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碓井ゆい「shadow of a coin」@ studio J

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現在「うつせみ展」のメンバーが続々と展覧会中です。
中でも碓井さんのstudio Jでの個展は、うつせみ展で見せたshadow workがさらに発展したもので、なんだか嬉しい。
オーガンジーでできた大きな日本のコイン(1円玉と50円玉)。
そこに描かれて(編まれて)いるのは、掃除をする女性たち。
中には「NO NUKES」や「BAD CONSUMER」の文字も見いだせますが、すごく軽やかにさりげなく織り込まれているので、そういった社会的なメッセージも軽やかに発せられていて、全然押し付けがましくない。
また、奥には新作の香水の瓶たち。
そのラベルには日本女性らしい名前がそれぞれに印刷されていて、それらは実際日本に連れてこられた従軍慰安婦たちの無理矢理つけられた日本名らしい。
そういった政治的な作品にも関わらず、コイン同様碓井さんの作品はその佇まいにどれも品があって、すごくバランス感覚の優れた人だなと改めて思う。
「うつせみ展」でも、女性の家事(陽のあたらない仕事=shadow work」をテーマに、女性性に焦点を当てた作品を近年取り組まれていて、それはご自身が結婚されたことともつながっているのかもしれない。そういった自分の日々感じる思いをそのままてらいもなく込めるやり方がとても潔いし、こういう問題を扱われると男の自分は一歩下がってしまいがちなんだけど、そのエレガンスに思わず引きつけられてしまう。
shadow workが作る本物の影もとても美しかった。4月13日まで。

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つづいて、岐阜県のGALLERY CAPTIONで開催中のグループ展「pink noise」。
こちらには寺田さんと大舩さんが参加されています。
特に手前の小部屋の大舩さんの展示がすごすぎて衝撃。
「うつせみ展」に出されていた白い作品のシリーズで、作品自体はほとんど変わらないのに、見せ方で表情が激変。本当変幻自在。入って左の壁と正面の壁に2点。それだけなのにいつも見ている部屋がまったく違うように感じられた。光の当て方や、それぞれに当ててる光の色温度、さらにこのギャラリーの窓から差し込む自然光によって、絶妙なコントラストが部屋にもたらされている。特に左の作品のスポットが真正面からでなくちょっと左から当てられてて、影が斜めに出てるので最初目の錯覚かと思った。こういうこと普通しないんだけど、その決断がすごい。お見事でした。
ついついなぜ「pink noise」なのか聞くの忘れてました。。。4月20日まで。

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2日間のみの企画でもう終わってしまいましたが、京都は亀岡にあるみずのき美術館で開催された「HOME PARTY」という展覧会。こちらには今村君と森さんが出されてました。(4月14日まで延長決定だそうです。月火休。入場料400円)
ここは、いわゆるアールブリュットの美術館で、昨年秋にオープンしたばかりで、建築も乾久美子さんが手がけたってのもあって、前から行きたいと思ってました。
元々ある建物を改修したもので、中の開放感が気持ちよかったです。
今回の展示では、アールブリュットの作家さんたちと、今村君たちがそれぞれ1対1で共演のように作品を作るというもので、まずは河合晋平さんの作る虫のような彫刻と、虫の絵を描き続ける森川大輔さんの共演。なんとお二人は偶然同じ虫の図鑑を持っていたというエピソードもあり、お互いの図鑑も展示されてました。森川さんの作品の色に合わせて作られた河合さんの虫の彫刻。とてもおもしろかった。
森さんは、丸毛浩嗣さんが毎日のように折っている折り鶴を、自身の作った机の上に並べてもらうというもの。以前に森さんは自身の作品で折り鶴を作っていたので、最初普通に森さんの作品かと思いました。それにしてもその折り鶴がすごくて、1枚の紙から何匹もの折り鶴をおるという連鶴があって、最初くっつけてるんだと思ってたのでびっくりでした。どうやって作るんやろ。
そして今村君は既にお亡くなりになった、吉川敏明さんの「家」と題されたクレヨンの作品をチョイス。これがすごく良くて1枚欲しかったです。そして今村君自身は地下と2階に展示。地下は灯台の作品、2階は「うつせみ展」で見せた音の作品。しかし新作がすごくて、地下にオープニングまで置いてた沈丁花の鉢植えを2階の倉庫に移動させ、その痕跡(葉っぱや花びら)を見せるというすごい境地に!その花の香りも会場に漂ってて、ついにここまできたかといった感じでした笑
他にも、職員の「美保さん」を主人公に描いたタブローや、手の動きがそのまま画面に顕われている宮川佑理子さんの絵などもありました。残念ながら砂連尾理さんのパフォーマンスは見れませんでしたが楽しめました。

上記3会場では展覧会期間中「うつせみ展」のカタログ販売中です。よろしくお願いします。


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studio90でもやってくださった山岡さんの展覧会。Gallery PARCにて。
なぜかDMに僕が書いたグチック論が載ってますw
今回はこれまで「GUTIC STUDY / グチック考」というタイトルだったのに、今回から「グチック・メリステム」と改まっています。
メリステムとは植物の茎や根の先端部に存在する小さな組織のことらしく、成長のメタファーとして使われているのでしょうか。
そして作品はなんと初っ端から油絵で驚きでした。
それと、これまでモノクローム(黒OR赤)だったグチックが、白くなっていて、その形を探る痕跡が目に見える形になりました。これはすごく大きなことでしょうね。
これまでの山岡さんの作品は手技感が見えないように作られていました。しかし実際は、そのグチックという形を探るために何百、何千というトライ&エラーを繰り返した上に成り立っているもので、それを被っていた影が今回取り払われたのは、ある種の必然的進化だったのかもしれません。
これまでの手技を拭うような作業はやはり作品を作品然と見せようとしていたきらいがあったのに対し、今回のメリステムは、その意識から解放されたような清々しさがありました。
それを端的に表すのが、奥にあったプロセスを投影した映像ですね。
これからまたどんな進化がグチックにもたらされるのか楽しみです。3月31日まで。

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@kcuaで開催中の「犬と歩行視」展
内容はグループ展ですが、ほぼ林剛に焦点を当てた画期的な展覧会。
林さんは、ある時から文字をそのまま作品にするという作品で一躍脚光を浴びます。
見てください、この「いいわ」の応酬w
ずっと見たいと思ってた作家だったので、今回これだけの数の作品が見れて大満足です。
特に彼の代表作といっていい『犬』が見れたのは本当にうれしい。
写真でしか見たことなかったので、てっきりキャンバスに書かれていたのかと思ってたんですが、鉄のまさに看板のようなものに書かれていたんですね。
階段の上に展示されてる様は神々しさすらありましたw
あとは「犬笑い」と題された映像とかヤバすぎる。。。前衛ってすごいです。
また10月に第二弾が予定されてるとのことなので、そっちも楽しみ。3月31日まで。
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ジャンル : 学問・文化・芸術

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