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Jung Ki Beak 'Sweet Rain' @ INSA ART SPACE


























INSA ART SPACEで23日まで行われた白丁基(パク・ジョンキ)の個展。
実はこれが今回の韓国行きの最大の目的。
彼は僕のロンドン時代の大親友。
同じフラットで暮らしていたこともありました(しみじみ)
そんな彼からメールが来たのは14日の金曜日。
そこに添付してあった写真に思わず目を疑いました。
あ、雨が降っとるーーー!!
その個展が23日までってことで、もう次の日から行動開始。
まさか、その一週間後にソウルでこの作品を見ていようとは。
多分ジョンキが一番びっくりしたと思います笑
彼とも実際ロンドン以来だったから約2年半ぶりの再会。
驚くほど変わってませんでした笑
ソウルでは彼の実家に泊めてもらって、車でギャラリーへ。
まず受付で長靴、雨がっぱ、傘の三点セットを借りる。
そして地下のスペースへ・・・。
写真で見た光景が目の前で繰り広げられてます。
雨音、雨足、雨だれ、雨粒。
ギャラリーの中で降られる雨。すごい体験です。来てよかった。
この雨はタイトルの通り、舐めると甘い味がします。
実際砂糖が含まれているんですね。
韓国では、日照りが続いた後に降る雨のことを実際「甘い雨」という意味で??(タンピ)といい、それを実際にやってしまったんだそう笑
役所広司がエビスビールのCMで「雨の名前だけで幾つもある国」と言ってますが、実際韓国のそれに比べると日本のボキャブラリーは少ないくらいです。
韓国には実にたくさんの雨に関する表現があり、この「甘い雨」もそのひとつ。
ジョンキは元々ロンドン留学前はずっと身体を護る鎧のようなものを作っていて、ロンドンに来てからそれがワセリンを使った柔らかい鎧、はたまた湿度を伴い傷を癒す効果も取り入れ、そこから癒しや湿度といった主題に傾倒し、僕が日本に帰ってきた頃にはサハラ砂漠で雨乞いの儀式みたいな作品を作ってたみたいです。
2年半ぶりに見る彼の作品はずいぶん変化していましたが、久々に彼の渾身の一作が見れてとてもうれしかったです。
彼的にはクオリティの面においてかなり不満が残る結果だったようですが。
実際、韓国政府から500万ウォン(訳50万円)程出て、それに自分で200万ウォンほどつぎ込んだとのことでしたが、やはり個人でこれだけのことをやろうと思えば限界があって、構造とか驚くことに木で出来てて、そりゃ3週間ほど水にさらされてたら大変なことになりまっせということで、僕の行った最終日間際には確かに至る所に欠陥が生じてました。
でもまあ、こういう作品は、最初はとにかくやっちゃうことに意義があって、そこからどんどんクオリティを上げていくという方向に向かうべきなので、その挑戦に敬意を評すべきでしょう。
あとはそのコンセプトがちょっと弱いというか、鎧を作っていた頃に比べて、作家自身との関わりが薄れていて、もう少し自分に引きつけるべきだと思いました。
これからどう変化していくのか楽しみではあります。
そして、凄いなと思うのがこんなことをやらせちゃうこのギャラリー。
京都で言う京都芸術センターのような施設で、新進作家に作品発表の機会を与える場として、韓国政府が出資し、毎年コンペで何人かの作家が選ばれ制作費を出し個展をさせるんだそう。
昨年丸亀で行われた「Double Fantasy」に出てたキム・ヘナもこのINSAで個展をしていますね。
それにしてもこの雨。建物の耐久として大丈夫なんだろうか・・・。
日本でこの展示ができるところってあるのかな?うーん。
ちなみにINSA ART SPACEは、世界遺産であり、「チャングムの誓い」の舞台となった昌徳宮(チャンドックン)の隣。よく仁寺洞(インサドン)にあるINSA ART CENTERとごっちゃになりがちですが違います。CENTERはGANAが運営するギャラリーです。ややこしい。
INSA ART SPACEに関してはコチラが詳しいです。
なぜか公式HPが更新止まってる・・・。


'The Beginning of Love' @ RYU HWARANG






「今日から自分が参加してるグループ展がはじまんねん」と、事前に知らされてない情報を普通に言い出すジョンキ。相変わらずです。
ってことでそのオープニングレセプションに行ってきました。
Leeumから歩けそうだったので歩きました。
この展覧会は、このギャラリーの開廊記念展で、約30名の作家が出品してます。
色んな作品が出てましたが、それよかオープニングでトッポギ(韓国の餅を甘辛く煮た伝統料理)を出してる方が衝撃でした笑
元々オーナーのお父さんが古美術商で、息子に譲った途端コンテンポラリーになっちゃったという、まあよくあるパターン。
その時の名残でスタッフは全員白衣を着てました。マルジェラみたい。
トッポギを頬張りながら、ジョンキのワセリンケーキを鑑賞しました。
2階には滑り台が設置してあって、外で鈴を鳴らすとトッポギが落ちてくる笑
日本もオープニングでたこ焼きとか出したらええねん。


'GOLD EXPERIENCE' @ HYUN GALLERY

「鞍馬口美術界隈」でもお世話になったHRD FINE ARTの原田さんが企画された展覧会もちょうど始まって、色んな縁を感じた今回の韓国旅行。
テーマはまさに「金」で、金箔を使用してる作家のグループ展。
日本から3人、韓国から3人という構成で、僕の先輩にあたる、安喜さんも出品。
行ったらちょうど安喜さんがレクチャーをしていて、作品の制作過程をスライドで見せていただき、大変貴重な機会となりました。これまでテンペラを駆使した技法で凄まじく細かい細密画を描かれてきましたが、ここにきて金という要素が入り込んでさらに複雑な画面構成になってて、とてもおもしろい展開です。
にしても皆さん本当に博識で、僕は一体大学出て何やってたんだと・・・。
技法のことなんてなにひとつ知りませんずら。ごめんなさい。
日本の金箔は世界で最薄なんだそうです。
「金」ひとつとっても、使い方が様々でとてもおもしろかったです。
展示としては、コマーシャル寄りの画廊なので仕方ないですが、やはり金の力を発揮するには照明を落とすべきでしたね。僅かな明かりでも煌めく黄金の反射はとても美しいです。かつての金箔画が明かり取りの要素も兼ね備えていたことを思い起こさせます。
韓国最後の夜には、原田さんや安喜さん、寺島さんも加わり、韓国からもギャラリーオーナーさんや出品作家さんに混じって、ほぼ関係ないのにジョンキと打ち上げ焼き肉に参加させていただきました笑 ごっつぁんです!
韓国の作家さんでチェルシーに留学されてた人もいて、その話題で盛り上がったり、実際共通の知り合いがいたりして、世界は狭いと実感。
有意義な韓国旅行でした!!観光地全然行けなかったけど!
以上、韓国リポート終了!疲れた!

にしても、飛行機の関係上実際回れたの実質2日のみ。
それでこれだけ回れたのは我ながらすごい・・・。

JUNG KI BEAK website>>http://jungkibeak.blogspot.com/
なんか7月からも展示があるらしい。
そっちはさすがに行けないけどがんばれー。
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No title

はじめまして。コメントありがとうございます。
韓国はよく行かれるんですか?僕は逆に今回観光らしい観光はできなかったので、今度はゆっくり世界遺産なども回ってみたいです。ソウルは昔ながらの風景と現代が入り交じってておもしろいですね。
是非インサ入ってみてください。ただ、サイトに最新の情報が更新されてないのがネック。せっかくいい施設なのに広報がうまくいってないみたいです。

No title

こんにちは。ブログ拝見させてもらいました。先週位に中には入っていませんがこの前通りました。レインコートがあって不思議だなとは思ったんですがギャラリーだったんですね。最近、ここのエリアにはまっているんで今度は中に入ってみようと思います。
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