地点「かもめ」@ Cafe Montage

地点の「かもめ」を観てきました。
チェーホフの同題の短編を元にして作られたこの舞台は、以前から何度も演じられていて、場所によって様々なアプローチで挑んでいます。
自分は以前京都芸術センターの茶室でやった時にチケットまで取ったのに都合が合わず観に行けなくてくやしい思いをしたので、今回またやると聞いて駆けつけました。
会場となったCafe Montageは京都の丸太町近くに昨年オープンしたばかりの、その名の通りカフェなんですが、クラシックの演奏を中心に、こういった演劇なんかも催していて、僕が行った5月7日はちょうど、その一年前に地点がここのこけら落としをした日で、公演後にワインやシャンパンも振る舞われてラッキーでした。
カフェなんで40席ぐらいしかないんですが、とてもいい雰囲気でどの席からもよく観れました。
内装もすごくおしゃれでカフェであることを公演中は忘れてしまうほど。
またカフェとしても利用してみたいですね。
さて、本題の「かもめ」ですが、やはり今回も圧倒されました。
地点は、ホールからこういったカフェまで含めて大小様々な会場でやってるけれど、どの会場で観ても圧倒されてしまう。
それは、あの圧倒的な、まるで言葉が本来の意味からはがれ落ちて脱構築されていく程の台詞まわしだけではなく、演出もすごく美しくて、今回みたいな会場では決して大掛かりなことはできないけれど、いくつか印象的な演出がなされていて、1時間まったく飽きさせません。羽が舞うシーンとかすごく美しかった。
地点の魅力は、国も時代もあっさりと凌駕してしまう所にあります。
例えば今回の場合、舞台は19世紀末から20世紀初頭のロシアですが、それがいい意味で関係なくなっちゃうんですよね。なんか純粋にそういうコンテキストとかも抜きにして観れてしまう。
やはり普通の舞台だったらそのコンテキストが重要になってきたりするところですが、僕は実際チェーホフを読まずにこの舞台を観ましたし、それでも十二分におもしろい。
終演後に実際のチェーホフの「かもめ」の本を買ったのですが、結構台詞がそのままで驚きでした。そのままなのにすっかり地点味になってる。
地点はチェーホフの作品を他にもいくつかやってるのでそれらも観てみたいですね。
ただ、今回は1時間と短い分、演者の個性が前回の「コリオレイナス」程出てなかった印象はありました。
前回は石田大さんが凄まじい勢いで台詞を吐いてましたが、今回はその鳴りを潜めてすっかりおとなしい役回りで、小林洋平さんのほぼ独壇場でした。そして小林さんがすごすぎましたね。
あと、阿部聡子さんは、台詞は決して多くないんだけれど、あの存在感はすごい。いるだけで演技している。
こうやって何度も観てくると演者の個性とかわかってきてより楽しくなります。
5月11日まで毎日20時から当日券もあるみたいなので、関西の方は是非!
Cafe Montage http://www.cafe-montage.com/
そしてこの7月には、京都の北白川に地点の拠点となるアトリエがオープンするそう!
名前は「アンダースロー」。
ここでも作品を発表して行くみたいなので滅茶苦茶楽しみです。
どうしても舞台系は東京に持って行かれちゃうので、こうして関西を拠点に世界的なカンパニーが活動してくれるのは嬉しいですね。
これからも楽しみです。
地点 http://chiten.org/
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