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田中功起「たとえばここ最近の作品をすこし違ったかたちでみせること」@群馬県立近代美術館


気になる。
気になって気になって仕方ない。
「この木何の木気になる木」じゃないけど、気になる田中功起なんである。
彼の作品はグループ展等で見る度に気になってしまう。
他の作品となんか常に浮いてしまっている。
あとでそのグループ展を思い出しても真っ先に浮かぶのが彼の作品。
こないだの広島現美の常設展然り。
僕は行ってないが、以前行われた「ガンダム展」の展評にも書かれていた。
「田中功起が浮いてる」と。
彼の作品は主に映像である。
その内容を叙述すると、例えば鳩にキャビアやってみたり、ビニルバッグにヘリウムガス入れて街中で飛ばしてみたり、あるいは大量のたらいを雪崩れ落としてみたり、、、なんて書き連ねたところで彼の作品の魅力の一端にも触れることができない。
ここまで実態の掴めない作家を僕は知らない。
なんかわかりかけたと思ったら次の瞬間その輪郭はぼやけている。
まるでいたちごっこのように僕はその輪郭を追い続けてしまう。
正直彼の作品のように、どこかユルいトーンの漂う作品というのは本来僕が好まないジャンルの作品なんやけど、彼の作品だけは何かが違う。何が違うのかわからない。
で、今回彼の作品が一気に見れるってんではるばる群馬まで。
そして、完全にハマってしまった。田中功起ワールドに。
例のガンダム展での作品もあったし、たらいもあった。
今までグループ展でしか見たことなかったけど、こうしてすべてが田中功起作品に囲まれるというのは初体験。とても和やかで、満たされる感覚を覚えた。
そして悟った。何で魅かれるとか考えんのはあほらしいと。
彼の作品にはそう思わせてくれる何かがある。
それは決して言葉にはできないが、もどかしさも何もない。
むしろ清清しい気持ちにさせてくれる。
「好きだから好き」。それでいいじゃないかと。
なんかレビューにもなんにもなってないけど、こんな感想しか出ません。
今一番気になる作家、田中功起。
群馬まで行った甲斐があったというもの。
と思うや否や、彼の講演会が同美術館で開催されることが発覚!
なんでもこの春から3年アメリカに行っちゃうからその前に話せることを話すという企画らしい。なんて魅力的!どうしよう。この日は午前中用事があるが、なぜか関東にいる。
んー、ちょっと悩みます。悶々。
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と、ここまで書いたものの、やっぱもうちょっと考察してみます。
田中さんの作品の特徴は現実との乖離がほとんどないということ。
これは結構映像作品にありそうでないことなんです。
映像ってただでも生活の中でありふれたメディアなんで、それを「アート」足らしめるには何か特別なことをしなきゃならないような雰囲気があります。
でもそれをやりすぎると今度は「映画でええやん」ってなる。
この映像を特別にする方法で作品作りを徹底してるのがビル・ヴィオラでしょうね。彼の場合は壮大な装置を使ったりして観るものを圧倒するような力強い映像を作り上げてしまいます。あとピピロッティ・リストなんかもそうかな。
また、田中さんと同年代で言えばさわひらきさんもこっちになるでしょう。さわさんも「ありそうでありえない風景」を徹底して作り込んでいく。そのディテールの細かさには度肝を抜かれます。
で、田中さんの場合は、その特別さが残酷なほどにない笑
確かに特別っちゃ特別なことやってるけど、CGなんて一切使わずに、その全てがやろうと思えば現実に起こりうる出来事。わざわざ映像にする意味あんのか?って事柄をとことんやっちゃってる。そこがミソで、でも実際だれもやらんやろうなぁ、と思うことがほとんど。
例えば今回出品されてるスニーカーが階段から次々落ちてくる作品。最初短いループで流してるのかと思ったら、落ち方が全部違くて、実際に同じ型の靴を大量に落としてるんだとわかる。
また、実際その映像に使った道具を映像と共にインスタレーションしたりするのも特徴。映像ってとてもフラットなメディアやし、たしかに現実を映してはいるんやけど、その出来事はカメラの前で起こった出来事であって、観客の前で実際に起こった出来事ではないので、何だか映像と見手の間に距離を感じる事が多い。でも、実際使った「もの」を一緒に展示することで、すごく映像との距離が縮まったりする。
今回メインとなってる「そうして群馬県立近代美術館にたくさんのたらいが落ちる」は、以前「笑い」展で森美術館用に制作され、その時は「そうして森美術館にたくさんのたらいが落ちる」というタイトルだったのを、実際群馬近美で再制作したものを展示している。
実際、大量のたらいが落ちる様を映した映像とその映像に使われたたらいが展示されてるんやけど、ぶっちゃけ森美で落とされようが群馬で落とされようが変わらない気もするんやけど、田中さんは現場にこだわる。映像ってDVD1枚でどこにでも持っていけて、壁さえあればどこにでも映せるってのが利点でもあり、国際展等で氾濫する要素でもあるんやけど、それに田中さんは抵抗して、映像にも現場性を持ち込んでいく。実際その映像に映されたたらいの展示空間へ転がり落ち方ってのは、やっぱり人の手でランダムに配置するのでは実現できない様やし、たらいが床にたたきつけられて凹んでるのとか、すごくリアル。
そういった現場の空気感を大事にする作家さんです。
なんか、田中さんの作品を見てると安心するというか、アホらしいんやけど、あぁ、世界ってこんなに単純で複雑なんやなぁ、としみじみ思い出させてくれる。
美術って、現実と遊離する楽しみもあるけど、こうやって美術館の外に出ても満たされる作品ってとても魅力的やなぁと思う。やっぱ講演会がんばって行こう。
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田中功起
「たとえばここ最近の作品をすこし違ったかたちでみせること」
群馬県立近代美術館 http://www.mmag.gsn.ed.jp/
11月22日(土)-2009年3月29日(日)
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 月曜日(祝日の場合はその翌日)

アーティスト・トーク
「僕がアメリカに行くまえに整理したこと、話したいこと」
3/14(土) 14:00- *申込不要 / 聴講無料
http://www.mmag.gsn.ed.jp/event/OTHER.htm

ちなみにこの美術館は磯崎新氏によるもの。
改修工事を最近終えて展示室が天井高くてすごくきれいです。
(改修工事の理由はア○ベ○ト問題との噂、、、)
まあ、仰々しすぎて、これぞ「美術館」って感じは弟子である青木淳氏に「遊園地」と批判されそうですが。そんな青木さんも田中功起ファン。前の展覧会図録に文章寄せてます。田中さんも青木さんの作品に寄せて文章書いたりしてる。

あと、田中さんのポッドキャスト「言葉にする」は中々おもしろい。
作品とは裏腹に田中さんのまじめさが好感持てる。
http://kktnk.com/podcast/kotoba/kotoba.html

あ、これ今年初展覧会や。
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