トリスタンとイゾルデ@兵庫県立芸術文化センター

ちょうど2年前の話。
ロンドン留学が始まり、早速ギャラリー巡りをスタートさせた頃。
最初に入ったギャラリーでもうロンドンはすごい!と思い知らされた。
何がやってるか知らずに入ったらビル・ヴィオラ展だったから。
その展覧会は別の場所にある大学を使った展示もされていて、そのどれもがすごい力を放っていた。
これらの作品はパリのオペラの為に製作されたものらしい。
そのことを知って観てみたいなーとずっと思っていた。
日本に帰ってきて、この公演が日本で行われると知った時はびっくらこいた。
運命。
またそんなことを考えてしまった。
もうこれが運の尽きで、気づいたらS席58000円のチケットを買ってしまっていた・・・。
いいんです。金なんて天下の周りものなんです。ははは。
前置きが長くなりましたが、昨日パリオペラを観て参りました!!
まさかこんな年でオペラを観に行くことになるとは・・・。
アートを通して実に色んな経験をしている。
逆にアートがなければ僕の人生はとてもそっけないものになってたのかも。
なんてことを考えながら会場へ。
さすがにおじちゃんおばちゃんがほとんど。やっべー。
場違いを無視してS席に乗り込む。真正面。すばらしい。
で、結果からいうと、やっぱオペラは僕には早すぎました汗
予めWOWOWでやってた映画版の「トリスタンとイゾルデ」見て予習してたんですが、あれ見てなかったら確実にストーリーわからなかった。。。ドイツ語やし。
あ、ストーリーとしては「ロミオとジュリエット」の元となったような話です。
にしても全員でかい・・・やっぱ体力要るからね。
それにしてもイゾルデがでかいのはちょっと・・・と思ってしまった。おばさんやし。
そんでもってトリスタンも年とり過ぎです・・・。
やっぱあの話は「若気の至り」的なものでもあるので、その辺はリアリティなかった。
まあ、あれだけの力量積むには若いのでは駄目なんだろうけど・・・。
公演時間は休憩時間含めて5時間・・・さすがに疲れた。
最初の方とか慣れるまで何度も眠りそうになった。
オペラ自体は苦い経験となりましたが、やはり映像はすばらしかったです。
僕にとっては映像がメインなので、オペラはとても贅沢なBGM。
そもそも、このオペラはとても実験的で、舞台セットは台座1つのみ。
あとは役者(歌手)とこの映像のみという演出。
第一幕では「浄化」をテーマにした、男女の禊のような映像。
相変わらずこの人の水の表現は超越している。
第ニ幕での移り変わる空と木のシルエットの映像もすばらしかった。
しかしなによりすばらしかったのは第三幕。
一幕、二幕では、ちょっと舞台の内容と噛み合ないところもあったのだけど、三幕はこの舞台の世界観とヴィオラの世界観が見事にマッチしてすごかったです。
蜃気楼から現れる黒装束の女性の映像と、イゾルデが船に乗って現れるシーンは絶妙だったし、なんといってもクライマックスの火の映像と水の映像。
最後はトリスタンが天に召されるのが、大量の水で表現されてそれはそれはすごかった。
やっぱり大金はたいた甲斐があったってもんです。
ロンドンで見た時もすごかったですけど、やっぱ元のコンテキスト上で見て改めてこれらの作品が生きてくるという感覚が気持ちよかった。
まあ、もう当分オペラなんて観ることないと思うしいい経験になりました。
こういうアートと舞台の結合ってこれからもいっぱい観てみたい。
タレルやカプーアも以前やったことあるし、日本でやったら是非!
ちなみにこの公演は7月27日と31日に渋谷のbukamuraでも上演されます。
まだ多分S席は残ってるんじゃなかろうかと思うんで余裕があればどうぞ。
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