「火垂」 by 河瀬直美

18切符で静岡寄って東京まで行ってきた。
18切符最長記録!
朝5時に出て、着いたら夕方の5時。12時間。ケツイタイヨ。

この日の17時半から水道橋にあるアテネフランセという所で河瀬直美さんの「火垂 2009 version」が上映されるとのことで行ってきました。
これは昨年カンヌで「金の馬車賞」を受賞を機に、2000年に発表した「火垂」を再編集して上映したもの。夏には奈良国立博物館の講堂でも上映されました。
僕は河瀬さんのストーリーものとしてはこの作品だけ見たことがなくて、ちょうど上京一日目で見られると知りなんとか間に合わせました。
アテネフランスは、なんなんやろ、語学学校?なぜか映画館もある。
そんな小さな映画館ですが、さすが河瀬さんで色んな人が駆けつけてました。
最前列に陣取ったんですが、真後ろにはなんと「沙羅双樹」の主演で甘酸っぱい青年を演じた福永幸平君が座ってた!
河瀬映画の中で「沙羅双樹」が一番好きなのですごい緊張した。
そして上映開始。

かなりびっくりした。
他の河瀬映画にはない暴力性の秘めた映画。
具体的に暴力のシーンはないけれど、なんだか恐ろしかった。
奈良のお水取りから始まり、様々な火のシーンがちりばめられている。
火というものの暴力性がこの映画には宿っている。
個人的にはあまり好きではないが、様々な場面が焼きついている強い映像。

上映後、映画批評家のドミニク・パイーニさんと河瀬さんの対談。
河瀬さんはとても気にかけてくれて、向こうから声をかけてくださった。ありがたい。
対談はとても長かったけどめちゃくちゃ面白かった。
まず、河瀬さんとこのアテネ・フランセの思い出。
ここは初めて河瀬映画を流した映画館らしい。
生き別れた父を探す旅を綴った「につつまれて」を河瀬さんが持ち込んで、おもしろいからと、他の作品と、それに合わせて作った祖母を題材にした「かたつもり」も上映してもらったそうな。
その際に名刺のコピーと、「萌の朱雀」の原案を配ったら、それを目にした方がWOWOWに持ち込んで制作が決定し、その後は知るところである。
そんな思い出の場所とは・・・おそるべし、アテネフランセ。

対談の内容はたくさんありすぎて書けないけど、パイーニさんの河瀬映画の見方が鋭い。
まず「火垂2009」に関して「殯の森」の編集の仕方と似ていると。
確かに「殯の森」以前と以降で河瀬映画はガラっと変わってしまっている。
僕は正直以前の方が好きなんだけど、そこにはフランスのスタッフと作ったことが大きく影響してるのだそうな。
だからこの「火垂」も作った当時から相当違ったものになったと。
オリジナルの方もぜひ見てみたいところです。
そして観客から河瀬直美は日本映画史、または全世界の映画史の中でどこに存在しているのか、という質問が飛び出し、それに対してパイーニさんは成瀬巳喜男を挙げてた。
僕はまだ彼の映画を見たことはないけれど、彼の映画も家族の消失を描いていて、それを取り戻すのではなく消失を受け入れたまま話が進んでいくのが河瀬映画と共通してるそう。そこは同じ日常を描いた小津とは違う世界観らしい。
なんだか昔の映画も色々見てみたくなってきた。。。
あと、河瀬さんの発言で食事のシーンの話はおもしろかった。
やはり彼女は理想の家族像というものを映画の中で無意識に描いていて、その中でも食事のシーンというのが重要で、よく大勢でテーブルを囲んでなんてシーンが確かに出てくる。
そして河瀬映画の食事はマジでうまそうに見える!
永谷園のお茶漬けのCMじゃないけど、なんだか豪快なんですよね、食べ方。
それを終わった後に言ったら、別に指導してるわけじゃないんだけど、うまそうに食う人が河瀬映画には集まってくるんだって。おもしろい。

とても充実した映画上映&トークでした。
というか通訳の人すごすぎ。よくあんな日本語英語フランス語をまくしたてられるな。
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ジャンル : 学問・文化・芸術

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