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「耳をすましてー美術と音楽の交差点」@茨城県近代美術館

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水戸まで足を延ばしてきました。
目的は水戸芸術館、だったのですが、「ついでに」観に行った茨城近美の展覧会が、近年稀に見る素晴らしいテーマ展だったというまさに「棚からぼた餅」体験でした。
「耳をすまして」と題されたそれは、美術側から音楽へのアプローチの変遷を見る展覧会。
視覚芸術である美術と、聴覚を使う芸術の音楽。
下手に「領域横断」に手を出すのではなく、はっきりと「美術側から」と銘打ってるのも好感がもてます。
また、以前にもここでは「眼をとじて」という展覧会をやっていたそうで、今回も同様、美術鑑賞とはまた異質な態度を喚起するテーマになっています。
今回初訪問でしたが、「眼をとじて」も観たかったです…。

まずこの展覧会が素晴らしかったのは、「音楽」と聞いて、思い出しうる作品はほぼ揃っていたこと。
三木富雄の耳から始まり、ルドンの版画、マン・レイの写真、そしてブランクーシのミューズの彫刻。
もうのっけからして、「これはただごとじゃない…」と悟りました。
その後もマックス・クリンガーの楽譜の挿絵に、シャガール、そしてもちろんカンディンスキー!!
さらにさらにマチスの切り絵の版画にクレーにライリー。
これはマジですごい!!圧巻のラインナップです。
全国から掻き集められた名品の数々。かなりテンション上がりました。
そして、この展覧会において、それらが「音楽」というキーワードでゆるくつながっていて、まるで作品と作品がバトンを渡しあうような、素晴らしい調和が生まれていました。
個性ある作品たちが、まったく喧嘩をしていない。驚異的です。
こうして近代の名品たちに彩られた第1部の「音楽にあこがれる美術」は幕を閉じ、第2部「音と交差する美術」が幕を開けます。こちらは現代美術中心。そしてのっけからいきなりジョン・ケージッ!!!
ケージの「RYOKU」と題された版画。意味わからんけど美しい。
そしてお次は音楽といえばこの人、藤本由紀夫さんです。
藤本さんの作品をこれだけ一気に観たのは初めてかも。
作品数はすごく多いのに、とてもスマートな展示。
オルゴールがゴミ箱に落ちる作品がおもしろい。
あと研磨して聞けなくなったビートルズのレコード「DELITE」もいい。
そして最年少八木良太氏。
八木君は、若くして美術館の展示がすごく多い。次もMOTアニュアルがもうすぐ始まる。
そして今回のテーマにぴったりの作家さん。
なんか藤本さんを継承してる感じでこの流れはすごくよかった。
氷のレコードが毎日2時半から学芸員さんの手でかけられるらしい。
行ったのは午前中で、聞けなかった。残念。
他にも砂時計の砂を聴く作品や、水に浮かぶレコード。表麺のラベルにSKYと書いてて、裏面は底の鏡に映しだされてSEAと書かれている。詩的な作品。
その隣にあったのは机の上のヘッドフォンをつけて、しゃがむと水に潜った音がする作品。
仕組みはどれもシンプルやけど、どれも楽しい作品。さすがです。
そして野村仁の「'moon'score」。大好きな作品です。改めて音楽で聴く。
隣の部屋には金沢健一さんの鉄の作品。
鉄の板の上で踊る砂の映像と写真。そして観客が鉄の欠片を叩いて「演奏」する作品。
欠片はひとつひとつ違う形をしていて、どれも音が違う。
最後に石田尚志の映像。バッハの「フーガの技法」とドローイングのアニメーション。
映像に使われた膨大なドローイングも展示してあって、すごい量でした。
また、一階にも作品があり、藤本さんの椅子に座ってパイプから聞こえる音を聴く作品と藤枝守のモノコードの作品。
藤本さんのはMOTにもありますね。
藤枝さんのは芸術センターで観ました。めっちゃがんばらないと音が聞こえません笑

とまあ、こんな感じ。
思わずカタログ買っちゃいました。
1700円で、なんとCDまでついてる!
CDには、藤本さんの椅子の作品のパイプにマイク仕込んだ音と、金沢さんの鉄の音楽、さらに藤枝さんと八木くんも参加。超豪華です!!!
300部限定となってましたが、これは手にいれておいてよさそう。
もう本当に素晴らしい展覧会でした。
美術館でのテーマ展で、これだけ感動したのは、2008年の広島現美の「MONEY TALK」以来。
早くも今年のベスト10に入るのは間違いないです。超おすすめ!
来週から水戸では梅まつりだそうです。併せていかがでしょうか。

「耳をすましてー美術と音楽の交差点」@茨城県近代美術館
2011年1月22日-3月6日 月休(2月21・28日は開館)
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/kikaku/index3.html


<関連記事>
「ある風景の中に」@京都芸術センター
八木良太「制作と実験」@京都市立芸術大学新研究棟1階立体1教室


「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」@水戸芸術館
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本来こちらがメインで水戸入りしたわけですが、正直相当期待はずれだった展覧会。
もう、去年のターナー賞受賞者スーザン・フィリップスと、ずっと観たいと憧れ続けた土屋信子さんの作品が観れるってんで、テンション上がりまくって初日から行ったんですが。。。
確かにスーザン・フィリップスの中庭に響き渡る透き通る歌声は素晴らしかった。先述の「耳をすまして」の流れで出会ったので、感動も一潮。
そして土屋さんも確かによかった。あのわけわからん世界観。たまりませんでした。
確かに一人ひとりの作品は文句のつけどころがありませんでした。
eNartsで観た小林史子さんも、木村友紀さんも期待通りでした。
では、何がいけなかったのか。
それはやはりテーマの設定と展示の方法。つまり残念ながらキュレーションです。
まず「クワイエット・アテンションズ」というタイトル。
観る前はなんて素敵なタイトルなんだろう、と思ってました。しかし観た後にこのタイトルが果たしてまったくこの展示に相応しくないように思えてならなくなりました。
最初の展示室から、いきなり躍動感あふれる小林さんの自転車のインスタレーション…。
ク、クワイエット???とのっけからつまづきました。
そして、展示室を順にたどっていっても、正直「クワイエット・アテンションズ」は展示のノイズにかき消されて、最後まで聞こえてくることはありませんでした。
そして展示。1展示室1作家という、まるでスライドレクチャーを見ているよう。
この展覧会は何がしたかったんでしょうか?
女性作家の紹介展だったのでしょうか?
もう少しミニマルな展示を期待していたんですが、悪い方に裏切られました。
まあ、そんな期待は当方の責任ですが、もう少し作品と作品がつながるような展示になるような試みがあったらなーって感じでした。ビックリするぐらいすっぱり切れてるので。
あぁ、これで近美がなかったら正直救えなかった。
水戸芸に関しては残念ながらこんな感想しか書けません。ごめんなさい。
まあ、紹介展と開き直れば見る価値はあると思います。
とにかくスーザン・フィリップス素晴らしいです。5月8日まで。
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テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Re: ありがとうございました。

わざわざコメントいただきありがとうございます。
本日まででしたね。本当に素晴らしい展覧会でした。
あれだけの資料を集め、イベントも充実させるには相当なご苦労あったと思います。
昨年度の「目をとじて」もカタログ拝見させていただいてとてもいい企画だな、と思いました。
次回の展覧会は行けそうにないですが、来年度に「女性像」をテーマにした企画があるとお聞きしたので、タイミングがあれば是非拝見させていただきたいと思ってます。
これからもいい企画を楽しみにしています。

ありがとうございました。

「耳をすまして」においでいただきありがとうございました。
ブログ記事を拝見いたしましたところ,お楽しみいただけたようで館としてもたいへん嬉しく思っています
この展覧会は本日が最終日となってしましましたが,関連イベントなどはブログでも紹介しています。お時間がありましたらのぞいてみてください。

http://plaza.rakuten.co.jp/momaibk

また,今月12日からは「ふるさとを描く いばらき美術風土記」という企画展を開催します。

http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/schedule/index.html#2010_07

京都からではなかなか足を運んでいただくのも大変かと思いますが,4月24日まで開催しておりますので,何かのついででも,近くにおいでになったときには是非ご観覧ください。

Re: 質問です

はじめまして。ブログ見ていただきありがとうございます。
その作家さんは、芳木麻里絵さんです。
作品自体はレントゲンヴェルケで取り扱ってるみたいですが展覧会はまだだと思います。
http://www.roentgenwerke.com/04galleryartists/04yoshiki_j.html
彼女は僕と同級生で、当時からあの作品を磨き続けていました。
どんどん技が洗練されている感があり、これから楽しみな作家さんです。
是非チェックしてあげてください。

質問です

突然すみません。はじめましてサトウと申します。
いつもブログ拝見して、勉強させていただいております。

質問があり、メッセージさせていただきました。
何年か前にブログで紹介していたのですが、シルクスクリーン仕法でなんども重ねて立体を作っていく作家さん(女性)がいたかと思いますが、その方の名前を教えて頂けないでしょうか。
どうしても名前が思え出せず、情報がしらなすぎて、検索してもみつかりません。
いつか東京で展示する事があったら、ぜひ観てみたいかただったので、チェック出来ればと思っています。
お手数お掛けしますが、教えて頂ければ幸いです。
どうぞ、宜しくお願い致します。

サトウ ヒロエ

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