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大舩真言「彼方の風」@天籟宮


昨日はとっても贅沢な時間を過ごさせてもらった。
大舩真言さんの一日限りの展覧会「彼方の風」である。
大舩ファンの友人に、その前日このイベントのことを知らされ同行する事に。
もう1人の友人と車で雨降りしきる中滋賀県の近江八幡まで。

ここは四年ほど前にも1度来た事があって、その時も色んな古い家やらを使ってアートのイベントが催されていた。榎忠などが出てたんだけど、ほとんどの作品が場負けしていておもしろくなかった。
昨年もBIWAKOビエンナーレと題し、そういったイベントが行われたようだが、以前の事があったため、同じ過ちは繰り返すまいとパスしたら今度はそれがめちゃんこ良かったようで、カタログからもそれが伝わってきて悔しかった。
その時に大舩さんも出品されていて、酒蔵のようなとても暗い空間にほんのり浮かび上がる様な作品を出品されていたらしい。見たかった!
大舩さんの作品は何度も見逃している。
夏前に京都のギャラリー感でやってた展覧会も自分の展覧会の準備で忙しくて行けずに涙を飲んだ。
そして今回。もう何も見逃したくないので、食らいついてみたらやっぱり大ヒットだった。

180年前に建てられたというその元商屋。
今は「天籟宮(てんらいきゅう)」と名を改められて、カフェやこうしてアートイベントなどにも利用されている。前にはお堀が流れていて、とても静かな時間が流れている。
入ると正面に大舩さんの作品が半野外に掛けられている。
雨の降るしとしとした柔らかい光を背景にとても美しい。
さらに奥には2枚1セットの作品が床置きで並べられている。
こちらも外の弱い光に照らされて、日本画独自のキラキラが美しかった。
そして何より、大舩さんの作品の一番の魅力のあのなんともいえない雰囲気。
その場を包み込んでしまうような緊張感。
しかしその緊張感が本当に心地よくて、いつまでも浸っていたいのである。

大舩さんの作品は日本画である。
それは使われている素材でのカテゴライズに過ぎない。
僕は彼の作品をインスタレーションと捉えている。
もちろん一般に言うインスタレーションとは一線を画す。
普通インスタレーションというのは周囲を操作することで生まれる。
それと違って大舩さんの場合、作品を置くだけで成立する。
大舩さんの作品が一種の装置となって場の雰囲気を一変させる。
一変させるといっても、それは決して強制的なものではなく、むしろ場と作品が互いに調和しあって、見事な一体感を生んでしまうのだ。
大舩さんの作品を見ていると、作品がまるで呼吸している様に感じる。
とても静かな呼吸で、まるで深海生物のような印象すら与える。
平面で、しかも日本画でここまでの場を作れる人を他に知らない。
日本画と言えば最近たくさんの若手人気作家が出てきている。
村上隆も元日本画だし、松井冬子や町田久美といった人々。
彼らに共通するのは具象画であるということ。
最近の絵画の流行は具象画なのだ。
それに反して大舩さんの絵は抽象画。
実際それ自体何が描かれているのかはわからない。
しかし本当に強い印象を僕に与え続けてくれる。
5年ほど前に京都のneutronで初めて見た衝撃を今でも忘れられない。

最近このブログでも絵画のインスタレーション性に触れている。
まさに大舩さんの作品群はその典型例と言えよう。
他にも大舩さんと同世代ぐらいの平面で空間を一変させてしまう作家で内海聖史さんがいるが、この人に関してはまた近々触れる機会があるので割愛。
大舩さんの作品を見て、ロスコを思い出す人は多いと思う。
ロンドンのテートモダンにあるロスコルームと言われる、ロスコの大きな作品が並べられたすごい空間がある。そこに入ると、さっきまでわいわいしていた人々も自ずと静かになり、その場の雰囲気に飲み込まれる。あの美術館であの空間だけ確実に違った空気が流れている。
あの空気にやはりどことなく似ているのだけれど、大舩さんの作品の持つ空気はもう少し柔らかい。
それは大舩さんの人柄にも表れているような気がする。
今回大舩さんと直にお話させていただいて、ホントに温和な方で話しやすかった。
色んなことも聞けてとても有意義な時間だった。

そして結局僕らはそこに4時間も滞在してしまった・・・!
というのも、夜には大舩さんの作品を囲んだ音楽のライブがあったのだ。
それにしても、時間帯でこれまた大舩さんの作品は変化する。
昼間の陽光に照らされていた時と、夜の仄暗い中にある時とで印象ががらりと違う。
その変化たるやすさまじいものがある。
こうして一日いないとわからない。
1人の作家の展覧会で、こんな長い時間滞在する事なんてまずない。
本当に貴重な体験だった。

大舩さんの今後の予定に関しては、まず1月2月のneutronでの展覧会。

大舩真言展「Prism」@neutron tokyo
2009年1月10日-2月1日
大舩真言展「Principle」@neutron
2009年2月17日-3月1日
詳細はneutronのウェブサイトにて>>http://www.neutron-kyoto.com/

そして5月からはパリでの展覧会にも参加するそう。
こちらは例のBIWAKOビエンナーレをキュレーションされた方が見つけ出した、ピカソ美術館近くの旧市街にある所だそうで、かなりおもしろそう。
あー、全部見てみたいが、現実的に京都だけになりそう・・・東京どうしよう。あー。

それから本の出版も企画しているらしい。
本に関しては、大舩さんの作品を環境を変えて撮った写真集のようなものになるとか。
前述のギャラリー感のDMもそんな感じだった。
大舩さんの作品は、ホワイトキューブよりも、こうした日本家屋や自然の中でこそ発揮される気がする。

なんにせよこれから追い続けたい作家さんのひとりです。
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