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マーク・ロスコ 瞑想する絵画 @ 川村記念美術館

神聖な体験を求めるなら、それはここにある。
世俗的な体験を求めるなら、それもここにある。
私はどちらでも構わない


川村記念美術館で開催中のロスコ展に行ってきました。
リヒター展以来約3年ぶりの訪問。遠い。。。
今回のロスコ展は、先月までロンドンのテートモダンで行われていた展覧会の巡回展。川村記念館との共同企画となります。
テートに行った友達の感想では、どれも同じような絵で気が狂いそうだった、なんて感想もあったり、今回なぜか川村の目玉であるロスコルームも閉じられるってんで、行こうか悩んだんですが、気になるので行ってみたらそれが大正解でした。これは完全にマストな展覧会ですね。
もはや有名な話ですが、ロスコはNYにあるミース設計のシーグラムビルディング内のレストランから壁に飾る絵画を依頼されました。かつてから自分の作品だけで空間を埋めたいと考えていたロスコは、その依頼を快諾し、30点の連作を描いたのですが、レストランの雰囲気を見てドタキャンして、当時から信頼していたテートの館長ノーマン・リード氏に連絡し、30点すべてを寄贈するという話を持ち込みました。しかし当時のテートと言えば、今みたいに分館もなく、30点もの作品を常に展示しておける空間がなく、しかも当時のイギリスと言えば美術不毛の地とまで言われたほど現代美術が不人気。そんな状況もあって、テートは8点だけ貰い受けることにして、ロスコルームと言われる今やテートの目玉展示室を作り常設展示することになったのです。そして他の21点は世界中に散り散りバラバラになり、そのうちの何点かを川村美術館が購入、ロスコルームを作るに至ります。世界でロスコルームを有する美術館はテートとこの川村記念美術館の2つだけなのです。あとアメリカにロスコチャペルなんていうロスコの絵画で囲まれた教会もあります。是非行ってみたい。
ちなみにロスコはテートに作品が運び込まれたその時に、アトリエで手首を切って自殺してしまいます。彼は医者から1m以上の大作の制作を止められ絶望していた最中でした。
今回の展覧会ではこれらの経緯を物語る、テート館長との手紙のやり取りまで展示されていて、ロスコの肉筆から、ロスコルームをなんとしても完成させたいというまっすぐな想いが伝わってきました。

さて、今回の目玉となるのは、なんといってもシーグラムのための連作がテートの分と合わせて15点一同に会している展示です。
これはもう一生ない機会といっても過言ではないでしょう。
なんせ今テートのロスコルームに行っても空っぽってことですからね。
15点が少し上の方に掲げられてるあの大空間に入った瞬間、僕は思わず泣いてしまいました。いつの間にか涙がこぼれてたんですよね。
僕が展覧会に行って泣いたことなんて、3年前の水戸芸の展覧会以来人生2度目。
しかも前回はキュレーションによって泣かされた感があったんですが、今回は純粋に作品を見て泣いてしまったのです。あの迫力は圧巻です。
なんでただの絵の具なのにここまで心を揺さぶられることがあるんでしょうか。
展覧会の最初の一点だけ展示されてあるだけでもやばかったけど、あの15点はもう反則です。完全にキャンバスに神が宿ってます。
平日の朝一ってこともあり人がほとんどいなくて、あの展示室に1人になれることもあって、すごく贅沢な空間体験をさせていただきました。
最後の展示室には黒の作品もあって、これもやばいですね。素敵です。
冒頭の言葉はその最後の展示室前に書かれていたロスコの言葉。
とっても幸せな気分に満たされた展覧会でした。もう一度行きたい。

ちなみにここの美術館は昨年リニューアルして、展示室がいくつか変わってました。
特にバーネット・ニューマンの展示室!あれはすごい!
一点だけが贅沢に展示されていた自然光で溢れるあの展示室は素晴らし過ぎる。
絵がとっても幸せそうでした。

あー、早くも今年ナンバーワンの展覧会だったっぽい。
6月7日までなんで絶対観に行ってほしい。
これ逃すと一生見れませんよー。
http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/index.html

ツェ・スーメイ@水戸芸術館
佐倉から水戸へ。遠過ぎる。。。
チケットもらったので行ったけどイマイチでした。
あまり一貫性が見られなくて、作家の意図が汲めませんでした。
猫の喉の音を聞ける作品は好きでしたが笑
最後、今回の広報のメイン写真になってる美しい景色を背景にチェロ弾いてる映像があるんですが、行ったら映像の前の椅子に5人のおばあさんが座ってて、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ映像に見向きもせずに談笑してらっしゃって、それがなんかおもろくてたまらんかった。ティノ・セーガルの作品かと思った笑

ARTIST FILE 2009 @国立新美術館
昨年から始まった国立新の企画展覧会。
学芸員が何人かの作家を選んでそれぞれ個展形式で見せるという企画。
昨年はさわひらきしか覚えてませんが、今年はどうなんでしょう。
今回は前回より増えて9人の作家を選出。
やはり宮永さんはダントツで素晴らしかった。
今回も意表をつく展示でした。
嫁入り道具の古箪笥に収められたナフタリンたち。
ナフタリンの正しい使い方っちゃ使い方ですね笑
そして、陶器の作品も古道具に挟まれるように展示されてて、不思議な空間を作り上げてました。次のミズマでの展示も楽しみです。
そしてこちらも関西から津上みゆきさんもよかった。
彼女の作品は大阪のギャラリーでしか見た事なかったけど、こうやって大きな空間にズラーっと並べられてるのはとても気持ちよくて素敵でした。
あとは石川直樹さんの昨年発表されて話題になった富士山の作品が見れたのがよかった。ちょっと津田直とかぶるのは僕だけでしょうか。
それから今回唯一の外国人作家、オランダ人のペーター・ボーゲルスの映像も変態チックでよかった。あの世界観は独特やなぁ。
あとは特に。村井進吾さんの石の彫刻もあの天井高の展示室で見ると気持ちよかったけど、なんだかスピーカーが並んでるようなハイブリット感はこの人の狙うところなのかな?とも。写真見ると野外で展示されてることが多くて、雨水が溜まる様がキレイだったので、今回室内で埃の浮いた水を張るよりやっぱ野外の方がこの人の作品には合ってるのではないかと。あとちょっともの派っぽくて同時代感が希薄なのも気になった。それは同じく同世代の大平さんにも言えること。
そんなこんなで、まあまあ楽しめる展覧会です。今後も期待。
ただし、図録を全員分セットで買わなあかんのはどうかと思う。前回もさわさんの分だけ欲しかったのにセット売りってことで断念して、今回も宮永さんのだけ欲しかったのに、9冊セットってことで悩んだけど、どうしても欲しかったので買いました。おかげで荷物重くなった・・・。次から別売りでお願いします。
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