加藤泉「はるかなる視線」@Six
加藤翼くんに続き、同じ姓で同じ大学卒の加藤泉さんの個展に行ってきました。
先月東京行った時にARATANIURANOでやってた個展行こうか迷って結局やめたんですが、SixからDM来た時は飛び上がりました!画集も買ったし、物凄く好きな作家さんです。
絵画でも彫刻でも造形的な作品ってあまり好きじゃないんですが、加藤さんは特別。
しかも絵画も彫刻もどっちも好き。
よく、絵画やってる人が彫刻やり出すとダメになるケースが多いんですが(逆も然り)、加藤さんの場合は絶妙なバランスで、絵画の魅力を崩すことなく彫刻が成立してるのがすごい。
で、今回の展示は、その絵画と彫刻が、まるでキャラバンのように一列に並ぶという展示。
絵画が7点と彫刻3点です。
彫刻は去年の箱根彫刻の森美術館の個展で出してたやつ。
行こうか相当迷って行かなかったのだけど、大阪で観れるとは!ラッキー。
そういや、同じ時期にIZU PHOTOでやってた木村友紀さんの作品も大阪で見れたしな。
回りまわって観れるもんですね。
それはさておき、これらの彫刻が相変わらずすごい。
木、油絵具、アクリル絵具、石、鉄
と、多様な素材を使いながら、別に隠すこともなく、ぶっきらぼうにパーツを接いでいる。
この彫刻の接ぎ目って、普段すごく気になるんです。
イ・ブルの作品とか見てたら物凄くイライラすることもある。
イメージを扱ってるつもりでも結局ものなんやな、ってそこで醒めてしまうんです。
でも、加藤さんの場合、ものであることをちゃんと引き受けてるというか、今回の絵画の展示の仕方とか見てても、イメージである前にものであることを否定していないところに彼の作品の強さがある気がする。
だから観客であるこちら側もそこは了解の上で次のステージに踏み込んでいける。
狙ってやってるのか天然でやってるのかはわからないけれど、そこが加藤泉という作家の魅力のひとつ。
それにしても着色がやっぱり綺麗。
3体1セットのやつは耳の模様が気になったけど。。。
で、絵画。
こないだの画集で初めて知ったのだけど、加藤さんって絵画を手(指)で描いてるんですね!
どこまでプリミティブ!と思ったけど、画面の緻密さからあまり想像できない。
今回2008年の過去作4点と今年制作された新作3点が出品されてますが、新作すごい!
入ってすぐに見えるのは、過去作の女性(?)の鮮やかな緑色なんだけど、その裏が新作で、今までと何かが違う。背景の作り方かもしれないんですが、なんだかすごく恐かった。
これまでより目の荒い麻布を使ってるのも影響しているのかもしれない。
特に緑色の新作は鳥肌が立つぐらいの強さ。
ちょっと今まで絵画でこういう感覚って味わった記憶がない。
大きな飛躍ではないけれど、確実に次のステージに行こうとしているのがわかる。
加藤さんの絵画といえば、人体を扱ってる点からもベーコンの影響が少なからずあるとは思うけれど、ベーコンの絵画とはまた違う恐ろしさを今回の新作から感じました。
難を言えば、絵画の展示台がダサかった・・・もっと他なかったんかな。。。
それにしてもオススメ!9月11日まで!
「絵は世界と対決している気がする。絵は、四角いもので画面を区切ってそこに何かが描かれている。存在として不自然ですよね。彫刻は普通に三次元の世界にあってもおかしくないけれど。それでもあの四角に僕らはぐっとくる。なぜかはわからないけど、そこにもうひとつの世界を求めてしまう気がします。そういう意味でも、絵は現実と同じくらいの強度を伴った虚構がそこに存在しないとダメでしょう。抽象であれ具象であれ。」
「ベーコン、ゴッホ・・・。若冲もそうだけど、自分のやりかたをすごく試しているような作家が好きですね。みんなタッチを確立してからも果敢に攻めている。ぜんぜん守っていないですよね。ゴッホもベーコンもすでに獲得しているものがあるのに、それでも挑戦を続けているじゃないですか。これもあるんじゃないか、こうもできるんじゃないかって。表現に対してハングリーな作家は、見たらわかりますから。そういう作家は好きですね。自分もそうありたいし。」
「スポーツとかアートっていうのは、本来人間の生き死にに根ざしているんだと思う。生きるとか死ぬとかに関係している部分が目に見えるかたちになるから感動する。人間の可能性を見るってことは、人間の生きる姿に触れるってことだから。そこが、アートやスポーツがなくならず、ずっと在りつづける理由だと思う」
(加藤泉作品集「絵と彫刻」より)
他に観た展示。
・「See Here!」@Gallery PARC
今年成安造形大学を卒業したばかりの3名によるグループ展。
小吹さんのブログで気になった、林彩子さんと明楽和記さんが出てたので。
林さんは、徹底してその場にあるものを如何に見せるかにこだわる作家さん。
今回もこのギャラリーの琉球畳をカラーボールで浮かせたりしてた。
ポートフォリオ見てたら過去作もめちゃくちゃおもしろかった。
明楽さんの写真は正直よくわからなかったけど、もう一人の岡本里栄さんの絵画もよかった。
下手するとイラストみたいになっちゃうけど、筋さえ間違えなければいい絵になりそう。
7月24日まで。
・「WHITE 桑山忠明 大阪プロジェクト」@国立国際美術館
ものすごく攻めてる展示。かなりかっこよかった。
特に最初の低めの位置に架けられた作品群と、1963年の作品。
ちょっと杉本博司の「歴史の歴史」の展示と似てて残念だったけど。
この美術館の展示室はこの展示の動線が最高の解答なのかも。
同時に森山大道やってますが、こちらはほとんど感動なし。
森山さんの写真は単純に展覧会というスペクタクルで見せるのに向いてないと思う。
写真集で見たときの方がよっぽど魅力的。
作品の善し悪しの問題じゃなくて、単純にその作品にあったメディアがあるということ。
荒木さんとかは展覧会の方が合ってる気がする。
どちらも9月19日まで。
・ART OSAKA 2011 PR ART EXHIBITION
アート大阪(アートフェア)は行ってないけど、三越伊勢丹でやってたサテライト展示。
柴田精一くんは精華時代の後輩。折り紙の作品だんだん良くなってる気がする。
今村源さんと山内麻起子さんはよくわからなかった。
茶室でやってた三嶽伊紗さんの展示は、物凄く粋な作品だった。
いった時たくさん人がいたのと、百貨店の中ってのが何か落ち着かず残念。
先月東京行った時にARATANIURANOでやってた個展行こうか迷って結局やめたんですが、SixからDM来た時は飛び上がりました!画集も買ったし、物凄く好きな作家さんです。
絵画でも彫刻でも造形的な作品ってあまり好きじゃないんですが、加藤さんは特別。
しかも絵画も彫刻もどっちも好き。
よく、絵画やってる人が彫刻やり出すとダメになるケースが多いんですが(逆も然り)、加藤さんの場合は絶妙なバランスで、絵画の魅力を崩すことなく彫刻が成立してるのがすごい。
で、今回の展示は、その絵画と彫刻が、まるでキャラバンのように一列に並ぶという展示。
絵画が7点と彫刻3点です。
彫刻は去年の箱根彫刻の森美術館の個展で出してたやつ。
行こうか相当迷って行かなかったのだけど、大阪で観れるとは!ラッキー。
そういや、同じ時期にIZU PHOTOでやってた木村友紀さんの作品も大阪で見れたしな。
回りまわって観れるもんですね。
それはさておき、これらの彫刻が相変わらずすごい。
木、油絵具、アクリル絵具、石、鉄
と、多様な素材を使いながら、別に隠すこともなく、ぶっきらぼうにパーツを接いでいる。
この彫刻の接ぎ目って、普段すごく気になるんです。
イ・ブルの作品とか見てたら物凄くイライラすることもある。
イメージを扱ってるつもりでも結局ものなんやな、ってそこで醒めてしまうんです。
でも、加藤さんの場合、ものであることをちゃんと引き受けてるというか、今回の絵画の展示の仕方とか見てても、イメージである前にものであることを否定していないところに彼の作品の強さがある気がする。
だから観客であるこちら側もそこは了解の上で次のステージに踏み込んでいける。
狙ってやってるのか天然でやってるのかはわからないけれど、そこが加藤泉という作家の魅力のひとつ。
それにしても着色がやっぱり綺麗。
3体1セットのやつは耳の模様が気になったけど。。。
で、絵画。
こないだの画集で初めて知ったのだけど、加藤さんって絵画を手(指)で描いてるんですね!
どこまでプリミティブ!と思ったけど、画面の緻密さからあまり想像できない。
今回2008年の過去作4点と今年制作された新作3点が出品されてますが、新作すごい!
入ってすぐに見えるのは、過去作の女性(?)の鮮やかな緑色なんだけど、その裏が新作で、今までと何かが違う。背景の作り方かもしれないんですが、なんだかすごく恐かった。
これまでより目の荒い麻布を使ってるのも影響しているのかもしれない。
特に緑色の新作は鳥肌が立つぐらいの強さ。
ちょっと今まで絵画でこういう感覚って味わった記憶がない。
大きな飛躍ではないけれど、確実に次のステージに行こうとしているのがわかる。
加藤さんの絵画といえば、人体を扱ってる点からもベーコンの影響が少なからずあるとは思うけれど、ベーコンの絵画とはまた違う恐ろしさを今回の新作から感じました。
難を言えば、絵画の展示台がダサかった・・・もっと他なかったんかな。。。
それにしてもオススメ!9月11日まで!
「絵は世界と対決している気がする。絵は、四角いもので画面を区切ってそこに何かが描かれている。存在として不自然ですよね。彫刻は普通に三次元の世界にあってもおかしくないけれど。それでもあの四角に僕らはぐっとくる。なぜかはわからないけど、そこにもうひとつの世界を求めてしまう気がします。そういう意味でも、絵は現実と同じくらいの強度を伴った虚構がそこに存在しないとダメでしょう。抽象であれ具象であれ。」
「ベーコン、ゴッホ・・・。若冲もそうだけど、自分のやりかたをすごく試しているような作家が好きですね。みんなタッチを確立してからも果敢に攻めている。ぜんぜん守っていないですよね。ゴッホもベーコンもすでに獲得しているものがあるのに、それでも挑戦を続けているじゃないですか。これもあるんじゃないか、こうもできるんじゃないかって。表現に対してハングリーな作家は、見たらわかりますから。そういう作家は好きですね。自分もそうありたいし。」
「スポーツとかアートっていうのは、本来人間の生き死にに根ざしているんだと思う。生きるとか死ぬとかに関係している部分が目に見えるかたちになるから感動する。人間の可能性を見るってことは、人間の生きる姿に触れるってことだから。そこが、アートやスポーツがなくならず、ずっと在りつづける理由だと思う」
(加藤泉作品集「絵と彫刻」より)
他に観た展示。
・「See Here!」@Gallery PARC
今年成安造形大学を卒業したばかりの3名によるグループ展。
小吹さんのブログで気になった、林彩子さんと明楽和記さんが出てたので。
林さんは、徹底してその場にあるものを如何に見せるかにこだわる作家さん。
今回もこのギャラリーの琉球畳をカラーボールで浮かせたりしてた。
ポートフォリオ見てたら過去作もめちゃくちゃおもしろかった。
明楽さんの写真は正直よくわからなかったけど、もう一人の岡本里栄さんの絵画もよかった。
下手するとイラストみたいになっちゃうけど、筋さえ間違えなければいい絵になりそう。
7月24日まで。
・「WHITE 桑山忠明 大阪プロジェクト」@国立国際美術館
ものすごく攻めてる展示。かなりかっこよかった。
特に最初の低めの位置に架けられた作品群と、1963年の作品。
ちょっと杉本博司の「歴史の歴史」の展示と似てて残念だったけど。
この美術館の展示室はこの展示の動線が最高の解答なのかも。
同時に森山大道やってますが、こちらはほとんど感動なし。
森山さんの写真は単純に展覧会というスペクタクルで見せるのに向いてないと思う。
写真集で見たときの方がよっぽど魅力的。
作品の善し悪しの問題じゃなくて、単純にその作品にあったメディアがあるということ。
荒木さんとかは展覧会の方が合ってる気がする。
どちらも9月19日まで。
・ART OSAKA 2011 PR ART EXHIBITION
アート大阪(アートフェア)は行ってないけど、三越伊勢丹でやってたサテライト展示。
柴田精一くんは精華時代の後輩。折り紙の作品だんだん良くなってる気がする。
今村源さんと山内麻起子さんはよくわからなかった。
茶室でやってた三嶽伊紗さんの展示は、物凄く粋な作品だった。
いった時たくさん人がいたのと、百貨店の中ってのが何か落ち着かず残念。
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