笹倉洋平「ツタフ」@neutron
火曜日から始まった笹倉さんの展示を見にneutronへ。
neutron久々過ぎやな。。。
行く前に笹倉さんがいるかどうか電話したらその日はいないとのこと。
そしてなんと「自信あり」宣言発令!
ハードルを自ら上げるとは・・・笑
ということで大いなる期待を胸にneutronへ。
京都のneutronの展示室は正直やりにくいと思う。
最も大きな要因はカフェが隣接されているということ。
そして、そのカフェとギャラリーを区切るのは大きなガラス扉のみ。
カフェからもギャラリーが見られるようにということなんだけど、その開放感をどの程度まで許容するかによって、展示の印象ががらりと変わってくる。
今回の笹倉さんの展示は、neutronで僕が見た展示の中でも一番よかったと言えるかもしれない。(といっても言う程多くは見てないんですが・・・汗)
このギャラリーの要素を全て肯定した結果が今回の新作「ツタフ」だと思う。
状態としては、笹倉さんお得意の長い紙がギャラリーの両端を緩いカーブで結んでいる。
紙は元立誠小学校から登場したトレーシングペーパー。
そして線はペンではなく鉛筆で描かれている。
線自体はこれまでの「つたふ」と同様線の膨大な集積によって紙が覆われる様が見ていてなんとも異様というか痛快というか、この感覚は例えようがない。前回の立誠では線の量が散漫で少し物足りなさを感じたが、今回またあの膨大な線の集積が復活していて満足。
そして今回鉛筆で描かれているというのがミソで、線も自ずと柔らかくなり、カーボンの光沢がたまらなく美しい。
作品越しにカフェを覗くと、カフェの照明が作品に反射してこれまた美しいです。本人曰くこれは思い出の神戸の海の夕焼けなんだとか笑 わざわざスタッフさんが教えてくれました。
そんでもってトレーシングペーパーに描かれ空中に垂らされることによって、裏側からも線を楽しむことが出来る。
そして今回の一番の魅力はなんといっても、その紙がエアコンの空気流によって、ゆるやかな波のようにたゆたう様!これは本当に見ていて美しい。このギャラリーでこの空気の流れを利用した作品初めて見た。
これは先ほどから何度も出ている立誠の階段の頭上を雲のように垂らした展示で気づいた要素らしく、今回もneutronでやってみようと思ったら、思った以上の効果を上げたんだとか。
この動きが本当に優雅でいつまで見てても飽きない。
明らかに一歩踏み越えた展示でした。11月8日まで。是非!
11月18日からは東京のneutronでも展示が始まります。こちらも行けたら行きます。
neutron>>http://www.neutron-kyoto.com/
neutron tokyo>>http://www.neutron-tokyo.com/
やー、感動しすぎて見終わった直後に本人に電話してしまった。。。また飲みましょう!
<関連記事>
笹倉洋平「音が鳴り、線が走り、」@旧立誠小学校
笹倉洋平展「ツタフ」@PANTALOON
笹倉洋平@GALLERYはねうさぎ
Real Life Sensibility @ 京都芸術センター
この展覧会は「ベテランと若手作家が出会う」と題して、これまで若手作家のみを紹介する「incubation」展の新展開らしく、若手作家とベテラン作家の展示を同時に行うという試みです。
若手の方は元立誠小学校で笹倉さんと同じ展覧会に参加してた碓井ゆいさん。
ベテランは国立新のオープニング展にも出品されていた高柳恵理さん。
まずはギャラリー南の碓井さんの展示。
この展示は本当にすごいと思います。入ったらまずドキッとしますから。
前回の立誠の時も思いましたが、場の空気を見事に変えてしまうんですよね。
今回も木のパネルがギャラリーの壁全体を覆い尽くしていて、そのパネルにはシールが貼ったり剥がされたりしている。
子供の時に家のあちらこちらにシールを貼って、それが段々剥がれていくそんな懐かしい風景がギャラリー中に渦巻いてました。
それにしてもなんだか変で、よく見ると横の列はすべて同じシールが貼られている。
配置は違えど、その奇妙な反復が懐かしさとの断絶を余儀なくさせる。
ただのノスタルジックな作品では片付けられない異様さがこの展示にはある。
んー、完全にやられました。
また、2階の談話室にも展示されてて、それは立誠の時の破壊された木のパネルに壁紙のような模様が描かれているのが天井にくっついているインスタレーション。
表面のイメージはかわいいのに、その持ってる雰囲気の異様さがすごい。
高柳さんの方はちょっとどう捉えていいのかわかりませんでした。
見ていてものがものである臨界点のようなものを感じましたが、すごくそっけなさすぎて、戸惑いました。高柳さんの展示はギャラリー北を始め、センター内に散らばっていて、まさに風景と溶け合うようにしてある。
初めて上の茶室みたいなところにも行きました。展示というかの部屋気になる。
こちらは11月23日まで。
苅谷昌江「A room is getting ruined」@antennaAAS
碓井さんと同じアトリエでやってた苅谷さんの展示。
antennaAASはアーティストのantennaが独自にやってるアーティストランスペース。
僕らstudio90と同じ時期に始めたのに、こっちは凄い勢いで展覧会を企画していて凄いと思う。どういう運営してるんやろ・・・。
で、今回僕が最近ハマっている苅谷さんの作品を見に行ってきました。
オープニング以来だったので迷いそうになりつつなんとか到着。桂駅から10分ぐらい。
前の水木塁さんの展示も見たかったのだけど行けませんでした。
今回ライブペインティングをしているとのことやったんだけど、行ったら何もやってないどころか人っ子一人いませんでしたが。。。まあええけど。
会場は工場の2階を改装したスペースで、360度の壁に苅谷さんの作品が展示されている。なんと窓にも直接描かれている徹底ぶり。
画面はすべて青。
展示されている紙は、不思議な矩形をしていて、パースがかかっているんだけど、絵の中のパースは全くと言っていいほどかかっていない。
絵の内容は誰もいない教室(?) 椅子と机だけが積まれた風景。
苅谷さんの絵はいつも「予感」のようなものを感じるんだけど、今回はこの部屋の中がその「予感」で満たされていてドキドキしました。
何かが起こりそうなそんな予感。嵐が来る前の感じに近いかも知れない。
でも結局具体的には何も起こらないんやけど、その寸止めな感じがたまらない。
この展示は11月8日まで。オープンは土日祝のみなんでご注意を。
平田オリザ「東京ノート」@国立国際美術館
珍しく演劇の記事です。どこに書けばいいかわからないんでここに。
11月も何個か観に行く予定なんで折に触れて紹介します。
で、平田さんの「東京ノート」。土曜のバイトが早く上がれたんでチャリ飛ばして行ったらなんとか間に合いました。
内容は、ヨーロッパ戦争が始まって、それに伴いヨーロッパ中の絵画や彫刻が日本に保存の為に来日した美術館で訪れている人々にスポットを当てた作品。
描かれている舞台と実際の舞台が同じというのが最大のポイントで、これが中々おもしろい演出効果を生んでて、見ていて虚実が曖昧になる感覚がありました。
例えば観客はセットを横切って仮設の客席に向かうんやけど、開演時間になって、やってきた人がいて、あ、遅れてきたんかなと思ったらそれは俳優さんでいきなり舞台が始まっちゃう感じとか、実際の階段から降りて出てきたり上で声がしたり、本当に普段の美術館と変わらない様がおもしろかったです。
また、「one of them」である観客が、実際は一人一人にストーリーを抱えていて、皆悩みや問題を抱えながらもやってきてるっていうのがこの作品には丁寧に描かれています。
とまあ、観に行ってよかったと思えるんですが、いかんせん、僕はこういう具体的なシナリオのある舞台は向かないな、と思いました。多分僕が求めてるのは、コンテンポラリーダンスとかああいうシナリオの見えないショーの方のようです。
まあ、これからいくつか見て行くことで探っていきたいですね。
neutron久々過ぎやな。。。
行く前に笹倉さんがいるかどうか電話したらその日はいないとのこと。
そしてなんと「自信あり」宣言発令!
ハードルを自ら上げるとは・・・笑
ということで大いなる期待を胸にneutronへ。
京都のneutronの展示室は正直やりにくいと思う。
最も大きな要因はカフェが隣接されているということ。
そして、そのカフェとギャラリーを区切るのは大きなガラス扉のみ。
カフェからもギャラリーが見られるようにということなんだけど、その開放感をどの程度まで許容するかによって、展示の印象ががらりと変わってくる。
今回の笹倉さんの展示は、neutronで僕が見た展示の中でも一番よかったと言えるかもしれない。(といっても言う程多くは見てないんですが・・・汗)
このギャラリーの要素を全て肯定した結果が今回の新作「ツタフ」だと思う。
状態としては、笹倉さんお得意の長い紙がギャラリーの両端を緩いカーブで結んでいる。
紙は元立誠小学校から登場したトレーシングペーパー。
そして線はペンではなく鉛筆で描かれている。
線自体はこれまでの「つたふ」と同様線の膨大な集積によって紙が覆われる様が見ていてなんとも異様というか痛快というか、この感覚は例えようがない。前回の立誠では線の量が散漫で少し物足りなさを感じたが、今回またあの膨大な線の集積が復活していて満足。
そして今回鉛筆で描かれているというのがミソで、線も自ずと柔らかくなり、カーボンの光沢がたまらなく美しい。
作品越しにカフェを覗くと、カフェの照明が作品に反射してこれまた美しいです。本人曰くこれは思い出の神戸の海の夕焼けなんだとか笑 わざわざスタッフさんが教えてくれました。
そんでもってトレーシングペーパーに描かれ空中に垂らされることによって、裏側からも線を楽しむことが出来る。
そして今回の一番の魅力はなんといっても、その紙がエアコンの空気流によって、ゆるやかな波のようにたゆたう様!これは本当に見ていて美しい。このギャラリーでこの空気の流れを利用した作品初めて見た。
これは先ほどから何度も出ている立誠の階段の頭上を雲のように垂らした展示で気づいた要素らしく、今回もneutronでやってみようと思ったら、思った以上の効果を上げたんだとか。
この動きが本当に優雅でいつまで見てても飽きない。
明らかに一歩踏み越えた展示でした。11月8日まで。是非!
11月18日からは東京のneutronでも展示が始まります。こちらも行けたら行きます。
neutron>>http://www.neutron-kyoto.com/
neutron tokyo>>http://www.neutron-tokyo.com/
やー、感動しすぎて見終わった直後に本人に電話してしまった。。。また飲みましょう!
<関連記事>
笹倉洋平「音が鳴り、線が走り、」@旧立誠小学校
笹倉洋平展「ツタフ」@PANTALOON
笹倉洋平@GALLERYはねうさぎ
Real Life Sensibility @ 京都芸術センター
この展覧会は「ベテランと若手作家が出会う」と題して、これまで若手作家のみを紹介する「incubation」展の新展開らしく、若手作家とベテラン作家の展示を同時に行うという試みです。
若手の方は元立誠小学校で笹倉さんと同じ展覧会に参加してた碓井ゆいさん。
ベテランは国立新のオープニング展にも出品されていた高柳恵理さん。
まずはギャラリー南の碓井さんの展示。
この展示は本当にすごいと思います。入ったらまずドキッとしますから。
前回の立誠の時も思いましたが、場の空気を見事に変えてしまうんですよね。
今回も木のパネルがギャラリーの壁全体を覆い尽くしていて、そのパネルにはシールが貼ったり剥がされたりしている。
子供の時に家のあちらこちらにシールを貼って、それが段々剥がれていくそんな懐かしい風景がギャラリー中に渦巻いてました。
それにしてもなんだか変で、よく見ると横の列はすべて同じシールが貼られている。
配置は違えど、その奇妙な反復が懐かしさとの断絶を余儀なくさせる。
ただのノスタルジックな作品では片付けられない異様さがこの展示にはある。
んー、完全にやられました。
また、2階の談話室にも展示されてて、それは立誠の時の破壊された木のパネルに壁紙のような模様が描かれているのが天井にくっついているインスタレーション。
表面のイメージはかわいいのに、その持ってる雰囲気の異様さがすごい。
高柳さんの方はちょっとどう捉えていいのかわかりませんでした。
見ていてものがものである臨界点のようなものを感じましたが、すごくそっけなさすぎて、戸惑いました。高柳さんの展示はギャラリー北を始め、センター内に散らばっていて、まさに風景と溶け合うようにしてある。
初めて上の茶室みたいなところにも行きました。展示というかの部屋気になる。
こちらは11月23日まで。
苅谷昌江「A room is getting ruined」@antennaAAS
碓井さんと同じアトリエでやってた苅谷さんの展示。
antennaAASはアーティストのantennaが独自にやってるアーティストランスペース。
僕らstudio90と同じ時期に始めたのに、こっちは凄い勢いで展覧会を企画していて凄いと思う。どういう運営してるんやろ・・・。
で、今回僕が最近ハマっている苅谷さんの作品を見に行ってきました。
オープニング以来だったので迷いそうになりつつなんとか到着。桂駅から10分ぐらい。
前の水木塁さんの展示も見たかったのだけど行けませんでした。
今回ライブペインティングをしているとのことやったんだけど、行ったら何もやってないどころか人っ子一人いませんでしたが。。。まあええけど。
会場は工場の2階を改装したスペースで、360度の壁に苅谷さんの作品が展示されている。なんと窓にも直接描かれている徹底ぶり。
画面はすべて青。
展示されている紙は、不思議な矩形をしていて、パースがかかっているんだけど、絵の中のパースは全くと言っていいほどかかっていない。
絵の内容は誰もいない教室(?) 椅子と机だけが積まれた風景。
苅谷さんの絵はいつも「予感」のようなものを感じるんだけど、今回はこの部屋の中がその「予感」で満たされていてドキドキしました。
何かが起こりそうなそんな予感。嵐が来る前の感じに近いかも知れない。
でも結局具体的には何も起こらないんやけど、その寸止めな感じがたまらない。
この展示は11月8日まで。オープンは土日祝のみなんでご注意を。
平田オリザ「東京ノート」@国立国際美術館
珍しく演劇の記事です。どこに書けばいいかわからないんでここに。
11月も何個か観に行く予定なんで折に触れて紹介します。
で、平田さんの「東京ノート」。土曜のバイトが早く上がれたんでチャリ飛ばして行ったらなんとか間に合いました。
内容は、ヨーロッパ戦争が始まって、それに伴いヨーロッパ中の絵画や彫刻が日本に保存の為に来日した美術館で訪れている人々にスポットを当てた作品。
描かれている舞台と実際の舞台が同じというのが最大のポイントで、これが中々おもしろい演出効果を生んでて、見ていて虚実が曖昧になる感覚がありました。
例えば観客はセットを横切って仮設の客席に向かうんやけど、開演時間になって、やってきた人がいて、あ、遅れてきたんかなと思ったらそれは俳優さんでいきなり舞台が始まっちゃう感じとか、実際の階段から降りて出てきたり上で声がしたり、本当に普段の美術館と変わらない様がおもしろかったです。
また、「one of them」である観客が、実際は一人一人にストーリーを抱えていて、皆悩みや問題を抱えながらもやってきてるっていうのがこの作品には丁寧に描かれています。
とまあ、観に行ってよかったと思えるんですが、いかんせん、僕はこういう具体的なシナリオのある舞台は向かないな、と思いました。多分僕が求めてるのは、コンテンポラリーダンスとかああいうシナリオの見えないショーの方のようです。
まあ、これからいくつか見て行くことで探っていきたいですね。
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