Bruder-Klaus-Feldkapple by Peter Zumthor












ルネサンス芸術もクリストも、ずっと見てみたいと願っていたものでしたが、この行脚の最大の目的はピーター・ズントーの建築巡礼でした。
ズントーに関してはこちらで散々語ってるので参考までに。
ロンドンにいた頃、帰国前の最後のデザートにと残しておいたら、いつの間にか時を逃して結局行けず終いとなってしまったのです。美味しいものは最後に残す一人っ子のくせが仇となりました。
いつか行かなくてはと思い続け、ついに実現。
順番は前後しましたが、まずはデュッセルドルフから1時間弱のEuskirchenという駅からタクシーで20分ほどの僻地にある小さな教会へ。
タクシーに乗ってる間、畑しか見当たらずホンマかいなと不安になりつつも無事到着。
車が停められるのは、教会から少し離れたところで、そこからさらに15分ほど歩きます。
麦畑越しに見えるその姿。気分は高まります。
そしてついに到着。ついについに辿り着きました。
この教会ができたのは2007年。僕の帰国の直前で、初めて写真を見た時の衝撃は忘れられません。
まずは木を組んで、その上から村人と土を混ぜたコンクリートを時間をかけてもっていきます。コンクリートが乾いたら最後に中の木組を燃やして完成。21世紀とは思えないほどのアナログな方法で立ち上がったそれは、出来上がった瞬間から、まるでそこに数百年も前からあったような風格を漂わせながら誕生したのです。
それから6年ほど経ち、さらに風格を帯びていました。
壁にはいくつか穴が開いていて、その理由は中に入るとわかります。
心を整えて中へ。
中は10人も入れないほどの小ささ。
完成直後の中の壁の表面は焦げて真っ黒でしたが、今ではほとんどその煤も空から降り注ぐ雨に洗い流されたようです。
この教会には天井がありません。ローマで見たパンテオンのようですね。雫のような形をした天井の穴と呼応するように、地面には同じ形をした水たまりができていて、行った時はそこに薔薇の花が一輪添えられていました。
外の穴の部分にはガラス玉が埋め込まれていて、その玉が外の光を通して光り輝いていました。
入った時点ですでに1人いて、小さな椅子に腰掛けていたので、僕もしばらく中を見渡してから彼女の隣に腰掛けました。
その途端に涙が溢れてきて、自分でもびっくりしました。
わけもなく溢れてくる涙を止めることができずしばらく泣きました。
気づいたら隣の人も泣いてて、2人言葉を交わすことなくしばらく静かに流れてくる涙をそのままにしました。
あれは何だったのか未だにわかりません。
宗教体験というものなのか何なのか本当にわかりませんが、教会を去って、駐車場に着くまでの道中も涙が止まりませんでした。こんなことは今まで初めてで、かなり戸惑いました。
ズントー建築初体験は一生忘れられないと体験になりました。
その後、先に投稿したケルンのコロンバへ。
こちらはケルン駅から徒歩10分ほど。
ズントー建築の中でも最も行きやすいものかも。
これも2007年開館で、衝撃的な建築でした。
崩れた教会に、まるで継技するように融合した建築。
時を凌駕するズントーならではの方法で、見事な調和を奏でています。
教会の保存、補強、展示も兼ねている一石三鳥なプログラムですね。
中もすごくて、壁の隙間から漏れてくる光が美しすぎます。
さらに展示物も数百年前のものから現代美術まで、シームレスに展示されてて衝撃。美術館としても普通に興味深いです。ちなみに行った時は、リチャード・セラやレベッカ・ホルン、ヤニス・クネリスなどが展示されてました。
展示室もひとつひとつ質が違って、本当に完璧な空間。怖いです。
しかし1日にズントー2つはお腹いっぱいすぎました。。。
ズントーは想像を遥かに超えた存在でした。
この先あといくつか見てきます。
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