展覧会のお知らせ 「うつせみ」@ 常懐荘/「うたかた」@アートラボあいち

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来週土曜日から「うつせみ」と「うたかた」という展覧会が愛知県にて同時に開催されます。
今回僕はこの展覧会の参加作家であると共に企画の立案者でもあります。
この展覧会の構想は実は4年ほど前からありました。
それは、先日ヴェネツィア映画祭で見事金獅子賞を射止めた韓国の監督キム・キドクの、2004年の同映画祭銀獅子賞に輝いた「うつせみ」を観たのがきっかけでした。
その映画には、留守宅に忍び込み、何かを盗むでもなく、ただただそこで一晩生活を営み出て行くという奇妙な行為を繰り返す主人公である青年が淡々と映し出されます。ただ出て行く前にその家で壊れているものを直して帰るのですが、その営みが、展覧会という営みにどこか似ているのではないかと考えたのです。
つまり、展覧会というのは始まるまで作家や学芸員や多くの人がが必死に築き上げて行くのですが、最後には跡形もなく片付けられて行く。でもそれは全く無になっていくのではなく、そこでの記憶や空気感というのはその場に漂い残るものだと思うのです。

また、このタイトル「うつせみ」という日本語にも大きなインスピレーションを与えられました。
元々この映画の原題は「빈집」。空き家という意味らしいです。
しかしこの原題よりも邦訳の「うつせみ」という言葉はこの映画全体を指すのにすごく適した言葉。
どなたが訳したのかはわからないですが、見事としか言いようのない意訳です。
この言葉は、言葉通り「空蝉=蝉の抜け殻」という意味ですが、「現世身」と書けば現代を生きる我々の意味になります。
自分たちを一夏で儚く消えて行く空っぽの蝉の抜け殻と同じ言い方で表すなんて、日本人の刹那的な感覚を見事に表した言葉だと思います。
そしてそこから「主体の抜け殻」というテーマを導きだし、それに見合う7名の作家を選びました。
今回初めてお話する方もいましたが、ありがたいことに7名ともから快諾をいただきました。
彼らの作品は、この作家(作品)至上主義とも言える昨今にあって、作品こそが主役ではなく、その周りとの関係や、その作品を触媒として触れられる世界にこそ美を見出させてくれるような作品ばかりです。
つまり作品自体は、乱暴な言い方をするなら「からっぽ」なのです。
こういった言葉はネガティブに捉えられがちですが、「からっぽ」だからこそ詰め込める豊かさもあるのではないでしょうか。(なんかドラゴンボールの歌詞みたいですね笑)
そのあたりに関してはまた、10月13日(土)に行われるトークでお話できればと。

そして最後にこの「うつせみ」の会場である常懐荘。
これは昭和8年に建てられた、とても立派な豪邸です。
今回この展覧会が成立するのもこの建物のおかげといっても過言ではないでしょう。
今年最初にやった展覧会で知り合った映像作家の林ケイタさんが相続されていて、一昨年の冬に「ここで何かやらへん?」と言われたのがきっかけになってこの企画はスタートしました。
まさにあの映画のシーンとだぶって、これなら思い描いていた展覧会ができる!と確信したのです。
この建物はあちこちのディテールが繊細で、それらを観ているだけでも豊かな経験が得られます。
なので、そこで強い作品をぶつけていくやり方ではなく、あくまでその意匠たちを引き立て寄り添うようになれればと思っています。

さて、明日から搬入に行って参ります。
どうなるかは、僕自身もふたを開けてみないとわかりません。
来週の土曜日から金土日祝日のみのオープンですが、是非ご高覧いただければ幸いです。
名古屋市内のアートラボあいちでもこの「うつせみ」の考えがそのまま引き継がれたような展覧会「うたかた」を開催されます。併せてどうぞ。初日の18時半からはトークもあります!

「うつせみ」
会期 2012年9月22日(土) - 10月14日(日)
時間 11時 - 17時 金・土・日・祝日のみ *入場無料
会場 常懐荘(愛知県小牧市久保一色228)
主催 「うつせみ展」実行委員会
お問い合わせ utsusemiproject@gmail.com
ウェブサイト http://www.utsusemiproject.com/
協力 常懐荘維持再生委員会
協賛 SHISEIDO 公益財団法人野村財団

「うたかた」
会期 2012年9月22日(土) -10月14日(日)
時間 11時 - 19時 月・火休 *入場無料
会場 アートラボあいち (名古屋市中区錦2-10-30)
主催 あいちトリエンナーレ実行委員会
協力 「うつせみ展」実行委員会
お問い合わせ TEL 052-204-6444 E-MAIL info@artlabaichi.net 
ウェブサイト http://www.artlabaichi.net
*9月22日(土) 18:30よりオープニングトークを予定。

トーク「うつろなるゆたかさについて」+ 夜の特別展示
日時 2012年10月13日(土)
時間 17:30 - 20:00 (トークは1時間半程度を予定)
会場 常懐荘
参加費 500円
参加者 秋庭史典(美学研究者) X 出品作家
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