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なかもと真生「境界線/不在」@西院久田町貸家


友人作家のなかもと君の展示を観に行ってきた。
彼は、ふたつの顔を持つ男だ。
普段は「中本真生」としてウェブの製作会社に務めており、&ARTの発起人を務め、様々な人にインタビューをとったりして、物腰も柔らかく、理知的で、まさに「できる男」という印象を受ける。そして実際そうだと思う。
しかし、作家「なかもと真生」になった途端に、そのスマートさはどこへやら、制作の為なら生活もかなぐり捨てる無茶ぶりを発揮する。(多分本人はそれを無茶だなんてこれっぽっちも思ってないと思う)
そんな無茶ぶりを最大限に発揮するのが、この家を使ったインスタレーションのシリーズである。
2007年の1月に始まり、今回で5回目となる。
自分の家であることをいいことに、やりたい放題やっちゃう。
時には展示で空間が全部埋まってしまい、寝る場所すら確保できなくなったり、お金がかかり過ぎて電気を止められたりしたこともあるらしい。(ちゃんと働いてるのに!)
また、オープンの時間も17時から朝の7時とか、徹夜でお客さんを待って、そのまま会社に出勤したりしたこともあったとかなんとか。
今はこの貸家には住んでおらず、アトリエとしてこの1年使っていたのだけれど、ついに引き払うことになり、最後の展示をするということになった。
前からこの家の無茶な展示を観てみたいと思ってたので、最後と聞き何がなんでも行かなくては!と思っていた。
DMも200枚程度しか配られておらず、本当に知る人ぞ知る展示。
今日はたまたま偶然出会った友人作家のI君と、友人ライターのH君の3人で烏丸からとぼとぼ歩いて行ってみることにした。
DMに書かれている「展示には底が厚く、露出の少ない靴でお越し下さい。露出の多い靴や、不安定な靴で来られた場合、一部ご鑑賞いただけない場合があります。」という注意書きがすごく気になったので、ちゃんとした靴で臨む。
地図通りに来たら、本当に普通の住宅が並ぶ中、1つだけ明らかに様子がおかしいのがある。特に看板等は出てないが、窓が割れとるではないかッ!!!!
割れた窓の隙間から作家のなかもと君登場。やっぱり。
中に入ると、もう窓という窓が全部割られている・・・そんな無茶な!!
割られた破片の一部残る窓は、何か事件の跡の雰囲気が漂っており、犯罪の匂いがぷんぷん漂ってしまっている。通報されないことを祈る。
一階ではそれらのガラスがある矩形を描いて床に敷かれている。
これは玄関に立った時に奥の窓から入る光の形に置かれているらしい。
普段何気なく入ってくる光にちゃんと形を与えたような作品。
2階に行くとさらにガラスのラディカルさは上がり、もう床全体に敷き詰められてしまっている。前述の靴の注意はこのことだったのか!
ジャリジャリガラスを踏む感覚は決して気持ちいいとは言えないが、得も言えぬ感覚が押し寄せてくる。おそろしや。
そして窓を塞いだ間伐材の間から漏れる光が床のガラスに反射して、水面のような美しさを讃えている。とても暗いのでまるで鍾乳洞の中のよう。しかし周りを見渡せば普通の民家っていうそのギャップがまたたまらなくおもしろい。
なかもと君は、ホワイトキューブのような「非日常空間」に「非日常な出来事」を持ち込むことに魅力を感じてなくて、あくまで「日常空間における非日常」を起こしたいと語っていた。
今回の作品はまさにその感覚が突き抜けていて、とても気持ちがよかった。
そして、先ほどから「作品」という言葉を使っているが、今回の展示に至っては、「作品」とおぼしきものはないに等しい。あったガラスを割って、それを配置しているだけなのだから、外からもってきたものは、2階の窓を塞いでいた間伐材ぐらいなもん。しいて言えば、この状況こそが作品で、後々こうして目撃した人間が語り継いでいくことが作品になっていくのかもしれない。
それにしても外から見ると本当に恐い。
特に割れた窓ごしになかもと君が暗闇の中にいるのはマジでホラー笑
展示は26日までで、13時から19時まで。18時を過ぎるとどんどん暗くなって、最終的には2階の展示で暗闇の中でガラスを踏まなざるをえなくなる。とても恐ろしいけれど、それはそれで興味がある。
他にも誰に見せるわけでもなく、ゲリラ的に行う「フィールドワーク」というシリーズの作品があったり、来年早々愛知のギャラリーで発表があったり、とてもおもしろい作家。これからも楽しませてください。
なかもと真生website>>http://www.nakamotomasaki.jp/


「軽い人たち」@ART SPACE ZERO ONE
こちらも作家の家を使った展示。
作家さんは高須健市さんで、大阪は中津にある。こちらは予約制。
前から気になってて、ついにアポとって行ってきた。
こちらはなかにし邸と違って、思い切り看板もあり、なんと壁に写植まで!
高須さんが出て来て、中に入るとがっつりホワイトキューブが!!
元々大家さんが中を改装して人に貸したかったらしくて、高須さんが、じゃあホワイトキューブ作ってほしいとリクエストしたら、普通に業者やとって、ライトレールまでつけて、さらに天井もとっぱらっちゃってくれたらしい。だから高須さんの出費はゼロ。なんて理解のある、ってかありあまる大家さん!うちらなんて自分らの手でホームメイドやのに泣
中ではwks.でも開催中の「軽い人たち」展がやってて、wks.がA面ならこっちはB面といった感じで普段出さないような作品を出しているみたい。
高須さんのパイの実の箱の中からパイの実食ってる音が流れる作品がとても好きで、対で貝から波音が聞こえるというとてもロマンチックな作品を展示してるだけによけいゆるさが際立ってた笑
高須さんともかなり長い時間喋ってて、とても楽しい時間を過ごせた。
高須さんは元々愛知の人で、名古屋造形大時代から渡辺英司さんの元でゲリラ的に展示小屋を作ったりしていて、自分たちで発表の場を作るのは全然不自然なことではなかったらしい。(そもそも愛知はオルタナティブスペースが昔からたくさんあったんだって。知らなかった)
卒業しても名古屋で何人かとスペース借りて、「アートフェチ」という名前で一ヶ月おきに展覧会を続け、ついにはビル丸ごと1個借りちゃってたみたいなんだけど、さすがに行き詰まって解散しちゃったらしい。
高須さんはその時から既に関西に移り住んでいて、尼崎の方でこのZERO ONEを開設していて、気ままに展示をしたり、友人作家に貸したりしてて、去年の暮れに中津に移ってまたZERO ONEを始めたんだとか。
それにしても、本当人との巡り合わせがいい人だなと思った。
こんなホワイトキューブ作ってくれる大家さんがどこにいましょう?
こういう引きの強さって絶対作家にとって必要だと思う。
自分も相当引きが強いと自負しているけれど未来やいかに。
滅茶苦茶おもろい空間で、家なのでとてもリラックスできちゃうし、やってることも、僕らの90と共感できることが多くてまた行きたい。
こうして、各々がやってることが、結びついて、もっと点が線になっていけば絶対おもしろくなるはず。関西のポテンシャル高いっす。
是非皆さんも来場2日前までにアポとって行きましょう。
「軽い人たち」展は25日まで。
ちなみにこのZERO ONEには超テンションの高いわんこダダちゃんがいます。犬アレルギーがある人はご注意を。めっちゃかわいかった!
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