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大舩真言「Voyage Intérieur -旅する内面-」@ gallery サラ

初めての湖西線に揺られ滋賀県は近江舞子へ。
湖西線すごかった。琵琶湖のほんの真横を通るので車窓からの風景がすごい。
近江舞子に着いたら、なんとギャラリーオーナーさんが迎えに来てくださった。
ものすごい狭い畦道を通り、車はどんどん森の中へ。
たどり着いた先は、凄まじい建物でした。。。
僕はてっきりカフェギャラリー的なものを想像していたのですが、美術館クラスの展示室。
様々な質の空間があって、そこらに点在する大舩さんの作品たち。
入ってすぐの黒い部屋では水平に置かれた大作。
中庭から入る燦々とした光が描く影により画面についてる鉱物がすごい存在感。
360度から眺められるので周遊するが、見る角度によって作品の表情が劇的に変わる。
同じ絵を見ているとは思えない感覚。
さらに、その光の影になってる場所に闇にまぎれるようにして一点展示されてました。
闇に目が慣れるまで見えない作品。こういうあり方もあるんですね。
そして最後まで気づかなかったけどこの部屋にはもう一点まぎれてました。

回廊には、色とりどりの、まるで海底に光が注がれているような作品がならんでいました。
これも白い回廊にぴったりでした。

しかし一番すごかったのが、丸い展示室(この展示室自体もすごい)にかかってた作品。
Rの壁に対して、1点真正面にかけられてるんですが、そのRによって、まるでこっちにせり出してるように見える。
全体に薄いグレイがかった画面で、近づくと相当複雑に色が重ねられてるのがわかります。
というか、それよりなにより、これまでの作品よりもさらに深化した抽象性。
これまでの作品は、さっきも「海底に光が」とか言うように、しばらく見てると、何かに見えてくる瞬間があるというか、それは人間誰しもものを見るのにこれまでの経験の引き出しから似たようなものを取り出して来てひとまずそれと比べようとするもんなんですが、この作品に関しては、いつまで見ていても何にも見えてこない。何も立ち現れてこない。この絵にしか見えない、といっても良いかもしれません。いや、もっと正確にいうと絵にすら見えてこない。やっぱり何にも見えてこないが正しいのかも。
これってすごいことだな、と思うんです。
これほど抽象度の高い作品って経験上見たことがないです。

最初の黒い部屋の奥にも、この延長とも言える白い画面の小品があるんですが、個人的にはこっちの方が込められてる抽象度は高い気がします。これは欲しい。。。
大舩さんの作品のここまでの到達、すごく感動しました。
空間も去ることながら、この作品たちを観に来る価値は相当あると思います。7月1日まで。

奥にはカフェもあって、行ったらかなり長居してしまいます。
その奥にも、先日関西日仏で観た丸い小さな作品も窓の風景を借景にして、ここならではのインスタレーションになってたし、いくつか小品も飾られてます。
帰りもオーナーさんに送ってもらってしまいました。。。
また来たいです!
驚愕過ぎてギャラリーの写真撮るの忘れました。。。
http://www.eonet.ne.jp/~utsuwa-sala/

ちなみに近江舞子には、恩師であり作家の中川好冝氏がやってるバーがあります。
金土日のみだったので行けませんでしたが、またの機会に!


川北ゆう「はるか遠くのつぶ」@ eNarts

IMG_5902.jpg

同級生の川北ゆうさんの展示。
昨年のαMの展示を観に行けなかったので、まとめて観るのは久々。
入り口には、彼女がずっと取り組んでるながれるストロークの作品。
入って最初の部屋は、僕は初めて観る作品群で、ものすごくよかった。
絵の具を水に浮かべて、アクリルで掬うようにして作られる画面たち。
人の手を超えて生まれる彼女らしい作品で、特に2点ほど絶妙なバランスの作品があってかなり気に入りました。
奥の部屋は、ストロークの大画面で空間として気持ちよかったですね。
あれだけの画面を一人で仕上げるのは本当にすごいなぁ。。。
下の地下の作品が、トリミングしてるアクリル作品だったけど、これはまだまだ発展の余地ありって感じでした。ブラックキューブの展示かっこよかったですけどね。
あと茶室に1点。
彼女の作品はどの空間に置いても映える強度があります。
特にeNartsは様々な表情のある独特の空間なので、それをもろともしない感じが清々しかった。
6月30日までなので是非。ちなみにオープンは金土日のみです。


森太三「海を眺める」@ ギャラリー揺

IMG_5851.jpg

京都の哲学の道周辺にあるギャラリー。
畳の展示室とお庭のセットで、ここも独特のギャラリーですね。
今回の森さんは、石膏像を砕いてさらに白に着色し、まるで海岸に打ち寄せる貝殻のように畳に配置したインスタレーションと、庭にそれらの破片で小さな山を形成されてました。
彼の場合は、小さなものから大きなものへと観客を導くのが本当にうまいな、と思います。
今回のインスタレーション、特に畳の方は、畳に座って、あるいは寝転がってでも、目線を低くして観ると、まるで波音まで聞こえてくるような大きな海のイメージが喚起されます。
そういう意味では大舩さんとはまったく逆の効果とも言えますね。
また、月並みな見方をするならば、西洋の美(石膏像)を破壊することで新たな美を創造しているのもおもしろいですね。よかったです。
この展示は6月3日で終わってしまいましたが、今月20日からneutron tokyoで展示が始まります。
僕は観に行けませんが、東京の方は是非!こちら


「45x45 -On The Wall- Vol.2」@ GALLERY ARTISLONG
知人作家の越野潤さんが出してらっしゃるので観に行ってきました。
思えば越野さんと出会ったのも、前回2年前の同企画。
これには前回川北さんも出してました。
45cmx45cm内の作品を展示する展覧会。
今回越野さんの作品はまず見つけられないと言われてたので覚悟して行ったんですが、この企画の安藤さんに即効で場所言われてしまいました笑
それにしてもあれはやっぱり見つけられないでしょうね。。。
サイトスペシフィックな作品でした。攻めてますねー!よかったです。
他にもペインティングが何点かおもしろいのありました。6月24日まで。


「大イタリア展―Viva Italia!」@ studioJ
すごいタイトルの展覧会笑
オーナーさんの趣味が爆発!って感じですが、オーナーさんはとても良い方ですよ。
で、こちらには知人作家の碓井ゆいさんが出されてました。
この展示は、スタンダードブックカフェでもやってたんですが、同時開催とばかり思ってたら、studioJさんの展示が始まる頃には終わってた!
ということでそっちは観にいけませんでした。。。
で、Jですが、碓井さんはなんと陶芸作品を出されててびっくり。
そういえば最近陶芸もやってるとのことでしたが、なんでもできちゃうんですね。。。すごい。
他にも荒木由香里さんと加賀城健さんの作品がよかったですね。
小さいながらも良作が詰まった展覧会でした。こちらは6月23日まで。


矢嶋有司「formless works」@ N-MARK B1

関西ではなく名古屋の展覧会です。
この秋名古屋で展覧会をするので、その下見に行った際に立ち寄りました。
ちょうどこのN MARKという長者町にできたスペースがオープンしたとこだったので行ってみました。
矢嶋さんは、関西でも発表されてるので何度か観たことがあって、今回は、お店のペンコーナーにある試し書きの紙をモチーフに作品を展開していました。
落書きをネオン管にしてみたり、様々な試みをやってましたね。
ただ、やっぱり、実際のその試し書きの紙を額装してたのが一番おもしろかった。
ああいう何も考えずに書いた人の落書きって色んなこと孕んでます。
自分で生み出した造形ではないっていう着想自体がおもしろかったです。

ところでこのビルはまるごとデザインやアーティストがスタジオにしてておもしろかったですね。
今長者町は、閉じてしまった繊維業のビルをものづくりにあてがうプロジェクトが進行していて、これからの愛知のアートシーンを占う上でもおもしろいですね。
というかなによりみんな楽しそうにしてたのがよかったなー。
大阪もこうなってほしいんですが。。。はぁ。






おまけ

近江舞子駅前の周辺地図のイラストが卑猥だったので1枚ご愛嬌。

IMG_6190.jpg
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