山岡敏明 @ Gallery H.O.T
西天満へ山岡さんの展覧会を観に行ってきました。
山岡さんとは、5年前(!)、僕が大学2年で、西天満界隈のギャラリーを毎週足繁く通っていた頃、今はなきギャラリークオーレ(良いギャラリーでした。出してくれるジャスミンティーがうまかった)にて個展をされている時に出会いました。
その時の作品は今でも鮮明に覚えていて、壁に4点、矩形の塊がかけられていて、すごい迫力でした。
白と黒の、まるで牛の柄の如く塗られたそれらは一体何なのかと興味津々に在廊されてた山岡さんに話を伺ったのです。
山岡さんは、ずっと手がけている「グチック」という概念を熱っぽくお話くださいました。
「グチック」に関しては、誤解が生じてはなんなので、彼のHPでご確認ください。
で、作品はその断片なのだと。
次に観たのはGallery H.O.Tでの展示。
今度は壁が真っ黒になっていて、一点だけ正方形なマットの黒があるインスタレーション。
これもすごい迫力に思いっきりやられました。
ちょうど同じ時期に僕もこれまた今はなきホワイトキューブ大阪で個展をしていたので、山岡さんも訪れてくださり、その頃からお互いの展覧会を行き来する間柄になりました。こないだの京都の展示も遠路はるばる来て頂きました。
で、今回。(前置き長)
山岡さんからDMが送られてきて、ワクワクしながら行ってきました。
来週月曜から始まる現美センターでのgallerismにも出されるということで、こちらも同時に行こうかと思ってたのですが、やはり待ち切れませんでした。
入って左を見ると真っ黒な壁。
端の方は少し凸凹している。
その黒がマットで塗られているため、まるで、そこから先が無のような感覚に陥る。
その手前にはワイヤーが張られていて、近くまで寄ることはできない。
これが中々効果的で、本当に彼岸に立たされたような感覚に陥る。
ただただその黒を前にして言葉をしばし失ってしまった。
これはカプーアの作品を前にする時の感覚に似ている。
作品を前に、自分が何をすればいいのかわからなくなるのだ。
その逆側の壁には写真作品が飾られていて、街をグチックが横断している。
ギャラリーのスタッフさんの話によると、この壁の黒は、今まさにギャラリーを通り抜けているところらしい。
これはDMでも示されていた通りだ。
なので、上の僕が抱いた感想は作家さん的には違うのかもしれない。
でも、あの圧倒感は僕が山岡さんの作品を前にしていつも感じるたまらない瞬間なのだ。
最近は映像などの分野にも挑戦してらした山岡さん。
でも、僕はやっぱり今回のような作品が好きです。
入った瞬間ににやっとしてしまった。
そして呆然と見ながら、「こんな良い作品を作る人が周りにいるなんて幸せだなぁ」なんて思った。
ってことで超おすすめ展覧会です。関西の方は是非!
山岡敏明「GUTIC STUDY 16」@ Gallery H.O.T
2008.10.27(月)-11.8(土) 日曜休廊
12時~19時 (最終日は17時まで)
gallerism2008 @ 大阪府立現代美術センター
2008.11.3(月祝)-11.5(土) 日曜休廊
10時~18時 (3日、8日は16時まで 最終日は15時30分まで)
山岡敏明ARTWORK>>http://www.gutic.com/artwork/index.html
小川直樹@Oギャラリーeyes
山岡さんのを見たついでに西天満界隈のギャラリー散策。
もはや僕ぐらい見てると、不思議な嗅覚が発達するもので、ギャラリーの前に立ってる看板のDM見ただけで、観るべき展覧会か否かがわかります。
で、その嗅覚にかかったのが、この小川さんの展覧会。
ここはペインティングをメインに扱うギャラリーですが、今回も例によって絵画です。
小川さんの絵は、筆のストロークだけで人物や風景を描く作品で、それだけ聞くとデ・クーニングとかを連想してしまいがちだけど、そんな荒々しいイメージではなく、むしろ心穏やかなほっとさせられる絵画だった。
なんでだろう。むしろシュテファン・バルケンホールの彫刻に近いかも知れない。
とても大雑把なんだけど、これが不思議に心落ち着かせる。
なんしかとても「いい絵」だった。
作家さんは僕より一個下で、こういう良い若い作家に出会うにはやはり貸し画廊を回らなければならんなぁ、と改めて思った。昔はホント何やってるかわからなくても行ってたもんだけど、今は知り合いとか注目の作家さんがやってない限り貸し画廊なんて回りませんからね。ちょっとこれからまた貸し画廊巡りもしていきたいです。
ちなみに今月の注目貸し画廊展覧会を3つほど。
11.12-11.23 寺田就子@itohen
11.17-11.29 大村大吾@gallery wks.
11.24-11.29 増田敏也展@ギャラリー白3
中川佳宣 @ 信濃橋画廊
最後は恩師中川さんの展覧会。
今回も相変わらず寡黙な作品でかっこよかった。
本人はあんななのに、どうして作品はこんななんだろう笑
特にコンクリの部屋の緊張感はちょっと凄すぎた。
作品は彫刻がメインで、いくつか版画の作品も。
彫刻は本当に寡黙でつかみ所がない。
でも、空間をピシッと締め上げる緊張感をものの見事に演出している。
何回行っても中川さんの作品は不可解なところが多いんだけど、その作品によって引き締まった会場の雰囲気を味わいに何度も足を運んでしまうのである。
不思議な作家さんだ。。。