BIWAKOビエンナーレ2010終了しました。

50日間に渡って開催されたBIWAKOビエンナーレが昨日閉幕しました。
最終の土日は天気にも恵まれたくさんの方が来場されていて喜ばしいかぎり。
僕の作品は構造上一人ずつしか見れないので諦めて帰られるお客さんもちらほら笑
ご来場された方々には本当に感謝です。
今回は、作品の在り方を考えるいい機会になりました。
回られた方は体験を通しておわかりかと思いますが、ビエンナーレ抜きにしても、この近江八幡という町は恐ろしいほど魅力のある町です。
時代劇の撮影なども頻繁に行われるほど古い町並みや水郷が美しい。
近年頻出している他のビエンナーレが主に町(村)おこしを目的にしているのに対して、この近江八幡ではそもそも観光地として毎日たくさんの人がこの風景を観に訪れています。
そんな中にどうアートをインストールするのか。
そこが今回作家たちが考えた大きな課題だったと思います。
今回会場となった古民家や工場も、それ自体が既に大きな魅力を持っていました。
僕としては、その魅力を決して損ないたくなかったし、そこにアートが置かれることでより一層魅力を放つようなことができたら最高だと思いました。
僕が選んだ場所は、一人用の階段を伝って昇った先の屋根裏部屋。
元々駄菓子屋さんだった頃のお菓子のダンボールや容器がたくさん眠っていて、見つけた時はまるで宝島を発見したような高揚感がありました。
当初そこは展示に使う予定はなかったのですが、お願いして使わせていただくことに。
使うに当たってお願いしたことは、一切掃除など手をつけないでくださいということでした。
その混沌とした眠った状態の空間に僕の作品が置かれることで改めて人々がその場所に静かに対峙できるような作品作りを目指しました。
具体的には、庭に生えていた雑草の押し花を入れたライトボックスを屋根裏部屋の荷物たちの中に配置し、暗闇の中で雑草のシルエットが亡霊のように浮かび上がるといったインスタレーションです。
こんな言い方は誤解を招きそうですが、作品自体は実際重要ではありません。
それがあることで、視界に他のものも見えてくること自体が重要なのです。
主役はあくまで、僕の作品を含めた屋根裏の風景や空気なのです。
だから、作品単体としてはとても「弱い」作品だったと思います。
芸術センターのような作品を期待していた人たちにとっては多分期待はずれだったかも。
その辺のバランスが今回とても難しくて悩みましたが、今回はあの空間性を重視して作品を作りました。
そしてあの屋根裏を階段から覗くといった鑑賞方法も重要で、一段上がったり降りたりすることで、視界が変わって見え方が変わっていくのです。
何か見てはいけないものを見てしまうような不思議な体験を含めてあの作品は成立していました。
ちなみに今回のタイトルは「ことのは」。
言葉の語源としてある「言の葉」ですが、その前は「事の端」と言ったそうです。
これは、言葉というのは、物事の端の部分しか伝えられないという意味で付けられたそうなんですが、それを知った時なんて深い「言葉」なんだ!と思いました。
そして表現活動というのは、まさにその「言葉」では補い切れない大部分のこと。
そして、今回の作品は全体の端っこでしかないということ。
そういう意味も含めてこういうタイトルにしました。
反省も多々あります。
こうした大きな展覧会で、どうしても僕の作品は存在感は薄かったと思います。
それはそれでいいとは思うんですが、やはり作品としての強さを持ったまま、場所と調和し共に輝けることが今後の課題だと思いました。
その点ではやはり同じ出品作家の大舩真言さんから学ぶことは大きかったです。
彼の作品はものすごく強いのに、決して場所と喧嘩しません。
そして、あの作品があるからこそ、そこに入る光や空気をはっきり意識することができました。
昨日はラストということで、特別に陽が落ちてからの展示も拝見させていただいて、夜の闇の中であの作品が輝く様を体験しました。
まだまだ勉強中。がんばります。
やっぱり作家は発表を通して学びますね。
ちょっと発表に慎重になりすぎてる感があるので、恐れずに経験積んでいきたいです。
やたらめったに発表するのもどうかと思いますが、ひとつひとつ丁寧に育んでいきます。
今回このようなまたとない機会を与えてくださったディレクターの中田さん、事務や会場設営など尽力尽くして頂いた井上夫妻、ボロボロだった会場を綺麗にしてくださったり寒い中監視を続けてくださったボランティアの方々、関係者の皆様、どうもありがとうございました。
これから搬出ですが、またしばらく羽根休めてください。
今後ともよろしくお願いします。
関連記事>>BIWAKOビエンナーレ2010@滋賀県近江八幡市内
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