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絵画の庭@国立国際美術館


本当は自分の展示終わるまで展覧会断ちしようと思ってたんですが、作業の中休みってことで久々に大阪に出てきていくつか見てきちゃいました。
まずは本日よりスタートした国立国際の「絵画の庭」。
国立国際移転5周年記念の企画展。全館使ってます。
ゼロ年代を絵画の視点から振り返るというものです。
ということで錚々たる顔ぶれが集められました。
それにしても、もう草間さんはやめませんか?
草間さんが悪いと言ってるんじゃなくて、草間さんに頼っちゃうキュレーションが悪い。なんでもかんでも草間さんが入れときゃいいわ、って感じが伝わるんですよね。
草間さんも被害者やと思う。
こんだけあちこちで見せられちゃ観客も食傷気味になっちゃう。
そもそも10年代に入ってもまだ草間さんが有効っていう日本のアートシーンが駄目。
完全にあの世代の作家に甘えてる感じがする。
というわけで草間さんが入ってる時点で萎えました。
でもまあ、冒頭の加藤泉さんの展示はよかった。
加藤さんってすごくバランスのとれたいい作家やと思う。
彫刻も絵画も両方魅力ある作家ってそうそういない。
しかもどっちも伝統的な木彫と油絵でそれをやってのけてる。
作品にいい意味で無国籍な感じがして世界と真っ向から勝負してる感じがするし。
のっけからやられちゃいました。
でもその後はほとんど素通りのオンパレード。
こういうメディアが同じグループ展って足を止めるのと全く止めないので両極端に分かれますね。
B3の展示では他には秋吉風人さんと小沢さかえさんのがよかった。
加藤美佳さんは、代表作「カナリヤ」はさすがやけど、それを超える作品を未だに作り得てないんじゃないかな。ちょっと心配。
B2は結構見応えのある、というか強い作品が多かった。
奈良さんの展示も会田さんの展示も、好きじゃないけどはまぐちさんのも強かった。法貴さんのは前に京都のタカイシイで見た時はピンと来なかったけど、今回の展示はすごくよかった。線が消えかかってるのとかがたまらなくそそられました。あとOJUNさんのも気になった。ってか日本人なんですね笑
でもなにがなんでも町田久美さんの絵は素晴らしかった。
「木馬」。涙をああいう風に描くなんて。絵の前でしばらく動けなくなった。
こうして見て行くと圧倒的に具象画が多いことがわかる。
ゼロ年代は具象の時代だったのでしょうか。
さて次の10年代はどんな作品が出てくるのやら。
ってか、同じ5周年でも金沢はオラファーか・・・いいなー。
この展覧会は4月4日まで。次はルノアールやって・・・うーん。


大西伸明「Chain」@nomart

昨年末から行こう行こうと思いつつ中々タイミング取れなかったけどようやく行けた。もう行かれへんかと思った。
今回も偽物と本物の領域を侵犯するような危うい作品たち。
陶器やアルミ、ドローイングや音に映像など作家の振り幅が上がっている。
特に映像はすごくおもしろかった。
氷が溶けて行くと最後にその中に混じってた大西さんの氷だけが残ったり、バナナの束が腐っていってこれまた大西さんのバナナだけが黄色いままのこるといった映像。その様がすごく明快で気持ちよかった。
大西さんの作品を構成する原理はもの凄くシンプルでそれ故に強い。
まるでホワイトリードのような作家だと思う。
彼女ももののボイドを型にとるという極めてシンプルな行為をひたすら繰り返すことによって完全に芸術に昇華している。
大西さんもものの真偽の曖昧さを様々な方向から突いていく。
ただこういう作品はただの方法論のバリエーションになってしまっておもしろくなくなる危険性も大いに孕んでいる。
今の所大西さんの作品にはまだ面白みを発見できそうだけど、これから続けていく中でネタ切れになってしまわぬよう、何かもう1つ道を用意しといた方がよさそう。などと勝手なお世話を焼いてみたり。
にしても大西さんの作品安過ぎる。僕ですらちょっと頑張れば買えちゃう。
まあ、あの蝶々とか普通にアンティークの店とかに置いてても買おうとは思わないけど、ギャラリーだといいかもってなっちゃうのは危ない魔法ですね。
DVDは1500円だった。アイスもバナナもどっちも入ってたら買いたかったけどさすがに別々。2分ぐらいの映像の1500円はやっぱ高いか・・・。


あと同じ中央線なのでサントリーミュージアムの井上雄彦展へ。
混んでるやろうから土日はさけたかったんやけど、行ける時に行ってしまわんとと思って覚悟決めて行ったら案外すいててラッキー。午前中やったからかな?後半はもっと混むんかな?今はとりあえず狙い目かも。
まあ、内容は上野とほぼ同じやけど、動線の使い方とかうまいなーと思った。
この美術館って、入口はエレベーターでしか行けへんし、2フロアで途中途切れてしまうし、ほんま動線のどうしようもない美術館なんやけど、そのフロアを降りる階段にも集中力を途切れさせないような計らいをしてくれてて、井上さんすげーってなった。
にしても墨の使い方が尋常じゃない。うますぎる。漫画家を超えてる。
こういう重い世界観で、マジョリティを獲得できてるのってどういうことなんやろ?ミスチルとかもそうやけど、彼らを見てると現代美術にだって道はあるんやけどなーって思う。多分我々がマジョリティを振り向かせる努力が足りてないんやと思う。うーん。
帰り墨Tシャツ買いたかったけど5800円は高いわー。
さて、次の展覧会が多分僕がサントリーに来る最後の機会になると思う。
昨年から始まった現代美術企画第二弾「レゾナンス 共鳴 人と響き合うアート」展は4月3日から。この企画こそ国立国際に引き継いでほしい・・・。
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「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」 @ 麻布台ヒルズギャラリー

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生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 @ 東京ステーションギャラリー

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