杉本博司「アートの起源 建築」@MIMOCA

杉本博司が丸亀現代美術館を1年間ジャックする「アートの起源」展第二弾。
テーマは「建築」。
まあ大体今回のテーマは想像つくんですが、年間パス買っちゃってるし男なら全制覇でしょ!
ってことで行ってみたんですが、正直かなり微妙です。
ほとんどが、前回の「科学」と作品入れ替えただけの構成で手抜き感が否めない…。
入り口には護王神社の模型。
小田原の杉本財団等の模型がもっとたくさん出ると思ってたけど模型はこれだけ。
階段のとこには、前回の「観念の形」の彫刻の代わりに法隆寺の古材が立ち並び、放電場の写真が飾られていた吹き抜けの壁にはこれまた法隆寺の細部の写真。これは「歴史の歴史」で見せた「反重力構造」のインスタレーションそのまま。
さらに2階の前回「偏光色」シリーズが並んだ展示室にはお馴染みすぎる「建築」シリーズ。
反時計回りにそれらを見て回ると動線が法隆寺の古材で遮られる。スムーズな動線をいつもうまく創りだす杉本博司らしくない構成。何か意図があるのか?
で、さらに3階も前回と同じ構成。細い道の先に「建築」シリーズのスライド。
で、で、で、最悪なのがこれまた前回と同じ天井に向かう舞台がまんま置いてあった…。
雷神がいた場所は、代わりに「観念の形」が置いてた…。
隣の壁には数学模型を写したこれまたお馴染みの写真群。
さらに右の壁は前回同様幔幕…。そして花。
これは手抜きすぎやろー…金返してほしい…。
と、かなり凹んでたんですが、その鬱病は、幔幕の裏、前回ファラデーケージが置かれていた場所に回った瞬間に消え去りました。
そこに展示されていたのは、蝋燭が点いて燃え尽きるまで写しきった「陰影礼讃」シリーズ。
全部で4つ展示されていたのだけれど、この展示方法が相当ヤバい。
一つ一つ、ブースで区切られていて、透明の印画紙に刷られたその像を、本物の蝋燭で灯し、その後ろの壁にその写真の像が翳となって浮かび上がるというインスタレーション。
この展示は以前写真で見たことがあって、なんて素晴らしい展示なんだ!と思ったけど、生で見られるなんて!!!実際にこの展示は12年ぶりだそうです。
揺らめく蝋燭の火で見る翳。いつまで観てても飽きることがありません。
いやはや、もうこれ見れただけで相当の価値がありました。
というかむしろこれ以外要らんかったぐらい。
あの3階の展示室がこれで満たされてたら相当美しかったやろうに…。
いやぁ、最後の最後にこれ見れて本当によかったです…。
でもこれはむしろ、最後の「宗教」な香りが漂うんですがね。
この展示は5月15日までで、4月1日にはなんとこの美術館の建築家でもある谷口吉生との対談がッ!
こんな年度始まりの日のしかも19時からって鬼過ぎる。
僕は行けませんが興味ある方はどうぞ。当日14時から整理券配るそうです。鬼すぎる。
次は「歴史」。どうやらまだちゃんと見たことのない「Stylized Sculpture」シリーズが出るみたいなのでこれまた観に行かなくては。これはモダンファッションの衣服を撮った写真。また同じ構成やったらいややなぁ。
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