笹倉洋平「音が鳴り、線が走り、」@旧立誠小学校

もう一週間前のことですが、笹倉さんの約一年半ぶりに行われたライブペインティングを観に行きました。
僕も笹倉さんのライブペインティングは3年半前のはねうさぎ以来。
東京から帰ってきた日でしたが、なんとか行ってまいりました。
写真でも伝わる程の気迫と緊張感。
ものが生まれて来る瞬間を共有するのはとてもドキドキします。
1回限りということ。そして人前で行われるということ。
すさまじいプレッシャーだったと思います。
それを一身に受けつつ、最初はその緊張も伝わってきたのですが、後半になるにつれ、どんどん笹倉さんの中でノっていってるのがわかる程線がほとばしり始めました。
音楽もとてもいい感じで、絶妙なコラボレーション。
今回は体育館の舞台上で行われて、しばしば画面の周りを歩き回ったり、スライドで花や蔦の画像を投影したり、手先だけではなく、身体全体を使って線を走らせてる姿が印象的でした。
毎度すごいもの見せて頂き感謝してます。
さて、この企画は旧立誠小学校で日曜まで行われていた「アフタースクール」という展覧会のイベントの一環で、展覧会自体は作家の木内貴志さんが中心になり、集まった作家たちで構成されるアーティストイニシアティブの展覧会です。
始まる前から「アフタースクール」のブログでその過程を見ながら楽しみにしていたのですが、個人的に展覧会としてうまくいってたとは言い難いものを感じました。
確かに個人個人の作品はいいものもありました。
最も良かったのは唯井ゆいさんのインスタレーション。作者コメントに「ぶっこわれたお花畑」という言葉がありましたが、まさにその言葉がしっくりくるような作品。花柄の描かれた木切れが教室に散乱していて、教室がまるで嵐に見舞われたような凄みがありました。
木藤純子さんの作品もよかった。「Over the rainbow」と名付けられたそれは、小さな白い電球の光によって机の上のガラスか何か細かい粒子が照らされ、角度によって虹が現れるというもの。教室中にいくつかの電球を配していたけど、一個に絞った方がよかったかも。ちょっとアニャ・ギャラッチオの作品にも似てるけど。そしてお隣の部屋の虹色の糸が張られてるインスタレーション。窓からしか見れないってのがよかった。
また、冒頭の笹倉さんの作品も新たな展開がみられました。紙が階段の上空を漂い、立体的な展示。上から見下ろした時の線のたゆたう様が気持ちいいです。ただ、もっと線とそのたゆたう様がリンクしててほしかったなとは思いました。今秋ニュートロン京都・東京で行われる個展も楽しみにしてます!
木内さんのいつも肩の力が抜けてしまいそうな感じもよかった。机による木版。
宮永さんの本の壁もすごい。クリストの初期の作品のよう。
天野さんの作品も中庭という場所がとてもしっくりきていた。
まあ、そんな感じで作品はいいと思うんだけど、展覧会としてまとまりが。。。
というか、もうこの場所である程度の人数の展覧会は難しいと思う。
あまりに「小学校」というコンテキストが強過ぎるんですよね。
京都芸術センターも同じく元小学校やけど、あそこはリノベーションが結構加わってるので良いバランスなんです。でもここはほとんどリノベーションされずに素の小学校のままなのであまりに場力がそのまま残り過ぎてるんです。
もし作品がパーマネントに展示されることを前提としてるならおもしろいものになりそうやけど、定期的に展覧会が行われるとなると、その展覧会の差異を生み出すのが難しいと思う。
そのコンテキストを無視することもできないし、意識し過ぎてもいけない。
ここでやってる展覧会を見る度にそのジレンマが見えてしまう。
そして、結局意識する方を選んで、どの展覧会も個性が均質になってしまう。
もう中堅作家の中回顧展とか、2人展とかしか道はないのかも。
金氏さんとかおもしろい使い方できそうだなぁとは思うけど。
なんしか、ホント難しい空間やなぁと改めて思わされました。
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笹倉洋平展「ツタフ」@PANTALOON
笹倉洋平@GALLERYはねうさぎ
no name @ 元立誠小学校
FIX@元立誠小学校
ROBERT PLATT 「huntorama2」@muzz program space

こちらも日曜までの展示。
muzzは僕の大学のOBが企画してる、アーティストランスペースで、しばらく展覧会してなかったのだけど、久々に展示があるということでこれは行かねばとずっと思いつつ結局最終日になってしまいました。
笹倉さんのイベントの日に行きたかったのだけど、行けずにかなり断念モードでしたが、やはり諦めきれず最終日にギリギリ駆けつけました。
ロバート・プラット氏(以下ロブ氏)は、もう10年ほど京都に住んでて、今やコヤナギにも所属する作家さん。
名和さんの知り合いで、その昔半ば強制的に、面識もないロブ氏の誕生日パーティに連れてかれて、留学の相談とか厚かましくもさせていただきました。
とっても優しい人で、今回もお会いできてその時の話したら覚えててくれてました。
そしてなんと知り合いのキュレーターさんにもお会いして、そのキュレーターさんと一緒にいた作家さんと少しお話してたら、全員ロンドンに関わりがあることが発覚。
ロブ氏は元々RCAの学生だったし、キュレーターさんもロンドンで勉強していて、一緒にいた作家さんもなんと僕と同じチェルシーで勉強してたという・・・世界狭ッ!
ちょっと盛り上がってしまいました。
それはさておき展示の内容。
いやぁ、諦めないで行ってよかった。
すばらしい展示でした。
ロブ氏の作品はいくつか見たことあったけど、これだけ一辺に見たのは初めてで、すごく独特な描き方をしてるのが印象的。一筆一筆が感じられる絵画。モチーフもとても不思議な組み合わせで、ぐいぐい引き込まれて行きます。
そしてもう1つ、muzzのアパートの部分を使ったロブ氏とたくさんの作家さんの作品をインスタレーションした部屋が素晴らしかった。名和さんの作品もあったりして、それらがまったく違うのに、ロブ氏が壁に描いた木のウォールペインティングによって調和されててとても気持ちいい空間やった。ロブ氏の大作もあって、これもまたいい。
今度また会ってゆっくりお話ししたいです。
佐藤貢展@PANTALOON
またもパンタロン。
もうここは僕の中で不動の位置をしめてますね。
ここの展覧会はかならず行かなきゃ。
で、これまた最終日近くになってようやく駆け込むことができました。
佐藤さんの作品は初見だったのですが、とても詩的な雰囲気で、このパンタロンを見事に佐藤ワールドに仕立て上げてました。
いくつか独立した反立体のオブジェなんやけど、それらがそれぞれ共鳴して1つの世界を築いている。なんだかすごく落ち着く。懐かしい。なんでやろ。
海で拾ってきたゴミを組み合わせることでできるそれらの作品達。
中でも僕のお気に入りは、網をつかった吹き抜け奥の2階の作品。
まだ見たことないけど土屋信子の感じに似てるのかも知れない。
合理性とかは一切ないのだけど、とてもしっくりきてる形達。
佐藤さん自身の中の秩序でしかないものが、自然に染み渡ってくる。
「センス」と言ってしまえばそれまでやけど、言葉では言い表せないものをたくさん感じたそんな展示。やっぱりパンタロンは見逃せない。
あー、2年前の大西康明さんのも見たかったなー。
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森太三「世界の果て」@PANTALOON
今村遼佑展「畔を廻る」@PANTALOON
Reborn @ Nomart

新生ノマルに行って参りました!
このオープニング展はたった5日のみということでこれまたギリギリ最終日。
稲垣元則、今村源、植松奎二、榎忠、大島成己、大西伸明、片山雅史、木村秀樹、田中朝子、豊富春菜、中川佳宣、中西信洋、中原浩大、名和晃平、北城貴子、渡辺信子
という凄いメンツです。
関西の、はたまた日本のアートシーンを引っ張ってきたギャラリーの自負というものが感じられる展覧会でした。
豊富さんの新作や、大西さんのCMYKをテーマにした新たな平面への新展開も見れてかなり濃ゆい内容。今村さんもよかった。
ただ、空間がちょっと綺麗すぎて、前の何か独特の雰囲気が完全に失われ、コマーシャルギャラリーのエスタブリッシュされた感じになっててかなり寂しい。
スペースも、元ロフトスペースのみ。
これまでかなり実験的な展覧会が多かったけど、これからはちょっと望み薄です。
といってもこれからも展示予定が凄い。
06.08-07.04 植松奎二
07.21-08.15 今村源
09.07-10.03 名和晃平
10.19-11.14 大島成己
11.30-12.26 大西伸明
とりあえず名和さんと大西さんは絶対行く。あとは余裕があれば。
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中西信洋「Halation」@nomart project space
名和晃平「TORSO」@nomart project space
中川佳宣展「光の根」@nomart project space
すいません、なんか今回の記事の展示全部終了済みです。
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