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地点「――ところでアルトーさん、」@京都芸術センター

今京都では「KYOTO EXPERIMENT 2010」と題して国際舞台芸術祭が開催中です。
すべて注目すべき演目ばかりで素人の僕はどれを選んだらよいのか目移りしっぱなしですが、その中から知人のおすすめ地点をピックアップしてみました。
場所は京都芸術センター。
会場に入ると水の張ったプールとアンテナ、そしてアルトーのウォーホールのシルクスクリーンの幕がバックに掲げられてます。
僕は不勉強で知らなかったのだけれど、アルトーというのは演劇界の中で神のような存在らしい。
彼は生前分裂症で、終始薬物に侵され続けながらも表現活動に徹した強靭な人物。
今回は彼をベースにした演目なわけです。
やがて7人のパフォーマーが入ってきて舞台がスタート。
一人のパフォーマーが語りだすのだけれど、どこか日本語の発音が変。
その演説の後、また一人のパフォーマーがプールに入っていって何か語りだすのだけど、これまた発音が変で、最終的に他のパフォーマーたちもすべて変な日本語を話しだす。(一人は特にすごかった)
文法は正しくて、文章にしたら間違いではないのだけれど、文節や発音が歪んでいる。
こうして延々と読経の如く言葉の洪水を浴びせられるのだけれど、言葉はある一定の量を越すと意味が飽和状態になり、脳が全く理解をしようとしない。
読経という言葉が出たが、まさにあれも言葉がひたすら続く中で、言葉が音に変わっている。
言葉というのはとても具体的な意味を持つもののはずなのに、目の前でどんどんその意味が剥ぎ取られていき解体され抽象化していく様は見ていて(聞いていて?)爽快。
人によっては相当苦痛だと思う。(実際隣の人は最後まで船漕いでた笑)
途中全員が各々に話す瞬間があって、もう音でしかなくなっている。
今回、演出家の三浦基さんが掲げたテーマはこの声である。
そして、こういう身体性があるのかと、僕は開眼させられた気がした。
声を出すという身体性。
実際身体の動きはこの演目ではほとんど見られない。
なのにパフォーマーの額には汗がにじみ出ている。
つんざくように大きな声、張り裂けるような叫び声、諭すようなささやき声。
これらを使い分け、言葉をひたすら打ち続ける。
凄まじいパフォーマンスでした。
当初僕は台詞がある舞台は苦手と思ってたけどこういうものがあるのかと相当驚きました。
最近村上龍の新作小説「歌うクジラ」を読んだのだけれど、その小説も言葉が1つのテーマになってて、なんとすべての台詞にカギカッコがなく話が進められていきます。しかも途中で助詞を歪めて喋る人が現れたり、外国語の誤訳のような機械音声が登場したりと、かなり混乱をきたすんだけど、今回の舞台を見ながらこの小説を思い出しました。
しかしパフォーマーはよくあれだけの台詞を覚えられるなぁと普通に感心。
思いついたことをしゃべってるのではなく、ちゃんとアルトーの人生の主題を語っている。
それらのテキストを創り上げた三浦さんもすごすぎる。
とても衝撃を受けた演劇でした。観に来てよかった。
しかし2時間はちょっと長すぎた気がする…。

最後にポストトークもあったので聞いてみた。
トークは三浦さんとPortBの高山明氏による対談。
途中わからないことも多々あったけど、面白かったのは三浦さんの「ないない」を創りたいという下り。
よく本とか映画とか読んでて「あるある」と共有する部分って出てくると思うけれど、自分は最後まで「ないない」と観客に思わせたいという話。
変にリアリティを含ませるより、虚構で固めてしまうと演劇のリアリティが増すということか。
中々深いお話でした。

地点この舞台は7日まで続きます。機会ある方は是非。
http://kyoto-ex.jp/program/program-official/304/

んー、もう一個ぐらい見ようかな・・・。
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テーマ : 観劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

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