Double Fantasy 韓国現代美術展 @ MIMOCA


お盆の更新が終わったと思ったらまた遠征です。
今回は丸亀と岡山。
まずは丸亀。今韓国の若手を紹介する展覧会が行われてます。
韓国の現代美術は、今や急成長を遂げてます。
話を聞いていると多分日本なんてとっくに追い越されてるんじゃないでしょうか。
日本より遥かに美術の導入の遅れた韓国は、その遅れ故に、導入した当初から近現代美術の波を受けて、感受性がどちらかと言えば近現代美術寄り。
多くの日本人が未だに印象派信奉なのは、やはり導入時のある種の洗脳がそうさせてる部分があると見ていて、スタート地点で何に触れるかが如何に重要か思い知らされます。
なので、韓国での現代美術のステータスは日本のそれより格段に上。
アジアで最初にビエンナーレを始めたのも韓国でした。1995年にその最初の光州ビエンナーレがスタートし、1999年には釜山ビエンナーレもスタートしています。越後妻有が2000年。横浜トリエンナーレが2001年スタートというのを考えると、やはり韓国は進んでいます。(ところで幻の東京ビエンナーレなんてのがありましたがあれは何だったんでしょう?)
そんな韓国でも、やはり第一世代、ナム・ジュン・パイクやリーウーファンのような人たちは、国自体が貧しかった為に他の国での活動を余儀なくされました。
それに続く第二世代、イ・ブルやスゥ・ドーホーなど続々と国際的に活躍する作家が増えてきて、さらに今第三世代が地元韓国から世界に向けて作品を発信している状況です。
そんな第三世代を紹介するのが今回の展覧会。
ゲストキュレーターにナンジョウアンドアソシエイツの北澤ひろみさんを迎え、今まであまり紹介されてない若い世代の作品がたくさん見られる展示になってます。
さすが南条事務所出身の方だけあって、キュレーションにそつがないです。
まずタイトルの「ダブル・ファンタジー」。
この展覧会の軸を見事に言語化した言葉だと思います。
全体として現実と虚構が混ぜこぜになった作品をチョイスしていて、見ながら「ダブル・ファンタジー」という言葉がどんどん染み込んでくる感覚があります。
そして、作品のクオリティがどれも高い。
荒々しい作品がまったくなくて、すごくクリーンな印象。
なので、これが実際の今の韓国現代美術だとは思えません。
これは国の名前を冠するすべての展覧会に言えることですが、あくまで数数多有る流れの1部を切り取ったものでしかないので、それがその国のすべてとは決して言えません。でも確かに森美術館の「チャロー!インディア」や「アフリカ・リミックス」なんかは、あれだけの数が揃って、数人のキュレーターがリサーチした展覧会なら、ある程度の国の形も見えてきそうなもんですが、今回のような小さな空間(2階も企画展示になればいいのに)で、キュレーターが1人、作家が15名のみのっていう展覧会の場合は特にその国の美術として見るというよりは、ひとつのキュレーションとして見るべきです。
今回はタイトルの「ダブル・ファンタジー」を軸に見て行くとおもしろいです。
出品作家で気になった作品をいくつか。
入口にもあったジ・ヨンホの古タイヤで作られた動物の彫刻。
フォルムからマテリアルまでメチャクチャかっこいい。
ごちゃごちゃしたコンセプトが邪魔だと思う。
ユン・ジョンミの子供とその持ち物を写した作品はすごくおもしろい。
男の子と女の子が、それぞれ青いものとピンクのもので囲まれている。
それらすべてが彼、彼女らの持ち物ってことに驚かされるし、これはその子供の趣向というより、完全に親が買い与えた結果のもので、親の願望が垣間みられる。
男の子=青、女の子=ピンクという固定概念。
日本人の子供が全員太陽を赤で塗る感覚に似ている。
他の国の子供達は太陽を黄色で塗ります。
イ・スギョンの金継の立体はめちゃくちゃ美しい。
ずーっと眺めていたいぐらい。フォルムも素晴らしい。
あとはアン・ジョンジュの映像もおもしろい。
中国の衛兵交代の映像をリミックスして音楽のように映し出す作品。
いかようにも見られ、いかようにも楽しめる幅がいい。
KDK(キム・ドギュン)の建築写真は凄い。
夜中に長時間露光か何かで撮影された建築は、どこかのっぺりしていて、陰影がはっきり。まるで絵画のような表面に驚かざるを得ない。
銀座ディオールやこの丸亀の美術館を写した写真は美し過ぎます。
やはりこの美術館は美しい。
いつ来ても建築学生がいて、壁やら手すりやらをなで回してます笑
にしても谷口建築ってそのメンテナンスの行き届き方が半端ない。
SANAA建築とかすぐ汚れちゃうのに、この美術館も全然年月の経過を感じさせず、去年できたばかりと言われたら信じてしまいそうなくらい美しい。
やっぱ谷口さんの建築はすごいなー、って話反れちゃいました。
以上、そんな感じ。
韓国の美術には、中国や日本のようなセルフ・オリエンタリズムな作品があまり見られないのがいい。
というかそもそも韓国でそういった作品を作ろうと思ったらどんな風になるんやろ。
キムチ?チョゴリ?それもインパクトにかけるなー。
韓国の美術は、マイナスがすべてプラスに転じてる気がする。10月12日まで。

ところでこの美術館で務めてらした敏腕キュレーターの植松さんが昨年から国立国際に移られたそうで、この美術館の最大の魅力である独自の展覧会がちゃんとこれからも魅力を放つのか心配。実際これは!と思う展覧会も昨年から減ってる気がする。今回もゲストキュレーターさんやし。
話は変わるけど、この日街はお祭りでこの美術館が大変なことになってた。

あとさらにどうでもいいけど、この近くに平野美術館だったか名前ど忘れしたけど、変な建物にある変な美術館見つけてしまって、入ったら人が誰もいなくて、聞いたことない作家の作品ばかりが並べられてあって、すごく気持ち悪かった。しかも何故か作家全員スペイン人。スペインと丸亀とどういう関係?謎は深まるばかり・・・。


彦坂敏昭展@大原美術館
毎年若手作家を招いて、元児島虎次郎のアトリエで行われるアーティスト・イン・レジデンス。過去には津上みゆきさんや、町田久美さん、三瀬夏之介さんらがこのアトリエを借りて制作しました。そして今年は昨年のMOTアニュアルや、shiseido art eggで発表した彦坂敏昭さんが選ばれました。なんと僕と同い年の1983年生まれ。焦るわぁ笑
同い年ってこともあって、やっぱ同世代の表現は気になるのでその報告展を観に岡山まで行ってきました。
shiseidoは見逃しましたが、昨年のMOTアニュアルで見た作品は、何かのイメージをパソコンなどを使ってこれでもかというぐらい解体して、それを版画にするみたいな作品で、すごくフラットな印象があったのだけど、今回本館の最後の展示室に飾られたそれらは、色んなテクスチャーがあって、MOTの時に見た印象とまたがらっと変わりました。
天井高のスペースを活かした大画面。
3つでひとつみたいな作品だけど、つながってないようにも思える。
図像はあまり変わってないものの、色も増えて、とにかく表情豊かになってる。
MOTの時とどっちがいいかはちょっと判断がつきづらいけど、作家があのアトリエで過ごした時間の豊かさのようなものが伝わってきてとてもよかった。
実は児島虎次郎のアトリエというのは、当時のまま残していて、電気もガスも通っていません。なので、頼れるのは日光のみ!日が沈んじゃうと何もできなくなるのです。
作家は毎朝早起きして早く寝る超健康的な生活リズムに自ずとなっていき、自然の細かな差異にまで敏感になったりするのかも。
実際津上さんも、毎朝アトリエまで向かう道のりが楽しくてたくさんスケッチして、こないだの国立新美術館で発表されたニ十四節気の連作がうまれたり。
今回彦坂さんは携帯電話やインターネットも滞在期間中断ったそうです。
展示室も天窓から降り注ぐ自然光のみにされてたのがとてもよかった。
9月6日まで開催中。
この日はこれまた大原美術館がお祭り騒ぎになってて、年に1度の子供が美術館で遊んでいい日みたいになってて、展示室の床にテープで落書きしたり、絵と同じポーズで写真撮られたり、なんだかほんわかムードでした。
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