青木淳「最近の仕事について」@京都大学
青木淳氏の講演会に行ってきました。
この講演会に行こうと思ったのはやはり著書「原っぱと遊園地」。
この本がベラボーによかった為にそれまでまったく興味がなかった、というかむしろ好きじゃない建築家の一人だったのが一躍僕の中での評価が高まったわけです。
でもまあ、相変わらず彼の建築は理解し難く、だったら本人に直接話を聞こう!ということで、この講演会を聞きにいってきた次第です。
会場は京都大学内にある百周年記念時計台記念館百周年記念ホール。
なんで百周年記念2回言うねんなんて突っ込みはさておきとても立派なホール。
入って速攻でど真ん中の席を確保。
定刻になり青木さん登場。
黄色い服でちょび髭のおっちゃん。物腰柔らかし。
「いきなりウミウシ」から始まるスライド上映。
終始ウミウシの写真が要所要所に出てきて、本気なのかユーモアなのかわかんなくて、なんとラストの画像もウミウシ。なんなんだこの人は笑
なんでもこのウミウシの形に青木さんは魅了されてるらしい。
単体で見れば不可思議な形をしているのだけど、環境にうまく溶け込む姿が、彼の建築の目指すところだそうな。中途半端な形というのも彼を魅了している点であるらしい。
最初は住宅を中心にお話され、中盤は美術館やギャラリーの話。
昨年移転リニューアルしたタロウナス画廊の内装も手がけており、その際にギャラリー空間における照明の存在というものが非常に厄介だということに気がつきいたらしい。
照明自体が主張してしまっては困るので、できればつけたくないが、つけなければ作品が見えないという葛藤を特に現代美術画廊は抱えているという。
そこで青木さんは、アートバーゼルに出展している世界中のギャラリーのHPにアクセスして、空間写真を、それこそ100枚ぐらい取り出してきてリサーチしたらしく、今回そのピックアップした膨大の画像をどんどんスライドしていって、それがアートやってる僕にとって非常に興味深く、各ギャラリーがどのように照明と折り合いをつけているかを見ることができた。
で、最後にタロウナスの画像になったんだけど、正直あのリサーチが生かされてるのかかなり疑問な照明配置になってた。。。まあ、実際行ったことないからその空間体験を通してでしかわからないんだろうけど、少なくとも画像で見る限り微妙でした。
また、イギリスの町リーズのショッピングセンター兼住宅のコンペ案では波打つガラスファサードを持つ建物で挑み、さらに屋上に住居を配置してるんやけど、かなりメルヘンな感じでびっくり。窓が十字型で、形も竪穴式住居っぽい感じ。
自身もイギリスの子供番組に出てくるトビーランド(?)に憧れて設計したみたいなことを言ってて、何なんだこの人は、と思った笑
まあ、実際この案はコンペで負けてしまったらしいけれど、最近勝利した杉並区の体育館において、一部実現できるかも!ってなって、案に盛り込んでたんやけど、実際勝利していざって段になり、実際の場所に行ったら、ちょうどそのトビーランド予定地に、まさにその土地のシンボルっぽい4本のイチョウの木が植えられていて、これ伐っちゃっていいの?と聞いたらやめてほしいと言われ、だったらなんで与件にくんでなかったんだよー!と嘆きつつもトビーランド計画はまたしても断念せざるをえなかったとか。
なんか少年のような感覚をお持ちの方なんだな、という印象。
今回話を聞いて、やはり彼の建築にシンパシーを感じることはできなかったのだけど、彼の実際の言葉を聞いて少しでも理解ができたかな、と思いました。
印象的な言葉として「どっちつかずが良し」というのがありました。
僕は作品作る時にこういう感覚にはならないのでわからないのだけど、青木さんの建築を考える上でこの言葉はとても重要性を帯びてくるんじゃないでしょうか。
確かにいつも中途半端な感じを受けてしまうんですよね。
これはあえてなのか?それってどうなん?とも思ってしまいますが。
なんにせよ面白い講演会ではありました。
今度は藤本壮介さんが今一番気になるのでお話聞いてみたいですね。
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