えているのか。。。。
観ていて刺激をもらえるカンパニーです。これからもついて行きます!
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