妹島和世「最新のアート・プロジェクトについて」@大阪大学中之島センター


大阪で妹島さんのレクチャーが!!
ってことで、早速予約し行ってきました。
場所は中之島の今コルテオがやってるあたり。
こんな場所にも阪大の施設があるんですね。
阪大ってんで吹田まで行かなあかんのかと思ってました。
会場はとても狭くて入れて200人ぐらい。
妹島さんぐらいの人なら1ホール借りても足りないくらいなのに・・・。
きっとたくさんの方が見れなかったはず。
でも珍しく金とられました。1000円なんで安いもんですが。
妹島さんは今年阪大の招聘教授として招かれてて、この日も講評の後そのまま講演会というスケジュール。この人のスケジュールってどうなってんねやろ・・・寝る暇あるのか?と思わず心配しちゃいます。

さて、レクチャー。
妹島さん初めて生で見たけど細い!ちっちゃい!
あんな小さな日本人が世界を席巻しているなんて・・・。
友達がSANAA事務所にインターンしてたことがあって、色々話聞いてたけど、話し方とか人柄が表れてて、今や世界を代表する建築家やのに全然おごることなくとても丁寧。
ホントに凄い人って物腰が柔らかいし丁寧ですよね。素晴らしいです。

内容ですが、ニューミュージアム(NY)、トレド美術館(オハイオ)、ROLEXラーニングセンター(ローザンヌ)、サーペンタインパビリオン(ロンドン)、そして最新のプロジェクトである北斎美術館(東京)と犬島のプロジェクト(岡山)に言及されました。

ニューミュージアムの説明でおもしろかったのが、アメリカの美術館建築ってのは、ほとんど寄付で賄われてるため、寄付の集まり具合で素材の変更やらがガンガンに行われてしまうということ。
これに対していかに柔軟に対応できるかが勝負になるみたい。
妹島さんはもっと窓を多く取りたかったみたいだけど、当初の予算の都合で窓をガンガン削られてしまって、ファサードに使われてるメッシュとの兼ね合いが難しかったのだとか。窓が多いと夜とかメッシュ越しに館内の明かりが漏れておもしろそうやけど、それが少ないと壁がただ2枚あるだけで、メッシュがただのデコレーションになってしまうんじゃないかという葛藤があったそうです。
しかしまあもう決まってしまったことなので、実際そのままメッシュを張ってみた所面白い具合に風景に溶ける様子に本人も驚いたそう。
また、アメリカは建築の規定が変わることがあるらしくて、現行の規定でどこまで勝負できるかが鍵となるらしく、今回は規定ギリギリまで斜めにしたとか。
この建物は箱をズラすことで自然光を取り入れたり、外部と何かしらの関係を築くことが重要だったそうで、フロアを文節することで、周囲の低層の風景に馴染ませる狙いもあったとか。確かに周りには美術館以外高い建物はないのだけど、あまり浮いてないのが凄い。
あと、メッシュに関してモックアップ(原寸大実験)があるんやけど、海外ではこのモックアップ費用がちゃんと予算に組み込まれてて、日本ではほとんどないそうな。「プロなんだからそんなんせんでも大丈夫やろ」ってことなんでしょうか。ただ、その分実際の費用が削られたりして痛い部分もあるそうです。

トレド美術館では、ガラスは全部寄付で、とにかくガラスを多用した建築を依頼されて、できたのが四角の箱の中にシャボン玉のようにガラスの部屋が詰め込まれた形。
ガラスとガラスが層をなすことで不透明になったり、不思議な光景が見られるのだそう。この経験が鬼石につながったのでしょうか。
妹島さんは当初もっと透明になると思ってたそうですが、西沢さんに言わせるとガラスをあそこまで重ねて透明になるわけないじゃんということです笑

しかし一番僕が驚いたのはROLEXのラーニングセンターですね。
今回のレクチャーでも、他の建築が風景に溶けるような「軽い建築」なのに対して、この建築はあまりに「強い建築」だと感じました。
特にコンクリを打ってる様は圧巻。これは観に行きたい!
なんだか伊東さんのぐりんぐりんを想起させます。
ワンルームなんだけど勾配がついてることで全体を見渡すことが出来ない。
でもちゃんと全体を感じることができる。
多分ここでの空間体験は中々新しいものになるんじゃないかと思います。
僕の中でSANAA建築NO.1になってしまうかもしれない。
来年完成ということで行ってみたいなぁ。。。。

北斎美術館はこれまた溶ける建築で、ファサードは鏡面アルミ。
形が妹島さんにしてはソリッドで、ちょっとわかりにくかった。
棟が切れてるようで繋がってる感じは大倉山のアパートの発展でしょうか。
これはまだ設計段階なのでまだまだ変更の余地あり。

犬島のプロジェクトは、夏に小山等で見てもよくわからなかったけど、どうやら島内に10個ほどの建物を建てたりリノベーションするプロジェクトなんですね。
これは出来たら凄いですね。妹島ファンは鼻血ものだと思います。
なんせこの小さな島で妹島建築が一気に10個も見れちゃうわけですから笑
島内には三分一さんの精錬所美術館もあるし、瀬戸内海はすごいことになってます。
この犬島は島民が53人、平均年齢75歳という島。
そんな島の再生を担う有意義なプロジェクトなわけです。
妹島さんもかなり苦心されてるようで、なんせ10ものバリエーションは半端な想像力じゃないです。しかも島内に運べる資材の大きさってのが限られてるのでその制限の中でどう建築を作るのか。妹島さんの中でもかなり挑戦的なプロジェクトだと思います。
素材は木、アルミ、アクリルの3つ。
全てが完成するのは2012年とのこと。楽しみです。


とまあ、ざっとこんな感じ。
プロジェクトを本人の口から説明されるのはすごくわかりやすかったです。
時間の都合で質問できなかったけど、やはりあのROLEXが気になって仕方がない。
どう見ても他の作品とROLEXは違う感じがするし、あの作品は妹島さん及びSANAAにとってとても重要な作品になることは間違いないと思う。
あそこで何か心境に変化はなかったのだろうか。
それ以降の作品を見ても、あの建築は無視されてるというか、ほとんど影響が見られず、相変わらず「軽い建築」を作り続けている。
僕としてはSANAAの作る「強い建築」をもっと見てみたいし、そろそろ何か変化が欲しい。その点でROLEXの作品は今後のSANAAの活動を占う意味でも重要だと思う。
あと印象的だったのがやっぱり妹島さんのおおらかな雰囲気。
「こうじゃないといけない!!」って感じがあまりなくて、ニューミュージアムのメッシュにしても、トレドのガラスにしても、「あ、そうなるのね。へぇ、おもしろい」みたいな、すごい客観的というか、いやいやあなたの建築ですから!とつっこみたくもなる笑
でもそのおおらかさこそが世界を席巻し続けている1つの鍵なのかもしれない。
今度は西沢さんの講演会が聞きたいなー。

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