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ハンス・ウルリッヒ・オブリスト|インタビューVolume1[上]

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アートシーンで最も影響力のある人物の一人ハンス・ウルリッヒ・オブリスト。
現在サーペンタインギャラリーのディレクターを務めながら、世界中を飛び回ってます。
そんな彼のライフワークとも言えるのがインタビュー。
アーティストをはじめ、建築家、哲学者、科学者、文学者、等々
あらゆるジャンルを飛び越えて、これまで数百にも及ぶインタビューを繰り返してきました。
今年の妹島さんがディレクションしたヴェニス建築ビエンナーレでも出品作家の一人としてオブリストの名があり、彼のインタビューが「展示」されていたそうです。
その中から30本のインタビューがこの本に収められています。
マリーナ・アブラモヴィッチ、ダニエル・ビュレン、オラファー・エリアソン、ギルバート&ジョージ、ドミニク・ゴンザレス=フォルステル、フェリックス・ゴンザレス=トレス、スチュアート・ホール、カールステン・ヘラー、ガブリエル・オロスコ、ローレンス・ウェイナー等々!!
この本自体は海外で2003年に発売されたものですが、今回なんと日本語になって登場!
Twitterで田中功起さんが紹介してて即買しました。
何気にTwitter重宝してるかもしれません笑
タイトルに[上]と付いているように、これは本書の半分しか収められていません。
この本の中にまだ収められてない名前としては、ヴィト・アコンチ、マシュー・バーニー、クリスチャン・ボルタンスキー、ダグラス・ゴードン、ダン・グラハム、オノ・ヨーコ、ロニ・ホーン、ゲルハルト・リヒター、ピピロッティ・リスト、ミケランジェロ・ピストレット、磯崎新、伊東豊雄、妹島和世、レム・コールハース、ザハ・ハディド等々!
まだまだ豪華メンバーが残ってる[下]が待ち遠しいです・・・。
そもそも一人ずつのインタビューを収めたConversation Series(以下CS)という本が20冊ほど既に出てて、少しずつ集めようと思ってたのですが、これはその導入編にぴったりですね。
ここにはそのインタビューからの抜粋なので、それでさらに知りたければCSを買えばいいんですね。とりあえず今はオラファーとレムの2冊を持ってます。
ちなみにCSは英語版のみです。レムとザハに関しては日本語の本が出てます。


それにしてもこの本。この本自体の美しさにまず目が奪われます。
数ページごとに紙質が違うんです。2枚目の写真でわかりますかね?
捲っていった時に手触りが変わるんです。
こういうのはやはり電子書籍では味わえない本の良さですよね。
表紙もシンプルでかっこいい。辞書のような趣です。
それもそのはず。これはJay Chung & Q Takeki Maedaという作家のアートピースでもあるのです!
日本語にも関わらず海外でも販売されているらしく、単純にオブジェとしての扱い。
これだけの内容を丁寧に訳すだけで根気強い作業だと思います。
よほどの情熱じゃないと無理です。やっぱそれが作品となると懸けれる力は違うものなんですかね。
是非下も諦めずに制作してほしいです・・・。
ちなみに今amazonでは入荷待ち状態。
アート関係者は是非手に入れてほしい。これで5140円は安すぎる。
インタビュー自体最新でも2003年のものですが、そこから浮かび上がってくる歴史はすごい。
人が歴史をつないでいく様がこのインタビューたちを通してよく見えます。
フライ・オットーやコンスタントのような人々のインタビューは凄まじく、コルビュジエやモンドリアン、デュシャンやジョン・ケージ、レヴィ・ストロースやフーコーのような人々が伝説上の生き物ではないことがわかる。
実際すでに亡くなってる人のインタビューもある。
特にフェリックス・ゴンザレス=トレスのインタビューは読んでいて新鮮。
この人が如何にアートに革命をもたらしたかがわかる。
トレスが活躍した90年代という時代も垣間見れるのもこの本の特徴。
90年代はまだ歴史になりきれてない歴史。
70年代80年代の話はよく聞くものの、90年代というとあまりピンとこない。
イギリスのYBAぐらいしかわからず、他はどうなっていたのか。
まさにそれらの時代の証言も収録されているのがこの本の魅力でもあります。
そしてなにより、オブリストの博識ぶりは驚嘆するばかり。
人に何かを聞くにはある程度その分野のことについてわかっていないと不可能。
アートから言語学、宗教学、哲学まで。
一体どういう頭をしてるんだろうか・・・。

以下は本から気になった箇所を抜粋。
一応追記で読みたい人だけどうぞ。
マリーナ・アブラモヴィッチ (アーティスト/1946-)
「アーティスト自身の成長や彼らの体験そのものが、アートにおける発展じゃないかしら」

グレゴリー・J・チャイティン(数学者/1947-)
「他人がやっているようなことをするのはわたしにとっては無意味なんだ。誰かがすでにやっているのなら、もう解決しているんだし対処もされている。だからひとりの知識人に価値ある活動というのは-そしてアーティストであるあなたにも同じはずだけど-誰も行こうとしなかった方角へ進むということだ。君とわたし以外の誰もが。これはリスクの問題だとは思わない-そうしないでいることは、時間の無駄でしかないと思っているだけだ。ふつうじゃない道筋を選ぶ自分の感覚を疑ったことはない。だって、そうじゃなければそこを進む意味がどこにあるっていうんだい?(略)憤慨されるということは、たいてい良い反応なんだ。」

・J・G・バラード(小説家/1930-2009)
「心理テストが今の美術展の唯一の機能であり、美術展において美的要素はほとんどゼロにまで切り詰められてしまっている」

ダニエル・ビュレン(アーティスト/1938-)
「砂漠にわざわざ出かけて行って作品を作ることに見込みがあるとは思いません。主義として、行くつもりはありません。美的な観点からそう言っているのではありませんよ。観光をしに行くかもしれませんが、仕事のためには行きませんね。そういった場所では、人間が訪問者でしかなく、社会的な存在ではなくなるからです。そこが人間の出会いもなければ人間の歴史もない場所であるのに対して、田舎はお互いが出会う、”自然な”社会空間なのです。」
「ジョン・ケージも含めたデュシャンの系譜は、考えようによっては世界のどの国よりも日本での認知度のほうがかなり高いのです。」

ジャンカルロ・デ・カルロ(建築家/1919-2005)
「空間の質に興味がない人は自分を見失っているだけだと思うんだ。もし空間の質が軽んじられているのなら、この世で体験する価値があるものは、何もなくなってしまうから。だから、空間の質に興味を示さない人に出会うと、不信感を抱いてしまうんだ。」
「決まったやりかたを実行しているだけの建築家たちは、ずっと同じことを繰り返せるけど、時代の変化に敏感な建築家たちにはそれができない。」

オラファー・エリアソン(アーティスト/1967-)
「自分が感じとっているものを見ること、あるいは自分が見ているものを感じとることが大切だ。極端に表象化されたレベルでも存在している感覚を失わないためには、<第三者>のような視点、二重の視点で自分の体験を観察するんだ。」
「Creativity is not about formalization: it's about action, individuality, and believing in things.」(CSより)

ジョージ・パサモア(アーティスト/1943-)
「簡単に言えば、世界中の美術館館長とキュレーターは、ざっとふたつのグループに分けることができます。一方はどのアーティストに展覧会をさせようかと思案にくれる人たち-たいていこういう人たちは、この人に展覧会をさせようか、あの人にさせようかというように、そのことばかりを考えているのです。もう一方のキュレーターは、どのアーティストの作品をその街や国の住民や、訪問者に届けたいかと思いをめぐらせている人たちです。わたしたちは、グッゲンハイムで展覧会をしたときに多くのジャーナリストから「グッゲンハイムが展覧会を開いてくれたことについてどう思いますか?」という質問を受けてようやくそのことに気づきました。それで「なんてことだ、間違っている!」と思いました。グッゲンハイムが展覧会を開いてくれたのではなくて、わたしたちが観客に対して展覧会を開いているのですよ。それはまったく逆のことで、重大な差があるのです。」
「まず、現代アートはアーティストがまだ生きているうちに、人々に届けることが重要だと思います。医薬品などのようなものと同じです。発明品が考案されたのであれば、どこででも簡単に手に入れられなければ。ある国ではペニシリンが使えるようになるまで、六十年間も待たなければいけませんでした。抽象絵画でも最新の表現様式でもなんでも、それを見るために六十年間も待たせる必要はないと思います。」

ギルバート・プロッシュ(アーティスト/1942-)
「だれだって自分の仕事っぷりを宣伝しなければならないのに、みんなアートになるとそんなことするべきじゃないと思っています。もしだれかが自分の作品を気に入って見に来てくれたとしたら、、それがまるで幸運とでもいうように。わたしたちは、そんなふうには考えていません。宣伝も展覧会の一部です。人々に足を運んでもらい、展示を見てもらわなければ。」
「美術館そのものがあらゆる芸術作品よりも重要なのです-アートはそれほど人々の記憶に残らない。最上階にあるカフェからの眺めのほうが、一番記憶に残るのではないでしょうか。そこでどのようにアートが展示され集結されているかを見れば、テートにはひとりのアーティストも感動させるつもりはないことがわかります。テートはアーティストみんなを民主的に、平等にあつかおうとしているのです。だからひとりだけ抜きんでて輝いたりはしませんが、アートはそんなものではありません。いつだって自分なりのやりかたで制作した作品を輝かせようとするアーティストたちが作り上げてきたものなのです。」

フェリックス・ゴンザレス=トレス(アーティスト/1957-1996)
「ぼくらの時代の歴史や文化では、身体は生身の肉体であるまえに、法律や言語で定義されているという事実がある。だから身体の痛みや衰え、そして快楽を感じるとき、これらはすべて、法律や象徴的な秩序に深く結びついていることになるんだ」
「作品が実は存在しないということが重要なんだ。作品が消滅するのは、そもそもそこにはオリジナルなんてないからだ。」

カールステン・ヘラー(アーティスト/1961-)
「もしすべての物事が見かけどおりではないと思うのなら、見かけどおりの物事にはどう対処するのでしょうか?わたしが取り組もうとしている疑いは言語上の問題ではないので、言葉による説明が難しい。書き言葉や話し言葉は、この種の疑いにどうも<そぐわない>ようです。おそらく言語は法則、規則、反復というような、言ってみれば確実なものを基本にしているからではないでしょうか。」
「疑いは実行する前の状態でのみ、存在できるのです。」

サラ・マハラジ(視覚研究者/1951-)
「わたしたちが個人的体験と表現するものは、実はそれほど個人的ではありません。個人にはいつだって社会性がある、あるいは一人称はつねに三人称であるともいえるわけです。」

フランシスコ・ヴァレラ(生物学者/1946-)
「<智慧>は知性の形式のひとつですが、非概念的であり、わたしが<アヴィディア>に感じている否定感を伴わない知性なのです。誰にでも<智慧>があります。固定概念を解き放ったときに得られる知性です。つまり、そうすることで現れるもの、自分自身を解き放ち、ちゅうぶらりんな、どっちつかずの状態になる瞬間なのです。現象学的な単純化のアイデアにかなり近いものと行ってもかまいません。あやふやな状態にしてから、ポン!と完成させる感じ。そこから<智慧>の小さな光があふれるのです。」

ロベルト・マッタ(アーティスト/1911-2002)
「言わば、ニューヨーク・スクールのアーティストたちはグリーナー(貧しき者)でした。20年代と30年代が残したものを拾い集めたマン・レイもどきやマックス・エルンストもどきがあらわれ、彼らがウォーホルを生み出した。唯一、非ユークリッド幾何学を提唱したアインシュタインのような人たちだけが、何かを創造した人物といえるでしょう。そうした活動をする人々こそ、重要なのです。とは言っても、だれもやりません。そういうことを実行するには、ものごとを少々変化させなければなりませんから。」

ガブリエル・オロスコ(アーティスト/1962-)
「建築における問題点は、例えば美術館を建設する際、建築家はほとんどの場合、美術館を彫刻として設計し、展示します。わたしはこの場合、彫刻の世界に建築作品を持ち込んで、何が起きるか見てみるのです。(略)現代彫刻はもはやモニュメントの制作を拒否しましたが、今日の建築は、モニュメントに対する明らかなニーズを満たそうと躍起になっている、と考えることもできますから。コンテンポラリーアートが興味を失ってしまった役割を、建築が取ってかわることに政治的な側面が見えます。建築におけるモニュメント性への批判ですね。」
「かつてフルクサスのオブジェを陳列棚で見たとき、ひどくがっかりしたことがあります。過去の遺物になってしまったからです。わたしは自分の作品が展示ケースから出てきてほしいし、人々の想像のなかで十分機能できるようにしたいと思っています。アートオブジェにとって、想像こそが最初で最後の、そして最も重要な居場所だと思っています。」
「美術館は虚構ではありません。死んだ物や生きている物、腐った物を手に入れることができる市場や墓地と同じくらいリアルだと思います。」
「アーティストは人間の能力の複雑さや無限性に言及する宇宙を創造する責任があると思いますが、このようなことはめったにできません。(略)アートは大人のためのものです。」

フライ・オットー(建築家/1925-)
1929年のバルセロナ万国博覧会のためのパビリオンについて聞いた時、彼(ミース)は笑ってこう答えた。「もう残ってないよ。だから良いんだ。まだバルセロナに残っていたら、古びてボロボロになっているだろう。きれいですっきりとした姿を覚えている人たちは、きっとがっかりするよ。」つまりこれは、博覧会用の建築物がものすごく強烈なインパクトを与えられるということなんだ。というのも、ずっと存在しているものよりも一瞬でなくなってしまう方が強烈になり得るから。」

ジャック・ランシエール(哲学者/1940-)
「哲学や歴史、政治学などの本質を根本から見つめなおすと、間違いなくあらゆる知的なアプローチは専門にとらわれないルールと戦略にもとづいているのだと思います。社会科学と呼ばれる専門領域の区分などただの便宜上のものですし、なにかを正しく判断するには、さまざまな方面から収集した資料や理論をまとめるしかないのです。(略)学問領域の分類というものは、特定の物事は自分には関係がない、という都合のいい言い訳のためにあるようなものなのです。」

エットーレ・ソットサス(デザイナー/1919-2007)
「デザインの美術館などは問題外です。無理に決まってますよ。触って使えるからこそ、オブジェには価値がある。わたしの建築に対する見方からすれば、建築美術館さえ問題外です、歩いて通り抜けて触れることで、理解することが出来る空間が建築なのです。いままでに見たいくつかの応用デザインの美術館も、無意味だと思いました。展示台の上に飾られていたとしても、カミソリは彫刻ではありませんよ。カミソリはカミソリです。椅子だって、座らなければ椅子ではありません。だからデザインの美術館は難しいのです。」

リュック・スティールス(科学者/1952-)
「失敗しないということはつまり、自分のやっていることがあまり革新的ではないということですから。走行レーンを走っているということはつまりスピードが遅いのだと、F1レーサーが言っていました。科学的な研究やなにか新しいことをしている場合、失敗がないのであればそれは正しくないということです。」

リクリット・ティラバニッ(アーティスト/1961-)
「アメリカのパスポートを取得すれば、旅をするのがもっとずっと楽になると思うけど、そうすると移動することは厄介なことなんだという事実を、もう実感できなくなってしまうことも意味する。どこにいく必要もないと感じない程度には、移動に苦労するほうがいいと思っている。もしそこに壁があるならば、壁の裏側にはぼくに来てほしいと思っている人たちがいつだっているんだ。でも、そういった人たちはそこに壁があること、そしてその壁に取り組まなければならないという事実に気づく必要があるだろう。」

ローレンス・ウェイナー(アーティスト/1942-)
「作品というものは役に立つ。誰かが利用できるのなら、それがその作品の存在意義だ。」
「ただ作品を作ればいいだけで、生涯の作品目録にどう収まるかをあまり気にする必要はないということだ。それはアーティストの仕事じゃない。アーティストは目録のために制作しているんじゃないんだ。アーティストは社会の一員だし、現代では綱渡りをする人、そういった責任を引き受ける人なんだ。」
「みんな、「ああ、自分はすごく上手だったのに、もうボールをあんなに遠くには投げられない」とは認めたくないんだ。自分の持てる知識をほったらかしにしたり、すっかり隠居する必要はないけど、もしかしたら実践はもう無理なのかもしれない。アーティストだって特別な人間じゃないから。わたしたちアーティストはいつもうまくやることが前提になっているけど、何回かヘマをしたら、「もう結構!」と言われてしまっても仕方がない。それはアートが嫌われているせいじゃないのに、みんなこういったことをすっかり勘違いしてしまう。自分の作品を否定する人たちがいたら、その人たちはアートや自分のことが嫌いに違いないと思うんだけど、もしかしたらただその作品が嫌われているだけなのかもしれない。自分の意見をみんなが絶対受け入れるっていうルールを神さまが決めたわけじゃないし、そのおかげで俗物になることもない。」

ハンス・ウルリッヒ=オブリスト(キュレーター/1968-)
「美術の歴史そのものがひとつの作品だけど、その展覧会はありえない。これは根本的な問題だと思う。展覧会というものはコレクションできないから、アーカイブすることができない。時間が経てば忘れられてしまう。この健忘症は展覧会の歴史に、致命的な影響を与えている。」
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ジャンル : 学問・文化・芸術

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