Turner Prize winner 2010
もう僕が言う必要もないと思うけど、やっぱり毎年恒例。
今年もターナー賞が発表されました。
ミウッチャ・プラダのイタリア訛り全開のアナウンスでスーザン・フィリップスの名前が読み上げられたのは現地時間の昨夜のこと(日本時間の朝方?)。
受賞者発表の瞬間はやはりいいですね。
今年の受賞者スーザンの作品はなんと音のみ。
会場には3台のスピーカーと長椅子が置かれているだけというもの。
スピーカーから流れるのは「Lowlands Away」という16世紀のスコットランドバラード。
アカペラで彼女自身が歌っています。
この潔さは2001年のマーティン・クリード以来かも。
オリジナルの作品はグラスゴーのクライド川の橋の下で流されていたそうです。
視覚芸術である美術からはかけ離れているとは思いますが、やはり美の概念は刻々と変化するもの。
今回訪れた観客の中でもほとんどの人がこの作品がターナー賞まちがいなしと見ていたようです。
僕も下の動画でちらっと観ましたが、確かに頭1つ出てる気がします。
他のは「アートの為のアート」と言った感じがしてうんざり。
スーザンの作品において、「なぜ音が美術館に展示される必要があるのか?」と問う人もいるでしょう。
では、今の時代に真剣に音と対峙することがあるでしょうか?
もちろんコンサート等で音と向きあう瞬間はあると思います。しかしそこではパフォーマンスという視覚要素もとても重要だということは間違いない事実でしょう。
こうして純粋に音とだけ向きあう瞬間って意外にないのかも。
だとすると、美術館は、何かに向き合うという点でぴったりな場所だと思います。
またイヤホンで聞かないというのは、他の雑音も入ってくるということです。
人の話し声、空気の音、川が流れる音、鳥の囀る音、電車が通る音。
様々な日常の音もいつもより敏感に聞こえてくるのではないでしょうか。
このような繊細で丁寧な作品に賞が与えられたのは個人的にとても嬉しい。
やはりターナー賞は世界が誇る素晴らしい賞です。
特に2001年のマーティン・クリードから、90年代の刺激の強い作品が席巻する賞からシフトチェンジしてきたように思います。
あのまま刺激だけを追い求めていたら、多分ここまでの賞になってなかったでしょう。
途中迷走期に入りそうな時期もありましたが、昨年のリチャード・ライトといい、今回のスーザン・フィリップスといい、賞の質がより成熟している気がします。
来年のターナー賞も実に楽しみです。
ちなみに彼女の作品はミュンスター彫刻プロジェクトで体験済み。
橋の下で流される彼女の歌が川を挟んで出会うというもの。
これのどこが彫刻?と思いましたが、よく覚えています。
来年水戸芸術館で彼女の作品に出会える機会があるみたいです。
この展覧会には僕が観たいと想い続けている土屋信子さんも出ている!!!
ついに出会えるのかー。楽しみすぎる。
あと木村友紀さんもIZUは行けなさそうなのでこっちで観ます。
キュレーターは高橋瑞木さん。さすがです。
「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」(2011.02.12-05.08)
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