「愛、アムール」by ミヒャエル・ハネケ



ハネケの新作「愛、アムール」を観てきました。
前作「白いリボン」に続き2作連続でカンヌの最高賞パルムドールに輝くという恐ろしい快挙。
僕はハネケ作品はその「白いリボン」と「ピアニスト」しか観てませんが、正直あまり好きなタイプの作品ではありませんでした。でもなんか気になる。
ということで今回も特に期待して行ったわけではありませんでしたが、もう見事としか言いようのない作品で、見終わった後しばらく言葉が出てきませんでした。
(先日浜村淳がラジオでこの映画の宣伝をしていましたが、あの人映画のオチとか全部言っちゃうので途中で出かけて正解でしたw)

少なくともこの3作を通じて僕が感じるハネケ作品の特徴は、いつも観客の感情のトリガーが寸止めで止められてしまうというところにあるのではと思います。
話の筋としては、老いた妻を自宅で介護する同じく老いた夫の物語。しかもタイトルは「愛」。
(それにしても最近の邦題は酷いですね。なんで愛を二回言うねん!っていう。アムールだけでよかったのではと思うんだけど。チケット買う時言うの嫌でしたw)
これだけ聞くとお涙頂戴の感動物語やし、介護問題も扱った社会的映画になりそうなところを、ハネケの映画はそうはならない。
実際最後まで涙も流れないし、感動と言えるほどの感動もない。
なのに終わった後のあの静かに沸き上がってくるえも言われぬ感覚はすごかったです。
この感情の寸止めは「白いリボン」でもすごく感じていて、でも前作ではあまりいい感じはしなかったんですが、今回すごく気持ちがよかったです。ようやくハネケ作品が腑に落ちた感じ。
また、この映画は、冒頭のコンサートのシーン以外すべて老夫婦のアパートしか映していないところにも特徴があります。この完全なる室内劇は2人だけの世界として聖域化され、淡々と日々の営みが描かれていく様はとても美しかった。ちなみに冒頭のコンサートのシーンも室内と言えば室内で、外の風景はこの映画に一度も出てきません。あとコンサート自体も映されず、ステージから観た観客の姿だけ映されるのも印象的でした。映像としてもいくつか記憶に焼き付くシーンが多かったですね。
しかしこの映画の一番すごいところは個人的にラストです。
いつも映画観ていてここで終わってほしいな、という場面で終わらなかったりするんですが、今回はまさにここ!ってところで終わって逆にびっくりしました。
そしてエンドロールは無音。あのエンディング体験は中々なかった。
ハネケ作品、他のも観てみたいと思います。

それにしても春先にかけて毎年観たい映画が連発する。毎週のように映画館通いです。
来週はムンジウの「汚れなき祈り」。若松さんの「千年の愉楽」はどうなんやろ。
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