Simon Starling 'THEREHERETHENTHERE' @ MAC/VAL

前の記事のルノディーの建築を見た後、そこからメトロで3駅ほどのPorte de Choisy駅へ。さらにそこからバスで揺られること15分ぐらい。そこにMAC/VALはある。もう自分がどこにいるのかわからない。。。
アートセンターみたいなもんだと思ってたらちゃんとした美術館やった。
そこでは2005年のターナー賞受賞者サイモン・スターリングの個展がやってた。
彼の作品の特徴は「還元」。
ターナー賞の時も、ぼろい小屋だけが展示されてて、観客はなんのこっちゃ?と思うんやけど、テクストを読むと、なんと1度解体してボートになった後、ライン川を下ってバーゼルの美術館でまた小屋に戻して展示されたという作品。
つまり小屋を見ただけではわけがわからないのだけど、それに付随する背景を読むことで作品の解釈がまったくかわってくるというアートで、当時これも物議を醸しました。
で、今回の展示もそんな感じでテキストがないとわからない!でもやばい!フランス語しかないのでは・・・と焦りましたがちゃんと英語のもあって一安心。
スターリングの「還元の作法」がたっぷりつまった見応えのある展示でした。
'Les Maquettes en blanc[1995-2009]'
自分に関する本を並べた展示ケースと、それと全く同じ型の白紙の本を双子のように並べた作品(これはまだわかりやすい)
'Rockraft'
ブリストルの中心まで郊外のエイボンマスから潮の満ち引きだけで運ばれてきた岩をコンピューターでスキャニングして精巧にレプリカを作ってそれを一緒に展示。
'Three White Desks'
フランシス・ベーコンがデザインした机をドイツのキャビネットメーカーがキャンベラ国立図書館の30MB高画質スキャンプリントを元にしてコピー机を作り、さらにその画像を84KBのjepgにし携帯でシドニーのキャビネット会社に送り、それを元にしてコピー机を作り、さらにその画像を100KBにしてemailにてイギリスのキャビネットメーカーに送り、それを元に机を作ったその3つの机が展示されている。
Work, Made-ready, Kunsthalle Bern'
イームズのアルミニウム椅子で自転車「Marin Sausalito」を作り、自転車でイームズのアルミニウム椅子を作り、鏡越しに展示。
などなど。皆さんわかりましたか?笑
こんな展示がなんと今度広島現美で行われるそうです!!!また神谷さんか。
ものと文書を相互に噛み合わせながら進んで行く鑑賞方法は中々新鮮。
ちなみにコレクション展の作品はほとんど意味不明やった・・・。
Capturing Time @ The Kadist Art Foundation
ギャラリーのコレクション展。ギャラリーでコレクション?
なんかここはギャラリーなのかよくわからない。規模はギャラリー程度。
ここではスターリングも出品されてるグループ展がやってた。
ここでの作品はスライドで一艘の舟に乗ってる作者らしき人物の写真が次々投影されていくんやけど、どうやらその舟の中心に置いてあるストーブを動力源にしてて、でもそれを燃やす為にどんどん舟を解体して燃料にしてやがて沈むっていうドキュメント。
他にもタシタ・ディーンのバオバブの木をひたすら撮り続けてる作品とか。
なんかターナー賞関連の作家が多いなと思ったら、今回のキュレーターでギャラリーの委員会に所属してるJeremy Lewisonが元テートの人間だったからっぽい。
全体にメランコリックな作品が多かったのが印象的。
Ugo Rondinone 'HOW DOES IT FEEL?' @ 104


「◯球の歩き方」に早速載ってる昨年できたアート空間。場所はラ・ヴィレット公園から歩いて20分ぐらい?僕は歩きましたよ。
元々パリ市葬儀公社の歴史的建造物を利用したもので(「地◯の歩き方」より)、まずその広さに驚き。でもほとんどがアーティストインレジデンス用のアトリエで、行った時はほとんど閉まってて、奥の方でちょこんと展覧会がやってた。
ウーゴ・ロンディノーネというスイスの作家。
調べるとSANAAがNYに建てたニューミュージアムのオープニングで、そのファサードに「HELL,YES」と虹色の文字を掲げた人だとわかった。
104では、でかい箱があって、スプレーでレンガ作りっぽい線が吹かれていて、ある場所が忍者のからくり屋敷よろしく隠し扉になってて中に入ることが出来る。
中では様々なところから男女の会話が聞こえてきて、聞いてるうちにその2人は不倫関係にあることがわかってきて、なんだか盗み聞きをしているような気になる。でもなんだか楽しい。
彼の展覧会はGallerie Almine Rechでもやってたけど、こっちはかなり微妙。黒い星空のような絵画と黒い彫刻達。作家像がよくわからない。。。
Planet of Signs @ Le Plateau
完全に住宅街にまで来てしまった。本当にここがパリなのかわからん。
そんなローカルむき出しなエリアにちょこんとあるアートセンター。
中では「記号」をテーマにアカデミックな展覧会がやってた。
様々なアート作品を介して記号学を読み解くような展覧会で、なんだか作品を見てるんだか、お勉強しにきてるんだかわからなくなってくる。
こうしたアカデミックな展示をするアートセンターって中々日本にはないよなーと関心してしまう。地元の高校生が見学に来てたけどわかんのかな?
作品はよくわからないものが多かったけど、全体として雰囲気は味わえました。
パリでは途中からギャラリーマップを手に入れ、水を得た魚のようにマップに載ってるほとんどのギャラリーを回りました。その数なんと31!足ちぎれるか思た。
全部ことこまかに説明してたらキリがないので備忘記程度に行ったギャラリーと展覧会タイトル。コメントもあれば載せる感じ。マップの特質上ほとんどがポンピドゥーのある3区のギャラリー。ポンピドゥーは残念ながらいいのやってなかったんで今回はパスでした。
GALERIE NATHALIE OBADIA 'Carole Benzaken'
NEW GALERIE DE FRANCE 'Bande-annonce'
GALERIE DANIEL TEMPLON 'Ivan Nabarro' 'Sundarshan Shetty'
GALERIE LAURENT GODIN 'Gerard Traquandi'
シルクスクリーンと絵画の中間のような不思議な平面。結構好き。
GALERIE ANNE DE VILLEPOIX 'Sam Samore'
GALERIE ZURCHER 'David Lefebvre'
空間が結構好きやったギャラリー。作品は・・・。
GALERIE ERIC DUPONT 'Marine Joatton'
GALERIE JEAN BROLLY 'Alan Charlton'
MARIAN GOODMAN 'Annette Messager'
なんとアネット・メサジュの個展!入ってすぐに萎んだり膨らんだりする作品が登場。ホンマにギャラリーかよ。地下は結構どうしようもない作品でした。
調べたらNYにもある大御所ギャラリー。所属作家にリヒターやダン・グラハム、ヤン・フードンやティノ・セーガル、ジェフ・ウォールなどなど。すごい。
GALERIE HUSSENOT 'Liu Wei'
ビリヤード台やソファが真っ二つ。リヨンビエンナーレで見た人。
GALERIE FREDERIC GIROUX 'Vincent Beaurin'
GALERIE DHANTAL CROUSEL 'Fabrice Gygi'
YVON LAMBERT 'Shilpa Gupta' 'Kendell Geers'
ギャラリーっていうか本屋?間違ったかな・・・汗
GALERIE THADDAEUS ROPAC 'Terence Koh'
サーチの「USA TODAY」に出てた黒い髑髏の人。今回は真っ白な世界。でもなんか中途半端。そういや横浜でも身体真っ白にしてパフォーマンスやってるのを日曜美術館で見た気がする。無理。
GALERIE KARSTEN GREVE 'Karsten Greve'
びっくりした。何がびっくりってそこに並んでる作品にびっくり。ボイス、ブルジョワ、コーネル、デ・クーニング、フォンタナ、クネリス、トゥンブリー、アルバース、マンゾーニ、イブ・クライン・・・。しかもどれもがその作家を現すアイコン的な作品。ここは美術館クラスの作品がそこら中に所狭しと並べられている・・・。何なのこのギャラリー?おかし過ぎる。。。
GALERIE EMMANUEL PERROTIN 'Takashi Murakami'
タカシはパリッ子達に大人気。20ユーロのキーホルダーはバカ売れ。んー。
GALERIE ANNE BARRAULT 'Jochen Gerner'
GALERIE ALAIN GUTHARC 'Anita Molinero'
GALERIE MICHEL REIN 'Stefan Nikolaev'
GALERIE DE MULTIPLES ' Totem & Tabou'
GALERIE CHEZ VALENTIN 'George Henry Longly'
ART CONCEPT 'Jean-Luc Blanc'
PRAZ-DELAVALLADE 'Peter Saul' 'Wet Dreams'
JOUSSE ENTREPRISE 'Kishin Shinoyama'
犬かわいかった。紀信もいた。村上隆展にもいた気がする。
ふあー、こんな感じ。疲れた・・・。
今回fiac(アートフェア)前で開いてるギャラリーは少ないかと思いきや、開いてるギャラリーがほとんどでなんとかたくさん見れました。ロンドンはFrieze直前過ぎてほとんど閉まってましたが。ちなみにもうアートフェアにはほとんど興味ありません。しんどいだけ。PARIS PHOTOはちょっと興味あるけど。ビエンナーレももうええかなって感じです。なので敢えて今回は避けて通ってみました。
後半ART CONCEPTからJOUSSE ENTREPRISEは13区のギャラリーでこの日この界隈のギャラリーが軒並みヴェルニサージュだったので、着いたらギリギリやったけどその雰囲気も味わえました。お酒は飲まんかったけどね。
パリのギャラリーは中庭があるギャラリーが多いのにびっくりしました。一旦重いドア開けてからのギャラリーまでのアプローチが遠い・・・。でも素敵でした。
パリはいつかギャラリー巡りせなあかんと思ってたので今回それが見事達成できたのが収穫。これでロンドン・パリ・ベルリンは制覇です。ふふ。
知らない作家でもいいな!って思える作家に出会いたかったのですが、このギャラリーツアーでは巡り会えませんでした。残念。
パリのアートシーンは結構未知なのでまだまだ探ってみたいです。
まあ、次行くのは坂茂のポンピドゥーとSANAAのルーブルが建って、さらにヴェルサイユで半端ない展覧会がやった時になりそうですが。
最後に、今回フランスアート界底辺日記のkanaさんには本当お世話になりました。fiac前で色々あったろうに、おもしろそうな展覧会を色々教えてくださったり(前半のギャラリーはほとんどkanaさんの紹介によるもの)、美味しいワインバー連れてってくれたり。弟さんとお友達の建築家と写真家の方とワイン片手に大いに語り、食い、飲みました。いい思い出です。
この場を借りて改めてありがとうございました。
さて、これにてロンドン・パリツアー報告終了。やっと終わったー!
帰るまでが遠足ですと言いますが、僕にはこれが更新し終えるまでが遠足です。
ということで明日から切り替えていきます。
って既に帰ってきてから一個書くやつ貯まってるんで書かなきゃ。
早くリアルタイムに追いつきたいです・・・。
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