「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」@森美術館

行く前まではあまり観る気なかったんやけどあまりに好評だったので実際行ってみて本当に良かったと思う。
今回の上京で最も心動かされた展覧会。
メタボリズムというと、戦後日本の復興から高度成長期ぐらいまでに起こった、日本の建築運動だけれど、これは今の日本にも重なる部分が大いにあると思う。
もちろんメタボリズムそのままを今に応用できるかといえばそうではないけれど、先代たちの戦後復興から経済成長にかける「ふんばり」をこの運動から見出すことは可能だと思う。
広島ピースセンターから始まり、万博博覧会まで、奇跡の軌跡がここに描かれている。
音声ガイドを借りながら、もうじっくりと見まくった。
今の日本に必要な夢見る力がここに凝縮されてる。
この展覧会自体は多分何年も前から準備されてきたのだと思うが、ここまで時代と重なるとは主催者側も想像だにしなかっただろう。
今あらゆる表現に必要とされているある種のアクチュアリティのようなものは、このメタボリズム運動からはひしひしと感じられる。
以前同美術館ではイギリスのアーキグラム運動等も紹介されていたが、メタボリズムの場合は、それが現実に応用され、実際この国を支えてきたという事実が大きい。(優劣の問題ではなく)
本当に素晴らしい企画でした。森美の展覧会で久々に満足できたかも。来年1月15日まで!こちら。
図録欲しかったな。。。4800円は高すぎる。
その後ヤフオクで半額でゲット!じっくり読みます。
「メタボリズム1960」もあの薄さであの値段。。。
それにしてもスケジュール見る限り森美はもうしばらく行きそうにないな。。。
建築、アートがつくりだす新しい環境―これからの“感じ”@東京都現代美術館

現美とSANAAのコラボ企画。
昨年のヴェネツィア・ビエンナーレ建築展の報告展のようなもの。
観たかった展覧会なのでそれが日本で観れるのは単純にうれしい。
でもまあ、あの規模では到底無理なので、規模は縮小されてます。
トランスゾーラー+近藤哲雄の雲なんて、もう苦笑いするぐらいの規模。。。
でもまあ全体としてはまあまあ楽しめました。
今回通して思ったのは、震災以前以降で、僕の建築視観も相当変わってしまっているということ。
例えば冒頭の平田晃久の展示なんかはもう全くピンとこないし、藤本壮介の建築なんかも見てもなんの感動もない。うまく言葉にはできないけれど、呆れるほどアクチュアリティに欠けてる気がする。
(ほぼ同じ理由で外に展示されてた狩野哲郎の「自然の設計」は論外に等しかった。)
逆にスタジオ・ムンバイやバーレーンの展示なんかには本当に感動させられた。
プリミティブとはまた違う、なんだか人の営みの根源をつくような建築。
また、フィオナ・タンの犬島を淡々と切り取った映像も美しすぎて涙が出そうになった。
結構長い映像だけれど、最初から最後まで食い入るように見てしまった。
逆に話題のヴィム・ヴェンダースの「もし建築が話せたら…」はもう何のおもしろみもなかった。
途中の石上さんの新作(?)にびっくりしてたら、係の人が近づいてきて、注意されるのかと思ったら、昨年の豊田でお手伝いした時にお世話になった石上事務所のKさんだった!懐かしい!お元気そうでよかった。
内容自体は2010年のものだけれど、メタボリズム展同様震災後の建築のあり方を問う展覧会だと思う。
それでもメタボリズム展と比べると強さが全然違います。
メタボリズムの描いたマスなビジョンが、今の建築家の描くミクロなビジョンの対比がすごい。
同時開催のベルリン展と一緒にどうぞ。来年1月15日まで。
ヴァレリオ・オルジャティ展@東京国立近代美術館

近年特に注目を集めている建築家です。
スイスらしい伝統に裏打ちされた革新的なデザインが魅力の建築家。
父親は建築家のルドルフ・オルジャティ。
日本で言えば谷口吉生に近い所があるかもしれません。
この展覧会は、2008年のチューリッヒから始まり、その後メンドリジオ、ロンドン、ポルトとめぐり、最終会場であるこの東京国立近代美術館にたどり着きました。
2年ほど前に友人に教えられて観たこの展覧会の写真があまりに美しく、飛んでいって観てみたい!と思っていたほどだったので、この展覧会が日本にやってくると来いた時には嬉しかったなぁ。
これも学芸員保坂健二朗さんのおかげですね。ありがとうございます。
で、実際の展覧会ですが、予想に違わずよかった。
建築の展覧会って往々におもしろくないですが、この展示では、こういう建築展のあり方もちゃんとあるんだということを教えてくれます。
なんといっても33分の1模型の、真っ白な模型が美しい。
そして、その実際の建築のスライドとインスピレーションソースを床に水平に置かれていて、建築ができるまでを観客も一緒に頭の中で連想することができます。
残念だったのは床の色と会場の狭さ。
白いリノリウムとかだったらもっと映えたと思うし、会場ももっと広い空間にゆったりあった方がかっこよかったと思うけど、まあ仕方ないですね。
でも会場の柱や天井のメッシュもこの展覧会とすごくマッチしていて、展示と会場の融解が微妙に起こっていたのがすごく興味深かった。
会場としてはメンドリジオとポルトが白眉かな。
カタログ700円でお得です!
インスピレーションソースの写真とコメントも一緒に載せてくれてたら言うことなしでしたが。
展覧会は来年の1月15日まで。(今回紹介した建築展3つとも最終日一緒や)
彼の建築を巡る行脚もやりたいところですね。ズントーとセットにすると死ぬかな。。。
感動した所でタイミングよく京都でオルジャティの講演会が!
ってことで行って来ました。
17世紀の教会(?)の画像から始まり、彼の作品のプロセスが垣間見れました。
最後の「場所との背景なんて関係ない。偉大な建築とはその背景を場所と一緒に築いていくんだ」という言葉がかなり印象的でした。
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