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「EXIT THROUGH THE GIFT SHOP」by BANKSY

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話題のバンクシー初監督作品観に行ってきました!
なんせ「あの」バンクシーですからね。期待も高まります。
更に観た人のほとんどからの絶賛の声!

なんですが、個人的に「え、こんなもん?」って感じでした。。。
ちょっと期待しすぎたかも。
当初「クソのような作品をバカに売りつける方法」というタイトルがついてたそうで、そのままアートマーケットを皮肉った内容なんですが、アートマーケットが腐ってるのはバンクシーがわざわざ知らせなくても周知の事実だしなぁ、、、。
ストーリーとしては、何もかもビデオに収めなければ気が済まない、ちょっと変わった趣味の持つティエリー・グエッタという男が、従兄弟のグラフィティの様子を撮影したのを境にそのスリルにのめり込んで、様々なグラフィティライターと交わっていく中で、自分はそのドキュメンタリーを撮るんだと宣言。
最終的にコンタクト不可能と言われていたバンクシーにまで撮影を許可させ、撮り続け、やがて編集したものを観たバンクシーが見るに耐えない代物と、ティエリーをただの変態扱いし、お前もグラフィティをやってみろとふっかける。
尊敬するバンクシーにそう言われたティエリーは、すっかりやる気になって、ミスター・ブレインウォッシュ(MBW) と名乗り、いきなり最初にして回顧展規模の展覧会を企画し、バンクシーからのお墨付きもあって、ショーは大成功。作品は売れに売れ、しまいにはマドンナのCDジャケットまで手がけてしまう、という嘘みたいな本当の話。
この、ミイラ取りがミイラになる、という構図自体はおもしろいし、単純に色んなグラフィティライターの描いてるところや、バンクシーの貴重な映像など、見どころも多いんだけど、なんか痛快感がない。
最初にバンクシーが、この映画は感動作ではないが、何かの教訓になるかもしれない、みたいなことを言ってたけど、「アートは結局戦略次第」という教訓なら阿呆らしすぎる。
売れること自体は、MBWのようにすれば比較的簡単かもしれないけれど(もちろん手放しで容易いことではない)、作家の欲求がそれだけならあまりに悲しすぎると思う。
バンクシーは、このままいけば確実にアート史に名を刻む人物になると思う。
多くの作家は売れはすれど、その歴史にどれだけ大きな足跡を残せるかは別問題。
売れることと歴史に名が刻まれることは違う。
MBWの場合は、最初から作品の値段をどれだけ上げられるかが彼のモチベーションになっていて、作品をどう発展させるかなんて、ハナから念頭にない。
バンクシーのすごいところは、やはり作品の強度が桁外れということ。
ロンドンにいた時に、バンクシーのグラフィティに何度か出会ったけど、それはもう一目でわかる。
他のと圧倒的に違うのは、クオリティも去る事ながら、作品がその場所に拠っているところ。
つまり、現代美術用語でいうサイトスペシフィックであるということ。
この壁にはこの絵を描くんだという明確な意図があり、事前にリサーチも入念。
彼の作品に偶然出遭った時のあの悦びや興奮はたまらない。
美術館とかだと、自分の「観客」スイッチを予めオンにして臨むけど、彼の作品は本当にいきなり遭遇するので、いきなりスイッチがオンになってアドレナリンが止まらなくなる。
こういう構図もストリートでやってることの凄さだと思う。
あくまで「偶然」出遭うのがミソ。
バンクシーマップなんてのも売ってるけどそんなの邪道です!
そして、これほど社会性に富んだ現代作家を他に知らない。
ストリートで作品を発表するということの意味にすごく自覚的。
中でもイスラエルで行ったグラフィティはやはり伝説だと思う。
銃を向けられながらも、それでも描くんだという強い意志に感動した人は多いと思う。
特に9.11以降、日本ではサリン事件以降、公共で何かをやるには物凄く辛い時代だと思う。
日本でのかつてのハプニング等の活動は、今はほとんど出来る状態にない。
バンクシーが活動の拠点にしてるロンドンも2005年のテロ以降非常に厳しい状態が続いている。
それでも彼はストリートで発表することをやめない。
作品が数千万で取引されるようになった今でも保身に走らない。
かつてのベーコンやフロイドが、売れても売れても挑戦し続けたように、彼はその系譜をしっかりと継承しているように思う。自覚的かはわからないけど。
ちょっと映画は残念だったけど、でもやっぱり僕はバンクシーが好きです。

映画公式ウェブサイト>>http://www.uplink.co.jp/exitthrough/
Banksy公式ウェブサイト>>http://www.banksy.co.uk/

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