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塩保朋子 @ SCAI THE BATHHOUSE


27日まで開催の塩保さんの展覧会に滑り込みで行ってきた。
塩保さんとは、名和さんの作品を一緒に手伝ってたこともあって、何度も作品を拝見している。
初めて見たのが2005年の京都新鋭選抜で、その後、京都の同時代ギャラリー、銀座のINAX、そして5月にアートコートでの展示と、どんどんスケールアップしていて、見ていて気持ちがいい。
アートコートでの展示は本当に凄くて、思わず立ち尽くしてしまった。
そして、今回。
あの元銭湯という特殊なギャラリーをどう活かすのか楽しみで中へ。
正直今回新作を出しているとは思っていなかった。
なんせ、一作作るのにどれほどの時間が費やされることか・・・想像するだけで気が遠くなる。
こないだのアートコートで既に膨大な仕事量をされてたので、もう無理だろう、と。
そしたらなんと新作!しかも高さ6m、幅3.5mもの超大作!!
これにはホント打ちのめされた・・・凄過ぎて思わず言葉も忘れ座り込んでしまった。
天井から床まで、一切テンションの下がることのない膨大なうねりがそこにあった。
そして、今回はなんといっても影が素晴らしかった。
今までどうしてこの影をもっと活かさないんだろうと思ってはいたけれど、実際強い光を正面から当てることで、切り取られた紙の部分から漏れて壁や床に映し出される影の美しさといったら!!
最初正面から見た時もう一作裏にあるのかと思った程。
ホントに素晴らしかった。お見事です。
あと、手前の展示空間には小作品も展示されてた。
しかし、奥のあの大作を見てしまっては、ちょっとな、って感じだった。
塩保さんの弱点はまさにここで、大作と小作の差があまりに大きい。
例えば名和さんの場合、ドローイング1つとっても、小さかろうが大きかろうがテンションが変わらないので、差異をほぼ感じることなく見れてしまう。(まあ、名和さんは大作の方が苦手な雰囲気はあるけれど)
そこんとこをどう克服するかがこれからのキーとなりそう。
しかしとりあえず今回の展示を見た方は、かなり衝撃を受けたと思う。
あとは、これからの展開をどうしていくかが見所。
今の所塩保さんの展示は見る度にグレードがアップしているので、どこまで延びるのか楽しみです!

パラレルワールド@東京都現代美術館

こちらも滑り込みで行ってきました。
かなーり期待してたのだけど、正直全然でした。。。
あまりに雑多すぎたというか、全然集中して見れませんでした。
その点で、今回の展示は名和さんの一人勝ちと言ってよさそう。
名和さんの展示は完全に光をコントロールして、個室にしてしまって、今までにないスケールのプリズムボックスを展示。かなりインパクトあったし、なにより単純に美しかった。初めて名和さんのこの作品を見た時の感覚をまた思い出しました。
特に僕は盆栽の作品が好きでした。フラミンゴもよかった。
期待していた内藤礼はイマイチでした・・・。
こちらも部屋を作っての展示だったのだけど、あまりに表面的に見えてしまったというか。。。
食べ物を使うミシェル・ブラジーも期待してたほどのインパクトもなく・・・。
表紙になってるユーグ・レプの花の作品もあんなでっかい展示室で展示されてもインパクト薄いです。あれは小さな空間で見せてこそその力を発揮できる作品だと思う。
っていうか、この人自身がキュレーションもやってるんですね。どうりで最初の方この人の作品多いな、と思った笑 自分が大好きなんですね。
他は本当に響く作品がなくて困った困った。
なんだか残念な展覧会でした。
ところで、展示が替わった常設展がかなりよかった。
ってか、作品収集にかける予算がどんどん縮小する美術館が増えてるのに、ここはすごい。
こないだのSpace for your future展に展示されてた作品とかもあったり、名和さんや石川直樹など、若手も網羅。企画展よりよっぽど見応えのあるものが見れます。おすすめ。

米田知子「終わりは始まり」@原美術館

水曜日は8時までってことで、こっちも滑り込みで夜の原美術館へ。
米田知子さんは、ロンドンのRCAを出て、今もロンドンを拠点に活動をしている写真作家。
彼女の写真には「記憶」と「記録」という2つの主題が映し出されている。
なんでもない、普通のビーチを撮った写真。
しかしそこはその昔ノルマンディ上陸作戦において死闘が繰り広げられた海岸。
私たちは常に歴史の上に立って生活をしている。
そんなことを思い起こさせてくれる作品シリーズ「SCENE」。
また、フロイトの眼鏡を通して、ユングのテキストをのぞいた「見えるものと見えないもののあいだ」のような、死者と私たちをつなぐような写真もある。
このように、彼女の作品はものすごくコンセプチュアル。
説明がなければ、中々理解しがたいのだけど、その中身がわかったときのゾクゾク感は気持ちいい。
にしても今回もっと説明文的なものが欲しかった。
中にはよくわからないものも何点かあって、悔しいなぁと思ったり。
新作「トポグラフィカル・アナロジー」は、はがれた壁紙や、暖炉の熱の後を撮った作品で息を飲む程の美しさだった。ちょっと杉本博司を連想させるほどのクオリティ。
こちらはまだ始まったばかりで、11月30日までやってるので是非。
日曜日には品川駅と美術館を結ぶシャトルバスも登場したそうなので利用するといいです。
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生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 @ 東京ステーションギャラリー

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