鴻池朋子「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」@東京オペラシティアートギャラリー
またも日帰り東京弾丸ツアー。
もはや今年何度目なのかわからない。
目的は別にあったが、「ついでに」アートも回ってきた。
「ついでに」な量ではないけどご紹介。
つき合ってくれたK氏ありがとう。次の日は筋肉痛かな。

そんな強行軍の中でも最も見甲斐のあった展示が鴻池朋子の展覧会。
話題にはなっていたけどここまでとは。
今まで見たオペラシティの展示の中でもかなり成功していた展覧会だった。
ここの展示室の構成はあまりに大雑把過ぎてすごく難しいと思う。
その分アーティスト1人の個展の場合その力量が試されるというもの。
今回鴻池さんは見事にこの展示室を自分のものにしていた。
この展覧会を回っていて、元の展示室を知っているにも関わらず、幾度となく自分がどこにいるのかわからなくなる瞬間があった。
この「どこかわからなくなる」という感覚を持たせるのは相当な力量。
元々鴻池さんのインスタレーションセンスを知っているだけに、かなり期待してはいたけどここまでとは。後半の赤ん坊のミラーボールに辿り着いた時にはもう完全に鴻池ワールドに没頭してしまっていた。
これは1つの物語に入って行く旅である。
邪念は捨てて、素直にそこに入り込んだもん勝ち。
踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損というわけ。
部屋に入って行く度に1枚、また1枚と心の鎧をはぎ取られる感覚。
見終わった後の清々しさはそう味わえるもんじゃない。
いやぁ、ええもん見させてもらいました。
鹿児島の展示もえらい気になる・・・遠いな・・・。
コレクション展では伊庭さんや小西さんの絵画も見れてよかった。
オペラシティの展示は9月27日まで。コチラ。
鹿児島の展示は10月9日から12月6日まで。コチラ。
関連記事>>鴻池朋子展@大原美術館・有隣荘/児島虎次郎館
杉本博司「Lightning Fields」@ギャラリー小柳
やっぱ杉本博司はすごい。
そう思わざるを得ない凄まじい作品。
金沢・大阪で発表された「放電場」はまだまだ途中段階だったんだな、と思える。
今回その「放電場」の新たな展開が見られます。
空中放電ではなく水中放電。
杉本氏が辿り着いた究極の美の世界。
特にエレベーター降りて奥に見える大画面。
もう遠くから見ても近くから見ても美しい。
こんなに「美しい」を連発しちゃうくらい美しい作品。
この人には限界がないのか・・・。恐ろしい。
これまた伊豆で杉本氏自ら手がけた空間で新作を発表するらしい。
できるだけ時間見つけて行きたいと思う。
小柳の展示は10月10日まで。
伊豆の展示は10月26日から来年3月16日まで。コチラ。
<関連記事>
杉本博司「歴史の歴史」@国立国際美術館
杉本博司「歴史の歴史」@金沢21世紀美術館
Hiroshi Sugimoto @ K20
光 松本陽子/野口里佳@国立新美術館
これも中々よかった展覧会。
たくさんの人の疑問だと思うけど、なんでこの2人?っていうこと。
松本さんは抽象画。野口さんは写真。
年代も技法も違う2人の展覧会なだけにたくさんの疑問があると思う。
でも、単純にキュレーターが好きな作家だったからってことに尽きると思う。
そして僕的はにはそういう個人的なキュレーションもたまにはありなんじゃないかと。
それならそれでもっと割り切って「光」なんてまどろっこしいタイトルなんか付けなければいいのにと思う。光なんてのは全ての表現が身に纏ってるわけで、特別この2人が追い求めてるわけでもない。
一人一人別々の展示空間にして個展形式にしてるのもよかった。
2人展だからといってランダムに展示されると集中力を失ってしまう。
こうやって一人一人の世界にのめり込めるのはとてもいいこと。
ということでまずは野口さんの展示室にゴー。
初期の「フジヤマ」から始まり、「星の色」、「太陽」、「マラブ」など、野口さんの代表作がこれでもかこれでもかと見られておなかいっぱいになる。
途中の「水をつかむ」は初見だったけどとてもよかった。
野口さんの作品すべてに通じるものとして、つかめないものをつかもうとしてる感覚を得ることができる。まるで届かない空に手を伸ばすように。
空に手を伸ばそうと日本で最も高い所に登ったり、太陽を直視したり。
新作「飛ぶ夢を見た」では手製のロケットを飛ばして写真を撮っているらしくて、これがすごくきれいで、まるで木漏れ日のような抽象的な写真。
先日の皆既日食の写真もあったり、新旧野口ワールド全開である。
一方松本さんの展示もよかった。
恥ずかしながら僕は松本陽子さんという作家を初めて知ったわけだけど、とてもいい色だなぁと思った。ピンクや緑ってこんなに綺麗な色やったんやと改めて思う。
天井高が高い広い展示室だけにその魅力は3割増ぐらいになってそうだけど。
作家紹介を読むと、ピンクの絵画などはアクリルで描かれていて、なんと一日で仕上げるそうだ。そして床置きで描かれているので、キャンバスの端は垂れた絵の具が垣間みられる。
近年は緑の絵画のように油彩にも挑戦してるらしい。
黒の絵画は残念ながら色がくすんでこの人の色感覚に合ってないように思えた。
そんなこんなで、いい作品がたくさんみれる展覧会。
図録が1冊1100円という安さ。野口さんのだけ買いました。松本さんのような抽象画は図録買って見ても何も伝わらないので買いませんでした。セットで2000円でしたが。
アイ・ウェイウェイ展ー何に因って?@森美術館

友人がえらく高く評価してたので観に行ってみました。
アイ・ウェイウェイの名を初めて知ったのはやはり一昨年のドクメンタ。
1001人の中国人を引き連れてカッセルに登場したり、北京オリンピックの「鳥の巣」をヘルツォーグ&ド・ムーロンと共同設計したり規模のでかい作家。
中国では日本の村上隆的存在なわけだけど、同時に彼はそのラディカルな言動などから政府から睨まれる存在で、彼のブログなどは何度も消されたりしてるらしい。
なので意外にも本国ではここまで大きな展覧会を開いたことがないそうな。
全体的な感想から述べると、あまりに整理され過ぎてておもしろくないというのが正直なところでしょうか。んー、カテゴリーとかもうわかりやすすぎるんですよね。
確かにそのカテゴリー通りに見るとすごく理解が簡単で、3分でわかる◯◯みたいな展覧会になっちゃってるのが残念すぎました。
作家的にはこれでオッケーだったのでしょうか?
見ててもやっぱ何も感じなかったし、心が凪のような状態になる。
彼の作品を見た時のこの凪状態。友人はこれを凄く評価していたけれど。
写真オッケーやったけど、1枚も撮る気にならずに終わっちゃいました。
とりあえず入口をパシャリ。
ところで最後のMAM PROJECTSの小泉明朗さんは、どっかで聞いたことあるなぁと思ったら僕がロンドンのチェルシーにいた頃にOB生としてレクチャーしにきた人やった。
関連記事>>DOCUMENTA 12
米田知子「Rivers become oceans」@ShugoArts
昨年のバングラディッシュビエンナーレに出品したバングラディッシュをテーマに制作された作品たち。何気ない日常の中に潜む歴史や天地災害などが垣間みられる。
作品はともかく、相変わらずこのビルに入ってるギャラリーはよほど顧客以外に関心がないのか、作品見てる側から平気で電話しながらギャラリーの寸法の確認とかしだしてしまうのが残念。
隣のタカイシイに関してもそうだけど、作品をわかってもらおうという気がサラサラないみたい。せっかくエルムグリーン&ドラッグセットの新作に、様々なデザイナーがコラボしてるっていうのに、どれがどのデザイナーのものなのかもわからないまま。川久保さんのは一体どれだったんだろう。
他にもこのビルでは田中敦子やオノデラユキなどトップクラスの作品は見れるけど、行くとこ行くとこ態度が悪くて全然見る気がしませんでした。
なんか米田さんの感想じゃなくなってしまった。不満たらたら。
あとは、所沢ビエンナーレにも行きました。
正直場所負けしてる作品が多くて残念。
ってか場所が凄過ぎます。日本じゃないみたいな風景。
これも作品かな?と思ったらただの雨漏り対策やったり。
結局ケンジタキの作家は力あるなあという感想。
手塚愛子さんや横内賢太郎さん、そして村岡さんに遠藤さんのようなベテラン。
それから、杉本展に行くのに方向間違えて行った資生堂ギャラリーの女性作家の展覧会も中々豪華でした。展示はちょっと無茶な気もしたけど・・・。
あとはscaiの森万里子展にも行きたかったがタイムアップ。
そんな感じ。疲れたー。
もはや今年何度目なのかわからない。
目的は別にあったが、「ついでに」アートも回ってきた。
「ついでに」な量ではないけどご紹介。
つき合ってくれたK氏ありがとう。次の日は筋肉痛かな。

そんな強行軍の中でも最も見甲斐のあった展示が鴻池朋子の展覧会。
話題にはなっていたけどここまでとは。
今まで見たオペラシティの展示の中でもかなり成功していた展覧会だった。
ここの展示室の構成はあまりに大雑把過ぎてすごく難しいと思う。
その分アーティスト1人の個展の場合その力量が試されるというもの。
今回鴻池さんは見事にこの展示室を自分のものにしていた。
この展覧会を回っていて、元の展示室を知っているにも関わらず、幾度となく自分がどこにいるのかわからなくなる瞬間があった。
この「どこかわからなくなる」という感覚を持たせるのは相当な力量。
元々鴻池さんのインスタレーションセンスを知っているだけに、かなり期待してはいたけどここまでとは。後半の赤ん坊のミラーボールに辿り着いた時にはもう完全に鴻池ワールドに没頭してしまっていた。
これは1つの物語に入って行く旅である。
邪念は捨てて、素直にそこに入り込んだもん勝ち。
踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損というわけ。
部屋に入って行く度に1枚、また1枚と心の鎧をはぎ取られる感覚。
見終わった後の清々しさはそう味わえるもんじゃない。
いやぁ、ええもん見させてもらいました。
鹿児島の展示もえらい気になる・・・遠いな・・・。
コレクション展では伊庭さんや小西さんの絵画も見れてよかった。
オペラシティの展示は9月27日まで。コチラ。
鹿児島の展示は10月9日から12月6日まで。コチラ。
関連記事>>鴻池朋子展@大原美術館・有隣荘/児島虎次郎館
杉本博司「Lightning Fields」@ギャラリー小柳
やっぱ杉本博司はすごい。
そう思わざるを得ない凄まじい作品。
金沢・大阪で発表された「放電場」はまだまだ途中段階だったんだな、と思える。
今回その「放電場」の新たな展開が見られます。
空中放電ではなく水中放電。
杉本氏が辿り着いた究極の美の世界。
特にエレベーター降りて奥に見える大画面。
もう遠くから見ても近くから見ても美しい。
こんなに「美しい」を連発しちゃうくらい美しい作品。
この人には限界がないのか・・・。恐ろしい。
これまた伊豆で杉本氏自ら手がけた空間で新作を発表するらしい。
できるだけ時間見つけて行きたいと思う。
小柳の展示は10月10日まで。
伊豆の展示は10月26日から来年3月16日まで。コチラ。
<関連記事>
杉本博司「歴史の歴史」@国立国際美術館
杉本博司「歴史の歴史」@金沢21世紀美術館
Hiroshi Sugimoto @ K20
光 松本陽子/野口里佳@国立新美術館
これも中々よかった展覧会。
たくさんの人の疑問だと思うけど、なんでこの2人?っていうこと。
松本さんは抽象画。野口さんは写真。
年代も技法も違う2人の展覧会なだけにたくさんの疑問があると思う。
でも、単純にキュレーターが好きな作家だったからってことに尽きると思う。
そして僕的はにはそういう個人的なキュレーションもたまにはありなんじゃないかと。
それならそれでもっと割り切って「光」なんてまどろっこしいタイトルなんか付けなければいいのにと思う。光なんてのは全ての表現が身に纏ってるわけで、特別この2人が追い求めてるわけでもない。
一人一人別々の展示空間にして個展形式にしてるのもよかった。
2人展だからといってランダムに展示されると集中力を失ってしまう。
こうやって一人一人の世界にのめり込めるのはとてもいいこと。
ということでまずは野口さんの展示室にゴー。
初期の「フジヤマ」から始まり、「星の色」、「太陽」、「マラブ」など、野口さんの代表作がこれでもかこれでもかと見られておなかいっぱいになる。
途中の「水をつかむ」は初見だったけどとてもよかった。
野口さんの作品すべてに通じるものとして、つかめないものをつかもうとしてる感覚を得ることができる。まるで届かない空に手を伸ばすように。
空に手を伸ばそうと日本で最も高い所に登ったり、太陽を直視したり。
新作「飛ぶ夢を見た」では手製のロケットを飛ばして写真を撮っているらしくて、これがすごくきれいで、まるで木漏れ日のような抽象的な写真。
先日の皆既日食の写真もあったり、新旧野口ワールド全開である。
一方松本さんの展示もよかった。
恥ずかしながら僕は松本陽子さんという作家を初めて知ったわけだけど、とてもいい色だなぁと思った。ピンクや緑ってこんなに綺麗な色やったんやと改めて思う。
天井高が高い広い展示室だけにその魅力は3割増ぐらいになってそうだけど。
作家紹介を読むと、ピンクの絵画などはアクリルで描かれていて、なんと一日で仕上げるそうだ。そして床置きで描かれているので、キャンバスの端は垂れた絵の具が垣間みられる。
近年は緑の絵画のように油彩にも挑戦してるらしい。
黒の絵画は残念ながら色がくすんでこの人の色感覚に合ってないように思えた。
そんなこんなで、いい作品がたくさんみれる展覧会。
図録が1冊1100円という安さ。野口さんのだけ買いました。松本さんのような抽象画は図録買って見ても何も伝わらないので買いませんでした。セットで2000円でしたが。
アイ・ウェイウェイ展ー何に因って?@森美術館

友人がえらく高く評価してたので観に行ってみました。
アイ・ウェイウェイの名を初めて知ったのはやはり一昨年のドクメンタ。
1001人の中国人を引き連れてカッセルに登場したり、北京オリンピックの「鳥の巣」をヘルツォーグ&ド・ムーロンと共同設計したり規模のでかい作家。
中国では日本の村上隆的存在なわけだけど、同時に彼はそのラディカルな言動などから政府から睨まれる存在で、彼のブログなどは何度も消されたりしてるらしい。
なので意外にも本国ではここまで大きな展覧会を開いたことがないそうな。
全体的な感想から述べると、あまりに整理され過ぎてておもしろくないというのが正直なところでしょうか。んー、カテゴリーとかもうわかりやすすぎるんですよね。
確かにそのカテゴリー通りに見るとすごく理解が簡単で、3分でわかる◯◯みたいな展覧会になっちゃってるのが残念すぎました。
作家的にはこれでオッケーだったのでしょうか?
見ててもやっぱ何も感じなかったし、心が凪のような状態になる。
彼の作品を見た時のこの凪状態。友人はこれを凄く評価していたけれど。
写真オッケーやったけど、1枚も撮る気にならずに終わっちゃいました。
とりあえず入口をパシャリ。
ところで最後のMAM PROJECTSの小泉明朗さんは、どっかで聞いたことあるなぁと思ったら僕がロンドンのチェルシーにいた頃にOB生としてレクチャーしにきた人やった。
関連記事>>DOCUMENTA 12
米田知子「Rivers become oceans」@ShugoArts
昨年のバングラディッシュビエンナーレに出品したバングラディッシュをテーマに制作された作品たち。何気ない日常の中に潜む歴史や天地災害などが垣間みられる。
作品はともかく、相変わらずこのビルに入ってるギャラリーはよほど顧客以外に関心がないのか、作品見てる側から平気で電話しながらギャラリーの寸法の確認とかしだしてしまうのが残念。
隣のタカイシイに関してもそうだけど、作品をわかってもらおうという気がサラサラないみたい。せっかくエルムグリーン&ドラッグセットの新作に、様々なデザイナーがコラボしてるっていうのに、どれがどのデザイナーのものなのかもわからないまま。川久保さんのは一体どれだったんだろう。
他にもこのビルでは田中敦子やオノデラユキなどトップクラスの作品は見れるけど、行くとこ行くとこ態度が悪くて全然見る気がしませんでした。
なんか米田さんの感想じゃなくなってしまった。不満たらたら。
あとは、所沢ビエンナーレにも行きました。
正直場所負けしてる作品が多くて残念。
ってか場所が凄過ぎます。日本じゃないみたいな風景。
これも作品かな?と思ったらただの雨漏り対策やったり。
結局ケンジタキの作家は力あるなあという感想。
手塚愛子さんや横内賢太郎さん、そして村岡さんに遠藤さんのようなベテラン。
それから、杉本展に行くのに方向間違えて行った資生堂ギャラリーの女性作家の展覧会も中々豪華でした。展示はちょっと無茶な気もしたけど・・・。
あとはscaiの森万里子展にも行きたかったがタイムアップ。
そんな感じ。疲れたー。

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