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佐々瞬「それらの日々をへて、あの日がやってくる」@東京都現代美術館

先月に引き続きまたまた東京に行ってました。うーん、以前のペースに戻りつつある。。。
で、前回良過ぎた近美と都現美を再訪。

まずは近美。
前回「実験場1950s」をほとんど満足に見られなかったので。
今回は1幕見ずに2幕のみ。第1幕と第2幕でチケット分けてくれたらいいのに。
それはさておき、やはりしっかり観ておくべき内容ですね、これは。
河原温の「浴室」シリーズってよく見るとすごいです。これは必見。
暮らしの手帖もあなどるなかれで、壁に書かれた文章がいちいち重いです。
最初は「美しい」が付いてたんですね。「美しい暮らしの手帖」。
個人的にはこの展覧会に出されてる映像群が相当きます。
近美はフィルムセンターも銀座に持ってるので(元々こっちが最初の場所)、やはりこういった映像群のコレクションの質は高いですね。
再び戦争に向かおうとする日本政府へのデモ行進なんか今とかわらないじゃないですか。
違うのは国民の意識だけかな。大きな違いですが。
近美だからこそできる展覧会で、この美術館の底力を見た気がしました。

そして都現美へ。
向かう前に清澄白河のギャラリーコンプレックスビルへ。久々。
久々過ぎて次々と現れるホワイトキューブに目が回りました。
目的はTERRA TOKYOの増本泰斗さんの個展。
以前水戸芸で見たことがあるけれど、こういう参加型の作品は参加しないと、その跡を見ても取り残された感がどうしてもありますね。「踊る阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃ損損」ってやつです。会期中に都内数カ所でイベントがあるみたいなんで、参加できるなら参加したかったです。
あとShugoArtsでイケムラレイコ展なんかもやってたけど、個人的にいいなと思ったのはタカイシイでやってたヘレン・ミラの展覧会。初めて見たけど、ミニマルなんだけどどこか温かくて、展示の仕方とかすごくかっこよかった。
あとコンプレックスビルじゃないけど、近くにあるHARMAS GALLERYの高橋大輔展もよかった。
厚塗りなんてもんじゃないぐらい絵の具が塗り込められてて、ちょっと館勝生さんを思い出した。色味が全然違うし、載せ方も全然違うけど。
今回は過去の作品を展示してたみたいやけど、個人的にはポートフォリオに載ってた最新作が観たかったな。色がしぼられてすごくかっこよかった。
それにしてもこれ乾くまでにどれぐらいかかるんだろうか。。。

で、本題の都現美です。
たどり着くまでにいつの間にかアート系の古本屋さんがいくつか出来てて、花から花へみたいな感じで中々都現美まで辿り着けなかった。。。
それはさておき、MOTアニュアル再訪です。今回はこれだけ。
相変わらず受付の人の田中さんのアナウンスが忙しそうでした笑
エスカレーターを昇ると、森田さんの作品を探してゴミ箱を漁ってる人がいました。相変わらず変な展覧会ですね笑
今回は前回あまりちゃんと観れなかったNadegata Instant Partyと奥村さん佐々瞬さんの作品を中心に。
行ったらちょうどNadegataの上映が始まったばかりで、移っていく映像とともに観客も移動する感じが楽しかった笑
しかし今まであまり意識しなかったけど、「団塊」って言われる方にしたら嫌な名前ですね。
思いっきり一塊にされてるわけだから。「オンリーワン」なんて尊重されない感じですね。
でもこの人たちの「ナンバーワン」の意識ってやっぱ強かったんだろうな、って、映像観ながらぼーっと考えてました。そんな彼らが築いた未来が善くも悪くも今なわけですね。
そして奥村さんの作品は、相変わらず作品の範囲がどこまでなのか計りかねます。
映像観てるときは、もう個々の誰かとしてしか観れない。どんなに奥村さんの字幕を意識しても、いつの間にかその意識は外れて「作品」に持っていかれてしまう。
この意識の満ち引きみたいなのがおもしろいですね。
それから佐々瞬さん。今回メモをできるだけ丁寧に読んでました。
この日はちょうど彼のパフォーマンスがあるというので、閉館後まで居残りました。
閉館後18時半からパフォーマンスが開始。
震災で亡くした友人との記憶の更新。
高校の時にその友人に言ってしまった一言に対して、謝れなかった自分を過去に遡ってどうにか謝ってみるというもので、開始前にいくつかのシナリオが観客に配られました。
それ読みながら、こういう過去への更新欲って誰でもあるよなーと思った。
「ああ言えばよかった」とか「あんなこと言うんじゃなかった」とか。この場合は後者。
そしてパフォーマンス開始。それまでのこのパフォーマンスを実際に観たことはないけれど、過去の映像を観るとその友人の役を演じる人がいて、その人に向かって話しかけるんだけど、今回は佐々さんが独白のような形で話していた。
そして2つぐらいシナリオ通りに進んだところで様子が変わる。
何度かこのパフォーマンスを繰り返す中で、なんとなく友人が選びそうなシナリオ(もしくは佐々さんが望むシナリオ)がわかって、これ以上パフォーマンスが続けられなくなってきたよう。
途中で、これまでその友人を演じてきた人が現れて、これまでを振り返る。
そしてこのパフォーマンスをもう今回きりで終わると宣言(メモに書いて)終了。
多分この作品は良いとか悪いとか評価不能で、彼個人の喪の作業にまったくの他人がつきあってるといった感じでその拠り所のなさが異様でした。
これを観客の前でやることで彼にとっては色々得られるものがあるんだろうけど、じゃあ一体観客は何をこのパフォーマンスから得られるのだろうか?
終わった後の帰り道、なんだか雲を掴むみたいなフワフワした気持ちで帰った。
でも、今回の上京で最も印象に残る出来事だったことは間違いない。
あれは何だったんだろう?彼の経験を共有できたとは思えないし、彼のパフォーマンスを通して結局過去は更新できないと当たり前の壁にぶち当たることしかできなかったのかもしれない。
奇しくもその前日に再び東北地方を地震が襲って、あの日の感覚が鮮明に蘇ったばかりだったので、なんだか感慨深かったです。
それにしてもMOTアニュアルやっぱりおもしろいなー。図録出たら絶対買う。店員さんに聞いたら来年になってしまうとのこと。もしかしたら来月また上京するかも。恵比寿のNaDiff Galleryで今週から始まる森田さんの展示も観たいし、αMの田中さんの展示も観たい。こうしてまた東京行く回数が増えていくのか。。。


最後に横浜のBankARTの川俣正展
本当はこれがメインだったんだけど、なんか期待しすぎたかも。
もちろんよかったんやけど、何かが足りなかったな。
足りなかったというよりかは、むしろアーカイブが余計だった。
あのインスタレーションの空間の使い方はやっぱりさすがだと思ったし、もしあれだけなら結構満足して展覧会を楽しめたんだと思うんやけど、アーカイブがあるせいでちょっとした回顧展みたいになってしまってすごく勿体なかったと思います。展覧会は1月13日まで。
それにしても、カタログ付き鑑賞券が2500円ってのはお得すぎた。
カタログだけで3000円もするのに、このカタログをゲットするだけでも価値がありますね。
川俣さんって、これだけのキャリアながら、これといったカタログがなくて、以前から出てほしいなと思ってたのですごくうれしい。
あと、日本大通にあるGALERIE PARIS(パリじゃないのに)でも川俣正展がやってます。
こっちはBankの展示のドローイングを展示してるみたいなんだけど、何を血迷ったか日曜日に行ってしまってもちろん閉まってた。。。ガラス越しに観ましたとも!こっちは12月17日まで。

IMG_7252.jpg


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